フェザー級でモタつくアイザック・ドグボエ。ジョエト・ゴンサレスは物量勝負でゴリゴリいくのが遅かった。ドグボエの最後の粘りはさすが王者経験者だとオモタよ【結果・感想】

フェザー級でモタつくアイザック・ドグボエ。ジョエト・ゴンサレスは物量勝負でゴリゴリいくのが遅かった。ドグボエの最後の粘りはさすが王者経験者だとオモタよ【結果・感想】

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2022年7月23日(日本時間24日)、米・ミネソタ州で行われたWBO世界フェザー級挑戦者決定戦。同級1位ジョエト・ゴンサレスvs同級2位アイザック・ドグボエ戦は激しい打撃戦の末に2-1(96-94、96-94、94-96)の判定でドグボエが勝利。王座挑戦権を獲得するとともにWBOフェザー級インターナショナル王座戴冠を果たした試合である。
 
 
元WBO世界S・バンタム級王者アイザック・ドグボエが迎えた挑戦者決定戦。
対戦相手のジョエト・ゴンサレスは2019年10月のシャクール・スティーブンソン戦、2021年10月のエマヌエル・ナバレッテ戦と2度の王座挑戦経験を持つ強豪。
 
ともにキャリアで2敗同士の対戦となった一戦だが、アイザック・ドグボエはフェザー級進出以降は体格差にやや苦労している感が強い。
S・バンタム級時代の豪快なファイトが鳴りを潜め、逆に相手の圧力に下がらされるシーンも。
 
僕も階級アップ後のドグボエにはいまいち興味がわかなかったのだが、たまたまFITE.TVでの中継があった&Sky Sports Boxingのチャンネルで早々に試合動画がアップされていたので視聴してみた次第である。

 

相変わらず体格差に苦労するドグボエ。ジョエト・ゴンサレスは勝てた試合だった

試合を観た感想だが、ドグボエが相変わらずだったのとジョエト・ゴンサレスは勝てた試合だったなぁと。
 
ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。ライアン・ガルシアの強者のメンタル? 相手をリスペクトし過ぎて卑屈になるな。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭かも?
 
正直、僕にはどちらが勝ったかは何とも言えないのだが、印象としてはドグボエがギリギリ踏ん張ったと言ってよさそう。
スコアカードを見てもそんな感じで、最終回のがんばりによってどうにかこうにかドグボエが勝ちを拾った一戦。


僕は9Rはジョエト・ゴンサレスのポイントだと思ったのだが、ジャッジ1人がドグボエを支持している。
仮にこのジャッジが9Rをゴンサレスにつけていれば判定1-1で引き分けとなっていたわけで、ゴンサレスとしては本当に惜しい試合だった。
 
 
そしてドグボエが相手の馬力、体格差に苦労しているのもこれまでと同じ。
持ち前の強打をぶち当てても相手が怯まず打ち返してくる→頭をくっつけての打ち合いで根負けして後退させられるパターンはフェザー級進出初戦(2020年7月のクリス・アバロス戦)からほとんど変わっていない。
 
むしろ今回はより慎重な試合運びを選択していたというか。
序盤3Rまではなるべく距離を取りつつ角度を変えながらジャブを当てる意識が見てとれた。
連打と馬力でねじ伏せる従来のファイトではなく、あわよくばこのままアウトボクシングでやり過ごす作戦だったのか、もしくはここ数戦で自信を失いつつあるのか。
 
何とも言えないところだが、どことなく2021年6月のアダム・ロペス戦を彷彿とさせた。
 
アリムハヌリさんミドル級最強説。アンドラーデより強いんちゃうか? アリムハヌリvsディグナム、ヘリングvsオルティス、ロペスvsエンカーナシオン振り返り
 

序盤の警戒タイムがもったいない。3Rで「あ、いける」と思ったっぽいけど、仕掛けがあと1R早ければ

一方のジョエト・ゴンサレスだが、こちらは立ち上がりの警戒タイムがもったいなかった。
 
3Rの序盤あたりで「前に出て打ち合う」のが一番手っ取り早いとわかってそちらに舵を切ったが、これを2Rからやれていれば。
恐らくラウンド開始直後にドグボエの連打を浴びて「あれ? 全然耐えられるぞ」と気づいたのだと思うが、そこに至るまでが……。
 
開始直後から遠間で打ち終わりを狙うドグボエに対し、左右に動きながら入るタイミングを測るゴンサレス。
時おり身体を伸ばしてボディを打ち込むものの、持ち前のブロック&リターンのファイトになかなか持ち込めない。
 
エマヌエル・ナバレッテに自分の土俵での打ち合いに敗れたことが影響しているのか、もしくはかつてのドグボエの豪快なファイトが印象に残っているのか。または絶対に負けられない試合という意識が強かったのか。
どちらにしろ今回のジョエト・ゴンサレスはこれまで観たことがないくらい慎重な立ち上がりだった。
 
ナバレッテ2階級制覇!! って言うほど勝ってるか? これ。ルーベン・ビラの五十嵐俊幸っぽさ。持たざる者の辛さというか
 
繰り返しになるが、もう少し仕掛けが早ければ。
一回りサイズが大きい上に近場での打ち合いに明らかに分があった分、思い切りのよさだけが足りなかった。
 
慎重な立ち上がり→中盤からの物量勝負→最後の最後で粘るドグボエを崩し切れず僅差判定負け。
この流れに既視感があったのだが、申し上げたように2021年6月のアダム・ロペス戦と少し似ていた気がする。
 
まあ、ただ眺めているだけの僕にはわからない何かがあるのだとは思うが。
 

ズルズルいかないドグボエ。この粘りあってこその世界王者。相手を選べば王座戴冠も可能じゃない?

だが最後の最後でズルズルいかなかったドグボエはさすがだった。
 
ラスト10Rの粘り、しんどい局面でエンジンを吹かせる二番底はやはり王者経験者。
先日の比嘉大吾もそうだが、階級の壁? に苦労しながらもここぞの場面での勝負強さ、土俵際で見せる粘りは世界王者ならではなのだろうと。
 
比嘉大吾、堤駿斗、森武蔵振り返り。割と強かったカルコシア、ちゃんと強かったジェミノとサルダール。比嘉のガッカリ感が尋常じゃない
 
さらに
・左が多彩で意外と当て勘がある
・下がりながらでもパンチの威力が落ちない
・カウンターが割と得意
・出入りのスピードがある
・打たれてもへこたれない根性
などなど。
 
あまり器用なタイプには見えないが、階級差を乗り越えるネタがそれなりに揃っているのも大きい。
 
絶好のタイミングで組みし易しな相手と巡り合えればこの階級でも王座戴冠の可能性もあるのではないか。
 
 
でもアレか。
現WBO王者は例によってエマヌエル・ナバレッテなんですよね。
これだけ苦労して王座挑戦権を獲得したのにまたアイツか笑
 
IBFのジョシュ・ウォーリントンなら辛うじて勝機がありそうな気もするが、何となくWBAのスーパー王者レオ・サンタ・クルスとレギュラー王者リー・ウッドの動向を確認してからになりそうな……。
と言いつつダラダラと順番待ちをしてる間にロベイシ・ラミレスに狩られなければいいけど。
 
 
2018年4月にジェシー・マグダレノをKOした際は“井上尚弥のラスボス”認定までされたアイザック・ドグボエが階級アップ後にだいぶモタモタしているのを見ると、フルパワーを発揮できる体重を維持することも重要な能力なのだと再認識させられる。
 
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