我が阪神タイガース(ファンではない)の2020年助っ人総括。ボーア、サンズ、ガンケル、エドワーズ。異国での変則シーズン、お疲れさまでした

我が阪神タイガース(ファンではない)の2020年助っ人総括。ボーア、サンズ、ガンケル、エドワーズ。異国での変則シーズン、お疲れさまでした

2020年11月11日をもって我が阪神タイガース(ファンではない)のレギュラーシーズンが終了した。
最終成績は60勝53敗7分でセリーグ2位。
 
開幕直後の6月に2勝8敗と大きく負け越し7月中旬まで最下位に沈んだものの、7月16日からの5連勝を皮切りに徐々に調子を上げる。1位巨人に8ゲーム差をつけられながらも、安定した投手陣を中心に最終的には7つの勝ち越し。全体を通して見れば優秀な成績を収めたと言えそうである。
 
 
なお、僕はシーズン前から「今年の阪神はそこそこ期待できる」「コロナ禍による試合数減は阪神に有利になる」と申し上げてきたのだが、実際“そこそこ”戦力は整っていたと思う。
 
2020年阪神雑感。藤浪晋太郎、髙橋遥人、スアレス、サンズ、大山、ボーア、福留、陽川、藤川その他。実はかなりバランスのいい編成だったんだよな
 
金本政権からの成長株がものになりつつあり、新外国人もまあまあ期待が持てる。それこそ現有戦力が去年と同程度に働けば、巨人を脅かす筆頭格になり得るのではないか。
 
開幕直後の打てない守れないのクソっぷりには参ったが、いくら何でもこのまま終わるわけはない。そのうち上がってくるだろうとも思っていた。
 
 
ただまあ、2010年代の阪神を支えた主力メンバー、福留孝介、糸井嘉男、藤川球児、能見篤史のコア4が揃ってコケるというのはさすがに予想できなかった。
 
藤川球児、福留孝介、能見篤史、糸井嘉男。阪神コア4の行く末? 引退? 2020年のパフォーマンスを振り返る
 
年齢的にいつガタがきてもおかしくない4人ではあったが、まさかそれが同時にくるとは。


コア4の相次ぐ衰え、不調によって「現有戦力が去年と同程度に働けば」という大前提はあっさり崩れ、開幕から1か月で「阪神の優勝はない」「結局巨人だな」と結論づけた次第である。
 
 
そんな感じでよくも悪くも今年の阪神タイガースには楽しませていただいたが、今回は「我が阪神タイガースの2020年助っ人総括」と題して、2020年に新加入した助っ人外国人の成績を(開幕前の予想を踏まえながら)振り返ってみたい。
 
我が阪神タイガース(ファンではない)2020年助っ人外国人適当評価。パッと見で成績を予想してみるけど、みんな結構いいんじゃないかな
 
ちなみに僕は阪神ファンではない。
 

ジャスティン・ボーア

99試合 打率.243 打点45 HR17 OPS.760
 
まずはジャスティン・ボーアについてだが、この選手は近年の主砲候補の中では完全に“当たり”の部類だったと思う。2億5000万円の高年俸がネックとなり退団が決定的らしいが、試合に臨む姿勢やキャラクターを含めていなくなるのは残念である。
 
 
過去の映像やオープン戦での打席を観ると、粗さは目立つが飛距離は期待できる。イメージとしては2009~2012年まで阪神に在籍したクレイグ・ブラゼルに近い。
だいたい140試合で.245 HR25を超えてくれればといった感じか。
 
ただ、3Aでのスタッツから考えると左投手に強くそれなりに確実性もありそう。スイング軌道もローボールヒッタータイプで、もしかしたら.280 HR25前後に収束する可能性も?
 
と思っていたところ……。
低めの球はめちゃくちゃ苦手でした
 
しかも対右の打率が.254なのに対して対左は.219。
3Aでは高打率を残した左投手をあまり打てず、月間打率も9月.264→10月.200とシーズン後半にガクッと調子を落としている。
 
肝心のホームランも7月7本、8月5本に対して9月3本、10月2本。7月には.606を叩き出した長打率も10月は.340。最終的なOPSも.760と、長打を期待されるタイプとしては物足りない。
 
前半戦は不動の四番へ成長を遂げた大山悠輔の後ろを打つ打者として機能したが、これだけ攻略されてしまうと再契約は厳しいのかな? という気もする。
 

ジェリー・サンズ

110試合 打率.257 打点64 HR19 OPS.814
 
報道によればジェリー・サンズは残留が基本線とのこと。
前半戦の活躍が認められての再契約だと想像するが、確かに得点圏打率が.500を超えるなど、確実性とパワフルさを両立してチームをけん引してくれた。
 
 
ちなみに僕は開幕前からこの選手にはボーア以上の期待をかけており、9月中旬までの活躍は本当によかったと思っている。
 
過去の映像を観る限りスイングに柔らかさがあり、外の球にはバットが止まる。どちらかと言えば日本向きのタイプっぽく、少なくとも沈む球にクルックルでお話にならなかったウィリン・ロサリオ(3億5000万円)よりは活躍するのではないか。
 
 
実際、ゾーン別のデータでも真ん中低めの打率が.405と腰より低い球を得意にしていることがわかる。また19本のホームランも全方向にまんべんなく打ち分けるなど、広角に打てるのも評価が高い。
サンズのことを“パワー寄りのマット・マートン”と呼んでいた方がいた気がするが、まさにそんな感じの好打者だった。
 
 
ところが9月後半から当たりがパタッと止まり、月間打率は10月.205、11月.190と急降下。9月中旬まで5割前後を記録していた長打率も10月.277、11月.286と完全に抑え込まれ、落ち込み方だけで言えばボーア以上の惨状である。
 
実際の試合を観ても、確かに攻略された感が尋常じゃない。
もともとスイング軌道的にインハイに穴がある(インハイの打率.194)打者なのだが、そこをしつこく攻められて打撃を崩した印象。
 
苦手な内側を意識するあまり他の球を追いかけてしまい、外に沈む球にバットが止まらない。その結果、前半戦は見極められていたはずの外角のボール球に空振りする光景が目立っていた。
 
 
サンズの残留自体に異論はないが、あそこまで攻略されてしまうとさすがに厳しい。来季への不安はおのずと大きくなるなぁと。
 
阪神ラウル・アルカンタラのエンジェル・サンチェスっぽさ。チェン・ウェインよりも活躍する? 満点補強の目玉投手の2021年の成績を予想してみる
 

ジョー・ガンケル

28試合2勝4敗13HP 防御率3.18 投球回56.2
 
シーズン序盤の6月24日のヤクルト戦で先発したものの、4回3失点で降板。そのまま2軍落ちを言い渡される。
7月25日の1軍復帰後はリリーフとしてブルペンに待機。10月に再び先発起用され、最終登板となった11月5日のヤクルト戦では先発として初勝利を挙げている。
 
 
この選手はぱっと見では広島、オリックスに在籍したブライアン・バリントンっぽく、正直先発としてはちょっと厳しいかな? と思っていた。
 
ただ、ツーシームよりもスライダーの方がキレがよく、スライダー中心の組み立てでいけばボチボチやれるかもしれない。何とも言えないところだが、ハマればローテーションの2、3番手くらいにはなれるのではないか。
 
 
で、案の定初先発で打ち込まれて2軍行きを命じられるわけだが、「ああ、やっぱりな」と。最近は日本でもツーシーマーが活躍するのは難しくなっているし、こりゃあ厳しいかもしれない。
 
ガンケルに対してはこの時点でほぼ“ハズレ”認定をしていたところ……。
1軍復帰以降はスライダーとフォークを中心にゴロアウトを量産し、岩貞祐太とともに便利屋枠としてブルペンを支えてくれた。
 
マジな話、このピッチャーにリリーフ適性があったのはちょっと意外だった。
 
しかも先発復帰を果たした10月以降もスライダー、フォークを武器にコンスタントに6回を投げるなど、文字通り“ボチボチ”の働きでシーズンを終える結果に。
 
被打率に関しても、
・ツーシーム:.333
・ストレート:.231
・スライダー:.182
・フォーク:.200
と、ツーシームのダメっぷりに対してスライダー、フォークの優秀さが目につく。
 
ジェリー・サンズ同様、ガンケルも残留が基本線とのことだが、便利屋枠のリリーフ+先発の谷間という使い勝手のよさを考えれば十分アリに思える。
 
期待の選手見つけた。広島vsヤクルト戦を神宮球場で観てきたぞ。広島坂倉将吾は最強の打てる捕手になってほしい
 

ジョン・エドワーズ

23試合0勝1敗12HP 防御率2.38 投球回22.2
 
6月19日の巨人との開幕戦で1イニングを投げたあとに肩の不調を訴え離脱。9月21日に1軍復帰を果たしたものの、復帰後2度目の登板となった9月23日のDeNA戦でホームランを含む3安打を浴びて3失点を献上してしまう。
 
 
このジョン・エドワーズは、今シーズンの新外国人の中で僕がもっとも期待していた選手。
150kmを超えるストレートに130km台のスライダー、120km半ばの落差のあるカーブで緩急をつけるピッチングは2019年に在籍したピアース・ジョンソンを彷彿とさせ、2020年版“8回の男”の誕生を予感させた。
 
 
ところが……。
ケガから復帰後のピッチングはちょっと厳しいものがあった。
 
ストレートは威力が足りず、スライダーの曲がりもトロい。復帰後1試合目は何とか抑えたものの、僕が開幕前に期待した内容とはほど遠い。2戦目に打たれて3失点を喫したのも「そりゃそうだろうな」としか思えなかった。
 
もともとケガが多い選手だったこともあり、過去のスタッツを見ても年々ストレートの球速が低下していることがわかる。もしかしたら今回のケガで完全にとどめを刺されてしまったか? と思っていたところ……。
 
それ以降は徐々に調子を上げて無失点試合を量産。10月は12試合に登板して1失点のみと、岩崎優とともにクローザーのスアレスにつなぐセットアッパーの役割を果たしている。


最終的な防御率も2.38まで良化させ、
ストレート:空振り率13.3%、被打率.214
スライダー:空振り率17.5%、被打率.241
カーブ:空振り率12.1%、被打率.286
と、全球種で高い空振り率を記録。
 
対右の被打率:.205
対左の被打率:.231
と左右ともに苦にしない優秀な数値を残した。
 
ピアース・ジョンソンほどではないにしろ、これはかなりいい。若干制球難気味な面もあるが、セットアッパーとしては十分計算できる範疇である。
 
 
ただ、この選手の一番の問題はケガの多さ。シーズン序盤の長期離脱もそうだが、故障歴があるとなかなか連投させにくくリリーフとしては使い勝手が悪い。
 
シーズン前に「エドワーズの目安はマルコス・マテオの2年目(63試合7勝4敗36H 防御率2.75 投球回59.0)くらい」と申し上げているが、120試合のシーズンで投球回22.2という少なさは懸念材料と言える。
 
 
まあ、コロナ禍によって2021年に向けたまともな補強が難しいことを考えると、エドワーズの再契約は全然いいとは思うが。
 

2020年の助っ人外国人選手、日本に来てくれてありがとうやで。全員に感謝してる

以上なのだが、一応言っておくと僕は今シーズン日本でプレーした外国人選手にはチームを問わず全員に感謝している。
 
・コロナ禍での変則シーズン
・先行きの見えない中、言葉の通じない異国での生活
・6月~11月までの過密日程
 
例年以上に調整も難しくストレスも尋常ではなかっただろうし、その中で本当に頑張ってくれたと思う。たとえ成績を残せず1年で退団になったとしても、日本に来てくれてありがとうという思いはめちゃくちゃ強い。
 

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