WBOAP王座がしょーもないなんてことは絶対ないから。小原佳太がWBOアジア・パシフィック・ウェルター級王座決定戦に勝利して新王者に

WBOAP王座がしょーもないなんてことは絶対ないから。小原佳太がWBOアジア・パシフィック・ウェルター級王座決定戦に勝利して新王者に

WBCベルトイメージ
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2017年8月10日に東京・後楽園ホールで行われたWBOアジア・パシフィック・ウェルター級王座決定戦。同級1位の小原佳太が同級5位のナロン・ボーンチャンと対戦。2R2分43秒TKOで勝利し、新王者となった試合である。
 
 
開始直後から前に出て腕を振り回すナロンに対し、サイドに回りながらジャブを当てていく小原。
スピードとリーチの差を活かして的確なパンチを繰り出し早くも試合のペースを掴む。
 
そして2R。
ゴングから積極的に前に出た小原の右が、ナロンのテンプルにクリーンヒット。一瞬動きが止まったところに追い打ちをかける。
 
さらに右を再三被弾したナロンは、グロッキー状態で前のめりに倒れるようにダウン。
何とか立ち上がったものの、ロープに詰められ打たれっぱなしになったところでレフェリーが試合を止める。
 
これで戦績を21戦18勝2敗1分16KOとした小原。
2016年9月にロシアでトロヤノフスキーに敗れて以来、再起から2連勝を飾った。
 
「マクレガーがメイウェザーに勝利するには? 世紀の茶番()マッチの勝敗予想」
 

WBOアジア・パシフィック(WBOAP)王座が正式に承認され、日本人の王者が立て続けに誕生。でも批判も多いよね

2017年8月から日本で正式承認されたWBOアジア・パシフィック(WBOAP)王座。
王座戦自体は昨年9月から開催されており、現在7階級を日本人王者が占めている。WBOAP王座は獲得すると、同時にWBOの世界ランキング入りがほぼ約束され、世界戦挑戦の近道とも言える地域タイトルとなっている。
 
その筆頭が、今年7月に同フライ級王座を獲得後、ゾウ・シミンとの世界戦に勝利した木村翔。
 
「木村翔はワシが育てたww ゾウ・シミンにアウェーでジャイアント・キリング!! 大観衆の前で中国の英雄にTKO勝利」
 
そして、今月からJBCが正式に国内承認を認めたため、立て続けにタイトルマッチが開催されている。
その流れで、チャンスを求めてウェルター級に階級をアップした小原佳太が、同タイトルを獲得したという経緯である。
 
ただ、この王座に対しては批判が多いこともまた事実である。
特に王座の数が増えることで選手が分散し、試合ごとのクオリティに悪影響を及ぼすことが懸念されている。
 
実際、日本ランキング下位の選手がWBOAPランキングで上位に入るという逆転現象も起きており、王座の意義に懐疑的なファンや関係者は後を絶たない。
 

WBOAP王座を批判、否定する気持ちはわからないでもない。でも、メリットの部分に目を向けた方がいいと思うよ

いろいろと批判の多いWBOアジア・パシフィック(WBOAP)王座。
 
試合のレベルを心配するファンの声は理解できるし、ワクワクするマッチメークを求める気持ちもわかる。
 
王座の数が増えることで、有力選手同士がぶつかる魅力的なマッチメークが減ってしまうのではないか? ただでさえボクシング人気が低下しているのに、妙な地域タイトルを増やしてる場合じゃないだろう。
 
こういった言い分は「確かにその通り」だと思う。
 
「トロヤノフスキーが挑戦者決定戦に勝利。ポルティージョを1RKOで下して次期挑戦者に名乗り。ホントに内山高志に似てる」
 
だが、常々申し上げているように、僕はこのWBOアジア・パシフィック(WBOAP)王座には大賛成の人間である。
というより、このタイトルによるデメリットより、このタイトルのおかげで享受できるメリットの方がはるかに大きいと思っている。
 
WBOアジア・パシフィック(WBOAP)王座に異を唱える声があまり大きくなるのはよろしくないと感じており、「みんな、ちょっと保守的過ぎないか?」という気持ちが強い。
 
「拳四朗4RTKO!! ペドロサ手も足も出ず。いいですね拳四朗。ホントに期待できるぞこの選手。まあ、今回は相手が微妙だったけど」
 
言いたいことはわかるが、WBOとIBFを承認したときからこの流れは止まらない。むしろ、王座のメリットを目一杯利用する方がよっぽど前向きじゃないか?
などなど。
 
「金子大樹引退?! マジでか。内山引退→しゃーない。三浦引退→ワカル。山中陥落→完敗だね。てか会長老害過ぎワロタww 金子引退→は?」
 

WBOAP王者最大のメリット:WBOランキングに入れる

これは読んで字のごとくなのだが、WBOAP王者になると、同時にWBOランキングに入れるというのはかなり大きい。
件の木村翔がまさにこれで、WBOAP王者=世界挑戦資格という最短ルートを体現したのはホントにすばらしかった。
 
特に、小原佳太のように、日本人の入る隙がない階級の選手にとってはマジでありがたいのではないだろうか。
日本国内やアジアで無双しても、なかなかチャンスに恵まれないS・ライト級やウェルター級。気長に「チャンスを待つ」と言いながら無駄にキャリアを浪費するより、とりあえずランキング入りして挑戦資格を得ておくのはどう考えてもアリである。
 
「クロフォードww インドンゴをボディ一閃!! 4団体統一戦に3RKO勝利。ナミビアのシンデレラストーリーを破壊する」
 
ランキングにさえ入っておけば、前哨戦と銘打って上位ランカーから声がかかる可能性もあるし、木村翔のように組みし易しの挑戦者とみなされるかもしれない。
勝てるかどうかはともかく、てっとり早く世界の有力選手たちと同じ舞台に上がれるのなら、それを利用しない手はない。
 
ちなみに先日のナロン・ボーンチャン戦は、内容的には「お、おう……」という感じで、正直このまま世界タイトルマッチに進んでも厳しいように思えた。
また、それを踏まえた上でトロヤノフスキー戦を観直し、「あ~、なるほど」と納得してしまった次第である。
 
まあ、それはまた別の話なのでアレだが。
 
「バドゥ・ジャックはすげえだろ? クレバリーを問題にせず圧勝。驚いたかオイ? 俺は驚いたぞww」
 

世界王者に挑戦するレベルの選手がアルバイトをしなくては生活できないのがボクシング界の現状

そもそも論として、ボクシングは世界王者になってナンボの競技である。
 
「【ボクシング】元ヤンチャ少年の木村、中国の英雄にTKOで世界王座奪取」
↑木村翔の記事を読んでも、世界王者になって初めて道が拓けるというのがひしひしと伝わってくる。
 
・王座の乱立で魅力的なマッチメークが減る
・ベルトの価値が下がる
・選手の知名度アップやボクシング人気につながらない
 
「“第3の日本タイトル”危惧も…地域タイトル・WBOAP王座の在り方とは」
 
こういった意見があるのはわかるが、そもそもの問題は世界王者にならないと収入が増えないことじゃないのか?
 
上記の木村翔の記事で、「とりあえず世界チャンピオンになったからアルバイトは辞めようかな」という本人のコメントがある。
 
つまり日本ランキングに名を連ね、世界タイトルに挑戦するレベルの選手でも、アルバイトをしなければ生活できない。これが日本ボクシング界の現状である。
 
「大竹秀典vs丸田陽七太感想。丸田はちょっと期待はずれだったなぁ。フィジカルに巻き込まれて完敗。てか、大竹vs臼井なんて試合があったんかい!」
 
木村が昔ヤンチャだったとか、入れ墨を消したとか、そんな話はどうでもいい。
それより、世界王者にならなければボクシング1本で暮らしていけない状況の方がよっぽど問題だと思う。
王座の乱立とか、魅力的なマッチメークどうこう以前に。
 
「カネロ・アルバレスvsゴロフキン予想。頂上決戦開幕だぜ。若き英雄か、破壊の帝王か」
 

日本王者でも割に合わない待遇? やっぱり世界王者にならんと

たとえばだが、日本王者の1試合のファイトマネーが150万円だとする。
仮に年間4試合防衛戦をこなしたとして、年収600万円。
人気選手ならスポンサー料などもあるかもしれないが、ここではそれは考えないことにする。
 
正直、年収600万円なら一般的なサラリーマンと比較してもそこまで悪くはない。
人気が上がればもう少しファイトマネーも増えるだろうし、そこそこ夢があるやんけ。
 
と言いたいところだが、さすがにそれは短絡的な気がする。
 
「田中イキり過ぎたな。パランポンを9RTKOに下すも、試合後に病院に直行。田口良一との統一戦は白紙?」
 
まず、確実に年間4試合できる保証はどこにもないし、できたとしても勝てるとは限らない。
その前に、年間4試合のペースをどれだけ維持できるかという問題もある。選手数自体が減っている現状、実力に見合った挑戦者を連れてくるのも難しいかもしれない。加えて、そんな長期間日本王座を保持し続けるのもどうなの? という問題もある。
 
「衰えまくったメイウェザーがセンス抜群のマクレガーにTKO勝利!! お前ら最高やww 報酬100億円のメイウェザー」
 
どこかで日本王座に区切りをつけて次の段階に進むことになるわけだが、そこで負けてしまえば日本王者時代の収入も失う。
もちろんケガをしてブランクを作れば、それだけで収入は半減。
 
ますますボクシング1本で生活するのは難しくなり、アルバイトで生計を立てることになる。
 
「日本一恵まれた男、河野公平がレックス・ツォーに敗れる。中国の英雄に打撃戦の末に負傷敗戦。惜しい! 勝てる試合だったな」
 
日本王者で年収600万円。
それを維持できるのもせいぜい1〜1.5年。
 
しかも、毎試合勝つか負けるかわからないガチのマッチメーク()を要求され、それに応えなくてはならない。
 
「ロマチェンコ攻略の糸口見っけ? マリアガボッコボコ。今日も対戦相手をオモチャにして遊ぶ」
 
ん~……。
身体に障害が残る危険性をはらんだスポーツで、この待遇はかなり過酷ではないだろうか?
 
「後楽園ホールのボクシング興行とかいう客入りガラッガラのスポーツイベント。ボクシングはテレビで観るべき理由」
 
まさか「6畳一間の風呂なしから成り上がるのが美しい」などという浪花節がはびこっているとは思わないが、やはり最低限の安定は必須である。
また、リスクの高いスポーツだけに、末端の選手でもそれなりの待遇を得られなければ、なかなか志望者が増えるとも思えない。
 
「ジャーボンティ・デービス体重超過ww フォンセカにKO勝利もさっそくネタキャラ化。尾川が防衛戦キャンセル? ええやん別に」
 

世界王者になってチヤホヤされたくね? 深田恭子に会いたくね? お金欲しくね?

これを言うと怒られるかもしれないが、僕は目の前に近道があるなら、そこにガッツリ乗っかった方がいいと思っている。
「若いときの苦労は買ってでもしろ」など詭弁以外の何物でもないし、苦労しなくていいならそれに越したことはない。
 
そして、そのための近道が新たにできたのだから、これを利用しない理由がない。
 
「京口世界王座!! アグルメドとの激戦を制す。いいですね京口! こういう試合が観たかった。最短世界一は無意味?」
 
わざわざ過酷な国内サバイバル()とやらを勝ち抜いて、分母の少ない本物のボクシングハァン()にリスペクト()されるより、世界王者になってライト層にチヤホヤされた方が間違いなく実入りは多い。
 
異性にモテたい。
いい車に乗りたい。
いい家に住みたい。
お金が欲しい。
チヤホヤされたい。
有名人に会いたい。
 
こういう俗物的な欲求は嫌悪されやすいが、何かに向かって努力する際のモチベーションには凄まじい効果を発揮することもまた事実である。
 
小國以載もジョナタン・グスマンに勝ったおかげで憧れの深田恭子に会えたわけで、「世界王者」という肩書きの威力は依然として強力である。ベルトの価値云々などという戯れ言よりもはるかに。

 

というより、今の日本でボクシングで成功しようと思ったら、現状世界王者になるしかない。
むしろ世界王者になってからがスタートとも言えるわけで、そこに到達する道が増えたことは喜ぶべきだと思っている。
日本人が進出するのが難しいライト級以上の階級ではなおさら。
 
「小國vsグスマン感想。怒らないで聞いて。実は小國が勝てるんじゃないかと思ってた。でもビビって口に出せなかった」
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement
 
 
 

 

 

 

 
 

 
 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!