ベルチェルトvsバレンズエラ感想。ベルチェルト遅過ぎる。ボクシングはそれでいいのかビバ・メヒコ。調整不足を見せるための調整試合【結果・感想】

ベルチェルトvsバレンズエラ感想。ベルチェルト遅過ぎる。ボクシングはそれでいいのかビバ・メヒコ。調整不足を見せるための調整試合【結果・感想】

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2020年6月27日(日本時間28にち)、メキシコシティにあるTVアステカスタジオで行われたライト級10回戦。現WBC世界S・フェザー級王者ミゲール・ベルチェルトがエレザール・バレンズエラと対戦し、6R1分13秒TKO勝利。戦績を37勝1敗33KOとした一戦である。
 
 
開始直後に中間距離で向かい合う両者。
低いガードのまま前に出るバレンズエラに対し、S・フェザー級王者ベルチェルトは得意の左リードの連打で早くも主導権を握る。
1R終盤に強烈な左フックでダウンを奪うなど、王者の実力を見せつける立ち上がり。
 
その後もペースを渡さず試合を支配するベルチェルト。もともとライト級、S・ライト級を主戦場とするバレンズエラの圧力に押されるシーンも見られたものの、手数と精度の差で確実にポイントをピックアップしていく。
 
 
そして6R。
鋭いパンチを立て続けに顔面に被弾したバレンズエラが後退すると、ベルチェルトが一気にペースアップ。ロープ際でバレンズエラを棒立ち状態にして顔を跳ね上げ、そのままレフェリーストップを呼び込む。
 
格下相手にやや手間取ったものの、しっかりと実力を発揮したベルチェルトが順当に勝利を挙げた。
 
 
なおベルチェルトは元WBO世界フェザー級王者オスカル・バルデスとの年内の一騎打ちが期待されており、今回はその前哨戦として組まれた試合とのこと。
 
バルデスの左フック一閃。ベルチェルトに失神KO勝利。左リードとの緩急が絶妙でこれまでとは別人レベル。相当研究してきたんだろうな
 

ベルチェルトの出来が悪過ぎて…。あまりの遅さに逆に驚く

先週に引き続きメキシコ国内での無観客興行となった今回。
メインイベントには現WBC世界S・フェザー級王者ミゲール・ベルチェルトが登場したわけだが……。
 
いや、なかなかキツかったなと。
 
 
相手のエレザール・バレンズエラを観たのは初めてだったのだが、正直王者クラスと比べればかなり落ちる(と思う)。
 
全体的に動きも鈍重でパンチの精度も低い。
上の階級の選手とはいえ、ベルチェルト相手にアップセットを起こせそうには見えない。
 
この試合はオスカル・バルデス戦に向けての前哨戦的な位置づけだったらしいが、それ以上にベルチェルトの調整の意味合いが強かったと思われる。
 
 
それを踏まえた上で、ベルチェルトの出来があまりに悪過ぎて……。
 
開始直後から明らかに身体が重そうで足運びも怪しい。1発1発のパンチに伸びもなく、得意の連打も続かない。
その上、4R中盤くらいから顎が上がり始めて息も絶え絶え。比較的スローな動きのバレンズエラにあっさり追いつかれ、中間距離での打ち合いに巻き込まれる有様。
 
フランシスコ・バルガスを2度下した鬼の連打は見る影もない。
それどころか、身体の大きなバレンズエラに当たり負けして押し込まれる場面すらも。
 
いつもなら超絶ハンドスピードとサイドへの動きで置いてきぼりにするはずなのに、ガードが開いた瞬間にフックをもらって吹っ飛ぶのではないかとハラハラするほど。
あまりの動きの遅さに逆にびっくりするレベルである。
 
バレンズエラが強引に出てきた6Rにカウンターの連打を浴びせてレフェリーストップを呼び込んだものの、本来ならもっと早く倒さなければいけない相手だった。それこそ2R中盤のラッシュで勝負を決めてもよかったくらい。
 
 
新型コロナウイルス感染拡大の影響で練習不足だったとはいえ、この動きの悪さにはちょっと驚かされた。
 
ベルチェルトにオスカル・バルデスが勝つには? 後半KO狙いしかないと思うけど、ベレスとはリーチが違うからなぁ。左フック当たるかなぁ
 

それでいいのかビバ・メヒコ。王者クラスがこの出来でリングに上がるのはボクシング界にとって損なんじゃないのか?

う~ん……。
どうなんでしょうかこれは。
 
興行再開直後の調整試合とは言っても、王者クラスがこの出来でリングに上がるというのは……。
 
・対人練習がしにくい状況
・久しぶりの試合
・相手との実力差も大きい
 
諸々の要因を踏まえても、メインイベントの選手がわずか4Rでガス欠を起こすのはかなり微妙な気がするのだが。
 
オスカル・バルデスvsジェイソン・ベレス感想。これって仮想ベルチェルトか? ベルチェルトに勝つにはこれしかないって試合
 
要所でのスピーディなコンビネーションやチャンスでの畳みかけなど。端々でベルチェルトらしい動きも披露してはいたが、全体を通してみれば低調としか言いようがない。
 
先日のエマヌエル・ナバレッテもそうだが、自国の看板選手があからさまな調整不足を平然と露呈するのは果たしてありなのか、なしなのか。
“調整試合”という名の調整不足を思いっきり晒した上で、コーナーポストにのぼって「よっしゃー、おらー」されても……。みたいな。
 
 
リスクを負って試合に臨んだことに対してはリスペクトしかないが、王者クラスの選手がここまで観るべきものが少ない試合を連発するのはボクシング界にとっても損な気が……。
 
 
それでいいのかビバ・メヒコ。
お前らのボクシングはそれでいいのかビバ・メヒコ。
 
いや、禁止薬物陽性が出た選手が大した処分もなく復帰したり、「メキシコ産の肉を食った」という理由で不問にされたり。すでにボクシングの現状をどうこう言うレベルではないのかもしれませんが。
 
 
先日のジェイソン・モロニーがしっかりと仕上げてきていた分、彼らの出来の悪さが余計に際立つ……。
 
モロニーvsバエズ感想。僕はジェイソン・モロニーが好きなんですよね。井上尚弥とはロドリゲスではなくvsモロニーが観たかった
 

前回のナバレッテよりはマシだったかな。あの“舐めた身体つき”に比べればベルチェルトは十分引き締まってた

ただまあ、前回のエマヌエル・ナバレッテに比べればミゲール・ベルチェルトは全然マシだった気はする。
 
申し上げたように要所で鋭い連打は出ていたし、全体的にはダメダメだが一定の実力は発揮できていた。
 
というより、そもそも論としてエマヌエル・ナバレッテがあまりに酷過ぎたわけだが。
 
 
ナバレッテの持ち味は長い手足を活かした妙なタイミングで飛んでくるパンチで、パッと見のスピードや動きのスムーズさでは実力を測れないのは何となくわかる。
 
だが、そういうことではなく。
 
うまく言えないのだが、舐めてる身体つきというのはマジである(と思う)。
腹が出ている、筋肉がたるんでいる等の単純な見た目だけでは判断できない、どうしようもなく“だらしない身体”というやつ。


その点、今回のベルチェルトはそれなりに身体もできていたし、見た目的にも鑑賞に堪えうるレベルではあったかなと。
 
 
ちなみにですが、絶好調のベルチェルトならオスカル・バルデスには負けないと思っております。
 
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