目指せNPB! WBCで就活中の外国人選手たち。「日本でできれば最高」? でも、そんな甘いもんじゃないのだよ

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ロッテルダムイメージ
2017WBC(2017ワールド・ベースボール・クラシック)が盛り上がっている。
 
2017年月15日に東京ドームで行われた2次Rの日本vsイスラエルの一戦。
 
序盤は息詰まる投手戦で、0対0の緊迫した展開が続く。
 
だが、両チーム無得点で迎えた6回裏。
2イニング目に入った2番手アクセルロッドから四番筒香がソロ本塁打を放ち、日本が待望の先制点を挙げる。さらにそこから打者一巡の猛攻で一挙4得点。
5対0で迎えた8回には内川と松田のタイムリーが飛び出し、さらに3点を追加する。
 
「阪神ディエゴ・モレノ誕生。150km右腕が日本で活躍できるかを予想してみる。田中マー君とも同僚だったんだってさ」
 
最終回に登板した牧田がイスラエル打線につかまり3点を失ったが、最後の打者クリーガーから三振を奪いゲームセット。終わってみれば8-3の快勝で決勝Rにコマを進めた試合である。
 
なお決勝Rは米・ロサンゼルスのドジャースタジアムで、日本時間3月20、21日に準決勝、22日に決勝が行われる。
 
「敗因は実力? 采配? 侍ジャパン敗退。アメリカに準決勝で2-1で敗れて世界一奪還ならず。小久保監督は退任の意向」
 

日本勝利だぁぁああぁぁ!! イスラエルに負けるとか言ってすみませんww

日本快勝!!
予選1次、2次Rを6戦全勝で乗り切る!!

 
日本がイスラエルに勝利した。
しかも8-3と、5点差をつけての圧勝である。
 
前回の記事で「連戦になる日本は中1日の休みがあるイスラエルに比べて不利じゃないか?」と申し上げたが、まったくそんなことはなかった。
自慢の投手陣も連投の影響を感じさせず、攻守両面において力の差をきっちりと見せつけての勝利である。
 
「名将小久保覚醒ww WBC史上最高の監督小久保が藤浪を使わない理由? 絶妙継投と総力戦で打倒イスラエル」
 
相変わらずの自分の無能さには笑けてくるのだが、それはそれ。とにかく日本が勝ってヨカッタヨカッタ。
 
「もっと騒がれていい田中マー君のすごさ。今シーズンはマジでサイヤング賞推しメンです」
 

リリーフの分厚さが全然違った。ゼイド以下が弱かったイスラエルと千賀の後に平野がいる日本の差

勝因としては、やはりリリーフの層の違いだろうか。
 
日本の先発が千賀、イスラエルの先発がゼイド。
両チームともに本来リリーフエースである投手を先発に回し、最大火力で相手打線を牛耳る作戦。
千賀は6回、ゼイドは4回とともに狙い通りの展開に持ち込んだわけだが、イスラエルは残念ながらそこから先が続かなかった。2番手以降のアクセルロッド、ソートソン、カッツは悪い投手ではなかったが、先発ゼイドの剛速球にタイミングを合わせていた日本の打者にとっては、彼らの遅い球は打ちやすかったのではないだろうか。
 
「ヤクルトはなぜ弱くなったのか。2015年の優勝時と2017年では何が違ったのか。意外と球場にも原因があるかもよ?」
 
特にゼイドのストレートに苦戦していた四番筒香にアクセルロッドを当ててしまったのは、イスラエルとしては痛かった。速いストレートに弱く緩い変化球にめっぽう強い筒香にとって、あの交代は願ったりかなったりだったはず。
 
「松坂大輔さんの2017年成績予想【定例報告】オープン戦ラスト登板で広島を相手に7回無安打無失点」
 
と言っても、エースのマーキーと守護神ゼイド以外の投手が一段落ちる(後で知った)イスラエルにはあれが精いっぱいだったのかもしれないが。
 
「巨人高橋由伸監督辞任←同情の声多数。阪神金本監督続投←批判多数。そんなにおかしいかね? 仕方ないと思うんだが」
 
逆に日本のリリーフ陣はこの日も盤石。
千賀の後を継いだ平野がきっちりイスラエル打線の勢いを止めて流れを渡さず、宮西、秋吉、牧田とつなぐ豪華リレーでの見事な勝利である。
 
最後の牧田が打たれたことで若干ゴチャゴチャしたが、あれについてもそこまで間違った継投だとは思わない。
「点差のある場面で則本や藤浪を試すべきだった」といったコラムも出ていて、確かにそれは僕も同意である。
ただ、プレミア12での逆転負けのトラウマが影響していたのだろう、念には念を入れての牧田投入だったことも十分理解できる。
その牧田が連投の疲れと点差による余裕で調子が上がらなかったのが誤算だったというだけで。
 
まあ不意のアクシデントで誰かが欠けたときの保険として、則本や藤浪の調子を見ておきたかったのあるのだが。
 
「小久保が侍ジャパン史上最高の有能監督な件について。WBCで世界一を目指す日本野球にふさわしい采配」
 
とはいえ、おおむねナイスゲーム。
さすが過去最強クラスの打線を誇る侍ジャパン。
ここから先は、これまでとはケタ違いの相手と対峙することになるが、何とか勝利をもぎとってもらいたい。
 

ほら見ろ。ずっと国際大会の舞台を新戦力の発掘場所にしろと言ってたじゃねえか

熱戦が続くWBC。
だがその裏で、所属が決まっていない選手たちのPR活動もさかんに行われている。
 
↓以下が先日掲載されたコラム。
「「日本でプレーできれば最高」 WBCの現実的側面、各国選手の“就活事情”」
 
要はWBCで活躍してスカウトの目に留まれば、日本や韓国、アメリカなどのチームから好条件の契約を得られるかもしれない。WBCは国の名誉のためだけでなく、海外選手の“ショーケース”の場という側面もあるというコラムである。
  
僕は以前から「メジャーリーガーが本気じゃない大会なんか必要ない」という声に対して、「意味のない大会と切り捨てるのではなく、助っ人発掘の場として割り切ればいい」と申し上げている。
かつてのアジアシリーズや2015年のプレミア12についても同様で、「わざわざ治安の悪い国に出向かなくても、各国を代表する選手が勝手にやる気満々で集まってくれるんだからこんなにいい機会はないでしょ」と言い続けてきた。
 
「プレミア12なんてやる意味がない。メジャーリーガーが出ない大会に価値はない。こんな大会に本気になってるのは日本だけ」
 
上記のコラムを受けて、SNSなどで「なるほど、それはいい」「この大会で活躍した選手を獲得するのは確実性が高い」といった、「その手があったか」的な反応がちらほら見られた。だが、僕に言わせればそんなものは今さら過ぎる
 
「マニー・ラミレス日本プロ野球NPB移籍の可能性? 実は一番需要があるのが西武じゃないの?」
 
WBCとはいわば、MLBが世界中のすべての国を草刈り場にするためにスタートした大会である。彼らの言う「野球の国際化」というのはあくまで建前で、実際は「自分たちだけが発展すればいい」という強烈なジャイアンイズムによるものである。
 
だから日本も「やる気がない」「権威がない」と文句を垂れるのではなく、WBCを新戦力発掘の場として大いに利用すればいいのである。むしろその方が、意味があるなしの不毛な議論をするよりよほど生産的ではないだろうか。
 
こういったコラムが出ることによって、そのことに同意するファンが少しでも増えたのは僕としては非常に嬉しい。
まあ、それでも「国際大会などやる必要なし。ファンは国内のレギュラーシーズンで満足している」と主張する層は一定数存在するのだが。
 

WBCなどの国際舞台は海外選手の”ショーケース”。でもそんなに甘くはないぞ

WBCやプレミア12を初めとする国際大会はプレーの場を求める海外選手にとって絶好の“ショーケース”の場。
 
この認識が広まり、諸外国の目ぼしい選手に注目が集まることは非常にすばらしい。
実際、2013年のWBC準決勝で日本相手に先発したマリオ・サンティアゴを、2015年に阪神タイガースが獲得した例もある。
MLBに次ぐ市場規模を持つNBPは、海外の選手にとっては間違いなく魅力的な働き場所である。
 
「有能or無能? 阪神タイガース和田監督の采配がいかに有能だったかを考えるの巻」
 
ただ、今回のWBCを観て思ったのが、「そんなに甘いもんじゃない」ということ。
投手を例に挙げれば、1、2試合好投したからといって、すぐにNPB球団が獲得に動くわけではないということである。
 
恐らく今大会において、「お、この投手知ってる」という顔を何人も見かけたと思う。2015年のプレミア12に出場していたり、先日の強化試合で来日していたり。
また、かつてNPBの球団に所属経験のある投手もちらほら。2014年に楽天に所属したオランダのルーク・ファンミルなどがそれにあたる。
 
「阪神補強はよせいや!! 優勝する気ないんか? さっさと金使え!! ジャブジャブ金使って右の大砲獲ってこいや」
 
そして、どの投手も「なんでメジャーに定着できないの?」「え、無所属なの? じゃあ、さっさと日本の球団獲得しろよ」と言いたくなるような球を投げていたと思う。
 
オランダのファンミルやマルティス。そして上記のコラムで紹介されているジャージェンスや日本戦で先発したイスラエルのゼイドなど。ちなみにジャージェンスとゼイドは日本球界でのプレーを希望しているとのこと。
 
どの投手も素晴らしい能力を持っていることは確かで、正直、その球を投げられるなら即刻メジャーでも通用するんじゃね? と思わせる投手ばかりだったのではないだろうか。
 
だが、それでもNPBの球団が彼らを獲得する可能性は低いと言わざるを得ない。
もちろんこの時期は編成が固まりつつあることもそうだが、仮に獲得する球団があったとしても、彼らが今回のようなセンセーショナルな活躍を見せることはまずない。
 
「阪神ロマン・メンデスはやれんのか? 2017年成績予想。守護神? 中継ぎ?」
 
理由は本当に単純で、1戦勝負の短期決戦とレギュラーシーズンはまったく別物だから。
 

常に100%のコンディションを出せるわけではないレギュラーシーズンで、どれだけ結果が出せるかを想像する

短期決戦とレギュラーシーズンはまったく別物。
つまり、1発勝負ではすばらしい能力を発揮できても、144試合のレギュラーシーズンを通してそのクオリティを維持するのは至難の業ということ。
 
今回のWBCもそうだが、基本的に短期決戦というのはあらかじめ日程が決まっていて、そこに向けてじっくり調整することができる。相手打者の研究を含め、その1戦でポテンシャル全開のパフォーマンスを見せることは可能と言えば可能である。
 
だが、半年以上の長丁場となるレギュラーシーズンではそうはいかない。
リリーフなら常にチームに帯同し、いつやってくるかわからない登板に備える必要があり、先発投手は勝っても負けてもすぐに次の登板に向けた準備に入らなくてはならない。
 
「祝! 広島カープ2016年優勝!! 25年ぶりの優勝おめでとうカープ!! そして巨人はよくやった」
 
プロ野球のスカウトがドラフト候補の選手を見極めるとき、投手で言えば「今の7、8割の力でもプロの打者を抑えるイメージが持てるか」を基準にするという。
 
長丁場のレギュラーシーズンにおいて、身体の状態が100%だということはほとんどない。自分のマックスよりも7、8割しか力を出せない状況でも結果を残すことができるか。パワー以外の別の引き出しを持っているかが重要な判断基準になるとのことである。
 

NPB球団との契約は容易くなさそう。ジャージェンスにはがんばって欲しいけど

そして、これは当然助っ人外国人にも当てはまる。
1発勝負で見せたパフォーマンスの7、8割のコンディションでも結果を残すことができるか。また、パワーの低下を補うだけの引き出しを別に持っているか。
さらに言うと、そのパフォーマンスは高い給料と貴重な外国人枠を消費してまで獲得する価値があるか。おまけにチームの補強ポイントと合致しているか。
そこまで考慮すると、一口に「助っ人」と言ってもなかなかの狭き門だということがわかる。
 
「DeNAがフィル・クレイン(クライン)獲得発表。3Aで無双の2メートルはベイスターズでも成功できるか?」
 
たとえば上記のコラムで触れられているジャージェンス
件のイスラエル戦では6回を投げて74球、5安打1失点。
だが2016年11月の日本との強化試合では、故障明けだったこともあり4回2/3を4安打4失点と低迷している。
 
申し上げたように、絶好調のパフォーマンスであればかなりの投球を見せることができる。それこそメジャーでもローテーション入りできるのではないかというほどに。
ところが、実際のシーズンにおいて好調時の7、8割の力しか出せない状況ではどうなるか。
 
上記の数字だけで判断するなら、平均して6回3、4失点といったところだろうか。
 
毎試合完投まではいかないが、ギリギリQSを記録するかどうか。
防御率4点台中盤。勝ち星は何とも言えないが、投球回は規定に達するか達しないか。
位置づけ的にはチームのエース格とは言えず、先発の3番手か4番手。
 
非常に大ざっぱな予想だが、果たしてこのレベルの投手を開幕直前のこの時期に獲得したいか。外国人枠に余裕があり、なおかつこのレベルの先発でも欲しいくらい投手陣のコマが足りないチームがあるか。
 
「広島がライアン・ブレイザー(ブレイジア)獲得? バース(元日ハム)っぽいのかな? 強力リリーバーを得て連覇に突き進む!!」
 
いろいろな要素を考え合わせると、あの試合でいくらジャージェンスが絶好調だったと言っても、それがそのままNPB入りに直結するわけではないことがわかる。
 
記事中でジャージェンス本人が「後は運を天に任せるだけ」と言っているのも、そういった事情を理解しているからだろう。
 
「進化が止まらない!! ダラス・カイケルがヤンキース打線を7回無失点に抑えてアストロズ先勝。MLBのポストシーズン最高なんじゃw」
 
そして、常に7、8割のパフォーマンスしか出せない中で結果を残し続けるトップ選手がいかにすごいか。しかも長いシーズンを終えた後の短期決戦で1戦必勝のパフォーマンスを発揮する。プロ野球のトップに君臨する選手がどれだけ超人的かがわかると思う。
 
まあ、僕自身は海外から日本に来た選手を眺めてあれこれ予想するのが好きな人間なので、ジャージェンスがNPB入りしてくれたら非常に嬉しい。
ただ、現実的にはかなり難しい感じがするという話である。
 
「片手間で成功したってええやん。楽して金稼いで何が悪い? 新庄「野球なんて、マジバイト」←ステキやん」
 
もちろん獲得期間は7月31日まであるので、その間に状況が変わる可能性は十分考えられる。もしかしたら、8月くらいに京セラドームのマウンドにジャージェンスが立っていることもあったりなかったり?
 
 

 

 
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