比嘉大吾、堤駿斗、森武蔵振り返り。割と強かったカルコシア、ちゃんと強かったジェミノとサルダール。比嘉のガッカリ感が尋常じゃない【結果・感想】

比嘉大吾、堤駿斗、森武蔵振り返り。割と強かったカルコシア、ちゃんと強かったジェミノとサルダール。比嘉のガッカリ感が尋常じゃない【結果・感想】

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2022年7月13日に東京・大田区総合体育館で井岡一翔とドニー・ニエテスによるWBO世界S・フライ級タイトルマッチを現地観戦してきたのは下記の通り。
 
井岡一翔vsドニー・ニエテス再戦。井岡のニエテス対策が素晴らしかった。ニエテスも相当落ちてたね。最後かも? と思って現地観戦したけど勝ってよかった
 
今回はメイン以外のアンダーカードについての感想である。
 
具体的には、
・比嘉大吾vsフローイラン・サルダール
・森武蔵vsプレスコ・カルコシア
・堤駿斗vsジョン・ジェミノ
の3試合。
 
特にセミファイナルに登場した比嘉大吾は2020年4月に西田凌佑に敗れて以来、約1年3ヶ月ぶりの再起戦。前回はサイズ差、馬力の差でねじ伏せられたが、この期間でどれだけバンタム級に適応したかに注目していた。
 
 
なお今回は有料配信を視聴しておらず(井岡vsニエテス戦は地上波を録画した)、あくまで会場で観た感想のみであることをお伝えしておく。
 

○堤駿斗vsジョン・ジェミノ×(判定3-0 ※79-73、80-72、80-72)

まずは第2試合のフェザー級8回戦。
アマ13冠の実績をひっさげプロ入りした堤駿斗のデビュー戦。対戦相手のジョン・ジェミノはOPBF5位の実力者&異例のA級デビューということで注目を集めた一戦である。

 
感想としては、「さすがは堤」「すげえ!!」と思う部分と「ああ、確かにデビュー戦っぽいな」と思う部分、両面があった。
 
開始直後からジェミノの射程の半歩外で対峙し、絶妙な距離をキープしてパンチを当てさせない。
さらにバックステップ→リターンまでの流れがめちゃくちゃスムーズで、あまりのスムーズさに「うわ、すげえなオイ」とつぶやいてしまったほど。
必要最小限の動きで“業務をこなす”省エネっぷりはドラフト1位の実力が十分発揮されたものだった(気がする)。
 
ただ、中盤(3Rくらい?)から圧力を強めたジェミノに捕まりかけるシーンも。
 
中間距離での差し合いでは超絶技巧を見せるが、強引に前にこられるとややタジタジになる。何度か接近戦で顔面を跳ね上げられていたのを観ると、徐々にエンジンをかけていくプロのペース配分にまだ慣れていないのかもしれない。
 
あとは他の方もおっしゃっていたが、5Rあたりから若干集中力が落ちて動きが単調になったような……。
この辺もいきなり8回戦でデビューしたことによる経験値のなさというか。
上述の通りドラフト1位の実力の高さとともに少々アマチュアっぽさが残る内容だったなぁと。
 
 
ジェミノの射程のギリギリでのポジショニングは文句なしにすごい。

 
そこからのリターン、ワンツーはマジでスムーズ。思わず「すげえ……」とつぶやいてしまった。


 
(僕が)期待していたような鮮烈なKO勝利とはならなかったものの、デビュー戦ということを考えれば上々だったのではないかと。
 
 
ちなみに僕は普段アマチュアボクシングをいっさい観ない人間なので、堤駿斗が右構えということすら知りませんでした笑
だって、トップアマはサウスポーの方が有利なんじゃないの?
 
普段アマチュアボクシングをまったく観ない僕が初めてちゃんと観てみた。短いラウンドを全力で駆け抜けるには? 世界ユース選手権inポーランド
 

○森武蔵vsプレスコ・カルコシア×(判定3-0 ※80-71、78-73、77-74)

お次は第3試合のS・フェザー級8回戦。元OPBF王者森武蔵vsWBO-APフェザー級14位プレスコ・カルコシア戦について。
 
森武蔵は2021年5月に清水聡とのOPBF/WBO-AP統一戦に敗れて初黒星を喫し、その後井岡一翔と同じ志成ボクシングジムに移籍。この日が約1年2ヶ月ぶりの再起戦となる。
 
村田諒太vsゴロフキン年末合意? 中谷潤人vsアコスタ入札、清水聡vs森武蔵戦感想。今の日本って海外の選手にとっては旨味がないからな
 
なお今回はメインの地上波放送以外にParaviでの有料配信も行われていたのだが、この試合はなぜか中継がなかったとのこと。
 
会場でもこの試合だけ場内のスクリーンに映されずに「おや?」と思った(比嘉大吾の試合では復活した)のだが、ちょろっと調べたところ森武蔵は井岡や比嘉、堤とはマネジメント会社? が違うからだとか。契約の問題とやらでこの試合だけ中継できず、そのせいで配信でも妙な空白の時間があったとか何とか。
 
いや、めんどくせえなオイ笑
ややこしい大人の事情があるのは理解できるが、視聴者側にとってはそんなことは知ったこっちゃない。配信チケットを購入すれば普通に全試合中継されると思うのは当たり前だし途中で1試合分の謎の休憩が入るのも意味がわからない。
 
日本ボクシング界も各所で「これからは配信の時代だぜ!!」と張り切っているようだが、毎回バラバラなプラットフォームを含めて課題は多そうである。
 
そもそも会場にいた僕もこの試合だけ時間経過やラウンド数がわからずに戸惑ったんですよね笑
 
 
 
そして肝心の試合については、森武蔵が無難かつ慎重に勝ったなぁと。
 
対戦相手のプレスコ・カルコシアは前の日にちょろっと映像を漁ったのだが、異様に腕が長く右ストレートに妙な当て勘がある印象。だが全体的に動きがスローモーでディフェンスもヌルい。10勝1敗1分9KOと見た目の戦績はいいが、まあ大丈夫だろうと思っていた。
 
ところが、試合が始まると普通に強い
 
申し上げたように腕が長くやたらと伸びる右が印象的。
森もこの右を何度か危ないタイミングで食っていたし、右を警戒するせいでなかなか射程内に近づけない。連敗が許されない状況もあり、慎重にならざるを得なかったのだと想像する。


 
こういうヒヤッとするタイミングが結構ありましたよね。

 
森武蔵の勝利で間違いないとは思うが、採点結果が80-71と77-74で評価が分かれているのを鑑みると一歩間違えればもしかしたら……という内容でもあった(気がする)。

 
てか、この日のフィリピン選手は全員強かったですよね。
全試合判定決着といっさい爽快感のない興行ではあったが、それだけ各試合が拮抗していた証左でもあるわけで。
 
ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。ライアン・ガルシアの強者のメンタル? 相手をリスペクトし過ぎて卑屈になるな。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭かも?
 

○比嘉大吾vsフローイラン・サルダール×(判定2-1 ※74-77、76-74、76-75)

ラストはセミファイナルのバンタム級8回戦、比嘉大吾vsフローイラン・サルダール戦について。
 
この試合は第2試合の堤駿斗vsジョン・ジェミノ戦とともに僕が楽しみにしていた一戦で、約1年3ヶ月ぶりの比嘉大吾がどんなパフォーマンスを見せるかに注目していたところ……。

 
キツかったっすね。
いや、キツかった。
 
プロ入り初のダウンを喫したのはもちろん、何より前回の西田凌佑戦と動きがまったく変わっていなかったのが。
 
バンタム級の比嘉大吾がサイズ差、パワー差で苦労しているというのはこれまで何度も申し上げてきた通り。
前回の西田凌佑戦だけでなく2020年の10月の堤聖也戦、もっと言うとジム移籍前のジェイソン・ブエナオブラ戦でもその兆候は見られていた。
 
比嘉大吾vs堤聖也感想。比嘉は強打と連打の両立を模索中? 堤聖也の動きがめちゃくちゃよかったですね。でも判定結果には文句ないかな
 
フライ級時代に比べて懐に入るのに苦労させられ、実は接近戦がうまくないせいで上からのしかかられるとあっという間に動きが取れなくなる。


 
このダウンから立ち上がったのはすごかった。

 
体重が乗った連打、ここぞの集中力は相変わらずだが、サイズ差のある相手に前で勝負されると糞詰まりを起こすパティーン。
 
自分の間合いで対峙できた2020年大晦日のストロング小林戦以外、バンタム級進出以降は毎回似たような流れで苦労させられている。
 
 
そして今回のフローイラン・サルダールはもともと階級下の選手。
堤や西田ほどの馬力はなく比嘉にとっても比較的やりやすいタイプで、恐らく陣営としても比嘉に気持ちよく勝たせるためのマッチメークだったはず。正直、ここまでの苦戦は想定外だったのではないか。
 
申し上げたように今回の対戦を聞いて「お、これは!!」と思っていた分、ガッカリ感もかなりのものだった。


「1年以上間隔をあけて、満を辞して迎えたはずの再起戦なのにちっとも変わってねえじゃん」みたいな。
 
西田凌佑すげえわ。比嘉大吾対策は堤聖也よりもはるかに上。比嘉はどこを基準にするかだろうな。相手を選んで王座戴冠を狙うか
 
比嘉大吾に関しては以前「メンタルが繊細すぎる」「図太さが足りない気がする」と申し上げたところ、「憧れだった具志堅に裏切られた心の傷が〜」的なトーンで怒られた記憶がある。
だが、僕はいつまでも比嘉を「大人の事情に翻弄されたかわいそうな少年」扱いし続ける状況にいまいち納得がいっていない。
 
本人がジム移籍を機に「一から出直す」「もう一度世界王者を目指す」と公言しているのだから当然そういう目で見るし、そもそもこの人は20代半ばの大人である。
 
またこれは我ながら老害ムーブだなと思っているのだが、「だってプロでしょ?」というのも少しだけある。
 
プロと言ってもデビュー前の4回戦の選手ではない、15連続KO勝利で世界王座を戴冠したトッププロ。
その選手をいつまで腫れ物に触るように恐る恐る扱わなきゃダメなの?
 
というか、毎回「一から出直す」とおっしゃってるけどそのつど経験値をリセットしちゃダメでしょ笑
同情の余地があるとはいえ、一番伸びる20代前半の2年間を棒に振ったのならもう少し前のめりにガツガツとだな……。
 
などなど。
身勝手な上から目線で眺めていた次第である。
 
フェザー級でモタつくアイザック・ドグボエ。ジョエト・ゴンサレスは物量勝負でゴリゴリいくのが遅かった。ドグボエの最後の粘りはさすが王者経験者だとオモタよ
 
で、それを受けての今回。
・相手は階級下の選手
・準備期間は1年3ヶ月
・本人も万全の仕上がりと公言
 
これだけの条件が揃った試合でまったく変わっていないというのは、要するにそういうことなのだろうと。
バンタム級の比嘉大吾はいわゆる“その水準の選手”と言っていいのかもしれない。


なお、バンタム級の比嘉大吾が“並の選手”だなどというつもりはまったくない。
 
曲がりなりにもWBO-AP王座を戴冠しているし、現日本王者の堤と引き分けてもいる。
ほとんどの選手が日本王座、地域王座にすら絡めず終わることを考えれば比嘉大吾が“並の選手”ではないことは一目瞭然である。
 
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