田中将大ソロホームラン2本で敗戦。なぜ被本塁打が多いのか?【ニューヨーク・メッツ戦】
田中マー君、ソロホームラン2本で敗戦投手。今シーズン7敗目(12勝)を喫する。
大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が18日(日本時間19日)に、敵地で行われたニューヨーク・メッツとのサブウェイ・シリーズに先発。6回を投げて82球、被安打5ながら2本のソロホームランを許し2失点。打線の援護もなく今シーズン7敗目(12勝)を喫した。防御率は3.38。
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これで同地区首位のブルージェイズとのゲーム差が4.5に広がり、逆転は困難な状況に追い込まれたヤンキース。だがQSを記録した田中のピッチングに対して、監督のジラルディはその内容を賞賛するコメントを残している。
熾烈なワイルドカード争いを繰り広げるヤンキースにとって、終盤での田中将大の安定感はより心強いものとなるだろう。
中四日を思わせない出来。キレのいい変化球でアウトを積み重ねる
いつも通り様々な変化球を駆使して1回を8球で終わらせるなど、幸先のいい立ち上がり。今日の田中も全体的に調子はよかった。
中四日の影響を感じさせない球のキレ、制球力。
特に前の試合くらいから投げている、変化量を抑えてスピードを上げたスライダーが非常に効果的だ。右打者の外角へ逃げる球で、空振りを奪ったり内野ゴロを打たせたり。決め球にもカウント球にも有効で投球の幅がうまい具合に広がっている。
特に4回2アウトから6番ダーノーを内野ゴロに打ち取ったスライダーは素晴らしかった。雄叫びを上げながらベンチに戻る田中。今日の試合に対する意気込みが感じられるシーンだった。
さらにここ数試合、握りを変えたというスプリット。従来のストンと落ちるスプリットに加えて、小さな変化でいったん浮き上がってから減速するように落ちるイメージの球である。試合後半になると見極められることが増えていたスプリットだが、改良を加えたことで相手バッターに的を絞らせない効果を生んでいる。
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抜け球を逃さずに捉える強打者揃いのメジャーリーグ。ある程度は仕方ない
スライダーやスプリットを工夫して打者を幻惑する田中。
ただ、どうしても右打者の外側からのツーシームが真ん中高めに入ったり、スライダーが高めに抜けたりの失投は避けられない。ある程度は仕方ないと思うのだが、その失投を逃さず捉えてくる辺りがさすがメジャーの強打者である。
4回2アウトからデューダに打たれたツーベースもすっぽ抜けのスライダーを思い切り引っ張られたものだし、6回のマーフィーのホームランも同じようにすっぽ抜けたスライダーだった。
まあ、これは田中がストライクを先行することを優先している結果で、ホームランはソロならOKという割り切った考え方によるものである。そこまで深刻に考える必要はないというのもまた事実だろう。
そして前から思っているのだが、左バッターの初球に外側のカーブでさらっとストライクをとる。これが本当に素晴らしい。直球系やスプリットにタイミングをとっている相手にまったく無警戒の緩いボール。大して力も使わずに1ストライクを奪う投球術というか、緩急のつけ方がたまらなく好きである。
また、5回のピッチングは今日のハイライトではないだろうか。
7番コンフォートをスプリットで三振。
8番フローレスは鋭い変化のスライダーを引っ掛けさせてショートゴロ。
9番マッツは外角低めのフォーシームで差し込み、ボテボテのピッチャーゴロ。
最高だ。
相手が下位打線とはいえ、相手を圧倒したピッチングを見せてくれたと思う。
後は何度も言うが、どこかで高めに1球フォーシームを見せてもらいたい。高低差をつけることで打者の目線を動かして幻惑して欲しいのである。特にランナーがいない場面でそういう大胆さを出していけば、より球数は少なくなるのではないかと思うのだが、どうだろうか。
「田中将大、インディアンス打線につかまり敗戦。4試合連続QSも地元紙には評価されず」
6回2アウト1塁。田中にとって本日最後の打者。ホームランとツーベースを打たれているデューダとの3度目の対決は見応えがあった。
初球。外側へのスプリットで1ストライク。
2球目。内側への91マイルのカットボールが外れて1-1。
3球目。真ん中低めのスプリットで空振りを奪い1-2。
4球目。外側へのスプリットが外れて2-2。
5球目。3回首を振って外側へのスプリット。これをデューダがファール。
6球目。2回首を振ったところでデューダがタイム。仕切り直しからの1球は89マイルのスプリット。しかしこれはホームベースの手前でワンバウンド。3-2のフルカウント。
7球目。同じコースに89マイルのスプリット。これをデューダがうまく引っ張るが、セカンドが1、2塁間を守る極端な守備位置が幸いして3アウト。
最後はとにかくスプリットの連投でゴリ押し。7球中、6球がスプリットである。勝負どころで自分の一番いい球を信じて投げる。おもしろい勝負だった。
ソロホームランならOK。割り切ったピッチングでQSを重ねる田中。物足りないかもしれないが、これがベスト?
今シーズンの田中は現実主義というか、本当に割り切ったピッチングをしている。
ランナーがいない場面ではストライクをどんどん先行させて球数を減らすスタイル。そして手元で微妙にボールを変化させて相手バッターの芯を外す投球術。さらにランナーを出したときはスプリット中心の攻めに切り替えて、長打だけは避けるというピッチング。
まさしく開幕当初に目指すと宣言していたスタイルである。そのスタイルがここにきて、ほぼ完成したと言っていいのではないだろうか。
とにかくホームランはソロならOK。それよりも球数を減らして体力を温存する。圧倒的な投球で打者を抑え込むより1試合でも多くQSをマークすることがチームへの最大の貢献であるという割り切った考え。
観ている側としてはどうしても物足りなさを感じるだろうが、前にも言ったようにこれが今シーズンの田中将大が出した答えなのだ。
「田中将大、2本のソロ本塁打に泣き今季5敗目。なぜ今年は被本塁打が増えたのだろうか」
現に勝負どころで離脱した昨年と違い、今シーズンはポストシーズン争いの大事な試合で曲がりなりにも中四日でQSを記録している。ベンチの運用に相当助けられている部分はあるだろうが、結果的に田中将大の判断は正しかったといってもいいのではないだろうか。
9月19日時点での12勝7敗、防御率3.38という成績が年俸に見合っているかと言われれば、それはまた別の話なのだが。
次回も中四日の登板となるのだろうか。
難しいだろうが、どうにか防御率を2点台に乗せてくれれば、周囲の雑音もある程度収まると思う。
「田中将大、ホームラン被弾で最終戦を飾れず。12勝7敗の成績でシーズンを終える」
ポストシーズンで躍動する田中の姿が今から楽しみである。
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