矢吹正道がタノンサックに7RTKOで勝利。でも攻略法がバレた感があるな。タノンサックはめちゃくちゃ応援してたし実際強かったけど、残念だった【結果・感想】

矢吹正道がタノンサックに7RTKOで勝利。でも攻略法がバレた感があるな。タノンサックはめちゃくちゃ応援してたし実際強かったけど、残念だった【結果・感想】

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2022年8月10日に三重県四日市市で行われた50kg契約10回戦。元WBC世界L・フライ級王者矢吹正道とWBO同級4位タノンサック・シムシーの一戦は7R2分11秒TKOで矢吹が勝利。今年3月の寺地拳四朗戦以来の復帰戦をクリアした試合である。
 
 
前王者矢吹正道の復帰戦。
対戦相手は無敗のタノンサック・シムシーとのことで、大いに注目された試合である。
 
ところが開催地は三重県、中継も三重テレビのみ。関東住みの僕にはリアルタイムで視聴するすべがなく。
 
どうしよっかな〜と思っていたところ、「あ、そうだ!!」と。
(何年も連絡を取っていない)三重県在住の知り合いがいたことを思い出し、数年ぶりに連絡してみることに。
この試合を録画して送ってくれないかとお願いしたところ、快く引き受けてくれた次第である。
 
で、先ほどようやく視聴を終えたという。
 
いや、いつもはここまでがんばって観ようとは思わないんですけどね。
矢吹正道とタノンサックという、いろいろと思うところがある選手同士の対戦だったおかげで謎の情熱が湧いてしまった笑
 
突然の連絡&意味不明なお願いにも関わらず引き受けてくれた知り合いには感謝である(違法視聴じゃないよアピールみたいになっとる笑)。
 
矢吹正道vsシベナティ・ノンシンガ。すげえわ矢吹。ここまで圧倒するとは。ノンシンガ応援だったけどクッソ驚いたわ笑
 

僕は矢吹正道、タノンサック・シムシー両選手に思い入れがある。「海外選手を招聘した」という実績作りのために振り回されたタノンサックに幸あれ

まず申し上げたように僕は矢吹正道、タノンサック・シムシー、どちらの選手にも妙な思い入れがある
 
 
タノンサックはWBC世界L・フライ級王座に挑むために2020年11月に来日した選手。
 
コロナ禍真っ最中ということで来日早々2週間の隔離を強いられ、その間王者側は日々絶好調アピールに余念がない。
さらにタノンサックの監禁中、主催ジムの会長が「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン違反で罰金50万円」を課される信じられない醜態を晒す。
 
で、挙げ句の果てに前日に王者の新型コロナウイルス感染が判明→試合自体が消滅するという。
 
「東京オリンピックに向けて海外選手を招聘した」という実績作りのためだけに無理やりコロナ禍での開催を決め、主催者本人が幼稚園のガキでもやらないような醜悪極まりない行動で罰金を食らう。
そしてとどめはホスト側の選手のコロナ感染による試合中止。
 
あの一連の出来事は筆舌に尽くし難いほど胸糞悪かったし、今考えても吐き気が止まらない。
 
また、日本のジム所属ということで好き勝手に振り回されたタノンサックには同情しかない。
この選手にはどうにか報われてほしいと思っていたところである。
 
京口試合前日にコロナ陽性で全試合中止←センスのかけらも感じないぞ。タノンサックが気の毒過ぎるし…。つまりダナ・ホワイトは神
 

文句なしの勝利を挙げながらも理不尽な再戦に駆り出されて王座から陥落した矢吹正道に幸あれ

対する矢吹正道は2021年9月の寺地拳四朗戦で文句なしの勝利を収めながらも前王者側のクレームにより理不尽な再戦を強いられる羽目に。
拳四朗の接近戦に対応できずに3RTKO負けを喫してしまう。
 
初戦で矢吹のスタイルをインプットした拳四朗にいっさいの迷いはなく、逆に矢吹は拳四朗の出方に面食らっているうちにクリーンヒットを許して撃沈。
 
拳四朗のスタイルチェンジばかりに注目が集まった一戦だったが、正直僕はあの結果にはまったく納得していない。
矢吹が接近戦が得意ではないのは初戦で明らかだったし、近場の打ち合いでは拳四朗に分があることもはっきりしていた。
 
もともと地力が上の側が攻略法をバッチリ把握した状態で再戦に臨めばああいう結果が出るのはごく普通のこと。
 
一点突破の大勝負で金星をつかんだ初戦に妙なケチをつけられ、丸裸の状態で再戦を強いられた&大手プロモーターとの契約もパーにされた矢吹には同情しかない。
 
上記のタノンサック同様、この選手にもどうにか報われてほしいと思っていたところである。
 
拳四朗の接近戦で矢吹正道陥落。そりゃ序盤から倒しにくるよ。ガードを上げた拳四朗を初めて観た。不必要な再戦を強いられた矢吹の不憫さ
 

タノンサックはよかった。これはいけるか? と思わせるシーンもあったよね

思い入れトークが長くなったがそろそろ本題に。
 
試合の感想だが、「矢吹は完全に攻略法がバレたなぁ」と。
 
 
タノンサックには報われてほしいとは言ったが、過去の試合を観る限りそこまで強そうな感じはない。いい選手だとは思うが、世界戦の舞台に抜擢されるほどの強さには見えなかったのが本音である。
 
だが、この試合で見せたファイト、積極的に前に出る姿勢には大いに期待を抱かせた。
ガードの外側から打ち込む右やど迫力のアッパー、その他。被弾した矢吹が一瞬動きを止めるなど、「このままいけるか?」というシーンも何度かあった(と思う)。
 
正直、僕はもう少し一方的な試合になるかも? と予想していたのだが、決してそんなことはなく。この試合に関しては十分な強さを見せていた。
 
矢吹正道がロナルド・チャコンに11RTKO勝利。チャコンはよく粘ったけど勝てそうな雰囲気はなかった。矢吹攻略には接近戦だと思う。IBF王者ノンティンガ結構強くないっすか?
 

拳四朗戦を参考にしての近場での打ち合いで勝負。連打を浴びると頭を下げてまっすぐ下がる、ロープ際で亀になる矢吹の悪癖

恐らくだが、タノンサック陣営は前回の拳四朗を参考にしていたのだと思う。
 
開始直後からガードを固めて距離を詰め、左リードで矢吹を下がらせる。
時おり遠間から踏み込むと同時に左を振ったり、ボディに左を伸ばしたり。また、いきなり顔面に右を打ち込んでみたり。
 
拳四朗戦との2連戦で「近場で連打を浴びると頭を下げてまっすぐ下がる」「ロープを背にして亀になる」矢吹の悪癖が顕著になったわけだが、この試合のタノンサックも明らかにそこを狙ってきていた。
 
そして、その作戦はそこそこ成功していた(と思う)。
タノンサックの前進に矢吹はかなりタジタジしていたし、実際何発か効いたパンチもあった(と思う)。
序盤2Rにカウンターでダウンを喫したものの、このままのペースでいけばどこかで捕まえるかも? と思わせるほどの流れができていた(気がする)。
 
申し上げたように僕はどちらの選手にも思い入れがあるのだが、どちらか一方を選べと言われれば断然タノンサック。
1発いいのを当ててそのまま一気に押し切っちまえと思いながら観ていた次第である(結果を知った上での視聴だけど)。
 
エストラーダvsコルテス。エストラーダは調子悪そうだったな。コルテスもよく研究してた。でも、勝負強さと二番底を見せつけての勝利はさすが
 

割と早い段階で矢吹に動きを読まれたのが…。階級離れしたサイズと鋭いジャブ、カウンターが持ち味の矢吹正道

ただ、割と早い段階で矢吹にタイミングを読まれたのが痛かった。
 
矢吹正道の基本はカウンター使い。
L・フライ級離れした長身と長いリーチで打ち出すジャブで相手の前進を止め、打ち終わりを狙ってカウンターを当てる。
手数は決して多くないが見切りとタイミングは抜群。拳四朗との初戦ではこのカウンターで拳四朗の生命線であるジャブをことごとく封じてみせた。
 
そして、今回も相変わらずジャブとカウンターは素晴らしかった。
 
前進しながらジャブを打ち出すタノンサックを差し合いで上回り、2Rには踏み込み際のカウンターで見事なダウンを奪う。
それ以降もロープに詰まりそうになるたびにジャブでタノンサックの動きを止める→スルッと横を抜けて距離を取るの繰り返し。
3、4Rあたりでタノンサックのタイミング、スイング軌道をほぼ把握した印象である。
 
 
タノンサックももう一歩近付いて打ち合いに巻き込みたいが、矢吹がカウンターを狙っているのがわかるせいで迂闊に飛び込めない。
中間距離でのジャブの差し合いではかなわず、前に出ながらもダメージだけが溜まっていく。
 
で、出足が鈍った6Rに右のカウンターを被弾→ラッシュを浴びてこの日2度目のダウン。あれが実質勝負ありのダウンだった。
 

矢吹は攻略法が完全にバレたっぽい。「強い相手とやりたい」気概は素晴らしいけど、手の内をみせすぎるのは…

無敗のタノンサックをKOして復帰戦を飾った矢吹正道。
だが、申し上げたように攻略法は完全にバレた印象である。
 
基本はカウンター使い、階級離れしたサイズを活かしたジャブとカウンターを持ち味とする矢吹だが、何度も言うように接近戦では脆さが目立つ。
 
近場で強引な連打を浴びると頭を下げて「キュウ〜ン」となる上にロープ際ではガードを固めて耐える以外にできることがない。拳四朗の連打、圧力に面食らって撃沈したことを考えると、回転力のあるタイプには相当苦労させられそうなイメージ。
 
それこそタノンサックにもう少し近場での精度があれば結果は逆になっていたという噂も?
 
PFP No.1デビン・ヘイニーがカンボソスと再戦決定。ウシク? 井上? クロフォード? ちげえよ。再びヘイニーがPFPに返り咲くんだろ()
 
恐らく今後の相手も似たような作戦で挑んでくる可能性が高く、タノンサックよりも上のレベルと遭遇した際にどうなるか? という話。
本人の「強い相手とやってきっちり勝ちたい」という気概は素晴らしいが、あまり手の内を見せすぎるとよろしくない気も……。
 
まあ、「それをできるのは誰?」「王者以外で誰ができるの?」と聞かれるとすぐには出てこないのだが。
 
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