日本が南アフリカに勝利!! 日本代表を支える外国人。ラグビーW杯で起きた奇跡をひも解く【エディジャパン】

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雲イメージ
ラグビー日本代表が20日(日本時間)、ワールドカップイングランド大会の予選1次リーグで世界ランキング3位の優勝候補、南アフリカ代表と対戦し、34-32で勝利。1991年以来のW杯での勝ち星を歴史的勝利で飾った。

「サンウルブズがなぜ勝てないかだって? 弱いからでしょ」

信じたプレースタイルを最後まで貫き通した日本。最後にちょっとだけ女神が微笑んだ

いや、すごかった。
これは本当に驚いた。
まさか南アフリカに勝つとは。
こんなことがあるのかと、朝から興奮が収まらなかった。
そして試合をテレビで観て、再度興奮が甦った次第である。
 
「日本vsフランス感想。フランスボロッボロだな。日本もよかったけど、勝てる試合だった」
 
とにかく後半開始直後にトライを奪われてからズルズルといかなかったのが大きかった。代表選手たちのあのメンタルは本当に素晴らしかった。

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技術的な話をすると、ボールキャリアのボディコントロールが抜群にうまかった。
南アフリカは低いタックルで相手を止めるのではなく、強靭なフィジカルを活かして相手を上から抱え込み、ボールキャリアの自由を奪ってジャッカルを狙うディフェンスをしてきていた。

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対する日本は、その大きな相手への対策が万全すぎるくらい万全であった。
ボールを持った人間は頭を下げて前傾姿勢で相手の懐に飛び込む。そして前傾姿勢を保ったまま足をかいて前かがみに倒れ込む。さらにその勢いそのままに後ろから複数のサポートプレーヤーが雪崩れ込んでボールをキープする。この一連の流れがどの局面でも徹底されていたのだ。

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また、ディフェンス面での対策も徹底されていた。
大きな相手を必ず二人がかりで止めにいくタックル。一人は下半身に入って相手の動きを止め、もう一人は上半身をつかんでボールを殺す。そしてとにかく速くスペースを詰める。相手がスピードに乗る前にプレッシャーをかけるのである。

南アフリカはこの日本のディフェンスに相当なプレッシャーを感じていたのだろう。珍しく大事な局面でミスを犯す場面が見られた。
逆に高い姿勢で構える南アフリカのディフェンスは、プレッシャーという意味ではそこまでの脅威はなかった。おかげで日本がノックオンを犯す場面がほとんどなかったというのも大きかった。

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攻撃面でのボディコントロール、ディフェンス面でのタックル。そしてこの2つを最後まで徹底できるだけの体力。まさしくエディジャパンが作り上げたラグビーの集大成であった。

・ラインアウトから芯をずらして当たる
・バックスとフォワード全員でのドライビングモール
 
「ダン・カーターが神戸製鋼入りするってよ!! 世界的なプレイヤーが観たければラグビートップリーグがおススメだよん」
 
細かいサプライズはいろいろあったのだが、そういうことよりも基本の積み重ねと一度決めたプレースタイルを最後まで貫き通す信念。ここにこそ大きな価値を見出すべき試合だった。

さらにPGの制度の高さも忘れてはならない。実にキックで24点を上げたフルバック五郎丸はこの試合のMVPの一人と言っても過言ではないだろう。

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そして試合も大詰め。
同点でPGの3点をとりにいった南アフリカに対し、3点差でPGを蹴らずにトライを奪いにいった日本。ここでスタジアム全体の雰囲気が完全に日本の背中を押し、ラストのトライに結びつけたのだ。

実況の叫んだ「ラグビー史に残るジャイアント・キリング」
まさしくそのとおりだと思う。
これしか勝つ方法はないという作戦がピンポイントでハマった勝利だった。

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個人的にスポーツに関してはかなりリアリストな人間なのだが、今回の勝利には興奮した。冗談抜きで感動した。
ドラゴンボールで例えるならヤムチャがベジータに勝つようなものだった。

実は少し期待していた日本ラグビー。ここ数年の成長は著しい

結果論と言われればそれまでなのだが、今回の大会はちょっとだけやるんじゃないかと期待していた。
まあ、南アフリカに勝つとは思わなかったが。

「ラグビーワールドカップの優勝国を予想する。ニュージーランド(オールブラックス)1択だけどな!!」

前回のカーワンジャパン、そして今回にエディジャパン。世界的に名のある監督、コーチ陣を招聘し、最先端のトレーニング方法を取り入れた日本ラグビーは確実に進化していた。

そして、その兆候は間違いなく出ていたのだ。
去年のマオリ・オールブラックス戦での善戦や、2015年のトンガ戦での善戦、そして8月のウルグアイ戦やジョージア戦での勝利など、確実に前進はしていたのである。
「日本はテストマッチでなら世界の強豪国ともそこそこいい試合をすることがある。だけど、世界の強豪国は本番になればしっかり調整してくるし、ピークの状態の強豪国に日本が勝てるわけがない」
多くの人はこう言う。

だけど、ちょっと待って欲しい。
それ、日本も同じじゃないの?
別に調整試合という意味では日本も同様だし、W杯本番に照準を合わせるのは日本もそうでしょ?

調子がピークでないのは日本も同じなのだ。お互い本調子ではない状態でそこそこいい試合ができるのであれば、本番で期待を持ってもいいのではないだろうか。
まあ、それでも勝つとは思わなかったが。

ラグビーの勝利は金で買える

これを言うと元も子もないのだが、僕はラグビーの勝利は金で買えると思っている。

ラグビーはよく言われているように、番狂わせが少ないスポーツである。
ルール上、ボールを持ったら前に走らなくてはならず、サッカーのようにパス回しで時間を稼ぐという作戦が使えない。
そして、最も大きいのがフィジカルの差だ。コンタクトプレーがある手前、どうしてもフィジカルの差がそのまま得点差に表れやすい。どんなにチームプレーを叫ぼうが、大きくて速い人間がたくさんいれば勝てる。そういう残酷なスポーツなのである。

ラグビーは結局、各ポジション同士の足し算の合計でチーム力が決まるスポーツだ。
例えば自分のチームのプロップと相手チームのプロップ。4対6で相手チームのプロップの方が上だったとする。逆に両チームのスタンドオフを比べた際、7対3でこちらに分があるとする。また、インサイドのセンター同士も6対4でこちらのセンターが勝っているとする。3つのポジションの数値を合計すると17対13となる。
つまり、この足し算の合計の差がそのままチーム力の差となるのである。

野球のように、打線がまったく打てなくてもスーパーエースが1人いれば何とかなるようなスポーツと違い、ラグビーはチーム力における各ポジションの比重が大きく違わないスポーツなのだ。
従って、野球のようにたっぷり140試合して順位を決めなくても、1試合だけでほぼ実力通りの結果が出るのがラグビーというスポーツなのである。

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では、弱いチームが手っ取り早く強くなろうと思ったらどうすればいいか。
簡単な話だ。
お金を出せばいいのだ。

お金を出して、大きくて速い人間を連れてくればいいのである。一人一人のスキルアップ、チーム力の底上げなどという綺麗ごとはいっさい必要ない。175cm、75kgの人間が努力して80kgになるのを待つのではなく、高いお金を出して185cm、85kgの人間を連れてくればいいのだ。

もちろんラグビーは15人でやるスポーツだ。新しく入った人間がそのチームのスタイルに合わないこともあるだろう。人間関係でうまくいかない可能性も考えられる。
そういった実力以外の部分での問題はどう解決するか?
これも簡単だ。
倍のお金を出して、そいつの友だちを連れてくればいいのだ。

例えば新しく加入したインサイドのセンターが、アウトサイドのセンターとのコンビネーションがうまくいかないとしよう。実力的にはインサイドのセンターの方がはるかに上なのだが、古株のアウトサイドのセンターとプレースタイルがどうも合わずに力を発揮できない。
それなら、インサイドのセンターの知り合いをお金で引っ張ってくればいいのである。気心知れた知り合い同士ならプレースタイルもかみ合うし、両センターがレベルアップすればチーム力も飛躍的に上がる。お金で解決万々歳である。

そして、現在の日本ラグビーはまさしくその方法でチーム力アップを図っているのである。
トップリーグを見るとわかるのだが、各チームにビックリするくらいワールドクラスの選手がゴロゴロしている。今回の南アフリカ戦でも、サントリーに所属する選手同士がコンタクトする場面がたびたび見られた。

特にここ数年、各チームとも積極的にワールドクラスの選手を獲得してチーム力の底上げを図っている。さらにそういう選手にもまれることによって、日本人選手のスキルやフィジカルも鍛えられるという相乗効果も生んでいる。結果的に金満補強がリーグ全体のレベルアップに寄与しているのだ。そして、その中から日本代表でプレーしたいという選手も現れるという好循環が生まれているのである。

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サッカーなどは代表入りの条件がラグビーほど緩くないため、国内リーグでプレーしている海外の選手をW杯で起用することはできない。つまり、国内リーグが活性化して有名な海外選手が多く流入すると、それに反比例して代表が空洞化するという現象が起きる。
だがラグビーはまさにその逆で、国内リーグのレベルアップがそのまま代表の強化に直結するのである。

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そういった経緯もあり、現在の日本ラグビーは確実に強くなっている。
まさか南アフリカに勝つとは思わなかったが。

よく「日本代表といいながら外国人だらけで違和感がある、感情移入できない」という話を聞くが、ばかばかしいことこの上ない。外国人選手の代表入りの条件は「その国に3年以上居住していること」のみだ。こんなに緩い条件でチームを強化できるのであれば大いに利用すればいい。ワールドクラスの選手が日本代表として参加してくれるのだから拒む理由などどこにもないではないか。

金満補強最高である。

日本の環境はラグビー選手にとって最高

日本ラグビー界は、世界の一流選手が当たり前に来日する。

2012年に当時オールブラックスのバリバリのレギューラ選手であったソニー・ビル・ウィリアムズがヤマハ発動機に加入したことで話題を呼んだ。ソニー・ビル・ウィリアムズといえば、ラグビー界のベッカムと呼ばれるくらい、容姿端麗でスター性抜群の選手である。

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お世辞にもラグビー界でトップの地位にいるとはいえない日本、なおかつラグビーの主流となる南半球とは真逆の島国になぜ一流選手が進んでやってくるのだろうか。

理由は日本が安全だから、そしてジャパンマネーにうまみがあるからである。
ラグビー選手の年俸は海外の一流選手でも5000万〜8000万円程度。多くても1億5000万円前後が最高というレベルだ。つまり、日本の一流企業がその気になれば払えない金額ではないのである。同額とはいかないまでもそれに近い金額を提供することは可能なのだ。そして、何より日本の治安のよさ。これを気に入る選手が多いのである。

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常に命の危険が伴う治安の悪い国でプレーするよりも、多少及ばないまでも近い金額がもらえてなおかつ家族共々安全に暮らせる日本という環境。一流プレーヤーはここに魅力を感じるのである。

これが野球だったらこうはいかない。
MLBのトップ選手の年俸は10年200億というレベルである。どれだけ日本企業が逆立ちしても払える金額ではないし、とてもじゃないが日本の治安がいいという理由だけで埋められる差でもない。

ところが、ラグビーに関してはMLBのトップ選手と同レベルの選手が進んで日本に来てくれる。何とも夢のある話ではないか。
そしてその中から日本を特に気に入ってくれた選手が3年間の居住期間をクリアしたり、中には帰化してまで日本代表でプレーしたいと言ってくれる。最高ではないか。

居住期間3年。十分日本代表でしょ?

日本代表といっても、外国人ばかりで感情移入できない。
本当によく聞く言葉である。

だが、実際のところはどうなのか。
居住期間3年という代表入りの条件をクリアした選手。
僕にはこのひと言だけで十分だと思うのだが、いかがだろうか。
そんなに思い入れが沸かないものだろうか?
お金目的で日本に来ている腰掛け選手に見えるだろうか?

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3年も日本にいるということは、その選手がそれだけ日本を気に入っているということに他ならない。どれだけ給料がよくても、嫌いな国や嫌いな場所に3年も住み続けることなど普通の神経では不可能だ。とてもじゃないがその国を代表してW杯に出ようなどとは考えないだろう。
そんな中、日本代表という立場に誇りを持つ外国人選手が存在するのだ。しかも中には帰化してまで日本代表でプレーしたいと願う選手までいるのである。
僕からすれば、普通に応援したい気持ちになるのだが。

代表入りの条件が緩いのだから、どんどんその制度を利用して外国人選手を代表入りさせればいいと申し上げたが、こういった観点からも十分に歓迎すべきことだと思うのだが、いかがだろうか。

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