ワイルダーがアレオーラを下してV4!! 圧勝? 意外と危なかったぞこの試合。階級最強ではなさそうだな【結果】

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アラバマ州橋と海イメージ
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2016年7月16日(日本時間17日)に米・アラバマ州で行われたWBC世界ヘビー級タイトルマッチ。同級王者デオンテイ・ワイルダーがランキング9位の挑戦者クリス・アレオーラを8R終了TKOで下し、4度目の防衛に成功した。

試合は長身を活かしたワイルダーが多彩な左を打ち込み、アレオーラを終始コントロールする展開。4Rに左右の連打でダウンを奪うなど、試合を通してペースを渡さず8R終了時点でアレオーラを棄権に追い込む。

この勝利で戦績を37戦全勝36KOとしたワイルダーだが、試合後に右手骨折と右腕の筋断裂が判明した。

実はかなり危ない試合だった。アレオーラの作戦がバッチリ機能していた

8R終了時点でアレオーラがギブアップ!!

今回の試合、結果だけ見ればワイルダーの完勝である。
だが、これはどうなのだろうか。実はワイルダーはちょっと危なかったのではないかと思うのだが。
というより、アレオーラがうまかったというべきか。何とも言えないところだが。

まず、ワイルダーの左に対するアレオーラの対応はかなりよかった。
距離を測り、ダイナミックな右につなげるためのワイルダーの左。これを左手ではたき落とし、右手で受け流す。ガードの間を突き抜けるシーンも数多く見られたが、アレオーラはワイルダーの左にうまく対応していたと言っていいのではないだろうか。

一発目の左を封じられると、ワイルダーにはできることがなくなる。恐らくアレオーラはそのことに気づいていたのだろう。
左で距離とリズムをとり、そこから右を強振。ワイルダーの攻撃パターンは基本的にこれだけである。そのため、きっかけとしての左を封じられると途端に手詰まりになってしまうのだ。

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左を封じることでワイルダーの攻撃の幅を狭め、手数が減ったところで距離を詰めてのインサイド勝負。これが今回のアレオーラの作戦である。
そして、実際その作戦はかなり機能していた。4Rにダウンを奪われるまでは。

試合を観直してみるとわかるのだが、今回のアレオーラは3Rから勝負に出ている。
1、2Rでワイルダーとの距離感を掴み、3R開始直後から間合いを詰めてインサイドでの打ち合いに持ち込む。ワイルダーにロープを背負わせ、手数を封じたところで顔面にフックをドカン。アレオーラの頭の中にはここまでのシナリオができていたはずである。
だが、勝負をかけて圧力をさらに強めた4R。ワイルダーの瞬間的な爆発力に逆転を許してしまったのだ。

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4Rのダウンで勝負を決めたワイルダー。この野性的な爆発力はやっぱりすごい

改めて思ったが、このワイルダーの野獣性というか、一瞬の爆発力は本当に群を抜いている。
基本的には両腕を振り回しているだけ。やっていること自体はかなり稚拙である。

ただ強い。
とにかく強い。

個体能力の強さによって、アレオーラが一つ一つ丁寧に積み重ねたものを土台からひっくり返してしまうのである。

堅いガードの外側から左をテンプルに放りこみ、返しの右で強引に叩き落とす。オープンブローというか、当たっているのは完全に手首である。それでもお構いなしにパンチスピードとパワーにまかせてアレオーラをねじ伏せ、無理やり流れを自分に持ってきてしまうのだ。

この試合は実質4Rまで。
健闘したアレオーラだが、あのダウンで積み重ねたものをチャラにされた上に甚大なるダメージを抱えてしまった。
特に「いける!!」と思って勝負をかけたところで逆転されたのはキツかった。真正面からパワーではじき返されたという現実は、精神的にも肉体的にもダメージが大きかったと言わざるを得ない。

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5R以降、アレオーラは何度もやり直そうとがんばっていたのだが、正直僕には悲壮感しか感じられなかった。ダメージで出足が鈍ったところにワイルダーの左を被弾しまくる。どう考えても4Rのダウンは致命的だった。

とにかくあと一歩踏み込めていれば。
もう一歩間合いを詰められていれば、ワイルダーの顔面にフックを叩き込むチャンスは巡ってきたと思う。だが、最後のひと伸びでワイルダーの攻撃力とリーチにはね返されてしまった。

右手を故障しても持ち前のスピードとパンチ力で押し切ってしまうワイルダー。でも階級最強とは言い難い

恐らくワイルダーが右手を痛めたのは4Rのラッシュのときだろう。
5R以降に右がガクンと減ったことを考えれば、あそこで負傷したというのは誰の目にも明らかである。
ただ、それでもパンチスピードと左のゴリ押しだけでアレオーラをストップしてみせた攻撃力はさすがと言わざるを得ない。

今回の試合、ワイルダーは技術面ではアレオーラに劣っていたと思う。だが、勝利したのはワイルダー。パワーとサイズの違いでねじ伏せてしまったのである。

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つまり、大きな身体とスピード、パワーが揃っていれば何とかなる。
結局コンタクトスポーツはサイズとフィジカル。デカくてパワーとスピードがあれば、ある程度の優位性を確保できる。その現実をまざまざと見せられた試合だった。
まあ、世界タイトルマッチレベルでも個体能力で勝ってしまうのだから十分すごいのだが。

ただ今回の試合を観てもわかるように、ワイルダーはクリチコには及ばない
クリチコにはワイルダーと同等のパワーとリーチ、上背に加え、絶対的なフィジカルの強さがある。
届かない、何もさせてもらえないというクリチコの絶望感。それに比べれば、ワイルダーの野獣性を持ってしても見劣りする部分は多い。パワーとスピードはすごいが、現段階でのワイルダーは決して階級最強ではない。

「クリチコに勝ったタイソン・フューリーがおもろすぎる件ww ここまで全方位的に隙だらけなヤツだと逆に気になるぞ」

ヘビー級戦線の盛り上がりがすごい。ビジネス的な駆け引きなしのビッグマッチを望みます

ワイルダーの今後についてだが、残念ながら右手の負傷によってしばらくブランクを作ることになりそうである。せっかくヘビー級戦線が盛り上がっているのに非常に残念なのだが。

ただ繰り返しになるが、この試合を観る限りワイルダーがヘビー級最強でないことは間違いない。左を封じられると攻め手を失うこともそうだが、何より懐に入られると厳しくなるというのは大きい。
ちなみに現在のヘビー級にアレオーラ以上にインサイドが強いタイプはいるのだろうか。とりあえず他団体の王者にはそういうタイプは見当たらない。よくわからないが。

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ただ、どちらにしろクリチコ陥落以降のヘビー級は本当におもしろい。
この階級こそ、あれやこれやの駆け引きを抜きにしたガチのマッチメークを突き進んでもらいたいところである。

ん? タイソン・フューリーさんは別格ですよ?
あの方は勝つとか負けるとか、そういう次元の方じゃないですからね。すでに「タイソン・フューリーさん」という一つのジャンルを確立した存在です。はい。

「タイソン・フューリーさんは何をなさりたいんですかねぇww クリチコ戦後の引退を宣言?」

天笠尚はワイルダーのスタイルでいけばいいんじゃないのか? あれだけの体格とフィジカルを活かさない手はない

これは余談なのだが、今回のワイルダーvsアレオーラ戦を観てどことなく2016年4月に行われた天笠尚vsジョシュ・ウォーリントン戦が思い浮かんだのだが、どうだろうか。あの試合の逆バージョンというか。

「ロマゴンvsクアドラス? クアドラスに勝ち目あるか? 判定までいけば上出来でしょ」

ワイルダーを見ていると、天笠も余計なことを考えずにフィジカルでゴリ押しすればあの試合に勝てたのではないかと思えてくる。錯覚かもしれないが。

堅実さや実直さ、基本を押さえていたのはウォーリントン。たが、身体の強さと上背で上回っていたのは完全に天笠である。

天笠の試合を観るたびに思うのだが、この選手はもう少し自分の特性を活かした方がいいのではないだろうか。

あれだけの上背とフィジカルを持っているのだから、細かいことを考えずに両腕をぶん回せば。リーチを活かしてガードの外側から叩き込めば、もしかしたらあの試合も何かが起きていたのではないだろうか。うまくアッパーが当たっていただけに本当に悔やまれる。

「左だけ? 違うわ! スティーブンソンがウィリアムスを4RKOで下す!! L・ヘビー級たまらんな」

実際、ワイルダーのように野生に任せたスタイルでゴリ押しすれば天笠はもっと上にいけるような気がする。

組み立て?
技術?

関係あれへん。
パワーとサイズで押し切ってやんよ。お?

「サンタクルス初黒星!! ジャッカル・フランプトンに判定で敗れる!! え? 117-111?」

まあ、天笠にはワイルダーのようなパンチスピードも野獣性もないので難しいところではあるが。
「ボクシングはそんな甘いもんじゃない」と怒られそうだが。

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