カシメロの露骨な失速とンギーチュバの健闘。僕はンギーチュバをまた観たい。伊藤雅雪の未知の強豪を引っ張ってくる能力と謎の喧嘩腰がクセになる笑【結果・感想】

カシメロの露骨な失速とンギーチュバの健闘。僕はンギーチュバをまた観たい。伊藤雅雪の未知の強豪を引っ張ってくる能力と謎の喧嘩腰がクセになる笑【結果・感想】

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2023年5月13日にフィリピン・マニラで行われたWBOグローバルS・バンタム級タイトルマッチ。同王者フィリップス・ンギーチュバに元3階級制覇王者のジョン・リエル・カシメロが挑戦し、3-0(116-110、116-110、114-112)の判定でカシメロが勝利した試合である。
 
 
2022年12月に日本の赤穂亮と対戦、2RKO勝利を挙げたジョン・リエル・カシメロ。
トレジャーボクシングプロモーションとの複数試合契約締結後に迎えた初戦の相手は12勝1敗11KOの戦績を持つフィリップス・ンギーチュバ。これまで母国ナミビア共和国でキャリアを重ねてきた選手で、今回が初のアウェイ戦となる。
 
 
試合は序盤から強打者同士が激しく打ち合う展開。上背を活かして距離を詰めるンギーチュバに対してカシメロは右のフルスイングで応戦。近い位置で両者のスイングが飛び交うスリリングな流れが続く。
 
6R開始早々にカシメロの左カウンターで豪快なダウンを喫したンギーチュバだが、何とか立ち上がって続行に応じる。
カシメロも一気に勝負を決めにいくが、直後に息切れを起こし失速。回復を図りながら地道にジャブを突くンギーチュバの追い上げを許してしまう。
 
その後、両者決め手のないまま試合終了のゴング。
結果は3-0の判定でカシメロが勝利だが、戦前に期待されたパフォーマンスとまではいかなかった。
 
カシメロvs小國以載負傷ドロー。小國の試合巧者っぷり。やっぱり右の剛腕系は得意だよな。今度はすぐに次戦が決まればいいね
 

ンギーチュバがよかったよね。また観たい選手だけど、日本のリングに上がる感じはしない…

ジョン・リエル・カシメロが登場したトレジャーボクシングプロモーション興行第3弾。
前戦では日本の赤穂亮に格の違いを見せつけたカシメロだったが……。
 
対戦相手のフィリップス・ンギーチュバはもともと想定していたレイセ・アリームとの交渉が決裂→代役として抜擢された選手。ナミビア共和国以外で試合をするのが初めてとのことで、僕もまったく情報がないまま視聴をスタートした次第である。
 
 
 
まず全体の感想としてはなかなかおもしろかった
 
カシメロが期待外れだったという声も多いようだが、僕自身はそこそこ楽しめた。
 
特によかったのがンギーチュバのパフォーマンス。
個人的には日本で活動中のリドワン・オイコラ(ナイジェリア出身)よりも好み。敗れはしたが、またどこかで観たいと思う選手だった。
 
 
ただ、この選手が日本のリングに上がるかというと……。
かませとしては強すぎるし、「長身+長リーチの強打者」のスペックはサバイバルマッチの相手としてはやっかいすぎる。
 
カシメロだから何とかなったものの、日本の上位ランカーがこの選手に勝つのは相当厳しいのではないか。
名前も言いづらいしね(関係ない)。
 
それこそンギーチュバを進んで使うとすれば日本人にもためらいなく強豪をぶつけるトレジャーボクシングプロモーションくらいか?
 
藤田炎村vsアオキ・クリスチャーノ戦が花山薫vsスペックだった件。「オドろいたねェ、ボウヤ。奇しくも同じ構えだ…」と言ったとか(言ってない)
 

カシメロ攻略のネタを兼ね備えていたンギーチュバ。自ら前に出てスペースを潰すスタイル

具体的な感想だが、ンギーチュバはカシメロの苦手なタイプだった(気がする)。
 
上背がありリーチも長い。
その割に足を使って距離を取るわけでもなく、どちらかと言えば自分から前に出て試合を動かすスタイル。
 
 
ガードを上げて前進しつつ、近い距離でも窮屈にならずに強打が出せる。
 
遠い位置からの踏み込み+右のフルスイングが持ち味のカシメロにとってはかなりめんどくさい相手。大きな身体でズンズン迫ってくるンギーチュバを止めるのは骨が折れたのではないか。
 
しかも中間距離でのジャブも印象的。
動き出しの瞬間に打ち込む左でカシメロの馬力を封じ込めることに成功した。
 
勝負どころで大振りになるところが気になったが、あのパワフルなスイングに対抗するにはいつの間にかああなってしまうのかもしれない。
 
カシメロ攻略には踏み込みスペースを潰すこと、気持ちよく腕を振らせないことが重要だと思っているが、ンギーチュバは完全にそれができるスペックの持ち主だった。
 
今さらホセ・カルロス・ラミレスvsリチャード・コミー視聴。ジョシュ・テイラーはよくラミレスに勝ったわ。ラミレスvsプログレイスは熱い! けど…
 

いつも通りのカシメロ。迫力満点の序盤と中盤以降のグダグダ

対するジョン・リエル・カシメロだが、こちらはよくも悪くもいつも通り。
 
遠間からの豪快なスイング、芯を食わないディフェンス、ここぞの局面でのペースアップ、意味不明な右の当て勘、などなど。
レネ・クアルトやジョナス・スルタン、フローイラン・サルダール、レイマート・ガバリョといったこれ系の中での最上級とも言える選手である。
 
重岡銀次朗vsレネ・クアルト。フィリピン選手攻略のお手本のような試合。ビデオ判定でモロニーvsフランコ戦のクソさを思い出した
 
また中盤以降のグダグダもそのまんま。
序盤は凄まじい馬力を発揮するが、1発効かせたあとの詰めが甘いために粘られやすい。
さらに攻撃パターンが少なく相手が動きに慣れる中盤からどんどん単調になる。
 
今回も6Rに左カウンターで豪快なダウンを奪ったものの、そこで攻めきれずにンギーチュバに追い上げを許した。
赤穂亮戦では2Rに一気に決め切ったが、相手のレベルが一定以上になるとこのパターンに陥りやすいのだろうと。
 

今回の失速は露骨すぎた。何かトラブルでもあったか? と思うくらい

と言いつつ、今回の失速は露骨すぎた気もするが。
 
6R開始早々のラッシュでダウンを奪う→フラフラのンギーチュバに追い打ちをかける!! まではよかったのだが、2、3発打ち込んだところでガクッと動きが落ちる。
 
突然手が出なくなり口も半開き。
腕を絡めて時間を稼ぐンギーチュバを振りほどくこともできない。
 
ダウンを奪うまではガッチガチに力んで腕を振っていたが、それでも。
あんなに消耗するほどだったか? と。
 
ピカソがンゲビンヤナにTKO勝利。アフリカ系選手の大味っぷり、引き出しの少なさ。亀田興毅のアフリカ視察、スカウトにはちょっと期待してる
 
結局そこからカシメロが回復することはなく。
 
ラウンド序盤に少しだけ息を吹き返すが、すぐにグダグダ状態に逆戻り。
何かトラブルでもあったか? と思うくらいの失速だった。
 
 
それでも芯は外す、要所で1発当てる→瞬間的にペースを上げる等、最低限の水準をキープしていたのはさすが。最後までンギーチュバにリズムを作らせなかったことが判定勝利につながった(と思う)。
 

ンギーチュバの回復力、負けん気の強さに驚かされた。伊藤雅雪の未知の強豪を捕まえる能力と異様な沸点の低さ

しかし、ンギーチュバの回復はすごかった。
 
6Rのダウンは完全に終わったと思ったし、その後のフラフラっぷりからもダメージの深さは明らか。あの状態から立ち直るどころか追い上げを見せたのは文句なしに素晴らしい。
 
ラウンド後半にはンギーチュバが盛り返し始めてましたからね。
足取りこそ怪しいものの、ジャブにはしっかりと体重が乗りスイングにも重さを感じる。
 
上体の柔軟性なのか、若さによるものなのかは不明だが、随所に見せる負けん気の強さを含めてちょっと驚かされた。
 
 
うん。
やっぱり僕はこの選手をまた観たい。
 
岩佐亮佑を下したジャフェスリー・ラミドや三代大訓に勝利したジュン・ミンホもそうだが、トレジャーボクシングプロモーション(伊藤雅雪)の未知の強豪を引っ張ってくる能力はマジでとんでもない。
 
岩佐亮佑がジャフェスリー・ラミドのスピードについていけず。ラミドは相当ヤバいと思ったけど相当ヤバいなw 岩佐は引退を表明
 
しかもンギーチュバは急遽の代役だったわけで。
 
改めて伊藤雅雪は相手の懐に入る能力、その気にさせる営業力がずば抜けているのだろうと。


まあ、あの異様な沸点の低さ、注目を集めるためなら他所に迷惑をかけてもいいという盛大な勘違いはアレだが笑
 
試合が決まっている但馬ミツロに無茶な提案をぶち上げたり、交渉に負けたレイセ・アリーム陣営への恨み節をSNSで発信したり。
 
「どこかにコイツのお守り役はおらんのか?」と思うくらいの喧嘩腰がだんだんおもしろくなってきている笑
 
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