ヤクルトはなぜ弱くなったのか。2015年の優勝時と2017年では何が違ったのか。意外と球場にも原因があるかもよ?

ヤクルトはなぜ弱くなったのか。2015年の優勝時と2017年では何が違ったのか。意外と球場にも原因があるかもよ?

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143試合45勝96敗2分 セリーグ6位。
勝率.319(ホーム30勝40敗 勝率.429、ビジター15勝56敗 勝率.211)。
これが2017年シーズンの東京ヤクルトスワローズの最終成績である。
 
セリーグを制した広島カープに実に44ゲーム差を離されてのダントツ最下位。5位中日にも15.5ゲーム差をつけられ、球団ワーストの96敗を喫するというおまけつき。
2015年に優勝を飾ったチームが、わずか2年で目を疑うような惨状である。
 
シーズン中に真中監督の辞任が発表され、シニアディレクターを務めていた小川淳司が2014年以来の再登板。
MLBから青木宣親の復帰も決まり、新たな助っ人外国人の獲得にも成功した。
 
2018年シーズンの巻き返しを狙うが、果たしてどこまで持ち直すことができるか。
 
「見たか貴様らww これが松坂大輔さんだよww そこにいるだけで人が群がるカリスマ性、佇まいが絵になる男が中日合格」
 
というわけで、今回は「ヤクルトはなぜ弱くなったのか。2015年の優勝時と何が違うのか」と題して、2015年の優勝時と2017年を比較しながらヤクルト弱体化の原因を考えていきたい。
 
「中日松坂大輔さんが開幕ローテ決定的? らしいけど、オープン戦最終登板を観た感想を言っていくぞ」
 
見事な優勝を飾った2015年から、わずか2年でなぜここまで落ち込んだのか。
また、2015年のチームが勝てた要因は何か。
 
「ソフトバンクが4勝1敗でヤクルトを下し日本シリーズ優勝!! 第五戦の勝利で連覇を達成!!」
 
2015年と2017年シーズンの数字を見比べつつ、独断と偏見のみで考えていきたい。
 

2015年ヤクルトと2017年ヤクルトのチーム成績比較。哀しくなるくらいの惨劇。こりゃ勝てませんわww 「真中辞めろ」じゃねえんだよww

●東京ヤクルトスワローズ2017年
143試合45勝96敗2分 勝率.319(6位)
打率.234(6位)
打点.449(6位)
本塁打95(6位)
OPS.644(6位)
 
防御率4.23(6位)
先発防御率4.16(6位)
救援防御率4.35(6位)
奪三振1011(5位)
被本塁打157(6位)
被打率.247(6位)
QS率48.95%(5位)
 
 
●東京ヤクルトスワローズ2015年
143試合76勝65敗2分 勝率.539(1位)
打率.257(1位)
打点.547(1位)
本塁打107(2位)
OPS.699(1位)
 
防御率3.31(4位)
先発防御率3.68(5位)
救援防御率2.67(1位)
奪三振935(6位)
被本塁打112(5位)
被打率.247(4位)
QS率51.05%(5位)
 
上記が、ヤクルトスワローズの2017年と2015年の主な数字の比較である。
 
「松坂大輔2018年成績予想。ついにこの季節がやってきました。ほら見ろ、松坂はすげえだろが。あ?」
 
ダントツの最下位に沈んだ2017年と優勝した2015年で、いったい何が違ったのか。
と言っても一目瞭然なのだが、もっとも大きな原因はまったく打てなくなったこと。
 
見てわかるように、2017年のヤクルトの打撃成績は軒並み6位。主だった数字でことごとくドンケツの成績を叩き出している。
また、投手成績の方もほぼすべての部門で6位。奪三振とQS率はかろうじて5位にとどまったが、それ以外は壊滅的である。
 
「中日ディロン・ジー獲得だっはー!! 先発不足のチームの救世主となるか。2018年の成績を予想してみる」
 
「2015年も投手成績はよくない。2017年と大して変わらないじゃないか」と思うかもしれないが、全然違う。
 
防御率は3.31→4.23
被本塁打は112→157
QS率は51.05%→48.95%
 
重要な3つの数値がガタ落ちしていることがわかる。
 
つまり、2017年のヤクルトは「打てないし守れない」チーム。
中でも打撃陣の低迷は異常なレベルで、普通に考えてこんなチームが勝てるわけがない。
 
あまりの弱さに業を煮やしたファンが真中監督に「辞めろ」と罵声を浴びせていたが、的外れもいいところである。正直、監督をスケープゴートにしてストレスを発散しても何も解決しない。
 
2017年は悪夢だと思って忘れた方がいいくらいの悲惨さである。
 
「躍動する大谷翔平。「動く球を覚えるべき」でも「メジャー仕様にモデルチェンジしたから勝てた」んでもないと思うよ」
 

強力な打撃陣とリリーフ3人が弱い先発陣を支えた2015年。真中監督の運用もよかった

そして、優勝した2015年のヤクルトがどんなチームだったかについてだが、これまた一目瞭然。
リーグトップの打力と豊富な救援陣が、若干頼りない先発陣をカバーしたチームである。
特に真中監督がうまく救援陣を運用し、最後まで落ち込むことなくシーズンを乗り切ったことは大きかった。
 
「阪神ディエゴ・モレノ誕生。150km右腕が日本で活躍できるかを予想してみる。田中マー君とも同僚だったんだってさ」
 
打撃陣で言うと、
2 川端 .336 57 8(打率 打点 本塁打)
3 山田 .326 100 38
4 畠山 .268 105 26
5 雄平 .270 60 8
の並びはすごかった。
 
シーズン終盤、ここに故障明けのバレンティンが加わり、
2 川端
3 山田
4 畠山
5 バレンティン
6 雄平
という切れ目のない打線を形成。
トリプルスリーの山田を中心に、まさしく物量で相手をねじ伏せる攻撃陣である。
 
「大エース松坂大輔の復活。550日ぶりの一軍登板は5回3失点で初黒星。そんなことより中日がクッソ弱いんだがww」
 
また、救援防御率1位のリリーフ陣を支えたのは、間違いなく助っ人の3人。
 
ロマン 61試合 5勝5敗 78.2回 防御率2.36
オンドルセク 72試合 5勝2敗 70.1回 防御率2.40
バーネット 59試合 3勝1敗41S 62.2回 防御率1.29
 
主に7回のロマン、8回のオンドルセク、9回のバーネットと、QS率51%とやや物足りない先発陣を見事に支えてみせた。
そこに74試合登板、防御率2.36の数字を叩き出した便利屋秋吉、シチュエーションレフティの久古。
勝ちパターンを休ませるためのBチームのリリーフを徳山や松岡、中澤が担う。
 
2014年は4.58で6位だった救援防御率を、リーグ1位の2.67まで引き上げた真中監督の手腕は本当にすばらしかった。
 
「中日が松坂大輔さんを獲得しなくてはならない理由。日本球界の功労者に対する敬意が足らんよ敬意が」
 

そして誰もいなくなった……。2017年シーズンでは優勝時に活躍したメンバーが軒並み消えちゃったよね

それを受けて2017年シーズンを振り返ると、2015年のメンバーがゴソっと消えていることに気づく。
 
川端、畠山は故障でシーズン絶望。
雄平やバレンティンも一時期戦列を離れる異常事態。
 
頼みの山田は2016年終盤に受けたデッドボール以降、調子が上がらず。
最終成績は打率.247 打点78 本塁打24とそこまで悪い数字ではないが、2年連続トリプルスリーの実力を考えればまったく物足りない。
 
「敗因は実力? 采配? 侍ジャパン敗退。アメリカに準決勝で2-1で敗れて世界一奪還ならず。小久保監督は退任の意向」
 
投手陣については、もはや「悲惨」以外の言葉が見つからない。
2015年のバーネット、2016年のオンドルセク、2017年のジョシュ・ルーキと3年連続でクローザーの助っ人が退団。ロマンをポイ捨てして獲得したルイス・ペレス、カイル・デイビーズは1年でクビ。
 
2017年のロス・オーレンドルフはからっきし。そこそこがんばったプレストン・ギルメットもポイ。契約更新を勝ち取ったのはデービット・ブキャナンのみというあり様である。
 
さらに2015年にリリーフとしてチームを支えたメンバーは軒並み成績を落とし、2017年時点で生き残っていると言えるのは秋吉、松岡くらい。
あまりのリリーフの足りなさに、どう見ても適性がない成瀬を敗戦処理に駆り出す始末。
 
「目指せNPB! WBCで就活中の外国人選手たち。「日本でできれば最高」? でも、そんな甘いもんじゃないのだよ」
 
そして、その中でももっとも落ち込んだのは、やはりエースの石川雅規ではないだろうか。
2015年の成績が13勝9敗 防御率3.31 QS率52.00%。
2017年の成績が4勝14敗 防御率5.51 QS率34.78%。
イニング数も146.2→123.1と激減、被打率は.272→.303と散々な結果である。
 
もう1人のエースの小川泰弘は、
2015年の成績が11勝8敗 防御率3.11 QS率70.37%、
2017年の成績が8勝7敗 防御率2.83 QS率66.67%
と唯一奮闘したが、シーズン途中でリリーフに回されたり故障離脱したりと、終わってみれば投球回を168→124と大幅に減らしてしまった。
 
「ビッグフライ オオタニサン!! 野球観戦の情熱が減退する中、大谷翔平のホームランでワクワクするだけの簡単なお仕事」
 
真中監督の「小川のリリーフが失敗した時点で手詰まりになった」とのコメントでもわかるように、2017年のヤクルトはマジでやりようがなかった。
 
「大谷翔平の課題はスライダーかな。スプリットがダメ日は投げる球がなくなっちゃう。早急に球速をアップしてスラッター化したいね」
 

「打てないし守れない」ヤクルトスワローズ。得意なはずのホームゲームでも勝てなくなり、苦手なビジターはより苦手に

申し上げたように2017年のヤクルトが勝てなかったのは、主力の相次ぐ故障で打撃成績がガタ落ちしたこと。
さらに、優勝した2015年の投手陣が軒並み成績を落とし、それに代わる選手が出てこなかったこと。
つまり、単純に「打てないし守れない」チームが勝てるわけないよねという話である。
 
勝敗の内訳を見ると、2015年はホームで45勝26敗、ビジターで31勝39敗。
これに対し、2017年はホームで30勝40敗、ビジターで15勝56敗。
ヤクルトはもともと「内弁慶」と揶揄されるようにホームゲームに強いチームなのだが、2017年はその特性すらも霞んでしまった。
 
「平成最後の夏が終わる。批判もあるけどクソほど感動したよ。大阪桐蔭が金足農業を敗り史上初2度目の春夏連覇」
 
2015年はホームで19の貯金を作っていたが、2017年には借金10。
ビジターでは借金8→41とさらにシャレになっていないのだが、得意なホームで勝てなかったのはマジで痛かった。
 
「片手間で成功したってええやん。楽して金稼いで何が悪い? 新庄「野球なんて、マジバイト」←ステキやんww」
 
ヤクルトの本拠地である神宮球場は、両翼が狭くホームランが出やすい。ヤクルトのように薄い投手陣を打撃でカバーするチームにとっては最適なヒッターズパークである。
 
だが、その神宮球場でのチーム打率は2015年.272→2017年.247、チーム防御率も2015年3.05→2017年4.71。被本塁打に至っては、2015年56本→2017年101本と見事に倍増している。
まさしく「自分たちがやりたい野球を相手にやられていた」というヤツ。
 
「松坂大輔の熱い123球に感動ww やっぱりすげえわコイツ。あの空気感を出せるのは選ばれた選手だけ」
 
繰り返しになるが、ヤクルトが低迷した一番の原因は「打てないし守れない」こと。
とはいえ、たった2年でこれだけ悪化するのはさすがに異常である。
 
いくら戦力をやりくりしても、優勝の翌年に成績が落ちるケースは多い。
特に経験の少ないリリーフが1年だけの活躍で消えていくというのは結構な頻度で起こり得る。
長年エースとしてチームを支えた石川雅規も、年齢的にだいぶガタがきているのだと思う。
 
それを踏まえた上で、他に要因がないかと調べてみたところ、どうやら神宮球場のパークファクターが影響しているのではないかという結論に至っている。
 
「三浦大輔と黒田博樹の引退があまりにも見事で、FA移籍と生え抜きへの考えが揺らぎそうになった件」
 

2015年の神宮球場は思いっきり投手有利のパークファクターが出ている。エース石川雅規の復活もこれが大きかったんじゃないの?

「明治神宮野球場[1962-] – 球場別PF」
 
上記のページは神宮球場のパークファクターを1962年から調べたものである。
 
ここは有能野球ニキの1人が作成されているページで、僕も結構な頻度で利用させていただいている。世の中の数いる有能野球ニキには本当に感謝しかない。
 
注目したいのは、左から5番目にある「得点」(得点パークファクター)の項目。
「得点パークファクター(PF)とは」
 
神宮球場での得点PFが、
 
2017年 1.41
2016年 1.13
2015年 0.98
2014年 1.18
 
と出ているのだが、この数値が表しているのは得点の入りやすさ
平均的な球場を「1」とした場合、該当球場ではどれだけ点が入りやすいか。
 
「2018年に横浜DeNAベイスターズがセリーグ優勝する理由」
 
2014年の場合だと、平均的な球場に比べて神宮球場は1.18倍得点が入りやすかったことを意味している。
 
要は、この数字が「1」より大きければ大きいほど打者有利、小さければ小さいほど投手有利の球場ということになる。
 
「大谷165kmキター!! 大谷のストレートの質が悪い? ファールされる160kmより空振りが取れる140kmの方が上? そうなの? なあ野村克也」
 
そして、ヤクルトが優勝した2015年の得点PFが「0.98」。
ダントツの最下位に終わった2017年は「1.41」。
2015年の神宮球場は投手有利の数字が出ていたのに対し、2017年は歴史的なヒッターズパークだったことがわかる。
 
 
では、この2015年と2017年では何が違ったのか。
基本的に打者有利の数字が並ぶ中、なぜ2015年だけ突出して投手有利の数字が出たのか。
 
答えは、備考欄に記載されている「人工芝張替え」
過去をさかのぼっていくと、人工芝の張替えを行ったシーズンに投手有利の得点PFが出る傾向があることに気づく。
 
なお、他球場でも似たような状況になっている。
「東京ドーム[1988-] – 球場別PF」
 
福岡ヤフオクドームはホームランテラスを設置した影響で凄まじいヒッターズパークと化していたが、人工芝を張替えた2017年シーズンはそれをはるかに上回る投手有利の得点PFを叩き出している。
「福岡ヤフオクドーム[1993-] – 球場別PF」
 
多少例外やバラツキはあるが、概ね「人工芝張替え」直後のシーズンに投手有利の得点PFが出る傾向が強い。
 
「ベイスターズCS初進出に際して愚将中畑清を語る。まあCS進出は1年遅かったよな。三浦大輔引退は仕方ないよあの球威じゃ」
 
思うに、2015年のヤクルトはこの要素が大きかったのではないか。
 
神宮球場の人工芝張替えを行ったことで球足が弱まり、投手陣の弱さをカバーした。
石川雅規のように平均球速が低く(2017年は134km)、両コーナーに沈む球を投げてゴロを打たせる投手は特に大きな恩恵を受けた。
また、これによってヤクルト投手陣全体の実力も底上げされ、例年に比べて活躍の場が広がった。
 
「ヤクルト、人工芝一新で守備力アップ! 「ゴロのアウトが増える」」
 
そして、その人工芝がヘタってきたせいで、2017年の神宮球場は歴史的なヒッターズパークと化し、石川雅規のようなゴロタイプの投手がモロに割を食った。
 
もしかしたら、ゴロを打たせても内野の間を抜けてしまうためにコースを狙わざるを得なくなり、逆に打ち頃の球が増えた可能性もある。
 
いろいろな意味で、ヤクルトにとっては最悪の要因が重なったシーズンだったのではないだろうか。
 

2018年シーズンに飛躍するチームはどこ? 実は横浜DeNAベイスターズに優勝のチャンスがあるんでね?

2014年東京ドーム人工芝張替え→得点PF0.97 巨人優勝
2015年神宮休場人工芝張替え→得点PF0.98 ヤクルト優勝
2017年ヤフオクドーム人工芝張替え→得点PF0.88 ソフトバンク優勝
 
その他の球場でも人工芝張替えを行ったシーズンに本拠地のチームが成績を向上させたり、得点PFが投手有利に変動するケースはかなりの頻度で見られる。
 
もちろん上位争いできる戦力があることが必須条件だが、恐らくヒッターズパークを本拠地とするチームにとって人工芝張替え直後のシーズンはチャンスなのだと思う。
 
「野球は長い。5回にしろ(松本人志)それいいかも(上原浩治)←野球が5回になったら人気低迷に歯止めはかかるの?」
 
そう考えると、2018年シーズンに飛躍が期待されるチームは横浜DeNAベイスターズということになるのだが……。
「DeNA本拠芝張り替え 苦手巨人&ソフトBと同じ」
 
 
ちなみにだが、横浜スタジアムで内野の人工芝を張り替えた2003年は、なぜか突出して打者有利の数字が出ていることをつけ加えておく。
 

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