平本蓮vs弥益ドミネーター聡志感想。まさかの平本覚醒。“待ち”に徹することで得意の打撃を最大化。次戦の相手はアイツしかいないんじゃない?【RIZIN LANDMARK 4】

平本蓮vs弥益ドミネーター聡志感想。まさかの平本覚醒。“待ち”に徹することで得意の打撃を最大化。次戦の相手はアイツしかいないんじゃない?【RIZIN LANDMARK 4】

2022年11月6日に愛知県で行われたRIZIN LANDMARK 4。
メインイベントでは平本蓮と弥益ドミネーター聡志が70kg契約5分3Rで対戦し、3-0の判定で平本が勝利。戦前の不利予想を覆す番狂わせを果たした一戦である。
 
 
平本蓮vs弥益ドミネーター聡志。
当初66kg契約として組まれていたもののが、平本の負傷により数日前に70kg契約に変更されている。
 
僕はPPVを購入するかをかなり迷っていたのだが、平本負傷→契約体重変更と聞いて見送ることに。
ところが平本蓮のパフォーマンスが素晴らしかった、まさかの番狂わせが起きたと聞いて俄然視聴意欲が増し、大急ぎで視聴した次第である。
 
 
まあ、もともとリアルタイム視聴は難しかったので仮に66kg契約のままだったとしても購入は後日になっていたわけだが……。
 
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MMAファイターとしてのスタイルを見つけた平本蓮。菊野克紀を彷彿とさせる構えで対峙

まず試合の率直な感想だが、平本蓮がMMAにおける自分のスタイルを見つけたなと。
 
自然に足を広げたスタンスで腕はやや低め。
右手を前に掲げてアップライト気味の構えで対峙。
 
スイッチを繰り返しながらテイクダウンを狙う弥益ドミネーターをどっしりと待ち受ける。
 
1発目の右ロー? カーフ? で体勢を崩されたものの、すぐさま立ち上がり弥益の追撃よりも先に右カウンターを顔面に。
これで弥益が尻餅をつくようにダウン。だが、当の平本はグランドには付き合わずに弥益に立ち上がるよううながす。
 
さらに1R1分あたりで再び右ローを放った弥益に対して今度はドンピシャのタイミングで左を合わせる。
そしてパンチを出しながら踏み込んできたところに左右連打を浴びせて早くも2度目のダウンを奪う。
 
仰向けに倒れた弥益の顔面にパウンドを落とす平本だが、ここでは足に絡まれアキレス腱固めへの移行を許す。
身体を捻って何とかこれを回避、肘を落として弥益を引き剥がしてどうにかスタンドに復帰する。
 
おお、すげえな平本。
これまでと全然違うじゃねえか笑
 
構えはサウスポーだし、やたらと背筋が伸びているし。
最近空手に取り組んでいるという話をどこかで聞いた気がするが、確かにそんな感じ。
 
どっしりと構えて後の先を狙うスタイルがMMA時代の菊野克紀を彷彿とさせる。
また、漫画「グラップラー刃牙」の愚地独歩が範馬勇次郎戦で見せた“前羽の構え”っぽさもある。
 
ベストバウトは井上直樹vsアーチュレッタ。一番刺さったのはブアカーオ。朝倉海はアーチュレッタに勝ち筋ありますかね?
 

ファーストコンタクトで警戒心を強めた弥益は迂闊に攻められなくなる。でも、平本が手を出してこないのでいかざるを得ない…

最初の1分で2度のダウンを食った弥益は一気に警戒心を強め、それ以降なかなか手を出せなくなる。
一方、カウンター狙いに徹する平本は決して自分からは仕掛けない。
 
カウンターを警戒して手が出せない弥益とあえて手を出さない平本。
 
状況を打破するために自ら動くしかない弥益はどうにかテイクダウンの流れに持ち込もうとするのだが……。
 
平本が適度な間合いを保ちながらカウンターをチラつかせるせいでうまく距離を潰せない。
 
タックルをしっかりと切られ、ハイキックは落ち着いてキャッチされて右カウンターを合わせられる。
苦し紛れにパンチを出しても序盤同様、見切りとハンドスピードで圧倒される。
 
何をするにしても半歩ほど距離が遠く、しっかりと見られて対応されてしまう悪循環。
入り際のカウンターを被弾し続け、ダメージだけが蓄積していく。
 
 
マジな話、カウンター狙いに徹することでオールラウンダータイプの弥益をここまで攻略するとは。
 
自分から仕掛ければ必然的に腰が浮く瞬間が生まれる。
今まではそこを狙われてグランドの展開を強いられてきたわけだが、今回はひたすら“待つ”ことで自分のウィークポイントを補ってみせた。
さらに空手の鍛錬によって近場での打撃も向上させた。
前に出した右足を狙われることは想定内で、そこにカウンターを合わせる練習も山ほど積んできたのだと想像する。
 
 
実際、この短期間でこれだけ上達できるのものなのか、それとも以前からの取り組みが開花したのかは不明だが、とにかくすごかった。
 
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前回の鈴木博昭戦がきっかけになったんじゃないの? あの試合での“待ち”作戦の成功&空手技術の向上によって近場での打撃が一気に開花した

平本の覚醒は前回の鈴木博昭戦が大きく影響しているのではないか。
 
あの試合は構えこそオーソドックスだったが、今回同様一定の距離を保ちながらカウンターを狙う作戦に終始していた。
 
朝倉海今季絶望、昇侍も今季絶望。ヤン・ジヨンが突然61kg→66kgに。強い責任感とやらで結論を先延ばしにしたら多大なる損失ががが。ホウレンソウは大事よ?
 
相手の鈴木がMMAファイターとしてはやや未熟&サイズのアドバンテージがあったものの、“待ち”に徹することで最後までスタンドでの打撃勝負を押し付けることに成功した。
 
MMAの試合としておもしろかったか、メインにふさわしかったかは甚だ疑問だが、これまで苦労していた攻撃間際のタックルに対処できたことは大きかったのだろうと。
 
そして今回の相手は鈴木よりもさらに成熟した弥益ドミネーター聡志。
前戦よりも若干スタンスを狭めて対峙し、前蹴りやジャブをいっさ出さずに“待ち”続けることで相手が仕掛けざるを得ない状況を作り出した。
 
しかも上述の通り空手技術の向上によって近場の打撃、回転力、精度が格段に増した。
1R開始直後の復元力、足絡みの回避を観る限りテイクダウンを切る練習や寝かされた状態から立つ練習を相当繰り返してきたはず。
 
どうすれば自分のストロングポイントを最大化できるか。
思い切り腕を振れる間合いを作り出せるか。
 
キックとの距離の違いに苦労する中であれこれ模索して出した答えが“徹底して待つ”
 
本人が最初に目指した姿がこれだったかは不明だが、どちらにしろ見事な勝利だった。


割とガチで「MMAファイター平本蓮爆誕」と言える試合だったと思う。
 
RIZIN vs Bellator全面対抗戦でRIZIN勢が全敗。クレベルと武田の試合でRIZINの現在地がわかった気がしたよ。スーチョルもサトシも惜しかった。扇久保は…
 

直近の契約体重変更については…。先日の岩佐亮佑vsジェネシス・セルバニア戦とやってることは大して変わらんしね

ちなみに直近の契約体重の変更についてあれこれ言う気はない。
 
先日ボクシングの元S・バンタム級王者岩佐亮佑が試合数日前に(相手の都合で)契約体重を57.1kg→62kgと5kg以上増量させられていたが、今回の平本vs弥益戦もやっていることは大して変わらない。
 
肯定するとかではなく「格闘技はそういうもん」と割り切っているだけの話。
要するに格闘技ではこういうトンデモ案件がちょくちょく発生するよねということで。
 
まあ、下馬評通り弥益が勝利していればPPVは購入しなかったと思うけど。
 

平本の次戦が楽しみ。僕の中での第一候補はアイツしかおらん

平本蓮の次戦だが、今回の勝利で俄然楽しみになってきている。
 
一部では因縁のある朝倉未来戦を待望する声があるようだが、僕はまだやらなくていいと思っている。
というより朝倉未来にはクレベル・コイケとの再戦&タイトルマッチに進んでもらいたい。
 
クレベルが強過ぎてドン引き。牛久絢太郎撃沈。スタンドでのヌルさが付け入る隙とか言われてたのに。打倒クレベルに金原を推してたけど厳しいかもしれんね
 
それならむしろMMAデビュー戦で負けた萩原京平とかね。
リベンジはもちろん、散々コカされたグランドの対応力がどこまで上がっているかを示すという意味でも。
 
 
そして、僕の中での第一候補は何と言っても芦田崇宏
平本がRIZINデビュー戦(キックルール)でKOした選手で、なおかつバックボーンはボクシングである。
弥益ドミネーターよりもスタンドの打撃で上回る芦田に平本がどう対応するか。同じようにテイクダウンを切りまくってカウンターで切り刻むことができるのか。
 
芦田としてもキックルールで敗れたリベンジを果たしたいだろうし、RIZINでの立ち位置も“ちょうどいい”。
 
 
あとはアレだ。
リングorケージによっても展開が変わりそうな……。
今回はケージの広さと金網を有効に使えたおかげでテイクダウンを防げたが、一回り狭くロープに囲まれたリングで同じことができるか? という話。
 
ナンバーシリーズで対戦を組むならリングになるはずなので、恐らく勝手が違ってくるのだろうと。
 
 
マジな話、平本の次戦は芦田が適任だと思いますけどね。弥益戦での勝利がブラフなのか実力なのかを知るためにも。
マッチメークのセンス的にも最適解としか思えないのだが。
 

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