矢吹正道がロナルド・チャコンに11RTKO勝利。チャコンはよく粘ったけど勝てそうな雰囲気はなかった。矢吹攻略には接近戦だと思う。IBF王者ノンティンガ結構強くないっすか?【結果・感想】

矢吹正道がロナルド・チャコンに11RTKO勝利。チャコンはよく粘ったけど勝てそうな雰囲気はなかった。矢吹攻略には接近戦だと思う。IBF王者ノンティンガ結構強くないっすか?【結果・感想】

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2023年1月28日に愛知県名古屋市で行われたL・フライ級12回戦。前WBC同級王者矢吹正道がWBC7位ロナルド・チャコンと対戦し、11R2分35秒TKOで勝利した試合である。
 
 
2022年3月に寺地拳四朗との再戦に敗れた矢吹正道の復帰第2戦。
世界ランカーのロナルド・チャコンを相手に迎え、これに勝てば次は再び世界戦か? と言われる一戦だったわけだが。
 
困ったことに僕は試合の存在自体を忘れており当日は普通に外出していた。
で、帰宅後に「あ、そういえば矢吹正道が試合してるんだっけ」と思い出して後追い視聴した次第である。
 
というわけで、今回も結果をわかった上での感想ということをお伝えしておく。
 
寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ。MVPはオラスクアガで決まり!! 驚異の粘りで拳四朗の心を折りかける。フライ級なら京口よりも強いかもしれんな
 

ロナルド・チャコンががんばった。11Rまで腕を振り続ける姿は胸を打たれるものがあった

まず試合を観た感想としては、ロナルド・チャコンがめちゃくちゃがんばったなぁと。
 
7Rに2度、8Rに1度ダウンを奪われながらも折れることはない。深いダメージを抱えつつ11Rまで立ち続けたタフさ、闘志は文句なしに素晴らしい。それこそ最後の方はチャコンを応援していたくらい。矢吹が慎重だった(拳を痛めたらしい)のもあったが、あれだけボロボロにされながらもも最後まで腕を振り続ける姿は胸を打たれるものがあった。
 
ただ、この選手が矢吹に勝てそうかと聞かれると……。
正直、10回やっても10回矢吹が勝ちそうな印象である。
 

矢吹正道は拳四朗戦→タノンサック戦で攻略法が明確になったかな。強引に距離を詰められると一気にタジタジになる

下記でも申し上げたが、僕は拳四朗との再戦→前回のタノンサック・シムシー戦を経て矢吹正道の攻略法がだいぶ明確になったと思っている。
 
矢吹正道がタノンサックに7RTKOで勝利。でも攻略法がバレた感があるな。タノンサックはめちゃくちゃ応援してたし実際強かったけど、残念だった
 
この選手の根本はフットワークを駆使するカウンター使い。階級離れしたリーチの長さ、上背を活かしたアウトボクシングを持ち味とする。
 
薬師寺保栄を彷彿とさせるジャブで相手の勢いを止め、しっかりスペースを確保した状態からカウンターの右を打ち込む。
風貌を含めて一見荒々しいファイターに思えるが、実際にはその逆。下がりながらでも強烈な1発が打てる、一定の距離をキープするフットワーク、ストレート系のパンチ等、完全にアウトボクサータイプである。
 
ところがその距離を潰されると一気にタジタジになる。
拳四朗との初戦では拳四朗が接近戦に切り替えた5R以降、徐々に劣勢を強いられKO寸前まで追いつめられた。さらに再戦では初戦の反省を踏まえた拳四朗のプレスにまったく対応できずに2RKO負け。
前回の再起戦でも積極的に前に出るタノンサックに圧力負けするシーンが目立った。
 
最終的にはKO勝ちを収めたものの、この3戦を経て攻略法は出揃ったと言ってよさそう。
 

ロナルド・チャコンは矢吹とは相性が悪すぎた。完全に中間距離の選手だったね

そして今回のロナルド・チャコンだが、残念ながら矢吹を攻略するにはいろいろ物足りなかった(気がする)。
 
申し上げたように矢吹の持ち味はサイズを活かしたアウトボクシングだが、そこを突破するにはある程度の強引さ、身体の強さが必要になる。
極論、自分からは手を出さずにガードを上げてグイグイ前に出るのでもアリ。
 
だがロナルド・チャコンはそういうタイプではなく完全に中間距離の選手。矢吹と似たようなリズム、似たような距離で差し合いを展開し、当たり前のようにサイズ差を克服できずに撃沈した。
 
同時打ちのタイミングでジャブを出せば当然リーチが長い方が先に当たる。
中間距離からワンツーを打ち込んでも懐の深い矢吹の顔面にはなかなか届かない。
 
劣勢を打破しようという意思は随所に感じられたものの、自ら距離を詰めて打ち合うスタイルに慣れていないのは明白すぎるくらい明白。矢吹にあっさりサイドに逃げられ逆にカウンターをもらってダメージだけが蓄積していく。
 
拳四朗の接近戦で矢吹正道陥落。そりゃ序盤から倒しにくるよ。ガードを上げた拳四朗を初めて観た。不必要な再戦を強いられた矢吹の不憫さ
 
何度倒されても立ち上がり、11Rまで腕を振り続けたのは間違いなくすごい。
だが、何かを起こせる要素は皆無だった。
 
矢吹陣営がそれを見越した上でロナルド・チャコンを連れてきたのか、たまたま巡り合わせでこうなったのかは不明だが、とにかく今回は組みし易しな相手だなぁと。
 

この勝利で矢吹はIBF王座挑戦権獲得。あれ? シベナティ・ノンティンガって結構強くないか? 割と僕の好きなタイプかもしれん

なお矢吹正道はこの勝利でIBF王者シベナティ・ノンティンガへの挑戦権を獲得したとのこと。
 
今後の展望は未定らしいが、試しにノンティンガの試合を漁ってみたところ……。
 
あれ? コイツ結構強くないか?
 
身長165cm、リーチ170cmと矢吹に勝るとも劣らないサイズの持ち主。
以前観た際には「いい選手だけど王者クラスからはやや落ちるかも?」などとほざいたが、王座戴冠を果たした直近のヘクター・フローレス戦での動きはかなりよさげ。
 
WBAが暫定王座廃止? いや、暫定王座はいるだろw ここまでビジネスが肥大化すれば王座乱立も仕方ない? L・フライ級の上位ランカーに注目してみた
 
過去の試合では自分から圧力をかけるスタイルが目に付いたが、この試合ではジャブとフットワークを駆使しながらのアウトボクシングに傾倒。右の打ち下ろしでダウンを奪いつつ見事に判定勝利を収めている。
 
だが、矢吹のように絶妙なタイミングで打ち込むカウンターはこの選手にはなさそう。
どちらが前に出るかによって展開が変わりそうだが、矢吹が得意のアウトボクシングに持ち込めれば普通に可能性はあるのではないか。
 
 
あとはアレだ。
後半から露骨に失速&どんどん身体が丸まっていったことを考えればボディが有効なのは明らかである。
矢吹のボディ打ちをあまり観たことがないので何とも言えないが。
 
 
いやでも、なかなかいいっすねシベナティ・ノンティンガ。
割と好きなタイプだし、もし日本にくるなら僕はこちらを応援してしまうかもしれない。
 
ちなみに前回観たときよりもノンティンガが強く感じたのはこの選手が成長したからか、単に僕の目が曇っているだけなのかは不明である笑
全体的に脆そうな印象は相変わらずだが。
 
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