カネロvsプラント4団体統一戦キター。プラント健闘もあり得る? かも? カネロの圧力にビビらずどこまで左が機能するかかな【予想・展望】
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2021年11月6日(日本時間7日)、米・ネバダ州で行われる世界S・ミドル級4団体統一戦。WBAスーパー/WBC/IBF同級王者サウル・“カネロ”・アルバレスとIBF同級王者ケレイブ・ブラントが対戦する。
カネロvsプラント、モグラ叩きみたいな試合。あっちを隠せばこっちを打たれ、こっちを隠せばあっちを打たれ。プラントもがんばったけど最後に決壊してアディオス
今年5月にビリー・ジョー・サンダースを8RTKOで下し3団体統一に成功したカネロ。試合直後から次の目標は4団体統一戦、IBF王者ケレイブ・プラントとの一騎打ちを希望していたものの交渉はなかなかまとまらず。
当初は9月開催をめどに合意を目指していたが、プラント側が難色を示したせいで一時決裂。カネロはL・ヘビー級王者のアルツール・ベテルビエフ戦に方向転換か? などと言われていた。
ところが8月後半に両陣営が合意間近であるとの報道があり、それから数日後に正式発表されるという。
これに関しては「相変わらずボクシングがボクシングやってんなぁ」と冷めた目で眺めていたのだが、ようやく正式に対戦が決定したとのこと。しかもカネロの4団体統一戦とのことでそれなりに楽しみでもある。
というわけで、例によって試合の展望を適当に考えてみたいと思う。
井上岳志vsティム・チュー11月に!! こうなったらチューをぶちのめして「井上違いだよhahaha」とかほざいてるヤツらを全員黙らせちゃえよ
越えてはいけないタブーを毎回あっさり乗り越えるやんw パフォーマンスなら節度を持ってやれや笑
まず会見の席での両者の乱闘騒ぎが大々的に報じられていたが、記事によるとフェイスオフの際にプラントがカネロの母親を侮辱したことが発端とのこと。
Don’t talk about my mom. pic.twitter.com/f1HQlEfUUE
— Canelo Alvarez (@Canelo) September 21, 2021
恐らく「お前の母ちゃん出べそ」的なフレーズをバイオレンス風にアレンジして口走ったのだと思うが、いやもう、毎回毎回……。
本人同士が口汚く罵り合うのはOK。でも、相手の家族を侮辱するのはタブーというのがトラッシュトークにおける鉄の掟らしいが、コイツらはいとも簡単にそれを乗り越えていきやがる。
絶対に踏み越えてはいけないタブーの割に実際はめちゃくちゃバリアフリーじゃねえかオマイラww
ドネアの奥さんを侮辱して統一戦をすっ飛ばしたカシメロもそうだが、この敷居の低さはマジで何とかならんものか笑
カシメロ陣営のやらかしでドネアが撤退。取り巻きが出しゃばるとロクなことにならんよな。伊藤雅雪vs細川バレンタイン、コルバートvsニャンバヤル
しかも今回はプラントが乱闘で顔を負傷したせいで試合が延期になるとか、ならないとか。
ここまでくるとバカバカしすぎてガチでお話にならない。
注目を集めるためのパフォーマンスという意見も散見されるが、それならそれで節度を持ってやれよと。
いや、ケンカすんの早くねえか笑
パヒョーマンスだから気にすんな、こういうもんだって話だけど、ホントか?
まだ試合まで1ヶ月以上あるぞ笑ここからプロモーションでいろいろ回らなきゃいかんのに、今からこんな状態でテンションもつんか? https://t.co/W8xF5MbgRg
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) September 22, 2021
ケレイブ・プラント案外がんばるんじゃないの? カネロに比べて地味だけど、実力は間違いなく高い
とまあ、余談はともかく試合の展望を考えてみるわけだが……。
今回の一戦、ケイレブ・プラントが案外がんばるのではないか? と思っている。
僕がこの選手を観たのは直近のケイレブ・トゥルアックス戦が初めてだったのだが、その試合でもなかなかいい動きをしていた記憶がある。
ケイレブ・プラントはカネロが2013年の恨みを晴らす相手? バルテレミって34歳なの?! 当時は内山も三浦もオワタと思ったのに
L字気味の構えに遠い間合い、鋭い左リード。
一瞬一瞬の動きが速く、鋭い踏み込みと見切りのよさを活かした出入りを得意とする。
またサイドに動きながら微妙にアングルを変え、相手の死角から連打を浴びせてスルッと距離を取る流れもめちゃくちゃスムーズ。
12Rにわたってスピードを維持するスタミナもあり、強豪のトゥルアックスをまったく寄せ付けずに完封してみせた。
ボクシング界でもっとも稼ぐ選手であるカネロに比べれば地味な存在だが、実力は間違いなく高い。年齢も29歳とまさに今が脂の乗り切った時期。4団体統一戦の舞台に立つ資格は十分と言えそうである。
プラントはカネロの苦手なタイプかもしれん。ちょっとメイウェザーっぽさがあるのが…
さらにちょっと期待感があるのが、この選手がカネロの苦手そうなタイプであること。
申し上げたようにケイレブ・プラントはL字気味の構え+遠い間合いから打ち込む鋭い左が持ち味の選手。
スピードと見切りのよさを活かした出入りを得意としており、前戦ではトゥルアックスのプレスを12Rにわたって捌ききっている。
ウイングスパンはそこまで長くないものの、身体を伸ばすようにして打ち込む左と元の位置に戻る復元力の高さで射程の長さを生み出すスタイル。
・L字の構え
・射程の長さ
・鋭い左
・見切りのよさ
・スピーディな出入り
ケレイブ・プラントの特徴を列挙してみると、50戦無敗で引退したフロイド・メイウェザーと少し似ていることがわかる。
メイウェザーベストバウト3選。プリティからマネーへ。金の亡者のL字ガードと左ジャブ
メイウェザーはカネロが59戦のキャリア(31歳で59戦ってのもすげえな)で唯一の黒星を喫した相手だが、あの試合のメイウェザーは本当にすごかった。
遠間からの左リードでカネロの出足を鈍らせ、得意の右オーバーハンドのカウンターをチラつかせて手を出させない。
で、距離が詰まればさっさとクリンチして動きを止めてしまう。
ラウンドを重ねるごとに手立てを失い、切なそうな表情でガードを固めるカネロの姿が印象的だった。
今のカネロは当時とは別人だが、根本的な部分はそこまで変わらない。
エリスランディ・ララやオースティン・トラウト、ダニエル・ジェイコブスなど。間合いが遠く足の速い技巧派タイプにモタモタさせられるのはカネロの唯一の弱点と言っても過言ではなく、なおかつプラントはメイウェザーと同じ強烈な左リードの使い手。
前回のビリー・ジョー・サンダースはフットワークはあったが前手の差し合いで話にならなかった。
契約体重を大きく超過してリングに上がったダニエル・ジェイコブスもジャブが得意なタイプではなかった。
カネロvsサンダース感想。カネロの凄さと大観衆の熱気に目を奪われた。同時にボクシングのしょーもなさも山ほど目の当たりにしたよね
そう考えると、遠間からの左で勝負できるケレイブ・プラントにはまあまあ期待してもいい気が……。
メイウェザーには各局面で及ばないよね。パンチの精度はもちろん、慎重さ、集中力の高さが段違い
だが、前回のトゥルアックス戦を観る限り、ケレイブ・プラントはあらゆる面でメイウェザーに及ばない。
メイウェザーの得意とした右オーバーハンドのカウンターもないし、ディフェンス面に関しては比べるまでもない。
特に試合の中で「打ち合いに応じる→近場で被弾を重ねる」ラウンドが散見されたのが気になるところ。
これは精神的な部分が大きいのだと思うが、ある程度試合を支配すると妙な色気が出てしまうのだろうと。
前回のトゥルアックスとはスピード、パンチの精度でかなりの差があったが、その分「カッコよくKOしてやろう」「ド派手に倒してアピールしたい」感が全面に出てしまった気がする。
その結果、これまでよりも距離が詰まり、近場でトゥルアックスに反撃を許してしまう流れ。
ラウンドを通して見れば優勢には違いないものの、上体反らしが間に合わずに危ないタイミングで被弾するシーンは結構目についた。
恐らくカネロの圧力はトゥルアックスの比ではないし、近場でのコンビネーションもはるかに多彩。
あの試合のようにフッと集中力が途切れる時間帯があると、あっという間にカネロに飲み込まれてしまうように思えるのだが……。
というより、誰が相手でも自分のやるべきことを淡々と遂行する集中力こそがメイウェザーの凄さでもあるわけで。
仮にメイウェザーがトゥルアックスと対戦しても、試合をコントロールした状況でも変な色気を出すことは絶対にない。
メイウェザーならあの1発は打たない、あの距離には留まらないという場面は山ほどあったし、今さらながらメイウェザーのメンタルの強さは特筆ものだった。
フューリーvsワイルダー3。ポイント計算すら無粋な規格外バトル。ヘビー級だけは別枠であるべき。神々のお戯れに不純物はいらない()
カネロの圧力にどれだけビビらず対峙し続けられるか。勝敗予想はカネロの判定勝利だけど
あとはまあ、どれだけカネロの圧力にビビらず対峙し続けられるかも重要になりそう。
2020年11月のカラム・スミスは階級屈指のサイズ(身長191cm、リーチ198cm)でカネロを遠間に釘付けにできるのでは? と言われたものの、1Rの後半にはカネロのカウンターを警戒してジャブを出せなくなっていた。
カネロがカラム・スミスに完勝。階級屈指のビッグマンがカネロに蹂躙される現象を“ロッキー・フィールディングの呪い”と名付けよう
前回のビリー・ジョー・サンダースはフットワークを駆使して正面を外しまくったが、カネロの重厚なプレスに終始圧倒されっぱなしだった。
マジな話、今のカネロはリング中央で対峙しているだけで相手を震え上がらせる威圧感、カウンターの恐怖心を植え付ける圧力がある。
つまり、カネロ相手に勝機を見出すにはまずはここで踏ん張らなければならない。
ジェイコブスよりもサイズがなく、サンダースほどパワー感もないプラントがあの左だけでカネロの前進を止められるか? という話。
何となくだが、中盤まではプラントが足を使って撹乱するものの、後半以降にカネロが追いついてペースを取り戻しそうな気がするのだが……。
というわけで勝敗予想はカネロの判定勝利としておく。
いや、どうだろうな。
もしかしたらカネロの後半KOもあり得るか?
どちらにしろ「プラントもがんばったけど、やっぱりカネロだよね」という結果になるのではないかと。
拳四朗陥落。矢吹正道に10RTKO負け。舐め腐ったことをすると因果が巡るってことだろな。矢吹はガチのタマの取り合いができるヤツ
ケレイブ・プラントという選手にまったく興味がわかない。いい選手なのはわかるが、どちらが4団体統一王者にふさわしいかと言えば…
ついでに言うとアレなんですよね。
僕がケレイブ・プラントという選手にまったく興味がわかないのが……。
上述の通りメイウェザーっぽい特徴もあるいい選手なのは理解できるが、ちっとも視界に入ってこないというか。
先日、S・フェザー級王者のオスカル・バルデスが謎判定で防衛に成功したが、その際に117-110をつけたジャッジが「観客の声援に影響された」ことを白状している。
ホームアドバンテージの存在を現役のジャッジが公式に認めたのはすげえな。コンセイサンがバルデスに勝つにはわずかな希望すら与えちゃダメだった
要するにボクシングにはホームアドバンテージが存在することをはっきりと明言してしまったわけだが、今回のカネロvsプラント戦に関してはそれもアリかな? と思っている。
正直、オスカル・バルデスは会場の空気を一変させるほどのカリスマ性、華がある選手だとは思わないのだが、カネロに関しては別。
この選手のスター性、支配力は観客すらも味方につけるほど。“カネロジャッジ”どうこうの批判も多いが、それは会場を自分の空気に変えてしまうだけの華があることを意味する。
ボクシング界でもっとも稼ぐスーパースターのカネロvsまったく興味のわかないケイレブ・プラント。
4団体統一王者にふさわしいのはどちらかなど考えるまでもない。
ちなみに僕の中での「いい選手だけどちっとも興味のわかない5人」は下記。
・ケレイブ・プラント
・オレクサンドル・ウシク
・デメトリアス・アンドラーデ
・ブランドン・フィゲロア
・京口紘人
改めて挙げてみたが、やはりびっくりするくらいそそられない。
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