ビクトル・ポストルやべえ!! 強いボクサー見つけた!! ポストルがマティセにKO勝ちで初の王座獲得

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先日、久しぶりに「これは!!」と思うボクサーを見つけた。
その名もビクトル・ポストル

1984年ウクライナ生まれの右ボクサーファイター。WBC世界S・ライト級チャンピオンである。

ポストルやべえ。
こいつは強い

恥ずかしながら先日WOWOWエキサイトマッチでOAされたルーカス・マティセとのタイトルマッチで観たのが初めてだったのだが、このボクサーは間違いなく強い。

ルーカス・マティセにほぼ何もさせずに勝ちきるしたたかさ。一見KO率だけではわからないパンチの強さ。強烈な打ち下ろし。
こんなヤツが今まで世界挑戦すらさせてくれなかったのかと憤った直後に、このスタイルなら致し方ないなと納得した次第である。

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ダニー・ガルシアにタイトルマッチをソデにされたらしいが、なるほどである。減量に苦しんでいた当時のガルシアがこの選手と試合をするのはリスクが大きすぎる。というよりも勝てない。避けて正解だ。たぶんクロフォードでもブローナーでもバルテレミでも、このポストルに勝つのは相当苦労するだろう。

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相手の出鼻を挫く嗅覚はゴロフキン以上

ポストルvsマティセ。
すごい試合だった。

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とにかくポストルがマティセに何もさせない試合だった。
マティセが踏み込んで左を出すと、ポストルがバックステップで避ける。マティセがガードを上げて構えたところにポストルが左を軽くヒットする。マティセが頭を下げて強引に前に出ると、ポストルは深い懐を活かして覆いかぶさるようにクリンチ。もしくは左を出しながら左回りにステップして距離をとる。再びリング中央で対峙したところで細かい左をガードの間から1、2発。この展開で、終始マティセを空転させ続けたのである。

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そして何より驚愕したのが、相手が力を溜めた一瞬を狙い打ちするワンツー。これが本当に圧巻だった。
人間には動き始めに身体が硬直する瞬間が必ずあるのだが、ポストルはその硬直のタイミングを狙うのが抜群にうまいのだ。マティセが力を溜めた瞬間に細かいパンチをヒットして前進を止めるのである。
このパンチに完全に翻弄されたマティセ。いきなり出鼻を挫かれ、得意のラッシュにつなげることもできずに手詰まりにさせられたのである。

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いや、マジでこれはすごい。
先日のゴロフキンvsデビッド・レミュー戦で、ゴロフキンがこの方法でレミューの飛び込みを遮断していたが、ポストルのそれは間違いなくゴロフキン以上だ。相手が力を溜めた瞬間を狙う嗅覚とタイミングは完全にゴロフキンを超えている。
マティセもレミューと同様、力を溜めてからパンチを出すまでに若干のタイムラグがあるタイプではあるが、レミューの大雑把なボクシングに比べればマティセのスタイルは遥かにコンパクトでまとまりがある。そのマティセの踏み込みのタイミングを、ポストルはわずか2R弱で掴んだのである。

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マティセが強引に前に出てくればその分だけ下がって距離をとる。腕をからませて動きを封じる。頭を抱え込むように覆いかぶさって突進を止める。さまざまなダーティなテクニックを駆使してマティセの前進を寸断するのだ。

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足の使い方もうまい。
細かいパンチを出しながらマティセの突進力を弱め、左に身体を入れ替えてサイドからもう一発。右側へのステップしながらワンツー、再び腕をからめてマティセの動きを封じる。
ステップ自体はおかしなリズムなのだが、とにかくバランスがめちゃくちゃいい。スタンスを広くとって、どんな体勢からでも自分のパンチを打てるのである。

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この日のマティセは画面からもはっきりわかるほどにイライラしていた。ヒラリヒラりといなされ続け、クリンチで動きを封じられ、思い切り腕を振り回せないフラストレーションからラビットパンチを繰り返すシーンが印象的だった。
すべからく相手をイラつかせ、同時に観客をもイラつかせるのがポストルのスタイルである。

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手持ちの武器を最大限に活かした効率ボクシング

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左をチョンチョンと出して距離を測り、リラックスしたフォームから右のフックで相手のこめかみを捉える。返しの左をガードの間からヒットさせてスッと下がる。相手が強引に出ようとした瞬間、長身を活かして上から抑え込むようにクリンチ。

ポストルは戦績だけ見ればハードパンチャーとは思えない印象を受けるが、案外そうではない。あの打ち下ろしの右フックには実はかなり威力がある。試合後半のマティセが思うように前に出られなくなっていたのも、思いのほかポストルのパンチに脅威を感じたからだろう。

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そして、リーチの差を活かした中間距離での攻めもいい。
軌道が途中で変わるような左。肘を支点にしてジャブからフックに鋭く切り替わるのだ。
アッパーのカウンターもなかなかいい。まるでニコラス・ウォータースのアッパーを思わせる、鎌のようなアッパーである。
細かいパンチを織り交ぜながらガードの間をどんどんヒットさせて相手の顔を跳ね上げるのだ。

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いきなりのチェンジ・オブ・ペースも圧巻だ。
リラックスした構えからシャープなパンチを打っていたと思うと、突然力を込めた連打で相手をくぎ付けにする。一発一発はそこまで強いパンチには見えないのだが、いきなり力を込めたパンチを受けた相手はたまらずロープ際まで下がってしまうのである。そして相手が強引に入ろうとすると、右の打ち下ろしを側頭部へもってくるのだ。

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このポストル、被せの右と飛び込んでの左フックが当たるのでは? という以外に穴らしい穴が見当たらない。若干身体の強さが足りない印象だが、持ち前の長身がそれをうまく補っている。

恐らく純粋な戦闘力だけでいえばブローナーやクロフォードの方が上だ。ボクシングの才能自体にはそこまで恵まれているわけではないと思う。
ただ、自分の特徴や持ち味をよく把握して、手持ちの武器で勝つための最適の方法を選択しているのだ。また、それを実現するための膨大な反復練習、相手の研究を怠らない勤勉さも持ち合わせているのだろう。

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マルコス・マイダナならポストルに勝てる?

ではポストルを攻略するにはどのような作戦でいけばいいだろうか。

やはり突進力のあるタイプがガンガン前に出て距離を潰す方法が一番の近道ではないかと思う。
前回のマティセ戦でも、7Rにマティセの踏み込みに一瞬たじろぐシーンがあったし、左のジャブをかいくぐるだけの突進力のあるボクサーであればチャンスを作ることができるのではないだろうか。
さらに、ポストルが打ち下ろしの右を打てないくらいの身長があればもっといい。身長差のあるマティセでは、せっかく懐に入っても打ち下ろしの右でうまく迎撃されてしまっていた。

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鋭い踏み込みと連打、強烈なパンチ力。さらにポストルと対峙しても身長差を感じさせないボクサー。これらの条件を満たすボクサーを周辺階級で探すと、合致するのはマルコス・マイダナではないだろうか。

マイダナの強引な突進と振り回すような左右のフック。そしてあの身長があれば、ポストルのテクニックを根こそぎ吹き飛ばせる可能性があると思う。

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そして恐らく勝負は試合序盤だ。
ポストルは後半になればなるほど相手の動きを把握し、最適な対策をとってくる。突進系の選手であれば特にそうだ。マイダナもラウンドが進めば距離感を掴まれ、空回りさせられてしまうだろう。勝負はポストルがマイダナの動きに慣れる前の3Rまでになるのではないか。

とはいっても、マイダナがわざわざ階級を落としてまでポストルとの試合を選択するとは思えないし、王座を獲得したばかりのポストルも今すぐウェルター級に上げることはしないだろう。この先、ビッグマッチに恵まれずに干されるようなことになれば別だが、今のところ両者がぶつかる可能性は低いと言わざるを得ない。

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ポストル、たぶん人気は出ないけどね……

エキサイトマッチ解説者のジョー小泉氏が「セルチュク・アイディンをKOしたアッパーはすごかった」と言っていたので試しに観てみたのだが、本当にすごくて驚いたww

フックの軌道をさんざん見せて、横からのパンチを意識させておく。11Rまで我慢して、最後の最後で下からのアッパーで仕留める。あのシナリオはホントに圧巻だった。
とことんまでフックとストレートの軌道しか見せない辛抱強さ。そして周到さ。心底ムカつくボクサーだww

恐らくポストルは今後も勝ち続けるだろう。身体能力に頼ったスタイルでもないので、すぐに劣化がくることもないと思われる。このまま長期にわたって連勝街道を突き進むのではないだろうか。

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ただ、このスタイルでは間違いなく人気は出ないだろう。
たとえ本人がビッグマッチを望んだとしても、残念ながら対戦相手にメリットがない。

ネームバリューもなく試合自体もつまらない。だけど強い。人気商売のプロボクサーには致命的なスペックである。ダニー・ガルシアが逃げたのも、単純に勝てないというだけが理由ではないと思うのだ。
できることならブローナーとの技術戦が観たいところだが、実現する可能性は低そうである。

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ビクトル・ポストル。
この先も微妙な立ち位置のまま、塩試合の防衛戦を重ねていくことになると確信している。これだけの実力を持ったボクサーが非常にもったいないのだが、せめてリゴンドーのように完全に干されないことを祈るばかりである。

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