タパレスがアフマダリエフに勝っただと…!? 前で勝負するタパレスをアフマダリエフは攻めきれず。これで亀田和毅vs井上尚弥戦の可能性が?【結果・感想】
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2023年4月8日(日本時間9日)に米・テキサス州で行われたIBF/WBAスーパー世界S・バンタム級タイトルマッチ。同級統一王者ムロジョン・アフマダリエフがIBF同級1位マーロン・タパレスと対戦、2-1(115-113、115-113、118-110)の判定でタパレスが勝利し2階級制覇&2団体統一王座戴冠を果たした試合である。
S・バンタム級における井上尚弥の標的と言われていたムロジョン・アフマダリエフ。
2022年6月のロニー・リオス戦で負った怪我の影響で約10か月ぶりの防衛戦を迎えたわけだが。
指名挑戦者マーロン・タパレスのジャブ、左ストレートをさばき切れずに劣勢を強いられ、終盤の追い上げも及ばずまさかの陥落。
2020年1月にダニエル・ローマンから奪取した2本のベルトを失う結果となっている。
一方、大金星を挙げて統一王者となったタパレスはさっそく井上を挑発するなど早くも統一戦を目指す雰囲気を見せている。
亀田和毅がWBAの指名挑戦権を持つ中、今後の動向に注目である。
タパレスの大健闘に感動が止まらん。井上尚弥攻略の糸口? 階級アップで人外の超人っぷりは薄れたよな。最強には変わりないけど
マジかよ、アフマダリエフ負けたんか。でも前回のリオス戦も若干危なっかしかった
井上尚弥のラスボスと言われたアフマダリエフ。
本人も井上がスティーブンソン・フルトンに勝利すれば次は4団体統一戦を実現したいとコメントしていたのだが……。
僕も「アフマダリエフが普通に勝つんじゃない?」「でも、亀田和毅もマッチルーム所属のアフマダリエフを振り向かせるのは大変だろうなぁ」などと漠然と思っていた次第である。
いや、負けたんかいww
先週末は那須川天心のデビュー戦や吉野修一郎vsシャクール・スティーブンソン戦があったせいで後回しになっていたのだが、アフマダリエフが負けたと聞いた瞬間は「え? マジで?」と驚かされた。
那須川天心vs与那覇勇気現地観戦。天心すごかった。Amazonの中継は絶対に必要だよね。試合順は「打順」なんだよ
おいおい、なーにをやっとんねん。
この前は井上との統一戦に進みたいって張りきってたじゃねえか。
ただ、前回のリオス戦からブランクがある上にあの試合も危なっかしさを感じたことも事実。
実際、どこかで伏兵に足元をすくわれる可能性はあったのかもしれない。
またタイトル戦を待たされている亀田和毅にとってはむしろタパレスの方が交渉はしやすそう。
井上尚弥vs亀田和毅戦実現の可能性が高まったと考えれば案外悪くない? かも?
アフマダリエフが悪すぎた。得意の高カロリーなファイトが鳴りを潜め…
試合の感想としては、タパレスがよかったのとアフマダリエフが悪すぎた。
もともとこの選手は鋭い踏み込みからの連打が持ち味で、それを長いラウンド継続するスタミナも持ち合わせる。
日本の岩佐亮佑もあの連打でタジタジにされていたし、今回もそれでタパレスを飲み込むのでは? と思っていた。
ところがこの日は踏み込みもヌルくパンチは単発気味。
流れを変えるために何度もペースアップを図るがそれがちっとも続かない。
後半に盛り返してどうにか2-1までこぎ着けたものの、全体的にはだいぶ低調だった。
申し上げたようにアフマダリエフの持ち味は前に出る勢いと連打、それを維持するスタミナ。高カロリーなファイトが生命線なだけに、少しでも調子が落ちるとあっという間にこうなるのかな? と思わされる内容だった。
タパレスはよかった。自分から手を出す、前で勝負する。対アフマダリエフに特化した? した戦術
一方のタパレスはなかなかよかった。
コンディション的には2021年12月の勅使河原弘晶戦と同じかそれ以上(だと思う)。岩佐亮佑に負けた2020年前後はやや微妙な出来だった(と思う)ことを考えると、テンションによって調子が左右されるタイプなのかもしれない。
ジャーボンティ・デービスvsライアン・ガルシア。序盤物量勝負を仕掛けたガルシアはよかった。でもデービスの嗅覚、精度が高すぎる
また戦術的にも対アフマダリエフに特化した? ものを感じた。
前に出る勢いと旺盛な連打を持ち味とするアフマダリエフに対抗するには、当然ながら突進をまともに受けてはダメ。
防御に徹していても攻められっぱなしになるだけだし、岩佐のように「後半勝負!!」などと悠長なことを言っていたらすぐに止められてしまう。
先に手を出し、アフマダリエフが連打の態勢に入る前に勢いを止めることが重要になる。
そして、今回のタパレスがよかったのはここ。
アフマダリエフよりも先に右リードを出すことで勢いを寸断。自ら距離を詰めて左をねじ込んでいく。
また斜に構えたスタンスはサウスポー同士では急所が見えにくく、アフマダリエフの左を上体反らしでいなすことが可能。
逆にタパレスの右は角度的にアフマダリエフの顔面をまともに捉える。
両者の構え、パンチの軌道が完全にタパレス寄りだった(気がする)。
後半は疲労もあって追い上げを許したものの、「自分から手を出す」「正面衝突で下がらない」だけは最後まで徹底したタパレス。
ダウン寸前まで追いつめられながらも持ちこたえたことを含めてこのがんばりは心を打つものがあった。
マーロン・タパレスが井上尚弥に勝つ方法を考える会。井上のvsサウスポーを振り返って絶望した。タパレスは前半勝負しかなさそうだけど…
今回のタパレスの作戦は岩佐亮佑にやってほしかったヤツ。タパレス戦では頭が当たるくらいの接近戦で勝負したのに
てか、僕が岩佐亮佑にやってほしかったのがまさにコレなんですよね。
前傾姿勢+右リードを駆使してアフマダリエフを“前”で止める。
さらに自ら前に出ながら得意のカウンターを打ち込む作戦。
当時は下記の写真を見て「絶対に下がらない」「身体の大きさを活かしてねじ伏せる」を貫いてくれると期待したのだが。
世界最強👊💥
信じてセコンドしっかりやってきます‼️ pic.twitter.com/pS1e6nfjIL— 南出仁 (@minamidejin) April 3, 2021
実際には右の差し合いで上を行かれ、アフマダリエフの勢いを止められずにストップされるという。
今回のアフマダリエフは右リードがいまいち&踏み込みスピードも落ちていたが、あまり身体が大きくないタパレスがこの作戦を実行したことにはかなり感動している。
岩佐亮佑、敵地でアフマダリエフに5RTKO負け。レフェリーがストップのタイミングを探してたよね。セコンドが声をかけてもよかった?
そう思って2019年12月のタパレスvs岩佐戦を観直してみたところ……。
すげえ接近戦で勝負してるじゃん笑
タパレスは基本、中間距離~遠い間合いが得意な選手。
同郷のマニー・パッキャオの系譜を感じるサウスポーで、踏み込みの鋭さと伸びのある1発が特徴。上述の勅使河原弘晶も遠間からの1発で甚大なダメージを負わされた。
その反面、威力のあるパンチを打つにはある程度のスペースが必要になる。1発でダウンを奪うシーンこそ多いが、そこからの詰めが甘いという、フィリピンの選手に多いタイプでもある。
なので、タパレスを攻略するにはとにかく踏み込みのスペースを与えないことが重要になる。
岩佐陣営もそれをわかっていたのだと思うが、近年では珍しいくらい近い距離で勝負していた。
3Rのダウンなんて思いっきり頭ですからね。
アレをダウンと判断した是非はともかく、あの距離での打ち合いを選択した岩佐は本当にすごかった。
2015年6月にリー・ハスキンスにKOされて以降、センスに依存した消極的な試合運びが目立っていた岩佐の振り切った姿にテンションが爆上がりしたことを覚えている。
井上尚弥vsマーロン・タパレス雑感。先人の残した情報を総動員して大健闘したタパレスがすげえ。井上の相変らずのヤンキーマインドにも安心した笑
岩佐vsタパレス→岩佐が距離を潰してタパレスの攻撃力を封じる
アフマダリエフvs岩佐→アフマダリエフが踏み込みと連打で岩佐を圧殺
タパレスvsアフマダリエフ→タパレスが先手先手でアフマダリエフの勢いを寸断
各々の戦略がハマった結果、妙なトライアングルができているのがおもしろい笑
亀田和毅にもチャンスが? 日本人同士の4団体統一戦とか、最高じゃないっすか?
表題の通りだが、タパレスの勝利によって亀田和毅にもチャンスが回ってきそうな流れである。
統一戦コースを望むアフマダリエフを日本に引っ張ってくるのは至難の業だが、タパレスは別。相手は小回りが利くMPプロモーションな上に日本とのかかわりも深い。
実際、タパレス陣営がダイレクトで井上尚弥戦(井上がフルトンに勝ったとして)に進むよりも亀田との防衛戦を選ぶ可能性はあるのではないか。
たとえば亀田側が井上戦で見込まれるファイトマネーの6、7割くらいを提示すれば。
勝機のある亀田戦→井上戦の流れでぼろ儲けできると考える? かも?
てか、日本人同士の4団体統一戦など奇跡に近いですからね。
僕的にはめちゃくちゃ実現してほしいと思っております。
スティーブン・フルトンによる井上尚弥の倒し方。前半をしのいで井上の中だるみタイムに勝負をかけるしかない? 次に井上が北米のリングに上がるのはジャーボンティ・デービス戦でいい
MPプロモーションの敏腕? プロモーター笑 カシメロのときとやり口がまったく同じじゃねえかw
問題があるとすれば、プロモーターのショーン・ギボンズパイセンだろうか笑
下記などはカシメロのときとやり口がまったく同じ。
「アフマダリエフ撃破で意気揚々!? タパレスがフルトン戦を控える井上尚弥に“挑戦状”を叩きつける!「いいか、次はお前だ!」」
これをあのおっさんがやらせているのは明白すぎるくらい明白である。
いやアナタ。
それで井上をキレさせて、ドネア夫妻をキレさせて、結局ビッグマッチを逃してるじゃないっすか笑
今回のようにマッチルーム興行にタパレスをねじ込んだり、井岡一翔とジェルウィン・アンカハスの統一戦を決めたりと一定の能力はあるのだと思うが、平気で一線を超える不用意さと絶望的なまでの沸点の低さがすべてを台無しにする笑
岩佐亮佑がジャフェスリー・ラミドのスピードについていけず。ラミドは相当ヤバいと思ったけど相当ヤバいなw 岩佐は引退を表明
公衆の面前でフィリピーノ・フラッシュにキレ散らかす敏腕? プロモーターとそれをSNSで晒す嫁。そして高みの見物を決め込む夫とかいうカオスww
😂🤡 @KnuckleheadSean u really think I was going to back away when you coming towards me? https://t.co/2BBL2UN65R
— Nonito Donaire – filipinoflash.eth (@filipinoflash) February 6, 2022
遠くで眺めている分にはおもしろいけど、当事者はたまったもんじゃねえだろうな笑
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