村田諒太の課題が見えた? 実力は? ガナー・ジャクソンに判定勝ちでラスベガスデビュー戦を飾ったものの、派手なKO勝利とはいかずにアピール不足か

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真っ青な空
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2015年11月7日(日本時間8日)にアメリカ・ラスベガスのトーマス・アンド・マックセンターでWBC世界ミドル級5位の村田諒太が、元世界ランカーのガナー・ジャクソンと10回戦で対戦し、3-0(99-91、98-92、97-93)の大差判定で勝利した。

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ダウンこそ奪えなかった村田だが、効果的なボディで終始ジャクソンを圧倒しての勝利でラスベガスデビュー戦を飾った。

これで来年末の世界戦を目論む村田の戦績は8戦8勝(5KO)となり、今後の展開がさらに楽しみな結果となった。

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調子はいいが、攻めきれない村田

まず、画面を観た第一印象だが「客いねえなオイ」
さすがラスベガス。メインイベントまではカジノでギャンブルというわけか。

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大差判定で勝利を上げた今回の試合、ラスベガスでのアピール不足は間違いないがクソ試合というわけではなかったと思う。
ジャクソンのカウンターをもらう場面もあったが、全体的にはよくジャブが出ていたし出来自体はそこまで悪くなかったのではないだろうか。

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お互いガードを高く上げていっさい頭を振らないスタイル。
ハンドスピードはジャクソン。距離とパンチの威力は村田。正確性は互角。
この構図だと、やはりものを言うのは身体の強さ。ラウンドが進むに連れて徐々に体力差が出てくるのではないだろうか。

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2Rに入ると、早くも体力差でジャクソンを押し始める村田。
得意のボディ打ちが炸裂し、ジャクソンが顔を歪めて後退する。

この時点で何となくわかった。
これは村田の勝ちだ。

一方の村田も決定的なチャンスを作ることができない。
左のジャブを出した後に身体を寄せ、身長差を活かしてジャクソンの頭を抑える。ここから右の打ち下ろしを狙いたいのだが、うまく当たらないのだ。
ボディを叩き、ジャクソンが身体を丸めたところで側頭部に右をぶち込みたいのだが、ジャクソンが極端に頭を下げるのでうまく捉えることができないのである。

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近づいての右ショートアッパーからの左ボディ。
ナイスパンチだ。
試合前のコメントにもあったが、調子自体はいいのだろう。

もう一歩距離をとって腕を振り回したいのだが、積極的に前に出て距離を詰めてくるジャクソンに手を焼いているという印象である。

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相変わらず防御が甘い。そして体力不足

防御面でいうと、こちらは見事なまでにいつも通りである。
ガードが固い構えの割に防御がよくないというわけのわからないスペックの持ち主である村田。いつも通り、ガードの間から細かいジャブをもらうシーンが目立つ。

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特にジャクソンがアッパー中心の攻めに切り替えてきた9R。実はこのラウンド、かなり危ない角度でパンチをもらっていた。それまでのフック系を中心とした横の軌道から、いきなりの縦の軌道への変化にまったく対応できていなかったのだ。
パンチのないジャクソンだったからよかったものの、あれがもう少し強烈なパンチだったらちょっと危なかったのではないかと思う。

村田のガードの甘さは試合終了時の両者の表情を見れば一目瞭然である。
紅潮した村田の顔面。あれだけ攻めていたのにこの腫れようである。これこそが村田のガードの甘さの証明だ。攻防分離型でガードが甘いところなど、メインイベントのブランドン・リオスとちょっと似ている。

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しかも右のフックを出す際にアゴが上がるので、顔面ががら空きになる瞬間がある。もっと上の実力者であれば、あそこのタイミングでカウンターが飛んでくる可能性もあるのではないだろうか。実際、今日のジャクソンにも打ち終わりを狙われるシーンが何度も見られた。

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対戦相手のジャクソンだが、手数が多く積極的なボクシングはいいのだが、致命的にパンチ力が足りない。
解説の西岡氏が「ジャクソンが思った以上に前に出てきている」と言っていたが、そんなことは彼の他の試合を見ればわかることである。

積極的に前に出てくるジャクソンに対し、4Rくらいからジャブで距離をとるのをあきらめた村田。得意のボディ攻撃に切り替え、じわじわと消耗させていく。
相変わらずジャクソンのパンチをチクチクともらう村田だが、軽いパンチなので気にせずにボディ一発で強引にチャラにするという印象だ。

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近づいてボディ。返しの右ショート。
このコンビネーションによって、ジャクソンはだんだんと前に出られなくなる。

ところが、5Rを過ぎたところで村田の動きがガクッと落ちる。
解説の西岡氏は「ジャクソンの攻撃を許している」と言っていたが、これも違う。村田が勝手に失速しただけだ。
具志堅氏曰く「まともにもらってはいない。グローブの上からだ」と言ったが、僕にはもらっていたようにしか見えなかった。

苦しい表情のジャクソン。
中盤の失速が様式美となりつつある村田。
激戦である。

村田の課題がハッキリした。右ストレートの精度だ

総合的な体力差で村田が押し切った試合だったが、はっきり言ってつまらない試合だった。ここまで決定力がないと、ちょっと厳しいように思える。

村田の残念なところは、相手との距離が開いたところでの右の精度が低いことだ。せっかく腕を思い切り振り回せる距離ができても、そこで相手を倒す絶対的な武器がないのである。

中間距離でのパンチの精度。村田の課題はここだ。右ストレートの精度を早急に磨く必要があるのだ。
以前から「パンチのつなぎに課題がある」と言われている村田だが、そんなことよりも磨くべきは右のストレートである。

ガードの甘さはもう仕方がない。あれは才能としか言いようがない。
ジャブで距離をとれるのはいい。至近距離でのボディ攻撃も悪くない。右のショートアッパーへのつなぎもいいと思う。近い位置での攻防では結構いいものを出せていると思うのだ。

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問題は自分の腕を思い切り振り回せる距離になったときの絶対的な武器。つまり右の強打。必要なのはこのパンチである。右ストレートの精度が上がれば決定力も爆発的に上がるし、それ以上に観客へのアピールにもなる。

今日のジャクソンくらいの相手ならば、今のままでも判定でなら問題なく勝てる。だが観客へのアピールという意味ではまったく足りない。
あれだけスムーズなボディとシャープなショートアッパー、ショートフックが打てる村田が、なぜ右のストレートを打つとあんなにブサイクなオープンブローになるのか。
右ストレートの精度アップは世界挑戦を目論む村田にとっては急務である。

そして、さらに致命的なのが体力不足だろう。
毎回、5Rを越えたところでびっくりするくらいの失速を見せる様式美。あまりにも予想取りで笑ってしまう。
この失速を何とかしないことには、今後の強敵とはまともに戦えないのではないだろうか。

右ストレートの精度。そしてフルラウンド戦えるだけの体力。当面の村田の課題はこの2つだと思う。

西岡解説ってそんなに有能か?

7Rの終了間際にいい右とボディが入ってジャクソンがふらついたシーン。
結果的には今日のハイライトはあそこだった。もう少し早くあのパンチを当てていればKOできたのではないかと思うが、時間がちょっと足りなかった。

解説の西岡氏は「もっと積極的に打っていきたい」とおっしゃるのだが、攻防分離型の村田に対してそれは無理な相談だ。
村田は相手が打っている最中に打つことができない。
それはなぜか。
単純な話だ。相手に力が残っているときに打ち込むと相手の反撃を受けてしまうという恐怖。手痛いカウンターをもらうのではないかという恐怖から、自分から手を出すことができないのである。

相手が攻撃している最中はガードを上げて自分のターンを待つ。相手が打ち終わったところで自分のターンがスタート。自分のパンチを多く当てることで、徐々に攻撃の時間を増やしていく。そして、だんだんと相手をディフェンス一辺倒に追い込んでいく。こういう陣取り合戦のようなスタイルが村田のボクシングなのである。

前から思っていたのだが、西岡氏はどうも自分ができることは誰にでもできて当たり前だと思っているようなフシがある。できない人間の気持ちがわからないとでも言えばいいのか。天才型の人間に多い傾向だ。

そうではないのだ。
人にはそれぞれできることとできないことがあって、自分ができる範囲で精一杯の努力しているのだ。手持ちの武器が少なければ少ないほど、それをどうすれば効果的に使えるかを頭をひねって考えているのである。
世の中は西岡氏のようにある程度なんでも器用にこなしてしまうタイプの人間ばかりではないのだ。
滑らかな口調や専門知識の豊富さから有能な解説者に思われがちな西岡氏だが、実はそうでもないような気がしている。

成功? 失敗? ラスベガスデビュー戦を終えて

今回のラスベガスデビュー戦。果たして成功といっていいのだろうか。

断言するが、観客へのアピールという意味では間違いなく失敗だ。悪い試合ではないとは言ったが、印象に残る試合でないことは確かである。
今日の結果を受けて、今後村田がラスベガスに呼ばれることはあるのだろうか。より強いランカークラスとの試合が組まれるのだろうか。

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マッチメークもよくなかったと思う。
ガナー・ジャクソンのようなクネクネとした相手とは国内の試合でやるべきであって、今後のキャリアを左右するラスベガスのデビュー戦にふさわしい相手ではない。
まあ国内でやるにしても、テレビ的な演出に影響されることは十分考えられるが。

とはいえ、本当に強いボクサーであればそんなことは関係なくぶっ倒すわけだが。

もう一度言うが、村田の出来は悪くなかった。だがアピールという意味では死ぬほど微妙だった。

もしかしたらラスベガスなどには行かず、日本で安全な試合をせかせかと重ねている方がよかったのかもしれない。そんなことを考えた村田のラスベガスデビュー戦だった。

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