熱投バウアー。キャリア最多の128球で2失点完投勝利。合理的じゃないものが心を打つ。8回裏に打席に立ったときの球場の雰囲気がすげえ【2023.7.6】

熱投バウアー。キャリア最多の128球で2失点完投勝利。合理的じゃないものが心を打つ。8回裏に打席に立ったときの球場の雰囲気がすげえ【2023.7.6】

2023年7月6日に神奈川県・横浜スタジアムで行われたプロ野球、横浜DeNAベイスターズvs東京ヤクルトスワローズ戦。結果は3-2でベイスターズが勝利、DeNA先発のトレバー・バウアーが9回128球4安打7奪三振3四球2失点(自責点2)で6勝目(2敗)を挙げた試合である。
 
 
前回から中4日での登板となったトレバー・バウアー。
この日は1、2回を無失点に抑えたものの、3回に2アウト2塁から並木秀尊にセンター前にヒットを打たれて1失点。
だが、5回に相手のエラーもあり味方打線が3点を挙げて逆転する。
 
4回以降は粘りのピッチングを見せていたバウアーだが、8回に再び2アウト2塁のピンチを迎える。そして、今度は3番サンタナにスライダーをセンター前に弾き返され2点目を献上してしまう。
ただ、そこでは崩れず続く4番村上を三振に打ち取り1点差を守りきる。
 
大歓声の中、9回のマウンドに上がったバウアーはこの回を3者凡退に抑えて見事勝利。6勝目を挙げるとともにキャリア最多となる128球の熱投でチームの連敗ストップに成功した。
 
トレバー・バウアーの2024年所属チームは? バウアーはパリーグが合ってると思う。DeNAが山川穂高を獲得すれば残留もある?
 

前回から中4日での登板。交代かな? と思うタイミングが3度ほどあったけど…

前回の中日戦では6回10安打2失点とまずまずの内容ながらも勝敗つかずだったバウアー。
さらに味方の拙守に足を引っ張られて激高するなど、よくも悪くもインパクトを残す登板となっている。
 
ブチ切れバウアー6回2失点で勝敗つかず。放送禁止用語連発からの159km→1塁へ猛ダッシュでピンチを切り抜ける。MLBの一流プレイヤーの負けず嫌いっぷり
 
そこから中4日でマウンドに上がった今回。
初対戦のヤクルト打線を4安打7奪三振2失点に抑え、6月14日の日ハム戦以来の完投勝利を挙げたわけだが……。
 
 
この日はリアルタイムでは4回から、試合終了後にバウアーの投球シーンのみ最初から視聴させていただいた。
 
128球は来日最多どころかバウアーにとってはキャリアMAXの球数とのことだが、いや、すごかった
正直、8回が終わった時点で確実に交代だと思ったし、もっと言うとあの回に山崎晃大朗に四球を出したところで交代するのもありだと思っていた。
 
 
あの回のバウアーは球が上ずり制球も定まらない。ピンチが広がらないうちに早めにリリーフにバトンタッチするのは全然間違いではない。
 
だが、盗塁でランナー2塁となった段階でDeNAにはバウアーと心中する以外に選択肢がなくなった。
 
8回2アウト2塁、打席には相手チームの最強打者サンタナ。
こんな場面で出されるリリーフは気の毒だし、実際「交代するならひとつ前だろ」というケースはよくある。
 
もっと言うと、7回終了時点でお役御免だったとしても文句はない。
 
 
つまり、この試合のバウアーは3度あった交代機会をすべて実力で吹き飛ばした。
分業制、100球がセオリーと言われる中、それをいっさい無視したバウアーの熱投に僕はただただ感動させられた笑


 

8回裏に打席に立ったときの球場の雰囲気すげえ。闘志むき出しのバウアーを後押しする

8回裏2アウト2塁でバウアーが打席に入ったシーンはちょっと鳥肌もの。
 
8回表が終了した段階で三浦監督がバウアーに声をかける光景が画面に映っていたが、僕はてっきり「お疲れ、ナイスピッチ」と言いに行ったのだと思っていた。
 
ところがバウアー本人はベンチから捌ける気配もなく。
それどころか左腕にプロテクターをつけて待機するという。
 
おいおいおいおい。
9回行くのかバウアー。
行ってしまうのかバウアーよ。
 
8回のピッチングはちょっと怪しかった上に球数もだいぶかさんでるけど。
そもそも中4日だけど。
 
という僕の心配()をよそに本人はスタスタと打席に入る。
 
それを見たファンは当然大喜びである。
 
どよめきが歓声に変わり、バウアーのフルスイングに合わせて球場が一体化していく。
バウアーの闘争心が球場全体に伝播し、それがさらにバウアーを後押しする。
 
その流れで9回のマウンドに上がったバウアーは5番から始まるヤクルトの攻撃を見事三者凡退に。
 
生トレバー・バウアーのためにハマスタで現地観戦。苦労しながら阪神打線を7回途中3失点にまとめて5勝目。お目当てのシーンを山ほど観たぞ笑
 
中でも内山壮真を三振にとったスプリットチェンジはよかった。
 
アレは恐らく日本に来てから右打者仕様に改良したもの。
来日当初は左打者の外に逃げながら沈む軌道だったものを、横の変化を抑えて縦に落ちる球に修正した。チェンジアップというよりフォークに近い球で、全力で投げると140kmを超えてくる。それを対右、対左で使い分ける。
 
日ハムの加藤豪将の言うように投球スタイルを日本仕様にアップデートしてるのだろうと。


 

合理的ではないものが実は心を打つ。のちのちを考えれば降板するのが正解だけど、そういうことじゃない

マジな話、スポーツの世界においては合理的でないものが心を打つことは確実にあると思っている。
 
この日のバウアーは8回終了時点で118球。
あのまま完投させるよりもリリーフに託した方が合理的、中4日+蒸し暑い気候を考慮すれば勝負どころの8月後半~9月に向けて温存するべきなのは素人の僕でもわかる。
 
ただ、勝負ごとは必ずしもそれだけではない。
単純な理屈では言い表せない強い力に引っ張られることが多々ある。
 
9回のマウンドにバウアーが向かった際の球場の雰囲気や前回登板での激高、その他。
闘志むき出しで相手と勝負する姿、一度マウンドに上がったら最後まで投げ抜くという強い意志は問答無用に心を打つ。
 
当然バウアーの闘志はチームに伝播しているはずだし、そうでなくてはプロとは言えない。
合理性や理屈、コストパフォーマンスだけでは測れない、意味不明な力が好循環を生むケースは間違いなく存在する。
 
大雑把に言えばそれを“流れ”と呼ぶのだが、この試合はまさにバウアーの闘志が流れを引き寄せたと言っていい。
 
実際、翌日の巨人戦で吠えまくった今永がバウアーの影響を受けていないとは思えないわけで。


MLBでサイヤング賞まで獲得した選手が他の選手を奮い立たせる役割を担っている事実、チームの誰よりも熱く勝利に貪欲な姿勢を見せていることに僕はめちゃくちゃ感動している。
 
どれくらい感動したかというと、試合後にオールスターのプラスワン投票でバウアーに投票するくらいには笑
オールスターの投票など人生で一度もしたことがなかったのだが、今回ばかりは迷う理由がなかったw
 

この日はスライダー(カッター)がよかった。140kmを超えるスピードで外側にカクッと落ちる

ピッチング内容に触れておくと、この日のバウアーはスライダーがよかったと思う。
 
以前から「130km後半で縦に沈むスライダー系の球(本人がカットと呼ぶヤツ)はあまり効果的に見えない」と申し上げているが、今回はその球のキレが一段増していた。
 
トレバー・バウアーNPB初先発初勝利。凄みと柔軟性を感じるピッチング。松山をスプリットチェンジで三振に取った7回は感動したよ
 
スピードは140km前後で右打者の外側にカクっと沈む。
これまでよりも2、3km速く、例のドロンとした軌道が鋭角なものに。
 
今回はあの球を主に初球の見せ球として使っていたが、右打者に外を意識させるという意味でもなかなかよかったのではないか。
 
 
まあ、勝負どころでフワッと浮いてしまったのは残念だが。
3回、8回とタイムリーを打たれたのはいずれもスライダー。球速も130km前半で、いわゆる“普通の”スライダーだったと思われる。
 
大きく縦に割れるナックルカーブ、普通のスライダー、カクっと沈むカッター。
同じ方向に曲がる3つの球種のうち一番微妙なのがカッターだったわけだが、今回の軌道を維持できるのであれば今後も大きな武器になりそう。
 

努力と研究の人、トレバー・バウアー。160km近い球を投げるのに、仕草ひとつ取っても洗練さのかけらもない笑

よく言われることだが、バウアーは運動神経自体はあまりよくないのだと思う。
 
歩き方もどんくさそうだしひとつひとつの仕草には洗練さのかけらもない笑
 
身長185cm、体重92kgと一般人に比べればはるかにゴツい(日本人選手と比べても一回り大きい)が、MLBのトップ層の中では小柄な部類である。
 
・クレイトン・カーショウ:193cm、102kg
・マックス・シャーザー:190cm、97.5kg
・ジャスティン・バーラーンダー:196cm、102kg
・大谷翔平:193cm、95kg
 
フィジカル的に恵まれているとは言えない中で160km近いストレートを投げ、終盤でも球威を落とさず中4、5日できっちりコンディションを整えてくる。
 
搭載エンジンの大きさや馬力の違いで済ますのは簡単だが、恐らくそうではない。
前回も申し上げたが、持ち前の研究熱心さで自分の身体をどう動かせば何が起こるかをよくわかっているのだと想像する。
 
試合ごとの好不調はあるが、徹底的に自分の身体を観察することでその波を極力小さくすることが可能。
 
この部分はマジで参考にすべきというか。
日本人選手にとっても吸収できるところが多い気がする。
 
トレバー・バウアー、西武打線を3安打2失点に抑えて2勝目。左右を広く使うコツを掴んだ? 初回先頭へのスライダー2球で「今日はいい」って思ったよね
 
研究と努力でMLBのトップまでに上り詰め、チームの誰よりも負けず嫌いで投球中は闘争心むき出し。
個人的に推しポイントしか見当たらない笑
 
 
もともと年間通してQSを量産するタイプなため手が付けられないような無双はしない上に、この先どこかで落ち込む時期もくると思う。
その際にどう持ちこたえるか、立ち直るかにも注目したいと思う。
 

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