さくらももこ訃報ってマジか。漫画家というよりエッセイストかな。「もものかんづめ」の衝撃とその思い出をちょっとだけ語ってみようか

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図書館イメージ
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2018年8月27日、漫画家のさくらももこ氏が乳がんで亡くなっていたことが公式ブログで伝えられた。
 
「さくらプロダクションからお知らせです。」
 
1984年にデビューしたさくらももこ氏は享年53歳。
30周年を迎えた際に「作家としてとても幸せな月日を送らせていただいています」とコメントするなど、作品を描けることにいつも感謝していたとのこと。


またこの訃報を受けて、ファンを始め、多くの著名人からも悲しみの声が挙がっている。


その他、放映中の「ちびまる子ちゃん」の内容を差し替え、人気の2本が再放送されることも決定している。


 

さくらももこ氏の訃報にはかなり動揺した。いきなりだったし、それなりに思い入れもあったしね

漫画家さくらももこ氏が逝去した。
公式ブログによると、2018年8月15日に乳がんのために永眠されたとのこと。
 
僕もたまたまネットニュースで見つけたのだが、これには本当に驚いた。
久しぶりに「マジで!?」と声を出してしまう程度には。
 
「映画「ワンダーウーマン」感想。ガル・ガドットはアンジェリーナ・ジョリーの再来ではなかった。超人バトルとがんばるパンピー」
 
2016年に「ちびまる子ちゃん」のお姉さんの声優である水谷優子さんが亡くなったときも、今年の5月の西條秀樹氏の訃報にもここまで心が揺れることはなかったのだが。
さすがにさくらももこ氏本人の訃報には動揺してしまった。
 
個人的に「ちびまる子ちゃん」のアニメは好きだし、「笑点」「サザエさん」と並ぶ「これが始まると日曜日の終わりを感じる」三大番組としても印象深い。
 
「楽しい週末の終焉と、新たな週の始まり」という何ともテンションの上がらない時間帯を彩った功績は、僕のようなパンピーには想像がつかないほど偉大なものなのだと思う。
 
 
さくらももこ氏、これまでお疲れさまでした。
ご冥福をお祈りいたします。
 

漫画家というよりエッセイストのイメージが強いかな。停学期間中に読んだのが最初だった

実を言うと、僕の中でのさくらももこ氏は漫画家というよりもエッセイストのイメージが強い。
「ちびまる子ちゃん」「コジコジ」などのシュールな作風が有名な同氏だが、彼女の書くエッセイも負けず劣らずおもしろいことも知られている。
 
「シティ・オブ・ゴッド感想。くたばれ胸糞悪いクソ野郎ども。滅びちまえよ「神の街」。で、次いつ会える?」
 
そして、僕が初めてさくらももこ氏のエッセイを読んだのは高校時代。
喫煙が見つかり、停学を食らった際に読んだのが最初である。
 
といっても、別にフリョー()だったわけでもないし、これといった武勇伝()もない。
文化祭終わりでテンションが上がり、学校近くの公園でパリピっていたのを近隣住民に通報されたという。
かっちょ悪いことこの上ないエピソードであるww
 
「「ルサンチマン」を知っているか? 花沢健吾のデビュー作にして最高傑作。陰キャラぼっちの居場所は仮想現実世界(アンリアル)のみ」
 
僕の高校では、停学になった生徒は自宅謹慎を強いられるわけではない。むしろその逆で、停学中も毎日登校しなくてはならないという謎の制度が存在する。
 
といっても授業に出るわけではなく、各人が空き教室に監禁され1日中反省を促される。
 
始業のチャイムが鳴ると教師の1人が登場し、15~20分程度のお説教がスタート。
一通りの説教が終わると「じゃあ、あとは自分でよく考えて」と言い残し、教師は退室する。残り時間は自分を見つめ直す「反省タイム」として放置されるという流れである。
 
さらに、次の日までに原稿用紙2、3枚程度の反省文+親のコメントを提出するという宿題のおまけつき。
 
この無限ループが毎時間、1週間にわたって継続される。これが我が校の「停学」制度である。
 

停学めっちゃキツいww 反省文を毎日提出だって? いや、それは不可能だろ

この「停学」、はっきり言ってめちゃくちゃしんどい。
 
始業チャイムとともに大の大人に15~20分間ダメ出しを受け、たっぷり凹まされたところで残りは放置。
これが1日5、6回繰り返されるせいで、終わったころにはヘトヘトである。
 
さらに、帰宅してからも原稿用紙2、3枚の反省文という無理難題に苦しめられる。
親が仕事から帰れば、反省文にコメントをもらうという気の重い行事も待ち構えている。
期間中、平穏が訪れることはまずあり得ない。
 
いや、確かに親を悲しませたのは申し訳なかったし、責任能力のない年齢で法律違反をやらかしたのは軽率だったけど、言ってもたった1度の喫煙ですからね。
 
反省文なんて、そんなに毎日書けるもんじゃないww
最初はそこそこペンも進むのだが、2日目にはすでにネタ切れ。
「あれ、今日は何を書けばいいんだ……」と、机の前で呆然とする。
 
「北海道好きな街、もう一度行きたい街ベスト5(2~1位)。超自己満足ランキング完結編。結局ドライブが楽しいかどうか」
 
とにかく手を変え品を変えて行数を稼ぐわけだが、正直「そこまで悪いことしたか?」 と。
決して自分が立派な人間だと思ったことはないが、原稿用紙2、3枚にわたる自分disのリリックを毎日など、無茶にもほどがあるww
 
「もうキッツい……。俺が悪かったから、この無間地獄から開放してくれ」と嘆き始めた3日目。
さくらももこ著「もものかんづめ」に出会うわけである。

 

図書室でたまたま手に取った「もものかんづめ」にどハマりした。世の中にはこんな才能を持った人がいたのね


申し上げたように、我が校の停学は自宅謹慎ではなく強制的な登校。毎時間空き教室に監禁されての反省会である。
 
音楽室や理科室、パソコン室など。授業で使われていない教室を転々とするのだが、3日目の1時限目に僕がぶち込まれたのが「図書室」だった。
 
あまりの退屈さに発狂寸前だった僕は「お、図書室ならちょっとは暇つぶしになるかも?」と思い、嬉々として向かった記憶がある。
 
「第9地区は予備知識ゼロで観る映画。出会いに感謝したくなるほど最高。グロテスクなトランスフォーマーで度肝抜かれた」
 
そして、教師のありがたいお言葉()に20分ほど耳を傾け、ようやく待ちに待った「僕の時間」。
たまたま目に留まったさくらももこ著「もものかんづめ」を手に取り、おもむろに読み始めると……。
 
何ぞこれww
クッソおもしれえww

 
物事を斜に構えて見る視点と独特な文体。
ひょうひょうとしているようで、言葉の端々から謎の説得力を感じさせる。
 
もう、ページをめくる手が止まらん止まらん。
あまりのおもしろさに声を殺して笑うとともに、この圧倒的な才能に嫉妬すら覚えるという。
「マジか、世の中にはこんなにすごい人がいるのか」
 
高校という狭い世界で生きていた僕にとって、さくらももこ氏のエッセイは衝撃的だった。
 

最高に楽しい停学生活。エッセイを読むために、その日のノルマを光の速さで終わらせる無敵モードに

そこからはもう、楽しくて仕方ないww
 
休み時間に図書室から「もものかんづめ」を持ち出し、カバンの中に忍ばせておく。
教師の無駄話を鉄のメンタルで右から左へと聞き流し、その日の反省文を光の速さで書き上げる。
クソのようなノルマをこなし、すっきりしたところでエッセイに没頭するわけである。
 
すごいですよね。
「これが終われば」という楽しみが目の前にあると、物事が一気にスムーズに進む。
あれだけ「不可能でしょ」と思った自分disも、洪水のようにリリックが浮かぶ超現象ww
完全なる無敵モードへの突入である。
 
結局残りの2日半で「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「たいのおかしら」を読破した僕は、大満足の中、無事に停学期間を終えた(は?)。
 
マジな話、こんなに楽しいならたまには停学を食らうのも悪くない(は?)。
まさしく「学校の授業では教えてくれないものを学んだ」一週間だったと言える(は?)。
 
「アンチェイン梶とかいうクズ中のクズ。映画「アンチェイン UNCHAIN」感想。アンチェイン梶というボクサーがいた。戦績、6敗1引き分け」
 
なお、賛否両論を巻き起こしたらしい「ろくでもない祖父」のエピソードも、当時の僕はすんなり受け入れられた覚えがある。
巻末? で本人が「血がつながっているかどうかと好き嫌いは関係がない」旨のコメントを発していたのにも「なるほど、確かに」と。
 
まあ、そのときの僕が精神的にヘタっていたせいで、同氏の妙に冷めたスタンスに惹かれたのかもしれないが。
本人がヘビースモーカーを公言していたのも、停学の理由が理由だけに意味不明に勇気づけられた()のもあったかな?
 
「ドラゴンボールが神格化された過大評価作品である理由。話題のドラゴンボールハラスメント()炎上とやらに便乗」
 
あとは「あのエピソードは一度書いてはみたけど、あまりおもしろくないからボツにした」というコメントを読んで、ちょっと安心したり。
 
この独特な文体やさりげない感じも、本人なりに考えて書かれたものなんだと。
「ああ、天才もちゃんと努力してるのね」みたいな。
 
どなたかもおっしゃっていたが、これだけおもろい文章が書ける人は僕の中ではさくらももことナンシー関くらい。
どちらもお亡くなりになってしまったのは本当に残念である。
 
一時期大宮エリーがその枠に収まろうとしていた気がするが、何かのインタビューで「ナンシー関を知らなかった」と答えていたのを読んで「ああ、コイツはアカンわ」と。
 
サブカルの女帝的なポジションを狙うなら、さすがにナンシー関は知っとかなきゃダメなんじゃないの?
などと思ったり思わなかったり。
 
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カテゴリ: J-Pop


 

 

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