RIZIN vs Bellator全面対抗戦でRIZIN勢が全敗。クレベルと武田の試合でRIZINの現在地がわかった気がしたよ。スーチョルもサトシも惜しかった。扇久保は…【RIZIN40感想】

RIZIN vs Bellator全面対抗戦でRIZIN勢が全敗。クレベルと武田の試合でRIZINの現在地がわかった気がしたよ。スーチョルもサトシも惜しかった。扇久保は…【RIZIN40感想】

2022年12月31日にさいたまスーパーアリーナで行われたRIZIN40。
「RIZIN vs Bellator全面対抗戦」と銘打たれ、両団体のトップ選手同士が激突した5試合は5勝0敗でBellatorの完全勝利。クレベル・コイケ、ホベルト・サトシ・ソウザのチャンピオン2人を投入したRIZINだったが、残念ながら1勝もできずに北米MMAの壁を見せつけられる結果となった。
 
 
実を言うと僕は年末から三が日にかけて地味に忙しく(大晦日はボクシング現地観戦)、楽しみにしていたRIZIN40もリアルタイム視聴はできていない。年明け5日になってようやく落ち着いたのだが、すでにPPVの配信期間は残り1日を切っていたという。
 
井岡vsフランコ、カネロvsゴロフキンVol.1みたいな試合だった。井岡は負けなくてよかった。階級最強を証明するか思い出マッチにシフトするかで次戦が決まる?
 
おおう、マジか。
今から観るにはどうすればいいんだ?
この際だからRIZIN STREAM PASSに加入するか?
と悩んでいたところ、公式YouTubeチャンネルにメイン5試合がアップされた次第である。
 
 
というわけで、今回はこの「RIZIN vs Bellator全面対抗戦」の感想を言っていくことにする。
 
なお、その他の試合については絶賛検討中。RIZIN STREAM PASSに加入するかをもうしばらく悩もうと思っている笑
 

×武田光司vsガジ・ラバダノフ○(判定3-0)

この試合ははっきり言ってすごかった。
僕の中では対抗戦5試合中ベストバウトと言っても過言ではないくらい。
 
特に武田光司のがんばり、レスリング力は感動的ですらあった。
 
流れとしては、スタンドで待ち受けるラバダノフとグランドの展開に持ち込みたい武田という構図。
 
1Rにラバダノフの右を豪快に被弾してロープ際まですっ飛ばされた武田だが、そこからどうにか持ち直して1Rをしのぐ。
で、2R以降もラバダノフの打撃に苦労するも、徐々に自分の形を作るシーンも。
 
中でもコーナー付近での身体の入れ替え合戦? は見応え十分。
下半身が分厚く見るからにフィジカルが強そうなラバダノフを組みの展開でリードしていたのはちょっととんでもない。
 
うん、そうなんだよな。
やはりレスリング出身の選手はケージよりもリングの方が強みを活かせるっぽい。
もともと周囲に何もない空間で勝負してきただけあり、壁際の攻防がしづらいリングファイトにもレスリングの技術をそのまま流用できる印象である。
 
それこそ最初の被弾さえなければ判定はどうなっていたかはわからない。
スパイク・カーライルに肉薄し、ジョニー・ケースを下した武田光司は日本トップのライト級と言っていいのではないか。
 
RIZIN35現地観戦感想。久々のケラモフに期待の上田幹雄、圧倒的陽キャのスパイク・カーライルその他。ついでにグスタボvs矢地の感想も
 

×キム・スーチョルvsフアン・アーチュレッタ○(判定2-1)

この試合もまたすごかった。
武田光司vsガジ・ラバダノフ戦が5試合の中でベストバウトだと申し上げたが、実は第12試合のスーチョルvsアーチュレッタ戦と迷った末の結論だったりする。
 
 
なお、試合前の各ファイターの展望はキム・スーチョルの勝利予想が多かったと記憶している。
 
アーチュレッタは左右に動きながらの出入りを得意とするタイプで、一方のスーチョルはゴリゴリ距離を詰めて近場で打ち合うタイプ。
 
スーチョルがアーチュレッタのステップについていけるか、うまく自分の距離に入れるかが一番の見どころだが、ケージと違って動ける範囲が狭いリングファイトではアーチュレッタのフットワークが機能しない可能性がある。
 
そう考えると、タフで馬力もあるスーチョルがアーチュレッタをインファイトで飲み込む可能性が高いのではないか。
 
だいたいこんな感じの展望である。
 
 
そして、実際にアーチュレッタは本来のフットワークを発揮できずにスーチョルに詰められるシーンが目に付いた。
だが、そこで押し込まれる前にしっかりとグランド勝負に切り替えたのはさすがである。
 
 
一方、敗れたキム・スーチョルも十分に強さを発揮したと思う。
アーチュレッタのスピードについていきつつフィジカル負けもしていない。リングファイトというアドバンテージはあったものの、この選手もアーチュレッタと同じトップクラスの強者なのだろうと。
 
前回の扇久保博正戦後に金原正徳が自身のYouTubeで「RIZINは関わったらいけないヤツを連れてきちゃった」と言っていたが、マジでそんな感じ笑
 
平本蓮vs弥益ドミネーター聡志感想。まさかの平本覚醒。“待ち”に徹することで得意の打撃を最大化。次戦の相手はアイツしかいないんじゃない?
 

×扇久保博正vs堀口恭司○(判定3-0)

この試合に関しては想定内というか、「まあ、そうなるよな」という感想。
 
2021年のバンタム級GPを制してようやく階級トップまで上り詰めた扇久保だが、正直堀口恭司とは相性が悪すぎる。
 
伝統派空手ベースの遠い間合いからの踏み込み、独特のカーフキックを駆使する堀口に対して扇久保はどちらかと言えば近場で勝負する選手。
朝倉海や金太郎のようなカウンターがあるわけでもなく、基本は自ら試合を動かすスタイルである。
 
だが、根本的に距離が合わない&堀口とは出入りのスピードに差があるため、どうしてもキワの部分で置いてきぼりを食う。どうにか組みの展開に持ち込んでもそのつど余裕を持って対処されてしまう。
この試合でもクリーンなテイクダウンが一度あったかどうか……。
 
結果、スタンドで効かされグランドで防戦一方に追い込まれる→全局面で圧倒される最悪の流れ。
膝をぶっ壊して以降の堀口は間合いがやや近くなっているが、それを差し引いても扇久保には荷が重い試合だった。
 
RIZIN33現地観戦感想。朝倉海、井上直樹を下して扇久保が優勝。元谷vs金太郎のリザーブファイト。予想外が山盛りの2021年大晦日
 
ちなみに堀口恭司は今後フライ級でやっていくとのことだが、引き続きBellatorを主戦場とするのだろうか。
それこそBellatorで階級新設を待つよりすでにフライ級があるRIZINに戻ってきた方が手っ取り早い気もするのだが。
 
まあ、結局のところ北米で堀口にどこまで需要があるかが重要なのだと思うが。
 

×クレベル・コイケvsパトリシオ・ピットブル○(判定3-0)

そして副将戦のクレベル・コイケvsパトリシオ・ピットブル戦について。この試合は両団体の王者対決であるとともに僕が唯一勝敗予想をした一戦でもある。
 
クレベル・コイケvsパトリシオ・ピットブル予想。RIZIN vs Bellatorの対抗戦の中でいちばん楽しみな試合。ボンサイ柔術勢が世界のトップを下す瞬間に期待
 
感想としては、懸念していたものがそのまま出た印象。
 
・パトリシオは基本“待ち”のカウンター使い
・カウンターをチラつかせながら圧力をかけ、出入りを繰り返しつつヒットを重ねる
・“グランドで絶対に極めるマン”のクレベルだが、パトリシオ相手にそれができるか
・インタビュー映像などを観ると計量前のパトリシオはかなりゴツい
・クレベルはフィジカル差に圧倒されてテイクダウンが奪えずジリ貧になりそう?
・パトリシオvsAJ・マッキー2と似たような展開になるのではないか?
・勝敗予想はパトリシオの判定勝利
・応援するのはもちろんクレベルだけど
 
上記が大まかな展望なのだが、結果的にその通りになったというか。“待ち”を重視したパトリシオを崩すのは本当に至難の業だった。
 
後ろに体重を残したスタンスで対峙しカウンターをチラつかせながら前進、得意な間合いに入ったところで上下の打撃を浴びせる。もちろん攻撃の最中でも何割かはバックギアの意識を持っておく。
 
クレベルもローやジャブを出しながら寝技に引き込もうとするが、パトリシオの警戒心が高くうまく流れを作れない。
タイミングを測ってタックルに入るものの、あっさりはがされ再びスタンドに戻されてしまう。
 
1Rの序盤、コーナー付近でクレベルがタックル→パトリシオがサラッと外すシーンがあったが、クレベル自身、もしかしたら「これはヤバい」と感じた場面だったかもしれない。
 
今までならあそこでは確実にペースを奪えていたはずが、自分のタックルがまったく通用しなかった。一本とまではいかないまでも相手を委縮させることはできていたタイミングなのに。
 
 
まあでも、改めてボンサイ柔術はリング向きですよね。
これが広い&丸いケージだったらもっと簡単にタックルを切られていただろうし、角張っているコーナーを使って相手を引き込むこともできなかった(はず)。
 
自分の土俵、ルールでこれだけ跳ね返されたことを考えると、やはり北米のトップ選手とは差があったと言えそうである。
 

×ホベルト・サトシ・ソウザvsAJ・マッキー○(判定3-0)

ラストは大将戦。
クレベルと同門でRIZINライト級の絶対王者、ホベルト・サトシ・ソウザが全敗を阻止するべくAJ・マッキーに挑んだわけだが……。
 
いや~、厳しかったっすね~。
 
打撃で着実にダメージを与えるマッキーに対し、サトシはいつも通りグランドでの一本を狙う。
 
マッキー勝利の判定が物議を醸したとのことだが、僕としてはアレで問題ないと思っている。
 
ダメージは明らかにサトシの方が大きかったし、正直グランドの展開でも極まる感じはなかった(結果を知った上で観ているからかもしれないけど)。
最終目標が“相手をぶっ倒すこと”だと考えるなら今回はマッキーが一枚上だったのではないか。
 
とは言え、サトシの強さがトップレベルにあることも証明された試合だった(と思う)。
アーチュレッタに肉薄したキム・スーチョル同様、フィジカル負けしていた部分はなくAJ・マッキーを「もしかしたら」のところまで追いつめてみせた。
 
1R後半でマッキーがかなり消耗していたのが印象的だったが、本人がコメントしていたようにここまで苦しい試合はほとんど経験がなかったのだろうと。
 
RIZIN35三大タイトルマッチ感想。伊澤星花vs浜崎朱加、牛久絢太郎vs斎藤裕、サトシ・ソウザvsジョニー・ケース。謎リベンジマッチの伊澤と牛久が勝ってよかった
 
ただ、上述のクレベルvsパトリシオ戦と同じく“リングファイトだからこそ”という部分は随所に見られた。
 
手足が長くもともとの間合いが遠いマッキーは普通にサイドキックを出すだけでもかなりの長距離となる。
 
そのマッキーに曲がりなりにも組みの展開を押し付けたサトシだが、仮にこれがケージであれば。
それこそバックステップでサラッとかわされ、前のめりになったところにカウンターをもらう流れになっていた可能性も?
 
またマッキーがKOを狙いにいくスタイルだったおかげでアクションの多い試合となったが、仮に勝利のみにフォーカスされた場合は?
 
両者が合意した“RIZINルール”の試合にタラレバを言うのはナンセンスだが、やはり純粋なMMAファイターとしてはマッキーの方が一枚上かなぁと思った次第である。
 

RIZINトップ勢の立ち位置がはっきりした5戦。北米でも通用するけど王者クラスからは一段落ちる

各試合の感想は以上なのだが、ここからは全体の感想を。
 
今回の対抗戦を経て、僕はRIZINの現在地がはっきりわかったと思っている。
 
 
両団体のトップ同士がガチンコでぶつかり、結果は5-0でBellatorの勝利。
 
とりあえず言えるのは、RIZINのトップどころは北米でも十分通用する。
だが王者クラスと比べると一段落ちるというか、北米基準で言えばランカークラス。下位~中位前後のランカーといった印象である。
 
 
それが顕著だったのが第11試合の武田光司vsガジ・ラバダノフ戦と第14試合のクレベル・コイケvsパトリシオ・ピットブル戦。
 
武田光司はフィジカルは互角、レスリング力ではラバダノフを上回ったが、終始スタンドでの打撃を強要されて得意の展開を封じられた。
副将戦に登場したクレベルはグランドを警戒されまくり、スタンドでとことん削られジリ貧に陥った。
 
つまり、どちらも相手の土俵で勝負させられ最後までそれを打破できずに敗れ去った。
 
得意分野ではランカーや王者に匹敵する力があるが、平均値の高さ、総合力でねじ伏せられてしまう。
これがトップ中のトップと中位ランカーの差と言えるのではないか。
 
 
恐らくガジ・ラバダノフの実力は絶好調時のジョニー・ケースと互角かちょい上くらい。武田光司もBellatorで10位に入れるかどうかといった強さ。
またクレベル・コイケも似たような感じで、だいたいBellatorフェザー級の8〜10位前後かなぁと。
 
その他、アーチュレッタを追い詰めたキム・スーチョルは5位〜3位前後。サトシに関してはベスト3を脅かす位置にいると予想する。
 
フライ級の扇久保は……。
すまん、よくわからん。
 
伊澤星花vsフォントーラ、RENAvsアナスタシア、パク・シウvs浅倉カンナ、浜崎朱加vsジェシカ・アギラー。メインの仕事をした伊澤とカッコいいパク・シウ。やや低調だったRENA
 
繰り返しになるが、RIZINのトップどころはBellatorの下位〜中位のランカーくらいの立ち位置。間違いなく北米でも通用するが、王者クラスとは差があるというのが僕のファイナルアンサーである。
 
もちろんケージファイトへの対応が必須なのは大前提として。
 
今後この差をどう埋めていくか、RIZIN全体で競技レベルの向上を図るのかは不明だが、とにかく本気vs本気の対抗戦を経てボンヤリしていたRIZINの立ち位置がはっきりした。これは非常に興味深い。
 
そういう意味でもおもしろい5試合だったと思う。
 

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