藤川球児、福留孝介、能見篤史、糸井嘉男。阪神コア4の行く末? 引退? 2020年のパフォーマンスを振り返る

藤川球児、福留孝介、能見篤史、糸井嘉男。阪神コア4の行く末? 引退? 2020年のパフォーマンスを振り返る

プロ野球、阪神タイガースに所属する能見篤史投手が来季のチーム構想から外れたとのこと。


プロ16年目の今季は中継ぎとして2020年10月21日まで30試合に登板し、1勝3Hで防御率は4.98。今後については未定で、他球団への移籍か現役引退かに注目が集まる。
 
なお、20日には球界最年長の福留孝介外野手も来季の戦力構想から外れたことが伝えられたばかり。本人は現役続行に強い意欲を示しており、阪神退団は決定的であるとのこと。


また、8月31日に今季限りの引退を表明した藤川球児が約2か月ぶりに一軍登録され、20日の広島戦の6回に3人目で登板。1回を1安打無失点に抑えている。


 

阪神コア4に一気にガタがきたのは誤算だった。彼らが去年通りに働けばマジで可能性はあったのに…

新型コロナウイルスの影響で開幕が大幅に遅れたNPBも終盤に差し掛かり、来季の構想から外れる選手や引退を表明する選手の名前もちらほらと聞かれ始めている。
 
中でも2010年代の阪神を支えたベテラン勢、藤川球児、福留孝介、能見篤史の3人については僕もそれなりに思うところがある。
 
特に藤川球児に対しては思い入れも強く、引退表明の報を聞いた際は2019年のランディ・メッセンジャーの引退と同じくらい残念な気持ちが沸いた次第である。


以前にもちょろっと申し上げたが、今年の阪神はなかなか戦力的なバランスがよかったと思っている。
 
2020年阪神雑感。藤浪晋太郎、髙橋遥人、スアレス、サンズ、大山、ボーア、福留、陽川、藤川その他。実はかなりバランスのいい編成だったんだよな
 
ジャスティン・ボーア、ジュエリー・サンズといった助っ人外国人が軒並み当たり、梅野隆太郎はもちろん、大山悠輔や陽川尚将らの金本知憲政権からの成長株もものになりつつある。
 
エースの西勇輝や青柳晃洋、秋山拓巳など先発陣もそれなりにコマが揃っており、攻守ともにある程度計算できる布陣だった。
 
クローザーの藤川球児、中継ぎの能見篤史、打線の中軸を担う福留孝介と糸井嘉男のコア4が去年と同程度の働きをすれば、首位巨人を脅かす筆頭候補にもなり得た気がする。
 
それがまさか。
このベテラン4人に一気にガタがくるとは……。
 
正直、年齢的にはいつ落ちてもおかしくはないのだが、さすがに4人同時というのは誤算過ぎたなと。


長年阪神ファンをやっている身(僕は阪神ファンではない)として言わせてもらうと  、ここまで期待と現実に落差を感じたシーズンは記憶にない。
 
 
そんな感じで、ここから先は彼ら4人の2020年シーズンのパフォーマンスを振り返りながらあれこれ言ってみたいと思う。
 

藤川球児

12試合1勝3敗2HP2S 防御率6.55
 
申し上げたように藤川球児はかなり思い入れがある選手であり、先日の引退表明はめちゃくちゃ悲しかったことを報告しておく。

だが、現実的にはそれも致し方ないかな? とも思うわけで。
 
開幕前の練習試合では明らかに球が走っておらず、「このままだとヤバい」のは一目瞭然だった。


シーズンがスタートしてからも一向に状態が上がる気配はなく、フォークがまともに機能せずに苦し紛れのストレートを狙い打たれるの繰り返し。
基本的にフォークとストレートの2ピッチの投手なので、片方の球種が使い物にならないとやれることがなくなってしまうのが何とも痛かった。
 
 
約2か月ぶりの一軍登板となった20日のピッチングを観たが、やろうと思えば来年もできないことはないと思う。クローザーを任せるのはキツいにしても、敗戦処理などの便利屋としてならまだまだ一軍レベルと言っていい。
 
ただ、この選手のプライドの高さを考えるとその選択肢はあり得なかったのだろうと。


自ら二軍行きを志願するくらいに自分のパフォーマンスに厳しい性格なので、現役を続行するなら主力として働くことが最低条件。それができないのであれば、潔く身を引くというのが本人の美学だったのではないか。
 
ここ数年、日本の野球もシステマティックかつビジネスライクなものになりつつあるが、その中においてもストレートとフォークの2ピッチで勝負し続けたのが藤川球児。この時代錯誤な熱量には問答無用で惹きつけられるものがあったし、それをいつまでも観ていたいと思わせてくれた選手でもある。
 
2005〜2008年の全盛期とほぼ変わらぬピッチングスタイルに清々しいほどの引き際の美学。
本当に素晴らしいピッチャーだった。
 

福留孝介

43試合 打率.154 打点12 HR1
 
続いて福留孝介についてだが、残念なことに今回の“事実上の戦力外”は致し方ないと思っている。
 
2019年の成績が104試合で打率.256 打点47 HR10。この時点でも中軸としてはやや厳しいものがあったが、長打率や出塁率は前年の2018年シーズンから絶賛ガタ落ち中。
 
2020年に入ってそれが顕著になり、一定以上のスピードボールに反応が遅れるなど、とにかく打球が上がらない( 前に飛ばない)打席が目立つ。
 
2015、2016年あたりに構えをややオープン気味にして始動を早めて持ち直したものの、どうやらその延命措置にも限界がきている感じ。
 
代打の切り札として君臨する案もあったようだが、もともと読みの鋭さと経験値で打つタイプだったことを考えると1打席勝負の代打はあまり向いていないのかもしれない。
 
ここぞの場面での威圧感やリーダーシップ、カリスマ性は健在だが、今シーズンのパフォーマンスを観ると「万策尽きたかなぁ」という気がする。
 
我が阪神タイガース(ファンではない)の2020年助っ人総括。ボーア、サンズ、ガンケル、エドワーズ。異国での変則シーズン、お疲れさまでした
 
あとはまあ、ひょっとしたら球団の規定に違反して大人数の会食を主導したのも影響してるのかもしれませんね。
 
 
というか、福留に関してはせめてもう1年持ちこたえてくれていればとは思う。
 
クラッチヒッターとして前半の阪神打線を牽引したジュエリー・サンズがここにきて調子を落としているが、仮に福留と併用できていれば。もう少しリフレッシュしながら成績を維持できた可能性もあるのではないか。
 
例えば2016、2017年の広島ブラッド・エルドレッドと新井貴浩のような感じで。
厳しい状況のときに経験豊富なベテランがチームを支えて優勝に導くというのは確実にあるのでね。
 

能見篤史

30試合1勝4HP 防御率4.98
 
能見に関しては、投げている球はそこまで落ちてはいないと思う。
ストレートも140km中盤出ていてフォークもクイッと落ちる。
 
 
2016年あたりから徐々に下降線に入り、先発で配分しながら長いイニングを投げるのが難しくなったことにより2018年から中継ぎに転向。短いイニングを最大出力で乗り切るスタイルに変えてその年は45試合で防御率2.30という好成績を残したものの、2019年は51試合で防御率4.30、2020年は30試合で防御率4.98と年々成績を落としている。
 
中でも2018、2019年は被本塁打数が各5本だったのに対し、2020年は10月21日時点で6本。試合数が少ないにも関わらず被弾率が激増しているのである。
 
 
繰り返しになるが、投げている球がそこまで劣化しているわけではない。だが、試合を観る限りとにかくエンジンのかかりが遅い印象。
 
中継ぎは少ない球数で肩を作り、第1球目からフルスロットルで抑えにいくのが基本。ところが今シーズンの能見は1人目、2人目への球が微妙にヒョロく、そこで痛打されるケースが多い。
 
実際、状況別の成績でもランナーなしの場合の被打率が.308、被本塁打4、ランナー1塁の状況では被打率.286、被本塁打1。さらにリード時でのランナーなしの場合の被打率が.417となっている。
恐らく首脳陣の間でも、交代直後の先頭打者に打たれて点差を詰められる印象が強く残っているのではないか。
 
これが加齢によるものなのか調整不足なのかはわからないが、果たして調整の仕方やスタイルチェンジで延命できるものなのか。僕には何とも言えないところである。
 
 
ノウミサンはねぇ……。
フォームがクッソかっこいいからな。
 
できればもう少し観ていたい選手ではあるよね。
 
阪神ラウル・アルカンタラのエンジェル・サンチェスっぽさ。チェン・ウェインよりも活躍する? 満点補強の目玉投手の2021年の成績を予想してみる
 

糸井嘉男

80試合 打率.277 打点28 HR2
 
最後は糸井嘉男について。
この選手は現在、阪神コア4の中ではもっとも好成績を残している選手で、40歳になる来季契約も恐らく大丈夫だと思われる。43歳の福留に比べて身体も動いているし、あと1、2年は阪神のユニフォームを着られるのではないか。
 
だが、それでも2020年に入って衰えが一気に進んだことは間違いない。特に前半戦、7月の打率が.188、8月の打率が.200と散々な状態が続いていた。
もともと怪我が多い選手ではあるが、それが2019年シーズンから顕在化し、通年働くのがどんどん厳しくなっている。
 
福留と同じく外野守備の劣化も著しく、広い甲子園の両翼をこの2人が守るというのははっきり言って地獄である。
 
ソフトバンクが強過ぎて脱力感しかない。巨人に2連勝で本拠地へ。藤川球児さんが引退後を満喫してて嬉しくなりますよw
 
そして、もっとも深刻なのが長打力の低下。
FAで阪神入りした2017年はホームラン17本、2018年は16本と、左打者不利の甲子園でよく打ったと思う。
だが2019年には5本とガクッと本数を減らし、2020年はここまでわずかに2本。長打率も2018年→.480、2019年→.416、2020年→.371と年々低下中である。
 
打順も出場した試合は3番に固定されているが、現状この選手は3番を打つには役不足に思える。間違いなく好選手ではあるが、年齢的にも体力的にも中軸を任せるには旬を過ぎたのではないか。
 
それこそ1番近元のサポート役として2番に置くとか、ヤクルトの坂口智隆的なイメージで1番を打たせるとかね。
 
晩年のイチローもそうだったが、低めの球につんのめるように空振りする姿を観ると「足腰が弱ったなぁ」と思わされるわけで。
 

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