バルデス完勝!! セルバニアを寄せつけず。思ったよりいい選手なのかもなオスカル・バルデス。ダウンを奪われながらも攻撃の手を休めず打ち続ける【結果・感想】

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アリゾナ州イメージ
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2017年9月22日(日本時間23日)、米・アリゾナ州で行われたWBO世界フェザー級タイトルマッチ。
同級王者オスカル・バルデスにランキング4位のジェネシス・セルバニアが挑戦。3-0(116-110、115-111、117-109)の判定でバルデスが勝利し、3度目の防衛に成功した試合である。
 
 
いつも通り、左右に動きながら力強いフックを打ち込む王者バルデス。
対するセルバニアは身体を小刻みに振りながら距離を詰め、踏み込みのチャンスをうかがう。
 
バルデスが強烈なフックでセルバニアのガードを揺らし、セルバニアが打ち終わりを狙ってカウンターを返す。
 
両者譲らぬ攻防が続く4R。
バルデスのガードが下がった瞬間を逃さず、セルバニアが顔面に右を叩き込んでダウンを奪う。
そのまま攻め込むセルバニアだが、バルデスの防御を崩せずラウンド終了。
 
「大竹秀典vs丸田陽七太感想。丸田はちょっと期待はずれだったなぁ。フィジカルに巻き込まれて完敗。てか、大竹vs臼井なんて試合があったんかい!」
 
続く5R。
リング中央で打ち合う両者。バルデスの左がセルバニアの顔面を捉え、逆にダウンを奪い返す。
 
その後も拮抗した展開が続くが、要所でパワフルなパンチをヒットしたバルデスが各ラウンドでわずかにリード。結果的に大差の判定で勝利を挙げた。
 
「リナレスはキャンベルに二度と関わるなww 2-1の判定でスレスレ勝利。危ない試合だった。再戦したら負けるんでない?」
 

この試合にテンションが上がらなかった事実。オスカル・バルデスがあまりいい選手には思えなかったのと、セルバニアにもいまいちピンとこなかった

いきなりこんなことを言ってアレなのだが、僕は当初、この試合にあまり興味がわかなかった
 
「ドーピングって何でいけないの? ルイス・ネリ問題に絡んで気になっていたことを調べてみた。自分なりの意見も言ってみようか」
 
まず僕自身、オスカル・バルデスという選手をそこまですばらしいと思っていないこと。
 
もちろミゲル・マリアガにも勝利しているし、いい選手には違いない。
だが、トップランクが総力を挙げてバックアップするほどの逸材には見えない。ゲイリー・ラッセルJr.はもちろん、その他の対抗王者と比較しても若干落ちるのではないか? どこかで強い選手とぶつかれば、結構あっさり陥落してしまうのではないか?
などなど。
 
一生懸命に動向を追う必要性はあまりないかなと感じていた。
 
「ロマチェンコ攻略の糸口見っけ? マリアガボッコボコ。今日も対戦相手をオモチャにして遊ぶ」
 
そして挑戦者のジェネシス・セルバニア。
実を言うと、この選手についても僕はあまりテンションが上がっていない。
 
フィリピン人ながら日本のジム所属選手であること。井上尚弥のスパーリングパートナーを務めていること。
 
「リナレスはゲスタをKOしてくれるんだろ? 格下扱いだけど、普通に強敵じゃないの? でもリナレスが圧勝してくれるはず」
 
しかも大橋会長によると「井上尚弥がパートナーを次々壊してしまうので、結局セルバニアを呼ばざるを得なくなる」とのこと。
まるで「日本で井上尚弥の相手ができる唯一の存在」とでも言いたげなニュアンスで、当然だがめちゃくちゃ期待していた。
「おお、どれだけいい選手なんだコイツは」と。
 
「アントニオ・ニエベスとは何だったのか。井上尚弥の豪打になにもできず6R終了ギブアップ。まさかの真っ向勝負で撃沈w」
 
ただ、実際にセルバニアの試合を観ると、それほどぶっ飛んだ選手には思えず。
 
射程が短く、ガードも甘い。
至近距離での爆発力は抜群だが、どちらかというと力任せで大雑把な印象が強い。
 
過去の試合をいくつか漁ったのだが、正直僕にはあまりピンとこなかった。
 
「バルデスvsクイッグ!? またおもしろそうな試合を組みやがって…。今回ばかりはバルデス大ピンチじゃない?」
 

距離を詰めたいセルバニアが、左右に動き続けて正面を外すバルデスに追いつけなかった試合

とまあこんな感じで、あまりテンションが上がらないまま観たこの試合。
率直な感想を申し上げると、普通におもしろかったww
 
というより、オスカル・バルデスが予想以上にいい選手かもしれないと思えてきた次第であるww
 
「リー・セルビーvsジョシュ・ウォーリントン! 名勝負の予感がしますよコレは。フランプトンvsドネアなんか比じゃないほど」
 
いつも通り、左右に動きながら両フックを強振するバルデス。
これに対し、セルバニアの狙いは打ち終わり。バルデスの打ち終わりにカウンターを返しつつ、上体を小刻みに動かしながらジワジワ間合いを詰める。
 
「消耗戦ゴルァw ヒルベルト・ラミレスvsジェシー・ハート。フラッフラで打ち合う疲労感満載の壮絶なシーソーゲーム」
 
そして4R。
射程内に入ったセルバニアが、ガードの下がったバルデスの顔面に右ストレートを打ち込んでダウンを奪う。
 
これでバルデスは一気に警戒を強め、左右へのステップ幅を大きくしてセルバニアを翻弄する。
セルバニアと正対しないことを強く意識しながら、サイドに回り込んで得意のフックを叩き込む。
 
「エリクソン・ルビンvsジャーメル・チャーロ予想。覚醒したチャーロ弟か、期待の新星ルビンか。チャーロ弟がドネアとか井上尚弥っぽい」
 
5Rにダウンを奪い返すなど、試合の流れを掴んだバルデス。
 
逆にセルバニアは、射程の外側で動き回るバルデスを捉えきれず、徐々に手数を減らしていく。
意を決して踏み込むものの、バルデスの強打で迎撃されて山場を作れず。
各ラウンドで拮抗するが、わずかずつ上回られての大差判定負け。
 
全体的な流れとしては、だいたいこんな具合だろうか。
 
「はあ、ラッセルたん…。エスカンドンを接近戦で圧倒して勝利!! この試合好き過ぎて、もう5回くらい観てるw」
 

セルバニアの射程距離が短かった。ジャブが出るわけでも追い足があるわけでもなく、バルデスの動きについていけなかった

今回の試合を通して思ったのが、やっぱりセルバニアは射程が短い
 
力を込めてパンチを打つには至近距離まで近づかなくてはならない。だが、この選手にはその位置まで間合いを詰める術がない。
 
「山中がネリと再戦? やめた方がよくね? 勝てそうに見えないんだが。というより、ホントにこの試合やっちゃうんすか?」
 
ジャブが出るわけでもなく、追い足があるわけでもない。
小刻みに身体を振りながら近づくのだが、どうしてもバルデスに正面を外されてしまう。
 
「バルデスvsクイッグ感想。体重超過でパツパツのクイッグがバルデスに判定負け。体重超過に対するペナルティが緩い理由?」
 
なので、バルデスの打ち終わりを狙って打ち合いに持ち込もうとするのだが、あれだけ左右に動きながら腕を振り回す選手の懐に飛び込むのはかなり難しい。
 
「サンダースvsウィリー・モンローJr.とかいうアラサー大男2人のお見合いが36分間続く地獄。俺がリゴンドーを嫌いな理由がコレですよww」
 
それでも、バルデスが打ち合いを挑んできた4Rまでは、この作戦はうまく機能していたと思う。
少しずつバルデスとの距離を詰め、後退する際にガードが下がる悪癖を突いてダウンも奪ってみせた。
 
「安全運転で完勝のトラメイン・ウィリアムズ。デリック・マレーに判定勝利。てか、ホントにリゴンドーに似てる」
 
本当はあそこで一気に攻め落としたかったが、残念ながらそれはかなわず。
次のラウンドから警戒心を強めたバルデスに追いつけず、流れを渡してしまう。
 
結果論だが、あそこで倒しきれなかったせいで手詰まりになった感じだろうか。
 
「木村翔が五十嵐を根元から粉砕。大振りで恐怖を植え付けて真ん中を右でドーン。圧巻の五十嵐対策でしたね木村翔」
 
ん〜、これはどうなんだろうな。
過去の試合では至近距離で相手を圧倒するシーンが多かったのだが、今回はそこまで立ち入らせてくれなかったということか。
得意の打ち合いを封じられ、ガードの甘さを突かれて次々にフックを被弾しての完敗。
 
一見、拮抗しているように思えるが、実はかなり力の差は大きかったのかもしれない。
 
「田中イキり過ぎたな。パランポンを9RTKOに下すも、試合後に病院に直行。田口良一との統一戦は白紙?」
 

あれだけ動きながら両腕を強振できるのは普通にすごいよねバルデス。もしかしたら、思ったよりもずっといい選手なのかも

逆にバルデスについては、申し上げたように当初の印象よりもいい選手なのではないかと思い始めている。
 
「ポール・バトラーがスチュアート・ホールを当て逃げで下す。そうそう、井上尚弥相手にこれをできるヤツを探してんのよ」
 
ガチガチに力み返って打つフックにはスキも多く、ガードを下げてまっすぐ後退する悪癖も目立つ。
相変わらずゲイリー・ラッセルJr.には歯が立たないという思いは変わっていない。だが、それでも言うほどダメではないのではないか。
 
「ジャレット・ハードの理不尽フィジカルがトラウトを粉砕する。ダメだトラウト…。パンチがまったく効かない地獄」
 
力み過ぎとはいえ、1発1発をあそこまで強振すれば十分脅威になるし、相手の踏み込みを躊躇させる抑止力としての役割も大きい。何だかんだで、マン振りする選手が一番怖いというヤツ。
 
「久保隼陥落…。ダニエル・ローマンすごかった。こりゃ勝てんわ。まるでゴロフキンじゃねえかww」
 
また、あれだけ左右に動きながらも強いパンチが打てるというのは普通にすごい。
正面を外しながらマン振りのフックを連打。しかも、その動きを12R継続するスタミナもある。
“身体のわりに”リーチも長く、1歩の踏み込みが大きい。そのため、対戦相手には予測を超えた長さを感じさせているのではないだろうか。
 
恐らく下半身がめちゃくちゃ強靭なのだと思うが、実際あれはかなり驚異的に思える。
 
「井上拓真vs久高寛之感想。久高がクソよかった。井上は1年ぶりの復帰戦でベテラン強豪に判定勝利」
 
また、時おりまったく力みのない左が出るというのもいい。
5Rにダウンを奪った左がまさにそれで、力み返ったフックとのメリハリによって見事にガードの間を突き抜けた。
あのパンチが意識してのものなのか、流れの中で出たのかは不明だが、意識して出せるとしたら相当ヤバい。
 
 
どちらにしろ、今回の試合で僕の中でのオスカル・バルデスに対するイメージが少し変わっている。
 
「アンカハスvsコンランが楽しみ。こんなロックな兄貴を観たことがないww そして、有村藍里が好きな俺もロックだろ?」
 
ミゲル・マリアガ、ジェネシス・セルバニアと至近距離が得意なバランス型との対戦が続いたのもあるが、スタイル的に激戦になりやすいのも損をしている部分なのかも。
 
とにかく、僕の中では今後を注目したい選手の1人に格上げされてしまったww
 
「クローラvsバーンズ感想。もの足りない人同士の壮絶サバイバル。両者が足りない部分を攻め合う駆け引き」
 
なお今後については、尖った特徴を持った選手相手にどんな対応をするかを観てみたい。
 
たとえばキコ・マルチネスやジョシュ・ウォーリントンのような追い足のあるインファイター。もしくはジョセフ・ディアスのようなサウスポー。
 
「こっそり名試合ウォーリントンvsキコ・マルチネス!! 村中vsヤファイの裏で2017年最高試合出たか?」
 
「さすがはトップランク一押しのプロスペクトだぜ!!」と、豪快な掌返しをさせていただけることに大いに期待であるww
 
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