アリムハヌリはすでに村田より強い? フライ級? 最強ダラキアン、大忙しのアフマダリエフ、2Rの長期戦のアンドラーデ。先週末振り返り【結果・感想】

アリムハヌリはすでに村田より強い? フライ級? 最強ダラキアン、大忙しのアフマダリエフ、2Rの長期戦のアンドラーデ。先週末振り返り【結果・感想】

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2021年12月31日に東京・大田区総合体育館でWBO世界S・フライ級王者井岡一翔がIBF同級王者ジェルウィン・アンカハスと2団体統一戦を行うことが先日に正式発表された。
 
これで12月14日の井上尚弥vsアラン・ディパエン戦、12月29日の村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン戦に続き日本を代表王者3人が年末に出揃うことになったわけだが。
 
 
特に井岡一翔vsアンカハス戦が決定したことに僕はめちゃくちゃテンションが上がっている。
この両者はどこかで対戦してもらいたいと以前から思っていたものの、正直実現の見込みは薄い気がしていた。
それが11月上旬あたりに両陣営が交渉中との情報が流れ、インタビュー記事を読んでもアンカハス本人も統一戦に前向き。
「これはガチで決まるか?」と期待感が高まったところでの発表だったこともあり、今回の発表には今年No.1と言っていいくらいテンションが上がった。
 
似たようなところでは12月3日(日本時間4日)に米・コネチカット州で行われるBellator 272、堀口恭司vsセルジオ・ペティス戦の発表か。
 
堀口恭司vsペティス予想してみる? どちらにとっても難しい相手、勝負論あり過ぎる試合。ヤバいくらい楽しみですね
 
日本を代表する選手と階級屈指の強豪の激突という意味ではどちらの試合もクソほど楽しみである。
 
 
で、それはそれとして。
 
今回は先週末に行われた試合の中から目についたものをピックアップして適当に感想を言っていくことにする。例によって「個別に取り上げるほどでもないけど、無視するのはもったいない」試合についてである。
 
 
てか、先々週くらいからかなり忙しくてちっともスポーツ観戦ができてないんですよね……。
毎回思うけど、忙しいってホントによくないっすわ。
 
尾川堅一vsアジンガ・フジレ。2021年ベストバウト(僕の中で)出たか? 全盛期の動き、3度のダウンを奪っての判定勝利にクッソ感動しました
 

○デメトリアス・アンドラーデvsジェイソン・クイグリー×(2R2分24秒TKO)

まずはこの試合。
 
WBO世界ミドル級王者デメトリアス・アンドラーデがランキング10位のジェイソン・クイグリーに2RTKOで勝利し、5度目の防衛に成功した一戦。
 
何度か申し上げているのだが、デメトリアス・アンドラーデという選手は僕の中での“いい選手だけどまったく視界に入ってこない5人”の中の一角。
 
・ケレイブ・プラント
・オレクサンドル・ウシク
・デメトリアス・アンドラーデ
・ブランドン・フィゲロア
・京口紘人
 
同じ興行にS・バンタム級のムロジョン・アフマダリエフが出場していなければ見向きもしなかった選手である。
 
 
一方、挑戦者ジェイソン・クイグリーに関してはどこかで名前を聞いたことがあると思っていたら……。
 
ああ、そうか。何年か前に村田諒太の対戦候補に挙がっていた選手だったなと。
交渉がうまくまとまらずに結局ロブ・ブラントとの対戦になったんだっけか。
 
その際にちょろっと過去の試合を漁ったところ、まったくピンとこなかったことを覚えている。
 
2018年夏時点での戦績が13戦全勝、しかも元トップアマ出身。
ド派手なプロフィールながらも実際のパフォーマンスは「ん?」という感じで、コケることが許されない村田の当て馬として“ちょうどいい相手”だったことは容易に想像がつく。
 
村田諒太vsゴロフキン正式発表。予想云々はともかく勝つしかねえよ。厳しい試合になると思うけど、最初から攻めるしかないんじゃない?
 
デメトリアス・“視界に入ってこない”・アンドラーデvsジェイソン・“ちょうどいい”・クイグリー。
 
試合内容もまさにというか。
アンドラーデの出入り、ガードの外側から飛んでくる左右フックにクイグリーはそのつど反応が遅れ、2R後半に決壊してジ・エンド。
 
ジェイソン・クイグリーには相変わらずピンとこなかったし、アンドラーデにはちっとも興味がわかない。
 
出入りのスピード、見切りのよさ、一瞬の詰めの鋭さその他。アンドラーデは間違いなくいい選手だと思うが、とにかく興味がわかない。わずか2Rの試合なのにここまで長く感じるものかと驚くほどに。
 
え? ボクシングって確か1R3分だよな?
コイツの試合だけ8分ってことはないよな?
 
それこそデメトリアス・アンドラーデという選手がこの世に存在していたのかすら怪しいくらい(それはない)。
 

○アルテム・ダラキアンvsルイス・コンセプシオン×(9R2分17秒TKO)

続いてWBAフライ級タイトルマッチ、王者アルテム・ダラキアンvsルイス・コンセプシオンの一戦について。
 
個人的にアルテム・ダラキアンはフライ級最強候補の筆頭だと思っていて、同時に試合間隔の長さと自国にこもっての防衛路線が残念な選手でもある。
 
2018年2月のブライアン・ビロリア戦での戴冠以降、約3年9ヶ月でわずか5試合(すべてウクライナ開催)というのは何とももったいない。
 
一度WBC王者フリオ・セサール・マルティネスとの統一戦話が持ち上がったものの、新型コロナウイルスの影響もあり実現せず。年齢もすでに34歳なのでそろそろ大勝負に出てもらいたい。
 
 
対戦相手の元王者ルイス・コンセプシオンについては、「お前、まだ現役だったんかい!!」と。
この試合が約1年9ヶ月ぶりのリングだったようだが、ブランクを感じさせずに動けていたことに普通に驚いてしまった。
 
ただ、展開としては「まあ、そうなるよな」としか言いようがない。
 
コンセプシオンは基本的に中間距離の選手。
自分の腕が届く位置まで近づいたところで両腕を振り子のようにぶん回すスタイルで、前傾姿勢の構えながらも起動力のある方ではない。
 
身体能力の高さ、見切りのよさ、カウンターのタイミングを持ち味とするダラキアンに対抗するには遠間から飛び込んで距離を詰めるしかない。
だが、その初弾を空振りさせられ、すぐさまクリンチで動きを封じられるせいでなかなか得意の連打に移行できず。
 
一方のダラキアンはコンセプシオンの動き出しを狙ってジャブ、ワンツーをヒットし確実に自分のラウンドを重ねていく。
 
コンセプシオンとしてはとにかく1発目を身体のどこかに当てて動きを止めたいのだが、そのパンチを空振り→クリンチされてしまうので突破口が見出せない。
 
で、疲れが見えたところにダラキアンの左を被弾してガクッと失速。5Rに2度、9Rに再びダウンを奪われて万事休す。
 
スピード差を見せつけられ、ワンツーを被弾→クリンチのパターンにハメられての完敗となった。
 
 
うん、やっぱりダラキアンは強いですね。
“触らせずに当てる”に関してなら寺地拳四朗よりも上なのではないか。
 
試合間隔や年齢など懸念材料も多いが、今のところ錆つきは感じられない。なるべく早い段階で日本の中谷潤人との統一戦を組んでもらいたいところである。
 
中谷潤人vsアンヘル・アコスタ。「中谷強かったね」しか感想がないんですよね。井上尚弥に次ぐスター候補と言われてもピンとこない
 

○ムロジョン・アフマダリエフvsホセ・ベラスケス×(判定3-0 ※119-109、119-109、119-109)

2021年4月に日本の岩佐亮佑を下したムロジョン・アフマダリエフの2度目の防衛戦。
対戦相手のホセ・ベラスケスは新型コロナウイルスに感染したロニー・リオスの代役としてリングに上がった選手で、29勝6敗2分19KOの戦績を持つ。
 
 
WBO王者スティーブン・フルトンやWBC王者ブランドン・フィゲロアをしのぐと言われるムロジョン・アフマダリエフだが、今回は少々手こずった印象。
 
ホセ・ベラスケスは典型的な“小柄な頑張り屋さん”で、近場でのぶん回しを得意とするファイター。
29勝6敗2分19KOの戦績、高いKO率からもわかるようにハマれば強いタイプだが、打ち合ってナンボのスタイルな分、得手不得手もはっきりしている。
 
試合運びもまさにそんな感じ。遠間での被弾はある程度OK、アフマダリエフの強打に耐えながら距離を詰め、腕が届く位置で渾身のパンチを叩きつけるファイトはなかなか見応えがあった。
 
実際、中盤あたりでアフマダリエフの動きが止まるシーンもあったし、今回はアフマダリエフにとっては苦戦の部類と言えるのではないか。
 
要するにこの選手を攻略するには連打型のファイタータイプがもっとも適しているのだろうと。
 
 
前回の岩佐亮佑vsアフマダリエフ戦の際も申し上げたが、アフマダリエフに勝つには前で勝負するのが大事。後退してしまうと嵩にかかって攻めてくるのでとにかく下がったらダメ。自分から前に出て手を出し続け、アフマダリエフに反撃の隙を与えないことが重要になる(と思う)。
 
岩佐亮佑、敵地でアフマダリエフに5RTKO負け。レフェリーがストップのタイミングを探してたよね。セコンドが声をかけてもよかった?
 
そう考えると、ロニー・リオスなら案外いい勝負ができるのかもしれない。
アフマダリエフとダニエル・ローマンがほぼ互角だったことを考えるとリオスが勝つのは難しいかもしれないが、少なくとも岩佐亮佑よりはチャンスがありそうな……。
 
 
というか、アフマダリエフは忙しいっすね。
 
・コロナから回復したロニー・リオスとの指名戦
・指名挑戦者のアザト・ホバニシャン
・亀田和毅vsヨンフレス・パレホの勝者
・勅使河原弘晶vsマーロン・タパレスの勝者
・フルトンvsフィゲロア戦の勝者との統一戦
・ついでに暫定王座を剥奪されたレイセ・アリームはどうするの?
 
やらなきゃいけないことが目白押しというか、順調にこなしたとしても丸2年はかかりそうな渋滞っぷりである笑
 
ジョシュ・テイラーvsジャック・カテラルどんだけ注意されんねんオマイラw 8Rにダウンを喫するも2-1の僅差判定勝利。僕はカテラル勝ったとオモタ
 
繰り返しになるが、どう考えても暫定王座は必要だと思うのだが……。


 

○ジャニベク・アリムハヌリvsハッサン・ヌダム・ヌジカム×(8R2分38秒TKO)

ラストはこの試合。
 
ジャニベク・アリムハヌリは2021年6月のロブ・ブラント戦を観て「コイツは強いわ」と確信した選手で、今回の対戦相手がハッサン・ヌジカムと聞いて「いや、厳しいだろ」と思っていた経緯がある。
 
それこそ前回のロブ・ブラントと今のヌジカムにどれほどの違いがあるのか。割とヤバめの残虐ゲームの危険性すらあるのではないか。
 
アリムハヌリやっぱりいい。ロブ・ブラントを削りまくってTKO勝利。村田諒太とは絶対に絡まないタイプだしアンドラーデvsアリムハヌリは笑うw
 
実際の試合もマジでそんな感じ。
序盤からアリムハヌリがプレッシャーをかけて徐々に逃げ場を塞いでいき、中盤からは1発1発に力を込めて打ち込みヌジカムの心身を削っていく。
 
ヌジカムもこの試合にかける意気込み、気合いは十分伝わってきたが、残念ながらアリムハヌリとは実力差がありすぎた。
 
運動量、手数は豊富だが、相変わらず的確さが致命的に足りない。
起き上がり小法師のような回復力も健在だが、アリムハヌリの強烈なパンチと慎重に慎重を期す試合運びが生殺し感を増幅させる。
 
6Rあたりから覚悟を決めて打ち合いに出たものの、アリムハヌリのガードを崩すことはできず。逆に打ち終わりを狙われどんどん顔が変形していく。
 
本人は不満そうだったが、8Rのストップは妥当だったと思う。
 
テオフィモ・ロペス陥落。カンボソスの研究と覚悟に無策のロペス。あれだけ顔面丸出しで攻めればw スペックの高さは文句なしだから復活を期待するよ
 
そして、改めてジャニベク・アリムハヌリはいい。
すでに王者クラスの力はありそうだし、現時点でも村田諒太になら勝てそうな……。
 
僕は前回この選手のことを“ビック・ダルチニャンの上位互換”と申し上げたが、今回のようなプレスを見せられると考えをさらに更新する必要がある? かも?
 
ちなみにアリムハヌリ現在WBOグローバル王者、WBO2位、IBF9位なので、もっとも可能性が高いと思われるのはWBO王者デメトリアス・アンドラーデへの挑戦となる。
 
ただ、不人気王者アンドラーデと地味強アリムハヌリのタイトルマッチをどうしても観たいか? と言ったら……。
 
この両者のためにマッチルームとトップランクが協力するとも思えないのがね笑
 
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