メイウェザーベストバウト3選。プリティからマネーへ。金の亡者のL字ガードと左ジャブ

メイウェザーベストバウト3選。プリティからマネーへ。金の亡者のL字ガードと左ジャブ

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新型コロナウイルス感染拡大が進み、今日明日にも緊急事態宣言が出されるか? という状況。
当然のごとく趣味のスポーツ観戦も滞っているのだが、その中で唯一充実しているのがボクシングの「レジェンドの試合漁り」である。先日から暇を見つけてやり続けているわけだが、とにかく楽しい。
 
選手、年代を好き勝手に選び放題で、名選手による名試合ばかりなので退屈することはまずない。仮に退屈だったとしてもさっさと止めればいいし、ネタはその他にも無限にある。
 
世間の緊迫感溢れる雰囲気に気疲れしつつあるものの、こういう気楽な遊びはホントにいいストレス発散になる。精神の均衡を保つためにも(大げさか?)、今後も続けていきたいと思っている次第である。
 
 
というわけで表題の件。
今回のお題は「フロイド・メイウェザーJr.」
 
常人離れした反射神経とスピードを活かしたディフェンス能力、相手の動きを先読みする洞察力で勝利を重ね、50戦全勝というパーフェクトレコードのまま引退した元5階級制覇王者。
また金の亡者としても知られ、1試合で莫大なファイトマネーを稼ぎ出すことから“マネー”の異名を持つ選手でもある。
 
そして、表題の通りメイウェザーの50戦の中から(僕が勝手に選んだ)ベストバウト3選を発表していこうと思う。
 
 
なお、毎度似たようなことを申し上げておりますが、あくまで僕が独断で選んだものなので、納得がいかない方も大目に見ていただければ幸いでございます。

 
パッキャオvsメイウェザー の世紀の一戦から5年だって。WOWOWがパッキャオ特集やるらしいけど、あの試合に総額300億の価値はあった?
 

メイウェザーベストバウト3選:第3位

フロイド・メイウェザーvsリッキー・ハットン

 
2007年12月に米・ネバダ州で行われたWBC世界ウェルター級タイトルマッチ。同級王者フロイド・メイウェザーがリッキー・ハットンと対戦し、メイウェザーが10RTKO勝利を挙げた一戦である。
 
 
まず第3位はコレ。
2007年にラスベガスで行われたリッキー・ハットンとの全勝対決。スピードスターのメイウェザーがブルファイターのハットンをさばききり、最後はロープ際での連打でレフェリーストップを呼び込んだ試合。
 
開始直後からゴリゴリ前に出て腕を振るハットンに対し、メイウェザーは絶えず左右に動きながらチャンスをうかがう。
遠い位置から大きく踏み込み得意の左をヒットし、ハットンの反撃姿勢が整う前にクリンチで動きを封じる。
また、無理やりロープを背負わされた際はL字で顔面を遠ざけつつ左肘でスペースをこじ開け、ガードの間からショートの右を通す。
 
ラウンドが進むにつれてハットンの突進への対応を見せ、中盤以降はほぼメイウェザーのワンサイドゲームと言ってもいい展開。
 
中でもレフェリーストップがかかる一つ前のダウン。コーナーにめがけて突進したハットンに対し、身体を入れ替えるとともにメイウェザーが左フック一閃。これでハットンが空中で気を失い、無人のコーナーに頭から突っ込んでいった姿は衝撃的だった。
 
2003年11月のフィリップ・ヌドゥ戦でのクネクネディフェンスと並ぶ、メイウェザーのハイライトの一つと言っても過言ではない。
 
ザブ・ジュダー名試合ベスト3を決める。3R限定の最強脳筋野郎。怒りの沸点の低さもスピードスターな着火マン
 
前戦のオスカー・デラホーヤや2014年のマルコス・マイダナが見せたように、強引に前に出て腕を振る喧嘩ファイトはメイウェザー攻略の一つであることは間違いない。
 
そういう意味でもブルファイターのリッキー・ハットンには期待感があったのだが……。
 
ハットンはデラホーヤやマイダナに比べてリーチも短く上背もない。
もともとがS・ライト級の選手だったせいもあり、残念ながらメイウェザーのL字を突き抜けるには身体全体のフィジカルが足りなかった。
 
まあ、メイウェザー自身が(最初の)引退試合を盛大に飾るためにハットンを選んだというのもあるとは思うが。
 

メイウェザーベストバウト3選:第2位

フロイド・メイウェザーvsファン・マヌエル・マルケス

 
2009年9月に米・ネバダ州で行われたウェルター級12回戦。約2年間のブランクを経て復帰を果たしたフロイド・メイウェザーが3階級制覇王者ファン・マヌエル・マルケスと対戦し、メイウェザーが3-0(120-107、118-109、119-108)の判定で勝利を挙げた一戦である。
 
 
続いて第2位はコレ。
前戦のリッキー・ハットン戦で引退を表明したメイウェザーが約2年ぶりにリングに復帰し、マニー・パッキャオとも対戦経験がある3階級制覇王者ファン・マヌエル・マルケスに3-0の判定で完勝した試合。
 
この試合はメイウェザーの復帰戦ということで注目を集めたわけだが、まあ圧勝だったなと。
 
序盤こそマルケスの得意の右がヒットするシーンもあったが、徐々にメイウェザーが距離を掴んで試合をコントロール。中盤からはマルケスがほとんど何もさせてもらえず、ラスト3ラウンドは逆にプレッシャーで後退させられる展開に。
 
マルケスほどの名選手が借りてきた猫状態になる姿に驚くとともに、改めてメイウェザーのすごさが浮き彫りになった試合というヤツ。
 
 
ただまあ、これもやはりメイウェザーの思惑通りだったとも言える。
 
申し上げたようにメイウェザーを攻略するにはオスカー・デラホーヤやマルコス・マイダナ、リッキー・ハットンのような喧嘩ファイトが有効。もしくはミゲール・コットやマニー・パッキャオのように連打と前進を両立できるタイプが比較的相性がいい。
どちらにしろ自分から前に出て距離を詰め、メイウェザーの動き回るスペースを奪うことが重要になる(と思う)。
 
逆にマルケスのようなカウンタータイプはメイウェザーにとってはかなりおいしい相手。
追い足がなく連打が出るわけでもないため、L字ガードでの見切り→打ち終わりのカウンターのパターンが凄まじく機能する。
その上、マルケスはもともとライト級の選手なので、基本的にはリーチ、上背を活かして遠い位置から左を伸ばしているだけでもある程度ポイントメイクできてしまう。
 
パッキャオのように自分から飛び込んでくる相手をカウンターで切って落とすのが得意なマルケスだが、鋭い左とカウンターを持ち味とし、サイズ差もあるメイウェザーとの相性は最悪。
 
・ネームバリュー
・ファイトスタイル
・階級差
 
いろいろな要素を加味した上で、メイウェザーが復帰戦にマルケスを選んだのはめちゃくちゃ理にかなっていた。
 
なお、メイウェザーのvsカウンター使いにおける完成形は間違いなく2013年9月のサウル・“カネロ”・アルバレス戦だと思うが、あの試合はメイウェザーの職人気質っぷりがあまりに際立ったせいもあり今回はランクインを見合わせた。
 
シェーン・モズリーとかいうデラホーヤ戦の9Rですべてを使い切った男。天才肌脳筋ワンマン短距離型最強全盛期クソ短いけど試合超おもしろいマン
 

メイウェザーベストバウト3選:第1位

フロイド・メイウェザーvsディエゴ・コラレス

 
2001年1月に米・ネバダ州で行われたWBC世界S・フェザー級タイトルマッチ。同級王者フロイド・メイウェザーが前IBF同級王者ディエゴ・コラレスと対戦し、メイウェザーが10RTKO勝利を挙げた一戦である。
 
 
いよいよお待ちかね(?)の第1位はコレ。
WBC王者フロイド・メイウェザーが前IBF王者ディエゴ・コラレスとの全勝対決を制し、6度目の防衛に成功した試合。と同時に、個人的にメイウェザーがもっとも強かった時期でもある(と思う)。
 
この試合を観て感じるのが、とにかくメイウェザーが若々しいこと。
 
絶えず足を止めずに動き回り、踏み込みのレンジも凄まじい。一つのアクションでリングの2/3以上を移動する姿は「目の前から消える」と形容された動きそのもの。試合後半でも動きがまったく落ちないスタミナも兼ね備える。
 
一挙手一投足が荒々しく自信に満ち溢れ、隙があればリスクもお構いなしに倒してやろうという気概がはっきりと感じられる。
 
 
そして、左の鋭さに関してはこの頃から目を見張るものがある。
長身のコラレスのリーチを楽々と超える左リードや、一瞬で懐に踏み込んで放つショートの左フック。
キャリア後半はこの左をブラッシュアップして高いポイントメイク力を身につけていくわけだが、この時期は適正階級だったこともあって1発1発のキレ、威力が尋常じゃない。
 
また、セコンドの言葉に素直に頷く姿など、キャリア後半にはない純粋さが感じられるのも見どころの一つでもある。
かつては“プリティ”などと呼ばれ、ベビーフェイスとして名を馳せていたメイウェザー。キュートでつぶらな瞳はそのままに、金の亡者と化す20年後の未来をいったい誰が想像できたというのか()
 
メイウェザーが神である理由。「カネロ戦はイージーだった」。ビジネスはセンスとタイミング
 
ファン・マヌエル・マルケス戦での完封劇から徐々に奥足重心のディフェンシブなスタイルを進化させ、2013年のカネロ戦で一つの完成形にたどり着いたキャリア後半。いわゆる「負けない試合運び」はメイウェザーの真骨頂と言える。
 
だが純粋な戦闘力、身体的な充実度だけで言えば、コラレスとの一戦前後がMAXだったのではないか。S・フェザー級も適正階級に見えるし、何より試合がおもしろい。
 
リッキー・ハットン戦やフィリップ・ヌドゥ戦など。場面場面を切り取れば大きなインパクトを残した試合は他にもある。ただ、全体を通しての絶望感はやはりディエゴ・コラレス戦が圧倒的。(僕の中での)文句なしのベストバウトである。
 
 
というか、一番メイウェザーに勝つチャンスがあったのはどう考えても2007年のオスカー・デラホーヤだよな。
 
初めてのS・ウェルター級ということでメイウェザーの動きもすこぶる悪く、リーチ、上背ともにデラホーヤの方が上。前戦でリカルド・マヨルガに勝つなど、デラホーヤにもギリギリ力が残っていた時期でもある。
重ね重ね、絶対に負けてはいけない試合だったなぁと。
 
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