村田諒太vsゴロフキン正式発表。予想云々はともかく勝つしかねえよ。厳しい試合になると思うけど、最初から攻めるしかないんじゃない?

村田諒太vsゴロフキン正式発表。予想云々はともかく勝つしかねえよ。厳しい試合になると思うけど、最初から攻めるしかないんじゃない?

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2021年12月29日、さいたまスーパーアリーナで行われるWBAスーパー/IBF世界ミドル級王座統一戦。WBA同級スーパー王者村田諒太とIBF王者ゲンナジー・ゴロフキンの一戦である。
 
村田諒太以外にゴロフキンをここまで追い詰められるヤツがどれだけおるの? でも引き出しの多さ、経験値の違いが顕著だった。改めてブランクが…
 
11月12日、都内で村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン戦が正式発表された。
 
ゴロフキンは41勝1敗1分36KOの戦績を持つ元ミドル級3団体統一王者。2018年9月にサウル・“カネロ”・アルバレスに僅差判定で敗れて王座から陥落したものの、2019年にIBF王座を戴冠して再び王者に返り咲いた強豪である。
 
一方の村田諒太は以前からゴロフキンとのビッグマッチを目標に掲げており、ついにその機会を得た形となる。
 
会見の席で「彼を倒して自分が最強であると証明したい」とコメントするなど、最強王者撃破に意欲を見せている。
 
 
なおこの試合は海外ではDAZN、国内では初めてAmazonプライムでのライブ配信が決定している。


 
村田諒太vsゴロフキン戦がAmazonプライムで中継される理由? 2018年に村田がロブ・ブラントに負けたからだろうな。あの試合で日本でのボクシング中継を見限ったんだろ
 

ゴロフキンが日本に来る。オラ、ワクワクすっぞ!! 結局さいたまスーパーアリーナ開催に決まったのね

村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン。
 
だいぶ前からちょいちょい噂に出ていたが、なかなか公式からの情報がなく「どうなった?」と思っていた一戦がようやく正式発表された。
 
一時はノエビアスタジアム神戸での開催が濃厚だとも言われていたが、結局は無難にさいたまスーパーアリーナに落ち着いたわけか。
 
てか、なぜ突然ノエビアスタジアム神戸が出てきたんでしょうね。
国内初のサッカースタジアム開催にこだわったのか、運営側の希望だったのかは不明だが、最初に聞いたときはまあまあの唐突感があったことをお伝えしておく。
 
 
とは言え、ゴロフキンの来日が正式決定したことは文句なしにすごい。
この試合を日本に引っ張ってきた関係者に対しては尊敬と驚きしかないし、最強王者として長年君臨した選手が日本で試合をするという事実には問答無用でワクワクさせられる。
 
 
正直、僕は人間・村田諒太のことはあまり好きではない。
あれこれ言動を聞いていると「コイツ、バカじゃねえの?」と思うことも多く、どちらかと言えば嫌いなタイプ。
 
だがそれとこれとは別で、試合自体はめちゃくちゃ楽しみ。日本ボクシングの一つのゴールを見届けるイベントと言っても過言ではない気がしている。
 
ゲンナジー・ゴロフキンは覇王色の覇気の持ち主()内容ペラッペラの杓子定規なコメントが最高すぐるw 支配層のみに許されたエレガントさ
 

ゴロフキンはファイター寄りのオールラウンダー。村田諒太にとってはキャリア初の真正面からどつき合う相手

ゲンナジー・ゴロフキンという選手はパッと見ファイターに思えるが、実はアウトボクシングもできるオールラウンダーなタイプ。
 
全盛期の試合を観ると、リング上を滑るように動くフットワークにめちゃくちゃ驚かされる。
 
それこそライト級のワシル・ロマチェンコを彷彿とさせるというか。
射程の外から自分のパンチだけを当てるアウトボクシングでも十分な強さを発揮できる選手である。
 
 
2021年現在、全盛期に比べて若干フットワークは落ちたものの、強烈なジャブから力感のないコンビネーションにつなぐ流れは健在。中間距離での駆け引き、差し合いでは村田に勝ち目はないと思われる。
 
ゴロフキンの左リードのすごさを考える。“意識の外から飛んでくるパンチ”が無造作過ぎて準備がちっとも間に合わない
 
また、両者の経験値にもかなりの差がある。
 
申し上げたようにゴロフキンはこれまでの41勝のうちKO勝利は36。2017年3月のダニエル・ジェイコブス戦までに17連続KO勝利を挙げるなど、ピーク時の倒し屋っぷりは手が付けられなかった。
 
対戦相手も
・マーティン・マレー
・デビッド・レミュー
・サウル・“カネロ”・アルバレス
・セルゲイ・デレビヤンチェンコ
と、様々な相手との打ち合いを経験している。
 
 
それに対して村田諒太と言えば……。
トップレベルのファイタータイプと言えそうなのはかろうじて2019年12月のスティーブン・バトラーくらいか。
 
2018年4月のエマヌエーレ・ブランダムラ戦あたりから「vsゴロフキンを想定するならファイタータイプとの対戦を経験したほうがいい」と言われ続け、チャンスがあればデビッド・レミュー、ジャーマル・チャーロ、セルゲイ・デレビヤンチェンコといった選手とのマッチメークが望まれていたものの、結局それが実現することはなく。
 
何だかんだで今回のゴロフキンがキャリアで初めて真正面からどつき合う(だろう)相手となる。
 
 
世界戦の場数だけでなく、数多くのファイターとの打ち合いを制してきた(やろうと思えばアウトボクシングもできる)ゴロフキンと、プロ入り以降初めて12Rでのどつき合いを経験する村田諒太。
 
まともに対峙すれば村田の劣勢は確実に思えるのだが、どうだろうか。
 

村田が勝機を見出すには? 攻め切るしかないんだろうな。ブラントやバトラーを倒した勢いで

要するに村田諒太がゴロフキンに勝つには攻め切るしかないのだろうと。
 
以前から何度か申し上げているが、村田諒太は2019年7月のvsロブ・ブラントVol.2で覚醒したと思っている。
 
村田諒太の覚醒とコロナによるブランクがもったいなさすぎな件。ブラント、バトラー戦の勢いのまま間髪入れずに次戦に行きたかった
 
初戦でブラントの手数に完膚なきまでにやられたのを受け、1Rから飛ばしまくっての2RTKO勝利。
さらに続くスティーブン・バトラー戦でも序盤からハイペースで腕を振り、リーチのあるバトラーをコーナーに押し付けて仕留めてみせた。
 
ブラント戦での勢い任せのファイトに多少のペース配分を上乗せし、「様子見よりも攻めてナンボ」のファイトにたどり着いた印象。
 
 
そして、ゴロフキン相手に村田が勝機を見出すにはそれしかない気がしている。
 
ロブ・ブラントVol.1までのガードを高く上げてにじり寄るスタイルでは恐らく攻略は難しい。
 
前手のジャブで出足をくじかれ、ガードの外側からのフックで動きを止められる。どうにか自分の得意な距離に入ったとしても、その時点で上も下もボロボロにされているような……。
 
 
なのでブラント戦、バトラー戦同様に前半から飛ばしまくり、体力が満タンなうちに勝負をかけるのが最善に思える。
 
それこそバトラー戦と同じ5RでのKOを狙うとか。
もしくは6、7Rまで全力で駆け抜け、後半をしのいで何とかポイント差で逃げ切るとか。
 
どちらにしろ2017年5月のハッサン・ヌジカム戦や2018年10月のロブ・ブラント戦のように“待ち”に回ったらダメ。
自分から前に出て腕を振り、ゴロフキンがロープを背負う時間を多く作ることが重要になるのではないか。
 
吉野修一郎vs伊藤雅雪はムズいよね。打ち合う気満々の伊藤。吉野修一郎の剛腕がさく裂しそうな気も…。メインの村田vsゴロフキン戦より興味深い
 

懸念材料はスタミナ面。あのハイペースがどこまで持つの?

懸念材料としては(懸念材料しかないんだけど)、村田のスタミナ面だろうか。
 
申し上げたようにこの試合で村田が勝機を見出すには前半から攻めまくるのが最適(だと思う)。
開始直後から前に出て腕を振りまくってゴロフキンをタジタジにさせる。あわよくば中盤までにKOできれば最高である。
 
だが、そこをしのがれた場合は一気に失速する可能性が高い。
あのハイペースが12R続くわけがないし、実際バトラー戦でも5Rには若干疲れが見えていた。
 
つまり、ブラントやバトラーとは比べ物にならない強フィジカルのゴロフキン相手にどこまでペースを維持できるかという話。それも丸2年リングから離れている35歳に。
 
ゴロフキンの馬力が100だとしたら、村田諒太はだいたい85〜90くらいと予想する。
100の馬力を12Rで配分するゴロフキンに対し、村田は前半6Rに85のすべてを注ぎ込む必要がある。そこでいかにゴロフキンの配分計算を狂わせるかかなぁと。
 
ゴロフキンがシェルメタを7RKO。全盛期なら2Rで終わってたな。もう村田かチャーロとやるしかないっしょ
 

村田の得意パターンがゴロフキンに通用するか。カネロでも後退させられなかったゴロフキンを下がらせることができるか

また、得意のパターンがどれだけ通用するかも重要になりそう。
 
強フィジカルを活かしたプレスと躊躇のないフルスイングで相手を後退させ、コーナーに追い詰めたところで左ボディと右の打ち下ろしでサンドイッチにする。
 
前に出る馬力+上下の挟み撃ちで圧殺するのが村田の必勝パターンなわけだが、ゴロフキン相手にその局面まで持ち込めるかどうか。
 
僕自身、正面衝突で当たり負けして後退するゴロフキンというのをこれまで観たことがない。
自身のプライドをかけて全身全霊で打ち合ったカネロでさえ、明確にゴロフキンを下がらせるまでには至らなかった。
 
村田がゴロフキンを怯ませる、明確に効かせるには近場のボディしかないと思っているが、あのボディはモーションも大きく顔面がガラ空きになる。目いっぱい打ち込むためには相手を亀状態にする必要があるわけだが、実際ゴロフキンをそこまで追い込むことが可能なのか。
 
・村田のフルスロットルがどこまで続くか
・正面衝突でゴロフキンを後退させられるか
 
村田のハイペースが中盤のゴロフキンの小休止と重なれば村田有利。そこをしのがれて反撃を許せばあっという間に苦しくなる。
 
そもそもカネロの全力の右でもケロっとしていた強顎のゴロフキンをタジタジにできるの?
 
展望としてはだいたいそんな感じか。
 
カネロvsプラント、モグラ叩きみたいな試合。あっちを隠せばこっちを打たれ、こっちを隠せばあっちを打たれ。プラントもがんばったけど最後に決壊してアディオス
 

村田がこの試合を一つのゴールと捉えているとしたら相当厳しい。単なるビジネスとして来日するゴロフキンとは雲泥の差が…

あとはアレなんだよな。
村田本人がこの試合を一つのゴールと捉えている可能性も……。
 
ゴロフキンに勝つことではなく、いつの間にかゴロフキン戦自体が目標になっていて、それがかなったことである程度の満足感を得ていたとしたら……。
 
 
一方のゴロフキンはこの試合をどう位置付けているのか。
大金を稼げる機会としか思っていないとすれば、それはめちゃくちゃ手強い。
むしろ現役最後の大勝負、集大成と考えてくれた方がまだマシというか。
 
 
ことあるごとに周りに感謝の言葉を述べ、恩返しだ何だのとウザい理屈を並べる村田諒太と、ここ最近はボクシングを“ビジネス”と考えてドライに作業をこなしている感のあるゴロフキン。
 
仮に村田がゴロフキン戦実現によって一定の満足を感じているなら相当ヤバい。負ければ確実に引退だとは思うが、試合前から終わる準備をしている人間が勝てる相手ではないというのは僕にも何となくわかる。
 
 
来日前に日本のファンの心を掴みつつ、両目を「$」マークにしてほくそ笑むゲンナジー・“邪悪”・ゴロフキンさんの姿が目に浮かぶ笑


 

「日本人選手が大舞台に立つ=手放しの賞賛」の段階は通りすぎた。村田には下馬評を覆す勝利を期待する

これは以前からそうなのだが、最強王者との対戦や大舞台に立つ選手を手放しで賞賛する段階は僕の中では結構前に通り過ぎている。
 
2021年6月の中谷正義vsワシル・ロマチェンコ戦の際にも
「日本人がロマチェンコと拳を交える日が来るなんて」
「この舞台に立っただけで快挙」
「負けてしまったけど、中谷にはありがとうの気持ちしかない」
といった感想が山ほど目に入ってきた。
 
もちろんすごいことには違いないのだが、僕としてはそろそろ普通に勝ちを期待したい


日本人選手が大舞台に上がることに「うおー、すげえ!!」と喜んでいられたのは三浦隆司vsミゲール・ベルチェエルト戦、亀海喜寛vsミゲール・コット戦のあった2017年くらいまで。
 
もうそろそろ「大舞台に立つ=手放しの賞賛」以上のアレがほしいなと。
 
非常に偉そうなことをほざいている自覚はありますが。
 
中谷正義がロマチェンコにTKO負け…。「悔しい」しか感想が出てこない理由? 中谷正義が負けて悔しいからですよ。完全に攻略されてたな
 
というわけで、今回の村田諒太には下馬評を覆す勝利を期待している。
有象無象を丸ごと黙らせるパフォーマンスで世間の度肝を抜いてもらいたい。
 
 
僕の勝敗予想はゴロフキンの後半KO勝利or判定勝利です。
 
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