佐々木尽の王道キャリアたまらんな。10/19平岡アンディと日本王座決定戦。“これが主役のボクシング”をまんま体現しとるよね【予想・展望】

佐々木尽の王道キャリアたまらんな。10/19平岡アンディと日本王座決定戦。“これが主役のボクシング”をまんま体現しとるよね【予想・展望】

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2021年10月19日、東京・後楽園ホールで平岡アンディと佐々木尽による日本S・ライト級王座決定戦が行われる。


日本ユース王者佐々木尽は7月17日に湯場海樹と対戦し、2度のダウンを喫しながらも強烈な左フックで逆転KO勝利を挙げて同王座の防衛に成功している。
 
一方、平岡アンディは現在IBF世界8位にランクインする強豪。2021年3月には後楽園ホールで初のメインを務め、2018年2月に一度対戦した木村文祐を3RTKOに下して全勝をキープ。6月に鈴木雅弘が返上して空位となった日本王座を佐々木尽と争うことが決定した。
 
なお同イベントでは、ダブルメインとして中嶋一輝vs栗原慶太のOPBFバンタム級タイトルマッチも組まれている。
 
平岡アンディvs佐々木尽、栗原慶太vs中嶋一輝。数日遅れで視聴したので感想を。さすがの平岡アンディと栗原慶太の圧勝っぷり
 

佐々木尽vs平岡アンディ。どちらかと言えば平岡アンディが主役なんだろうな

2021年7月17日に八王子市富士森体育館で行われた八王子中屋ジム興行、第42回ファイティング・スピリット・シリーズを現地観戦してきたのは先日申し上げた通り。
 
佐々木尽vs湯場海樹、一道宏vs谷口彪賀感想。ゾンビのような一道宏。佐々木尽のロマンは続く
 
メインイベントの佐々木尽vs湯場海樹戦での劇的な逆転KO勝利にはめちゃくちゃ驚かされたわけだが、その場で佐々木尽と平岡アンディによる日本S・ライト級王座決定戦も発表? されている。
 
日程は2021年10月19日で場所は東京・後楽園ホール。
平岡アンディが「後楽園で待ってるよ」と言っていたことを考えると、どちらかと言えば佐々木尽にとってはアウェイのリングになるのか。
 
まあ、大橋ジム主催の興行とのことなので、いずれにしても主役は平岡アンディなのだろうと。
 

勝敗予想は平岡アンディの7RKO。佐々木尽と長身サウスポーの相性があまりよくなさそうな

勝敗予想だが、今回は佐々木尽にとってはかなり厳しい試合になると思っている。
 
上述の湯場海樹戦を観る限り、佐々木尽は長身サウスポーとの相性があまりよくない。
 
前手の右リードで前進を止められ、強引に前に出て腕を振ってもスルッとサイドに逃げられる。
 
全体的にパンチの軌道が外旋回気味+相手と正対する構えなので、内側からパンチを通されやすくもある。
実際、湯場海樹には右フックの内側から同時打ちのタイミングで左をねじ込まれ、豪快にダウンさせられている。
 
そして、恐らく平岡アンディの右は湯場海樹より鋭く精度も高い。
左のタイミングは湯場に軍配が上がるかもしれないが、懐の深さや足運びなどは平岡アンディの方がはるかに上(だと思う)。
平岡アンディには湯場のように1発で切って落とすパンチはないが、できることは湯場より多い。
 
何となくだが、多くの方がおっしゃる通りどこかで平岡アンディがKOしそうな気が……。
 
というわけで今回は平岡アンディの7RKO勝利を予想しておく。
 

佐々木尽にもチャンスはあると思う。あのプレッシャーを10R捌ききるのは至難の業。どこかでフックのぶん回しをぶち当てれば

ただ、佐々木尽にもチャンスはあると思っている。
 
11戦全勝10KOの戦績が示す通り、この選手は文句なしのハードパンチャー。判定勝利までいった2019年8月の佐藤光戦以外はすべて3R以内に相手を沈めている。
 
前回の湯場海樹戦でも1R後半には得意のフックが湯場の顔面をかすめるなど、プレッシャーの強さも相当なもの。
2度のダウンを奪われはしたが、同時に佐々木のパンチもいつ当たってもおかしくない状況が続いていた(実際に当たった)。
 
マジな話、あのプレッシャーを受けながら強打を警戒し続けるのはかなりの集中力を要するのだと思う。
 
短いラウンドならひたすら動いて完走を狙うというのもアリだが、今回の日本王座戦は10Rの長丁場である。
 
体力配分をしつつ、プレッシャーに耐えながら自分のパンチだけを当てる作業をどこまでミスなく継続できるか。9割型勝っていた湯場海樹が1発で試合をひっくり返されたことを考えると、平岡アンディも一つのミスが命乗りになる可能性がある。
 
しかも平岡アンディは相手に強引に来られるとタジタジになる傾向が強い。
過去の試合でもバンザイのポーズで顔面丸出しのままバックステップするシーンが目につく上に、佐々木尽ほど馬力のある相手と対峙するのも恐らく初めて。
 
平岡アンディいいね~w エドワーズを4RTKOで沈めてラスベガス2連勝。今のところ変なしがらみがないのがいいよな。今後もこの調子でがんがってね
 
申し上げたように有利なのは平岡アンディだとは思うが、佐々木尽の1発がすべてをひっくり返すパターンも十分考えれられる。平岡アンディの右リードに耐えつつ、(5Rまでの)どこかでぶん回しのフックがヒットすれば。
 
 
アレなんですよね。
佐々木尽って漫画「はじめの一歩」の千堂武士っぽさがあるんですよね。
 
粗も多くて強引なところも目立つけど、ノッてるときは誰よりもヤバい。
圧倒的劣勢を怒りの1発でひっくり返すところとか、完全に実写版千堂武士でしょ。
みたいな。
 

佐々木尽のキャリアが王道すぎてたまらない。前王者の鈴木雅弘が戴冠即返上しただけに余計に際立つ

とまあ、試合の展望はこんな感じ(かなりテキトーだけど)なのだが、ここからは表題の件。
 
佐々木尽のここまでのキャリアが王道すぎてたまらない。
 
新人王戦を順調に勝ち上がり(決勝で棄権)、プロ10戦目でユース王座を獲得。2度のダウンを奪われながらも劇的な逆転KOで初防衛を果たし、次戦でいよいよ日本王座戦に挑む。
 
伊藤雅雪vs三代大訓、佐々木尽vs石脇麻生、坂井祥紀vs小畑武尊、千葉開vs石川春樹感想。満腹の虎がまさかの僅差判定負け
 
本人も「日本王座は通過点」と言っているように目標はもっと先にあるのだと思うが、それでもこれだけど真ん中のキャリアを進む主人公っぷりはなかなかである。
 
先日、永田大士を下して初戴冠を果たした鈴木雅弘が数日後に王座を返上したことが話題になっていたが、それが逆に佐々木尽の王道キャリアを際立たせているというか。
 
 
もちろん戴冠→即返上が悪いなどと言うつもりはない。
限られた現役生活の中で戦略的にキャリアアップすることはめちゃくちゃ重要だし、適正な階級で思い切りやりたいという心情も理解できる。
逃げた云々の罵声を浴びせるなど言語道断である。
 
「日本王座の指名戦ルールへの抗議のための返上」もその通りなのだと思う。
 
「【ボクシング】JPBAがJBCに「日本王座の指名試合ルール」撤廃要請へ」
 
正直、何度読んでも僕には理解できなかったが、中の人間にとってはいろいろ不都合があるのだろうと。
 
ただ、永田戦での鈴木雅弘のパフォーマンスは文句なしに素晴らしかったわけで、あの返上に少々興ざめしたことも事実。この選手が平岡アンディをどう攻略するのか? と思っていた矢先の返上には「お、おう……」となったことをお伝えしておく。
 
 
そういう意味でも、誰が相手でも関係なく前のめりで日本王座を狙う佐々木尽のスタンスには問答無用でテンションが上がる。
 
「効率よくトップに立つための戦略」を露骨に見せられた直後に“これが主役のボクシング”を体現した佐々木尽。
本人たちが意識しているかどうかは定かではないが、「日本王座は日本一の選手が取ってこそ」という(古き良き?)カルチャーを平岡アンディと佐々木尽が宣言してくれたような気がする。
 
「わかるかお前ら。主人公はカッコよくなきゃダメなんだよ」
と言ったかどうかは不明です。
 

世界を狙うためには日本王座を獲得、保持するメリットが少ないんだろうな。それを前のめりに奪いにいく佐々木尽から目が離せない

要するに日本王座を獲得、保持するメリットが少ないのが原因なのだと思う。
 
戴冠しても世界ランキングが手に入るわけでもなく、防衛を重ねてもその先があるわけでもない。
それならOPBF王座を戴冠→防衛を重ねながらWBCランキングを上げていくか、WBO-AP王者になってWBOランキング入り→世界戦への足がかりとする方がはるかに効率がいい。
 
S・バンタム級の和氣慎吾も2018年7月に日本王座を戴冠したが、防衛戦をやらずに同年11月に返上している。
“呪われたバンタム級”などと言われているバンタム級日本王座に関しても、井上拓真や比嘉大吾などはこれまで見向きもしなかったわけで。
 
 
まあ、比嘉大吾についてはむしろその方がよかったという気もするが。
 
明らかに適性を超えた階級で苦手な長身サウスポーに何の工夫もなく負けて、それで進退を考えるほどデリケートなメンタルならたった一度の挫折も経験させない方がいい。


海外から招聘した選手相手に初期のキャリアを積み、ユース王座、OPBF王座で長いラウンドを経験させるとともにWBCのランキングを上げ、機が熟したところで世界戦へGO!!
 
改めて振り返ると、比嘉大吾のキャリアはアマチュア経験の少ない叩き上げが世界王座にたどり着く(軽量級に限る)のにもっとも効率的だったと言えそうである。
 
西田凌佑すげえわ。比嘉大吾対策は堤聖也よりもはるかに上。比嘉はどこを基準にするかだろうな。相手を選んで王座戴冠を狙うか
 
その点、佐々木尽や平岡アンディにとっての日本王座はキャリアのど真ん中に存在するもの。“世界”にたどり着くために「通過すべき」タイトルであり、前のめりで奪いにいくベルトでもある。
 
 
繰り返しになるが、王道のキャリアを躊躇なく進む佐々木尽のスタンスはたまらない。軽量級と中量級の違いがあることは理解しているが、その上でたまらない。
 
佐々木尽が平岡アンディに勝てるかどうかは何とも言えないところだが、こういう主人公感満載の選手には自然と目を奪われてしまう。
 
 
念のためにもう一度申し上げておくが、戴冠直後の王座返上が悪いなどと言うつもりはまったくない。誰もが王道をまっすぐ歩けるわけでもないし、多くの選手はキャリア形成のための戦略が必要になる。
 
当然、ど真ん中の勝負をしすぎて失敗することもあるわけで。
トップランクのオファーを蹴って三代大訓との国内サバイバルに進んだ伊藤雅雪などはその典型。言葉は悪いが、アレはちょっとカッコつけすぎだったという噂も……。
 
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