最強のクソ試合製造機アンドレ・ウォードさんが本日も安定の完封。ブランドを寄せつけずに大差判定勝利!! コバレフ戦? さすがにこの試合じゃわからんな【結果】
2016年8月6日(日本時間7日)に米・カリフォルニア州オークランド、オラクル・アリーナで行われたL・ヘビー級12回戦。WBA同級2位のアンドレ・ウォードにランキング10位のアレクサンデル・ブランドが挑んだ一戦は、大方の予想通り3-0(120-108、120-108、120-108)の大差判定でウォードが勝利を飾った。
今年11月に予定されるセルゲイ・コバレフとの大一番に向けての前哨戦となったこの試合。ブランドを相手にウォードがどのような試合運びを見せるかに注目が集まっていたが、結果はくせ者のベテランをまったく寄せつけない安定感を見せての圧勝。
「コバレフvsウォード感想。コバレフ敗れる!! ウォードが3-0の判定で王座奪還!! 神の子がクラッシャーに鼻差で勝利」
これで7月にイサック・チレンベを順当に敗り、王座を防衛したコバレフとの一騎打ちが確実となったウォード。歴史に残る一戦に向け、チューンナップは完了か。
圧勝のアンドレ・ウォード。まったく起伏のない安全運転で大差の判定勝利
ウォード完勝!!
高速のワンツーでブランドを圧倒する。
カウンター狙いのブランドに「これは間に合わない」と思わせ、萎縮させる。
体格的なハンディがない相手に自分からプレッシャーをかける。
これが以前の記事で僕が予想した展開だが、概ねその通りだっただろうか。
というより、多くの方がウォードの大差判定を予想していたように、ほぼ山も谷もなく平和に終わった試合というヤツである。
「え、コイツと? アンドレ・ウォードがアレクサンデル・ブランドと激突」
今回も安定のアンドレ・ウォードさん。
圧倒的な力の差があっても安全運転は変わらず。
さすがというか、退屈というか。
まさしく最強のクソ試合製造機である。
「ロマゴンvsクアドラス? クアドラスに勝ち目あるか? 判定までいけば上出来でしょ」
リターンの恐怖で相手をがんじがらめにするスタイルはメイウェザーと共通する。もう一歩踏み込めば倒せるのにそれをしないのもメイウェザー的
いや、すごい。
アンドレ・ウォードはやはりさすがとしか言いようがない。
試合終盤にブーイングが聞かれるなど、一部では「最低の試合」と言われているようだが、個人的にはそこそこ楽しめた試合だった。
圧倒的スピード差とパンチの精度で相手をがんじがらめにする。
防御一辺倒になったところでじっくりとコーナーに追いつめる。
リターンの恐怖というか、スピードとスキルの差で相手にプレッシャーを感じさせるスタイルは本当にすごい。メイウェザーvsカネロ戦と共通するのだが、相手は自分が手を出した瞬間に倍以上の反撃にさらされるという恐怖を感じるのだろう。1R終了時点でブランドがカウンターを諦めた時点でほぼ勝負は決まっていた。
「今さらメイウェザーとパッキャオを語る。アルバレスvsカーン戦を観て、この2人が唯一無二の存在」
開始2Rでリターンの恐怖を植え付けてからのウォードはやりたい放題である。
ガードを上げて距離を詰め、左を中心に細かいヒットを積み重ねる。安全な距離を保ちつつ、時おり鋭い踏み込みから高速の右を叩き込む。各ラウンドに必ず1発パワーパンチを叩き込み、確実にポイントを奪取するのである。
注意するのはブランドの飛び込みだけ。左腕を伸ばしてブランドの侵入経路を塞ぎ、絶対に懐に入らせない。絶対的な距離感と防御勘を最大限に発動し、必要最小限のアクションでブランドのパンチを防ぐ。
何度もいいパンチが当たっているのに、そこからもう一歩踏み込まないのもウォードらしいww
省エネかつ効率的。
ある意味、身体能力に優れた選手の完成型と言ってもいいスタイルではないだろうか。
身体能力系の選手が行きつく究極系。省エネと効率を極限まで突き詰めたスタイル
S・ミドル級からの階級アップによって、アンドレ・ウォードがスタイルチェンジした部分は主に2点。
防御の動きを最小限に抑えたことと、手数を減らして1発のパンチを強めに打つこと。
要するに、相手の耐久性アップに合わせてパワー面を重視するスタイルに変えたということである。
「アンドレ・ウォード降臨!! サリバン・バレラを大差判定で下してL・ヘビー級のテストマッチを楽々クリア」
相手の攻撃に対して必要以上に動かず、芯を食わないことに集中する。ガードを上げて小さなアクションでパンチを防ぎ、リターンまでのタイムラグをなるべく小さくする。防御によって態勢を崩すことがないため、より強いパンチをより速いタイミングで打つことに特化したスタイルである。
もちろんこれまでもその傾向は強かったのだが、今まで以上にアクションを小さくすることで、常に反撃姿勢を保つ。なおかつパワフルなパンチを返すことを可能にしているのだ。
ポイントゲームが重視される近代ボクシング。
複数階級制覇の価値が高い風潮。
メイウェザーもそうだが、これらの要因を考えると身体能力系の選手が最終的に行きつくのはどうしてもこのスタイルになるのだろう。
「コバレフvsウォード予想!! PFP最強を賭けた2016年最大のメガマッチ!!」
防御重視の省エネボクシング。
打たれたくない、スピードとテクニックで相手を翻弄して勝ちたい選手が「安全かつ確実に勝利する」ことだけを追い求めた結果、行きつく場所はここなのだ。
それが実行できるかどうかは別にして。
僕は以前からエイドリアン・ブローナーの理想型はメイウェザーではなくバーナード・ホプキンスだと主張しているのだが、実はそれも似たような理由からである。ブローナーは間違いなく天才だが、メイウェザーやロイ・ジョーンズには及ばない。ああいう一部の超人に比べればまったくのパンピーである。
「エイドリアン・ブローナー完勝!! アーラフベルディエフをスピードとテクニックで圧倒して12回TKO」
そういう意味でも、今のブローナーのスタイルは燃費が悪すぎる。広いスタンスで踏ん張るより、ホプキンスのようにリラックスしてゆったり構えれば今よりも確実性が増すと思うのだが。
また、一部界隈で話題になっていたテビン・ファーマー。あの選手も数年後には徐々にウォード化していくのではないかと予想している。
今は相手のレベルもあまり高くないために身体能力で圧倒できる部分は多い。だが、恐らくそのうち攻防一体のスタイルにチェンジするときがくるのではないだろうか。
パーネル・ウィテカーやナジーム・ハメドといった選手も、階級アップによって何だかんだでオーバーなアクションが抑えられていった。結局、相手のレベルが上がるに従って、徐々に無駄を削ぎ落して洗練させていかざるを得なくなるのだろう。
まあ、テビン・ファーマーという選手がどの程度の器なのかについては未知数なのだが。
「L・ヘビー級アツ過ぎもっと盛り上がって(^○^) バレラがスミスに大差判定勝利。神々の階級」
コバレフ戦の予想? いや、正直今回の試合じゃわからんでしょ
前哨戦を無事クリアし、11月のコバレフとの大一番が確実視されるウォードだが、実際どうだろうか。
「この相手にこんな試合をしてるようじゃダメだ。完全にコバレフ有利」というコメントをいくつか見たが、果たしてそうだろうか。
正直、僕にはこの試合だけではまったく判断できなかったのだが。
予想記事でも申し上げたが、なぜ今回の試合でウォードがアレクサンデル・ブランドのようなタイプを選んだのかがいまいちわからない。別にブランドが弱いとかそういうことではなく、コバレフとの大一番の前哨戦としてはあまりにタイプが違い過ぎる。
体格的なハンデもなく、パワフルなタイプでもない。ブランドをチョイスした理由がいっさい見えてこないのである。コバレフが仮想ウォードとしてイサック・チレンベと防衛戦を行い、課題を見つけたのとはあまりに対照的なのだ。
「最強巨神兵コバレフの攻略法判明? チレンベ(チレンバ)の大健闘で大差判定ながら不安を残す」
ラウンド中盤に見せた余裕のスイッチ、そして自分から前に出てプレッシャーをかける。これらはコバレフが相手なら絶対にやらないことである。
むしろ自分の手の内を隠すための試合だったということなのだろうか。
「サンダースvsウィリー・モンローJr.とかいうアラサー大男2人のお見合いが36分間続く地獄。俺がリゴンドーを嫌いな理由がコレww」
3度の飯と適度な運動。
気が向いたときに雑魚をボコり、最高の気分で家族とハグする。
栄養価の高い食事を心がけ、夜は早めに寝る。
そう、これが俺の最強王者コバレフ対策!!
よくわからないが、こんな感じなのだろうか。
まあ、今回はとりあえず盤石のアンドレ・ウォードさんが見られたということでOKということにしておこう。コバレフvsウォード戦の予想はまた改めて……かな?