トレバー・バウアーNPB初先発初勝利。凄みと柔軟性を感じるピッチング。松山をスプリットチェンジで三振に取った7回は感動したよ【2023.5.3感想】

トレバー・バウアーNPB初先発初勝利。凄みと柔軟性を感じるピッチング。松山をスプリットチェンジで三振に取った7回は感動したよ【2023.5.3感想】

2023年5月3日に横浜スタジアムで行われた横浜DeNAベイスターズvs広島東洋カープ戦。結果は4-1でベイスターズが勝利。前日の逆転負けを払拭する快勝となった。
 
またこの試合で新加入のトレバー・バウアーが先発、7回98球を投げて7安打9奪三振1四球1失点の内容で見事初勝利を挙げている。

 
なおこの日の観客数はバウアー効果&ゴールデンウィークということもあって3万3033人。これは横浜スタジアム史上最多とのことで、サイヤング賞を獲得した投手が全盛期に日本にくるインパクトの大きさがはっきり示される形となった。
 

期待していた選手が次々コケる中、バウアーだけが僕の支えだった()

サイヤング賞投手のトレバー・バウアーの横浜DeNAベイスターズ入団が発表されたのが3月14日。
そこから「待望の来日→2軍での日々→ファームでの初登板」と段階を踏んでこの日を迎えたわけだが……。
 
僕自身もバウアーのNPB移籍にはめちゃくちゃ驚かされた人間で、ここまで逐一動向を追いつつ公式戦初登板を楽しみにしていた。
 
特に今シーズンはMLB移籍1年目の藤浪晋太郎は早々に先発失格、怪我から復帰のマエケンは3試合目で再び故障離脱。NPBでは投手転向2年目の中日根尾昂はちっとも2軍から出てこない、今年から捕手専念となった広島坂倉将吾はなかなか打率が上がらない。などなど、注目していた選手の苦戦にモヤモヤしていたところ。
 
これでバウアーまでコケたらシャレにならん、この人には何としても活躍してもらわなければと勝手なことを考えていた次第である。
 
藤浪晋太郎がまたしても炎上。4登板中3登板で試合を壊す先発はちょっと…。好意的に見てた僕ですら厳しいと思っちゃった
 
そしてついに迎えた初登板。
この日は1日中テレビに張り付いてバウアーの投球を眺めていたのだが、いや、ナイスピッチング。7回1失点9奪三振は初登板としては上々。1年以上のブランクを考えれば今後に期待が持てるのではないか。
 
本人のYouTubeやTwitterなどを興味深く見ていたこともあり、ますますテンションが上がる初登板となった。
 

「バウアー、ちょっと苦戦するんじゃねえか?」と思ってた時期が僕にもありました

まず全体的な感想だが、かなりよかったと思う。
被安打7とヒットこそ打たれたものの、要所でのギアチェンジや中盤以降に見せた配球面の工夫等、随所に経験値と凄みを感じさせた。
 
コンディション的には2020、2021年には及ばないとは思うが、それでも9割近くまでには戻っている印象。ここから怪我なくローテーションを守ってくれることを期待する。
 
 
と言いつつ、登板前はちょっと苦戦するかも? と思っていたことも事実。


ファームでの数試合を観る限り、中盤(打者ふた回り以降)あたりから微妙に怪しくなる、ランナーを出すとモタモタする、縦系のスライダー(恐らく本人がカッターと呼んでいる球)がおっかない等、いくつか懸念材料が目についた。
 
手元で伸びるストレート、新球スプリットチェンジ、得意のナックルカーブは文句なしに素晴らしい。これらの球種はボールの違い、マウンドの違いなどは小事と言ってもいいレベルで、一定以上のコンディションさえ作れれば1軍でも十分通用する。
 
ただ、縦にフワッと沈むスライダー(カッター)は軌道がドロンとしていていまいち効果的に見えない。
ファームの試合でも左バッターにすくい上げられるシーンが目立っていた割に、その球を勝負球や深いカウントで好んで使っている。諸々を踏まえて不安が募ったことを告白する。
 
 
そして、初登板の相手である広島カープは左の好打者が多い。
スタメンに菊池涼介ではなく左の野間峻祥を入れることも何となく想像がついたし、2軍戦と同じ配球でいった場合は結構厳しくなるのでは? と漠然と予想していた。
 
トレバー・バウアーファームで初登板。やっぱりまっすぐが軸のピッチャーだよね。ホップ成分が高い“手元で伸びる”球。モーションの大きさはちょっと気になるかな
 

4回の連続三振で配球のコツを掴んだ? そこまではかなりアップアップだったけど

実際、この日のバウアーは4回まではアップアップだったと思う。
 
初回に西川龍馬を三振に取った球もフワッと入ってくる軌道で「あ!!」と思ったし、外野フライ2本もまっすぐをしっかり捉えられていた。
2回にもデビッドソンに高めのまっすぐをレフトスタンドに運ばれてから2者連続で左バッターに一、二塁間を抜かれている。
 
本人も球威や変化量だけで抑えられるほど甘くないというのを肌で感じたのではないか。
 
相手先発の九里亜蓮が立ち上がりから飛ばしまくっていたこともあり、僕も「これはヤバいぞ」「バウアーが崩れる前に点を取りたい」とハラハラしながら観ていた。
 
 
だが、その流れが変わったのが4回。
 
1アウト1塁の場面で7番デビッドソン、8番田中広輔を連続三振に打ち取ったことでバウアーがリズムに乗った。
 
デビッドソンには初球、2球目にカッター、3、4球目に横系のスライダーを投げて2-2とし、最後は高めのまっすぐで空振り三振。
続く田中広輔には初球にナックルカーブ、2球目にストレートで1-1。3球目のカッターをファールさせ、最後は低めのナックルカーブで空振り三振を奪う。
 
それまで勝負球で使っていたカッターを見せ球として使用、横スライダーとまっすぐの組み合わせで追い込み打者にナックルカーブとまっすぐの二択を強いる。
 
特に田中広輔への配球はうまかった。
球が上ずり気味だったところをカーブで強制しつつ、高めのまっすぐをチラつかせながら勝負球にもう1球ナックルカーブを投じる。田中広輔の空振りは完全に裏をかかれたスイングだった。
 
序盤からガラッと配球が変わったことで打者は混乱しただろうし、本人的にもカッターよりもこちらの方が有効だと気づいたのではないか。
5回のピンチでも野間をナックルカーブで見逃し三振に仕留めていたし、あそこでコツを掴めたのは本当に大きかった。
 
トレバー・バウアーが中日相手に6回90球2失点。2試合連続の炎上から一定の結果を残す。左右を広く使う投球スタイルが少し見えた気がするよ
 

7回の松山竜平を三振に取ったスプリットチェンジに感動。サイヤング賞投手の凄みを見せたね

5回以降、カッターとまっすぐを見せ球にナックルカーブを勝負球に使いながらアウトを重ねるバウアー。
 
そして7回に本日最大の見せ場がやってくる。
 
やや球威が落ちてきたところで韮澤雄也、堂林翔太に連続ヒットを許しツーアウト二、三塁のピンチを迎える。
 
そこで広島ベンチは1番野間に代えて松山竜平を送る。
松山はバットコントロールのうまさと長打力を兼ね備えた面倒なバッター。もしかしたら広島の中ではもっともバウアーを打つ可能性が高い選手かもしれない。
 
案の定、松山はカウント2-2からスプリットチェンジ、まっすぐ、カッターを3球連続ファールに。バウアーの持ち球にことごとくついてくる。
 
 
球場全体が緊張感で包まれる中、渾身の8球目をバウアーが投じる。
外角低めに鋭く落ちる球に松山のバットが空を切る!!
 
三振、スリーアウト!!
 
一瞬遅れて大歓声、バウアーが大きく吠えてマウンドを降りる。


いや、痺れましたねぇ。
ここはマジで痺れた。
 
本人が言っていた通りこの回はスプリットチェンジの精度がめちゃくちゃ上がっていたし、勝負どころでの凄みはさすがのサイヤング賞投手。
 
あそこまで感情をむき出しにしたことに驚かされたというか、久しぶりの試合で楽しかった&負けるのが心底嫌いというのが山ほど伝わってきた。


 

今後にも期待が持てる? 突き抜けたものはないけど大崩れはしないタイプ。ベンチにとってはありがたい存在

上々の結果、内容で初登板を終えたトレバー・バウアー。
個人的な印象だが、ここから先の登板にも期待が持てるピッチングだったのではないか。
 
中でも試合中に打者の反応を見ながら配球を変える柔軟性、それができる引き出しの多さは文句なしに素晴らしい。
 
まっすぐの威力、スプリットチェンジとナックルカーブのキレはもちろん、それを際立たせるためのスライダー、カッターの使い方は捕手との連携が進めばさらに洗練されていくと予想する。
 
いわゆる“突き抜けたものはないけど大崩れしない”タイプ。ヒットは打たれつつも毎試合QS以上を記録する&中四日で回ってくれる。ベンチにとっては非常にありがたい存在である。
 
トレバー・バウアー、西武打線を3安打2失点に抑えて2勝目。左右を広く使うコツを掴んだ? 初回先頭へのスライダー2球で「今日はいい」って思ったよね
 
怪我やブランクによる疲労等、未知数な部分は多いがとにかくよかった。次回以降の登板もめちゃくちゃ楽しみである。
 
 
てか、1回くらい現地観戦してえなぁ……。
 

Advertisement

 

 

 

 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!