クロフォードvsブルック、案外いい勝負になると思うねんな。ブルックのピーキング次第、前半勝負だけどクロフォードの苦戦もあり得る?【予想・展望】

クロフォードvsブルック、案外いい勝負になると思うねんな。ブルックのピーキング次第、前半勝負だけどクロフォードの苦戦もあり得る?【予想・展望】

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2020年11月14日(日本時間15日)、米・ネバダ州で行われるWBO世界ウェルター級タイトルマッチ。同級王者テレンス・クロフォードに元IBF王者ケル・ブルックが挑戦する。
 
 
PFP上位の常連、テレンス・クロフォードが約1年ぶりの防衛戦を迎える。
前回のエギディウス・カバロウスカス戦では序盤はカバロウスカスの攻撃に手を焼いたが、4、5Rからはうまく対応。近場での打ち合いを制して見事9RTKO勝利を飾っている。
 
そして、4度目の防衛戦となる今回の相手は元IBF王者ケル・ブルック。2016年9月のゲンナジー・ゴロフキン戦、2017年5月のエロール・スペンスJr.戦で連敗を喫したものの、2018年3月にS・ウェルター級に階級を上げてからは3連勝中の強豪である。
 
ウェルター級進出以降、対戦相手の質にやや疑問符がつくクロフォードだが、過去最強とも言えるケル・ブルックが相手とのことで、内容次第ではPFP No.1の座も見えてくるかもしれない。
 
クロフォードよ、お前がNo.1だ…。ケル・ブルックを4RTKOで沈める。見えない右キター♪───O(≧∇≦)O────♪
 

テレンス・クロフォードvsケル・ブルック間近。PFPランキングはどうでもいいけど、試合自体は楽しみにしている

テレンス・クロフォードの久しぶりの防衛戦が近づいている。
どうやらクロフォードの勝ち方次第では井上尚弥を抜いてクロフォードがPFP No.1に躍り出る可能性もあるとかで、日本のファンからも注目度が高そうな試合である。
 
ちなみに僕は1位がクロフォードだろうが井上尚弥だろうがどちらでもいい。基本、PFPランキングは気楽な数字遊びだと思っているので、たとえ「?」な順位だとしても「へえ~、そうなんだ」と思う程度。
 
ただ、テレンス・クロフォードvsケル・ブルック戦自体はかなり興味深い。当日はWOWOWエキサイトマッチで中継されるとのことで、今から楽しみにしている(3日前まで試合の存在を忘れていたとは言えない)。
 

ケル・ブルックはクロフォードにとって過去最強の相手。そこまで一方的にはならない?

まず今回の試合、クロフォードの圧勝予想が多いようだが、実際にはそこまで一方的な展開にはならない気がしている。
 
前回のカバロウスカス戦では3Rにフックを被弾してグラつくなど、序盤のクロフォードはカバロウスカスの攻撃力を明らかに持て余していた。ケル・ブルックの馬力と精度であれば、あれ以上の展開を作れるのではないか。
 
それこそPFP No.1どころの話ではない、2014年6月のユリオルキス・ガンボア戦以来、明確に効いた姿が見られる可能性も?
 
クロフォード有利予想はその通りだと思うが、仮にケル・ブルックが勝っても全然おかしくない。それくらいこの対戦は見応えがあるし、ケル・ブルックはクロフォードにとっての過去最強の相手と言っていい(と思う)。
 
クロフォードさすが。カバロウスカスを9RTKO。もっと無双してほしかったけど。マジでミドル級に上げるの?
 

サウスポーをまったく苦にしないケル・ブルックには期待感がある。ひょっとしたらクロフォードがピヨる姿を目撃できるかも?

何より期待感を持てるのが、ケル・ブルックがサウスポーを苦にしないこと。
 
2017年のエロール・スペンスJr.戦では惜しくも敗れたものの、中盤までは明らかにペースを握っていた。また7RKO勝利を挙げた前戦の相手、マーク・デルーカもサウスポーである。
 
中間距離からやや遠い位置で対峙し、相手の右に合わせて左を被せる。
スルスルっと外側に回り込み、フック気味の左をガードの外からねじ込む。
そして、わずかに距離を詰めた位置からいきなりの右で顔を跳ね上げる。
 
身体を目いっぱい伸ばして打ち込むパンチは遠い位置からでも相手の顔面をポンポン捉え、一足飛びで間合いを詰める身体能力の高さもある。
さらに近場では左腕を絡めた状態から対角線上に右のボディを突き刺し、わずかなスペースを狙って左アッパーを突き上げる。
 
試合運びを観る限り、この選手がvsサウスポーをやりにくそうにしている感じはまったくない。
 
自由自在なスイッチで左右どちらでもそん色ないパフォーマンスを見せるクロフォードだが、ここ4、5年はほぼ左構えの印象。恐らく今回のケル・ブルック戦も十中八九左構えでリングに上がると思われる。
 
なので、ケル・ブルックのいきなりの右がヒットする可能性は十分考えられる。
特にクロフォードがパンチの軌道に慣れていない前半にいいパンチを当てることさえできれば、カバロウスカス戦やガンボア戦のようにクロフォードがグラつく姿を目撃できるかもしれない。
 
ノニト・ドネアの相手がロドリゲスに変更? ようやく興味が出てきたかな。ウーバーリは気の毒だけど、いまいちそそられなかったのよね
 

ケル・ブルックは“ナジーム・ハメドの完成形”。スペンスとの一戦は当時のウェルター級頂上決戦だった

以前、ケル・ブルックのことを“ナジーム・ハメドの完成形”と申し上げたことがあるが、見れば見るほどそんな感じ。
 
最小限のボディワークで相手の攻撃をかわし、即座にカウンターを打ち出す。
時おり見せるアッパーや鋭い踏み込みなど、ハメドに匹敵するポテンシャルを持ち合わせていながら全体的に動きは控えめ。ド派手な上体反らしや無茶な位置からの飛び込みといったオーバーさはない。
 
随所にハメド要素を残しつつ、無駄をそぎ落として効率的なスタイルにたどり着いたというか。アトラクション的な楽しさは感じられないものの、洗練度という意味ではケル・ブルックのボクシングはハメドを大きく上回る。
 
ナジーム・ハメドvsマルコ・アントニオ・バレラ戦感想。バレラがハメドを完全に攻略した試合。これがポテンシャル頼りのスタイルの限界かなぁ
 
そういう意味でもゲンナジー・ゴロフキンとの階級差マッチはマジで余計だった。あれさえなければもっと長く最強王者として君臨していたはずだし、次戦のエロール・スペンスJr.戦は間違いなく当時のウェルター級における頂上決戦だったと断言できる。
 
 
まあ、あのゴロフキン戦がなければスペンス戦にも今回のクロフォード戦にもつながらなかった可能性もあるわけだが。
 

勝敗予想はクロフォードの11RKO。心情的にはケル・ブルックにがんばってほしいけど、ディフェンス面の緩さが…

今回の勝敗予想だが、テレンス・クロフォードの11RKOでいきたいと思う。
 
散々ケル・ブルックの強さを語っておいてアレだが、やはり勝つのはクロフォードだろうと。
 
心情的にはケル・ブルックにがんばってもらいたいし、クロフォードのピヨる姿も見てみたい。ただ、あれこれ考えるとどうしてもクロフォード有利は動かない(気がする)。
 
理由としては、クロフォードの右リードの精度と威力と、ケル・ブルックのディフェンス面の緩さ。
 
クロフォードは今回も左構えでスタートすると仮定して、いつも通り右リードを主体に試合を組み立てるはず。
そして、この右リードでケル・ブルックは盛大に削られると予想する。
 
申し上げたように僕の中でのケル・ブルックは“ナジーム・ハメドの完成形”。ブレンダン・イングルのボクシングから徹底的に無駄を省き、より実践的に洗練させたスタイル。そこに本人の強フィジカルが上乗せされ、一時期はウェルター級最強と呼んでも過言ではない強さを発揮していた。
 
だが、この選手の基本はハメドと同じカウンター使い。見切りとボディワークを得意とする反面、ガードの低さはどうしても目につく。
 
ハメド同様、相手のレベルが上がるにつれてボディワークだけでは防御が間に合わないシーンが目立ち始める。
スペンスとの頂上決戦では前半こそ試合をコントロールしていたが、それでもリードジャブの被弾の多さは明らか。ジャブによるダメージの蓄積によって中盤から失速し、最後は11RKO負けを喫してしまった。
 
ゴロフキン戦では右目の眼窩骨折、スペンス戦では左目の眼窩骨折を負ったことからも、前手への対応の悪さは一目瞭然である。
 
久しぶりのエロール・スペンスJr.がダニー・ガルシア相手の防衛戦。ダニガルさんも結構がんばると思うけど、スペンスのコンディション次第ですかね
 
右リードの鋭さ、打ち終わりのケアにかけてはクロフォードは確実にスペンスを上回る。
打ち終わりにもう一歩近づいて連打につなぐスペンスに対し、クロフォードはその場ですぐにガードの姿勢に戻ることが可能。しかも1発1発の精度も高く、スペンスよりも鋭利な切れ味を持つ。
 
ここにカウンターを合わせるのはさすがのブルックでも困難を極めるのではないか。それこそ遠い位置から右リードでガシガシ削られ、中盤から後半にかけてダメージが噴き出してのKO負けとか、そんな流れが濃厚な気がするのだが……。
 
カバロウスカスがダウンを奪われながらも9Rまでがんばったので、ブルックはもう少し粘って11Rまで立っていると予想しておく。
 

ケル・ブルックが勝つなら前半。クロフォードがパンチの軌道に慣れる前に倒しきれ

逆にケル・ブルックが勝つとすれば、やはり前半でのKOだろうと。
 
クロフォードの試合を観ていると、毎回対応力の高さに驚かされる。だいたい4R目には相手の動きをインプットしてしまう観察眼はフロイド・メイウェザーにも匹敵するもの。
 
前回も序盤こそカバロウスカスの攻撃力にモタついたものの、4R以降はきっちり対応。階級アップによって一段パワーが増した喧嘩ファイトで真正面から打ち合い、強引にねじ伏せてしまった。
 
なので、ケル・ブルックが勝つには何としても前半3Rまでに勝負をつける必要がある。上述のようにクロフォードがパンチの軌道に慣れる前に会心の一撃をヒットし、そのまま一気に倒しきるパティーン。
後半になればケル・ブルックは確実に失速するので、とにかくダメージがなく元気なうちに。
 
 
まあ、普通に考えればカバロウスカス戦と同様、前半は拮抗→中盤からクロフォードが抜け出す展開が濃厚なのだが、ケル・ブルックの底力にこっそり期待しておく。
 
約3年半ぶりのウェルター級ということでピーキングも難しいが、そこも含めてすべての条件が合致すればもしかしたら……。
 
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