井上尚弥vsポール・バトラー、井岡一翔vsジョシュア・フランコ、武居由樹vsブルーノ・タリモ、堤駿斗vsペテ・アポリナル。年末の目ぼしい試合を予想してみる【展望】

井上尚弥vsポール・バトラー、井岡一翔vsジョシュア・フランコ、武居由樹vsブルーノ・タリモ、堤駿斗vsペテ・アポリナル。年末の目ぼしい試合を予想してみる【展望】

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先日、井上尚弥とポール・バトラーによるバンタム級4団体統一戦に続いて2022年12月31日の井岡一翔vsジョシュア・フランコ戦が正式発表され、年末の目ぼしい試合は一通り出揃った感がある。
 
また井上vsバトラー戦のアンダーには武居由樹vsブルーノ・タリモ戦、井岡vsフランコ戦のアンダーには堤駿斗vsペテ・アポリナル戦とこれまた「おお!!」と思う試合が決定している。
K-1から転向した武居由樹に大いに期待している人間としては、メインの井上よりも武居vsタリモ戦の方が楽しみだったりする。
 
 
というわけで今回は年末の勝敗予想を。
井上vsバトラー戦、井岡vsフランコ戦のうっすらとした意見はあれこれ言ったものの、勝敗については申し上げていなかったので。
僕の好みをゴリゴリに反映した展望を述べていくことにする。
 
ドネアvsモロニー、井岡vsエストラーダは絶対実現しろや。中谷潤人をどかせるかどうかで陣営の有能さがわかる? WBCとズブズブのリチャード・シェイファー笑
 

井上尚弥vsポール・バトラー

勝敗予想:井上尚弥(5RKO)
 
まずは大2022年12月13日に有明アリーナで行われる注目の一戦。井上尚弥vsポール・バトラー戦である。
 
この試合については当初から「バトラーが井上に勝つ絵が浮かばない」「ジェイミー・マクドネルの二の舞すらあり得るんじゃないの?」と連呼している。
 
ポール・バトラーによる井上尚弥の倒し方。イングランドの戦う貴公子が座間のヤンキー狩りに名乗りを上げるww バンタム級4団体統一戦決まるか?
 
僕は基本、井上の苦戦が観たい人間で、試合が発表されるたびに相手選手を応援してきた。
なので今回も当然ポール・バトラーを応援するわけだが……。
 
正直、いくら考えてもバトラーの勝ち筋が見当たらないというか、井上が一方的にボコるだけの残虐ゲームにしかならなそう。“4団体統一戦”という括りがなければ「はいはい、いつものイージーゲームね」という組み合わせに思える。
 
 
ただポール・バトラーは普通にいい選手だと思っていて、現状はあまりにボロカスに言われすぎな気もしている。
カシメロにKOされたゾラニ・テテにKO負けしていること、体重超過しながらもエマヌエル・ロドリゲスに歯が立たなかったことが影響しているのだと思うが、それでもキャリアでの敗戦はその2つだけである。
 
ファイトスタイル的にはサイドに動きながら相手の初弾に被せるカウンターを得意とする。アングルと距離の調整、フットワークに優れた攻防兼備の技巧派である。
 
井上の過去の対戦相手でバトラーと同系統なのは恐らくジェイミー・マクドネルとダビド・カルモナ。
特にカルモナは井上のジャブにカウンターを合わせることで追撃の連打を封じ、サイドへの動きで角度を変えつつ最終ラウンドまで粘ってみせた。
井上の不調、怪我の影響もあったものの、わずかながら可能性を感じさせたと言えるのではないか。
 
マクドネルもジャブを出しつつサイドに動く立ち上がりを見せたが、井上の圧力とパンチの威力にあっという間に委縮させられた。
 
要するにバトラーが勝負の土俵に上がるにはまずバンタム級離れした井上の圧力に耐える必要がある。
マクドネルのようにファーストコンタクトでブルったら終わり。逆にカルモナやペッチバンボーンのように被弾しつつもカウンターを被せて追撃を許さない状況に持っていければ何かが起きる? かも?
 
そして、僕にはバトラーにそれができるとは思えない。
せっかく日本にきてくれるのでぜひともがんばってもらいたいが、バンタム級でも減量がきつくなりつつある井上を抑え込むだけのフィジカル、戦術の幅はなさそう。
 
それでもできる限り粘ってくださいという願いを込めて、井上の5RKO勝利予想とさせていただいた。
 
 
いや、ホントに捕まったら終わりなんですよねバトラーは。
どれだけ左右に動き回れるか、ジャブでスペースを確保できるかがすべてと言っても以下略
 
井上も20戦以上リングに上がってるのでいいかげん攻略法が出揃った感はあるんですけどね。
基礎スペックが違いすぎるせいで同じ体重、体格のヤツがそれをやれる気配がまったくないのが……。
 
井上尚弥がポール・バトラーをKOして4団体統一。“持たざる凡人”が超人攻略を目指した。これをもっと高次元でできればと思わせるバトラーの動き
 

井岡一翔vsジョシュア・フランコ

勝敗予想:井岡一翔(判定)
 
この試合についてもこれまで何度か好き勝手に展望を申し上げてきたが、基本的には同じ。
ジョシュア・フランコはいい選手だと思うが、井岡一翔なら何とかできるのではないか。
 
井岡vsフランコ、カネロvsゴロフキンVol.1みたいな試合だった。井岡は負けなくてよかった。階級最強を証明するか思い出マッチにシフトするかで次戦が決まる?
 
そもそもフランコの全体像がいまいち見えないのが……。
直近はアンドリュー・モロニーとの3連戦だし、その前は1戦を挟んでこれまたオスカル・ネグレテとの3連戦である。
過去の試合を漁っても当然のようにモロニー戦とネグレテ戦しか出てこない。
 
バンタム級でオスカル・ネグレテに互角以上の戦績(1勝2分)を残しているものの、正直そこまで馬力があるようには見えない。近場での差し合い、打ち終わりを狙うカウンターが得意っぽいが、飛び抜けて「すげえ!!」と思うものもない。
 
これなら井岡が持ち前の緻密さ、接近戦でのうまさを発揮すれば抑え込むことは可能なのでは?
 
むしろ対戦相手として厄介なのはアンドリュー・モロニーの方。
頭から無遠慮に突っ込んできたり前後左右に動き回るタイプに井岡がごまかされるパターンは十分ありそう。
 
その点、自分の距離で勝負できるジョシュア・フランコはやりやすいと想像する。
 
 
ただ、ここ最近の井岡は若干下降線に入った感がある。たとえば2021年末の福永亮次戦くらいの出来だとちょっとわからない。前回のドニー・ニエテス戦はぼちぼちよかったと思うが、アレはニエテスが井岡以上に衰えていたせいでもある。
 
井岡一翔vsドニー・ニエテス再戦。井岡のニエテス対策が素晴らしかった。ニエテスも相当落ちてたね。最後かも? と思って現地観戦したけど勝ってよかった
 
というわけで、僕の予想(希望)は僅差〜中差判定で井岡の勝利。115-113or116-112くらいで逃げ切れれば最高である。
 

武居由樹vsブルーノ・タリモ

勝敗予想:武居由樹(7RKO)
 
そして井上尚弥vsポール・バトラー戦のアンダーで予定されている試合。
上述の通り個人的に勝敗予想がつきやすい井上vsバトラー戦よりも楽しみにしている一戦である。
 
と同時に武居由樹がこの相手を問題なくクリアするようなら次は世界戦しかない。国内やアジア圏でやることはないと言っても過言ではなさそう。
 
武居由樹がペテ・アポリナルを“片付ける”。もはや国内を飛び越えてPBC系のクネクネサウスポー相手にどうなるか? のレベルかもな。井上バトラーのアンダーで防衛戦やろう
 
だが、今回のブルーノ・タリモはなかなかの難敵なのではないか。
過去の試合をいくつか眺めてみたが、豆タンク体型のファイターという武居にとっては初めて遭遇するタイプ(に思える)。
直近の試合は判定負けとはいえ階級はS・フェザー級である。本来の主戦場はS・バンタム級だが、ためしに減量なしでリングに上がってみたら思いのほかうまくいったとか。
 
一方の武居由樹はS・バンタム級としても大柄な方ではない。井上が4団体統一→階級を上げるタイミングでバンタム級に下げることも考えているとのこと。
 
ブルーノ・タリモは戦績26勝3敗2分5KOと決して倒し屋ではないが、フィジカル面では恐らく武居に優位性はない。
どんな相手でも躊躇せずに距離を詰めて懐に侵入→近場で暴れるタリモのスタイルに武居がどう対応するかに注目したい。
 
以前から指摘されているガードの低さは大丈夫なのか。
飛び込んで打ち込む得意の右フックは近い距離でも機能するのか。
 
そもそもK-1時代に武居由樹が効かされたことなんてあったっけ?
キックの戦績を見ると23勝2敗16KO。その2敗はいずれも判定負けで、ダウンを喫した形跡すらないような……。
 
ボクシングに転向してからも持ち前の防御勘は発揮されている(圧倒的な攻撃力で消し去っているという噂も)わけだが、タリモのような連打型にもそれが通用するかには非常に興味がある。
 
 
逆に武居の攻撃力を警戒したタリモが射程内に踏み込めないようだと一方的になるパターンも?
踏み込みを躊躇するタリモと遠間からの1発を狙う武居が見合う状況が続き、いつものように武居が踏み込み際の右フックをドン。みたいな。
 
というより、僕はそうなることを大いに期待している。
序盤こそタリモの圧力にタジタジさせられるものの、3、4Rあたりで馬力に慣れて一気に流れを引き寄せる。
で、ダメージと警戒心でタリモの出足が鈍ったところに必殺の右フックを叩き込むとか、そんな感じ。
 
武居由樹にめちゃくちゃ期待している人間としては、こんなところで苦戦するようでは困るのである笑
 
武居由樹がブルーノ・タリモの圧力に苦労しつつも11RTKO勝利。本人は納得いってないっぽいけど、これ系の相手なら誰でもこうなるよ。タリモは本当にいい選手だった
 

堤駿斗vsペテ・アポリナル

勝敗予想:堤駿斗(判定)
 
そしてラストは井岡vsフランコ戦のアンダーに組まれている堤駿斗vsペテ・アポリナル戦。アマチュア13冠の堤駿斗が元OPBF王者ペテ・アポリナルを迎えてのプロ2戦目に挑む。
 
堤駿斗に関してはデビュー戦のジョン・ジェミノ戦を現地観戦したのだが、率直な感想としては“うまいけどまだ力強さが足りない”かな? と。
 
比嘉大吾、堤駿斗、森武蔵振り返り。割と強かったカルコシア、ちゃんと強かったジェミノとサルダール。比嘉のガッカリ感が尋常じゃない
 
中間距離での差し合い、駆け引きに秀でていて「おお、めちゃくちゃうめえな」と思わせる動きも随所に見られる。
対戦相手のジョン・ジェミノもなかなかの強敵だったが、ポイント的にはまったく問題なし。終始試合を支配した上での完封勝利と言っても過言ではない。
 
その反面、目が覚めるようなインパクトを残したとは言えず。
申し上げたように全体的に力強さが足りず、1発効かせてからの畳み掛けもいまいち。8Rの長丁場が初体験だったこともあり、中盤グダるシーンも目についた。
 
 
ただ、それでも今回も負けることはないだろうと。
元OPBF王者ペテ・アポリナルもジョン・ジェミノ同様、基本は中間距離の選手。
上体の柔軟性を活かしたクネクネディフェンスで芯を外しつつ、ジャブを出しながら打ち終わりのカウンター、飛び込み際の右アッパーを狙うスタイル。1発効かせてからは持ち前の爆発力を発揮するものの、特別スピードや馬力があるわけではない。
 
恐らくあの距離で勝負できれば堤の優位は動かない。
突然飛んでくる遠間からの1発にさえ気をつければまず大丈夫なのではないか。
 
というわけで、勝敗予想としては堤の判定もしくは後半KO。
できれば倒してインパクトを残したいところだが、前回のジェミノ戦を観るとそういうタイプではなさそうなので。
 
堤駿斗vsペテ・アポリナルは大晦日のもう一つのお目当て。でもスポーツイベントとしては…。RIZINが楽しそうで完全に選択をミスったとオモタ
 

強豪フィリピン勢が日本のホープの当て馬にされすぎじゃない? ジョー・サンティシマなんて世界戦経験者をKOしたのに地域タイトル戦ですらない…

なおこれは余談だが、ここ最近フィリピンの強豪選手が日本のホープの当て馬にされすぎな気が……。
 
今回のペテ・アポリナルも武居由樹戦の直後に堤駿斗のステップアップに駆り出されているし、12月11日に下町俊貴と対戦するジョー・サンティシマは前戦で世界戦経験者の大沢宏晋にKO勝ちしたばかり。
 
3150FIGHT vol.3感想。いい試合ばっかりでしたね。出場選手すら知らなかったけど。皇治vsヒロキングとJBCのゴタゴタで全容をまったく把握してなかった
 
また先日元トップアマの飯村樹輝弥を6RTKOで下したエスネス・ドミンゴは早くも富岡浩介との試合が組まれている。
 
いわゆる“ガチのマッチメーク”というヤツなのだと思うが、呼ばれる側はそれに見合った報酬? リターン? があるのかどうか。
 
ジョー・サンティシマなんて、ここ3戦の相手がジョエト・ゴンサレス→大沢宏晋→下町俊貴ですからね。
せっかく世界戦経験者をKOしたのに、その次は地域タイトル戦ですらないリングで無敗の長身サウスポーとぶつけられるわけで。
 
下町のマッチメークに対して「攻めてるね〜」と言っている人を見かけたが、いやいや、違うから。ホントに攻めてる(させられてる)のはサンティシマの方だから。
 
あまり雑に扱いすぎるとそのうちフィリピン側にソッポを向かれちゃうんじゃないの?
デコピンで倒れてくれる数年前のビジネスタイ人とはワケが違うんやで?
などなど。
部外者の分際でいらぬ心配をしてしまった次第である。
 
 
そして僕はエスネス・ドミンゴにクソほどがんばってもらいたいと思っている。
現地観戦した飯村樹輝弥戦の爽快感は尋常じゃなかったので。
 
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