映画「パシフィック・リム」感想。誰一人欠けても地球の平和は守れなかった(キリッ! カイジューの醜さを見るとゴジラの造形美が際立たつよな
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映画「パシフィック・リム」を観た。
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「パシフィック・リム」(2013年)
太平洋グアム沖に生じた割れ目「ブリーチ」から次々と現れる怪獣に人類は苦境を迎えていた。
沿岸諸国によって設立された「環太平洋防衛軍 (PPDC)」は怪獣迎撃用巨大兵器「イェーガー」を駆使して怪獣撃退を図るが、怪獣出現のペースは早まるばかり。徐々に劣勢を強いられ、イェーガーを撃破される局面も増えていく。
そして2024年、怪獣襲来の増加ペースと相次ぐイェーガーの敗北により、各国首脳陣は生産コストと供給が間に合わないことを理由についにイェーガー計画の中止を決定。それに伴い沿岸部に「命の壁」と呼ばれる巨大な防護壁を建造し、怪獣からの徹底した防御策を打ち出すのだった。
ところが勢力を増し続ける怪獣の前では「命の壁」すらも効力を発揮できず、いよいよ人類に滅亡の危機が迫る。
そんな危機的状況の中、PPDCの司令官スタッカー・ペントコストはかつてイェーガーのパイロットとして活躍したローリー・ベケットを現場復帰させ、最後の望みとして怪獣撃退を命ずるのだが……。
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おバカ映画と評判の「パシフィック・リム」を視聴した。先日の「ゴジラvsコング」で僕は完全に“おバカ映画”モードに入った
先日、映画館で「ゴジラvsコング」を鑑賞してきたことは申し上げた通り。
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頭を空っぽにして観られるおバカ映画っぷりを山ほど堪能してきたわけだが、その流れで同じくおバカ映画と評判の「パシフィック・リム」を視聴した次第である。
感想としては、なかなかよかった。
正直に申し上げると、最初はこの映画を舐めていたことも確か。
日米の二大怪獣が激突した「ゴジラvsコング」を観た僕の“おバカ映画”モードを満足させられるのか。
日本の特撮ものに対する愛情、リスペクトがすごいと評判だが、果たしてどの程度なのか。
天照大御神の末裔とも言われる(言われてねえ)生粋の日本男児である僕の琴線に触れるものを持ってこられるのか。それだけの度量がお前らにあるのか。
などなど。
「ゴジラvsコング」にインスパイアされまくった末の謎の上から目線+穿った視点での視聴だったことを報告しておく。
いや、なかなかよかったですねパシフィック・リム。
僕の意味不明な“おバカ映画”への渇望をうまく満たしてくれたというか。高評価が多いのも納得の出来である。
湯水のように金を使った凄まじい映像。「20世紀少年」の巨大ロボットのショボさとは大違い
まず今作を観て思ったのが、「すげえ金かかってんな」。
どなたかもおっしゃっていたが、この映画はとにかく金のかけ方が凄まじい。
素人目にもわかるほどの凝りに凝ったCGや大規模なセット。
PPDC本部は巨大ロボを格納できる高さと広さが確保され、しかもそれが本物にしか見えないという。
怪獣迎撃用巨大兵器「イェーガー」のメカメカしさと怪獣たちの生々しく不気味な造形の対比からは、「異次元世界からの侵略に科学力を結集して立ち向かう人類」という構図が伝わってくる。
2013年公開ということで、恐らく今よりもCGの技術はかなり劣っているはず。
だが、それをまったく感じさせない妥協のなさ、湯水のように金を使った成果をいたるところに感じることができる。
2009〜2010年にかけて三部作として公開された映画「20世紀少年」の巨大ロボットが寄りの画ばかりだったことを考えると、いかに今作が金と技術を結集して作られているのかがよくわかる。
諸々のおバカ映画に対する熱量、作品への愛には好感を持たざるを得ないww
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ただ不満な点、物足りない点があったのも事実で、個人的な評価としては5点満点中3.5点くらい。「あそこさえ解消できれば最高だったのに」という部分が散見された印象が強い。
というわけで、ここから先は今作における不満な点、物足りないと感じた点を挙げていくことにする。
不満な点その1:前半がタルい
表題の通りなのだが、今作は前半がややタルい。
ローリー・ベケットと森マコの出会い以降、彼らのエピソードや両者が友情? 愛情? を育むシーンを中心に物語が進むのだが、それがだいたい全体の半分くらいまで続く。
「なぜ彼らは怪獣と戦っているのか」「過去に何があったのか」については確かに気になるところだが、今作に関してはそこは大した問題ではない。
上述の「ゴジラvsコング」がよかった理由として、極力怪獣の出シロを増やしたというのがある。
登場人物に関する説明を最小限にとどめ、ゴジラとコングをなるべく長く登場させる。
最初の1時間は背びれしか出てこなかった2014年「GODZILLA ゴジラ」とは違い、もったいぶらずに2大怪獣をゴンゴン出しまくったことが僕が「ゴジラvsコング」を気に入った大きな要因となっている。
ところが今作「パシフィック・リム」では、主人公ローリー・ベケットの過去や司令官と森マコの関係といった人物相関図がかなり丁寧に説明される。
そして、それが何ともタルいのである。
いや、違うんだよな。
僕の求めているのはそういうことじゃない。
もっとこう、ロボットとカイジューのど迫力なバトルの方に重点を置いてほしい。
僕がこの映画に期待しているのは全編を通して悲鳴と擬音しか聞こえないようなクソ展開。
登場人物への感情移入などは不要と言っても過言ではない。
前回の「ゴジラvsコング」の感想記事でも申し上げたように、話の流れはガバガバであればあるほどいい。取ってつけたような稚拙なドラマによってバトル部分の臨場感はさらに増す。
兄を失ったトラウマとか、司令官に命を救われた過去とか、そんなものはどうでもいい。
今作の持ち味は怪獣のど頭を吹っ飛ばし、ロボットが粉々に砕け散り、街をぶっ壊しまくってこそ。
結果としてそれが僕の求めるおバカ映画の完成に近づくのである()
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不満な点その2:怪獣が総じて醜い
また、今作に登場する怪獣は総じて醜い。
恐らく「ウルトラマン」や「ガメラ」といった日本の特撮映画や「エヴァンゲリオン」「進撃の巨人」などのアニメ、さらに「エイリアン」や「キングコング」といった過去の名作からインスパイアされているのだと想像するが、とにかく造形が美しくないのである。
もちろん人類を滅亡させる外敵を美化するわけにはいかないのは理解できるが、それでも……。
「キングコング 髑髏島の巨神」のスカル・クローラーっぽい怪獣がグラサン姿のおっさんを丸呑みにするシーンがあったが、あそこなどももう少し何とかならなかったものか。
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リアリティと迫力を重視すれば結果としてああなるのはわかる。
粘液が飛び散り肉片が弾け飛ぶ様子が「イェーガー」のメカメカしさとの対比を強調するというのも納得できる。
ただ、せっかくのおバカ映画なのだから、多少はファンタジー寄りにしてもよかった気がするのだが……。
毎週のように怪獣が襲来する地球をなぜかM78星雲に住むウルトラマンが防衛してくれるご都合主義を採用しろとまでは言わないが、登場する怪獣があそこまで醜悪な姿ではさすがに愛着も湧きにくい。
と同時に、ゴジラの造形美がいかに優れていたかも際立つ。
キングギドラ、モスラ、ラドン、メカゴジラ、アンギラス、ムートーその他。
僕だけかもしれないが、ゴジラに登場する怪獣にはもれなく“美”を感じるのである。
ムートーなどは特にそう。
基本はスカルクローラーと同系統のグロ担当ではあるが、その佇まいからは何とも言えない気品が漂うww
ついでに言うと、エイリアンの芸術度も相当高いですよね。
グロテスクと造形美のバランスが絶妙というか。幼虫→サナギ→成虫へ進化していく過程も含めて完璧としか言いようがないww
不満な点その3:日本語のセリフが薄ら寒い
3つ目の不満点は、日本語のセリフが薄ら寒いこと。
ヒロインの森マコ役を菊地凛子が演じていることもあってか、今作では重要な局面で日本語のセリフが挟み込まれる。
ローリー・ベケットと森マコの初対面のシーンや、ペントコストが森マコを説得するシーンその他。ちょっとしたアクセントとしての演出だとは思うが、ことあるごとに出演陣が日本語で喋り出す。
そして、その演出が何とも寒いのである。
マジな話、あの日本語演出は今作に必要だっただろうか。
僕にはどう考えても不要としか思えないのだが。
日本の特撮映画への愛情が深いのはわかるが、だからと言って……。あんなド下手な日本語を披露するくらいならやらない方がはるかにマシ。
恐らく日本語が得意なスタッフが不在でチェックが甘くなったのだと思うが、だったら無理してやらんでええねんと。
吹き替えに下手くそな芸能人を起用してぶち壊しにするのと同様、作品の雰囲気にそぐわないせいでいちいち集中力を削がれてしまうのが何とももったいない。
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中でも困ったのが、菊地凛子の日本語がすこぶる怪しいこと。
いや、おかしいだろww
何であんなに日本語が下手くそなんだよお前。
僕自身、日本のドラマで菊地凛子を観たこともあるが、あそこまでカタコトだったっけか?
視聴前に「菊地凛子の日本語が怪しい」という話は聞いていたものの、そのヤバさは想像を超えていた。
「ゴジラvsコング」の小栗旬と違って英語が堪能な分、頭の中に点滅した「?」マークは最後まで消えることはなかった。
映画としては総じて“当たり”の部類。メンバーの誰一人欠けてもカイジュー討伐は果たせない連帯感
申し上げたように今作は映画としては間違いなく“当たり”の部類。
あれこれと不満な点を並べたものの、概ね満足度は高い。
中でも「メンバーの誰一人欠けてもカイジュー討伐は果たせなかった」という連帯感は特筆もの。
「イェーガー」のパイロットが礎となり、ベケットと犬猿の仲だったチャック・ハンセン、司令官のペントコストが最後の道を切り開く。そのチャンスをベケットと森マコが生かしてカイジュー討伐を達成。
その間、カイジューの脳とドリフトを果たしたニュートン・ガイズラー、ハーマン・ゴットリーブの学者勢のアドバイスにより、2人は道を誤ることなくゴールに突き進むことが可能になる。
・バラバラだった組織が徐々に団結し、最後の最後に「チーム」となる
・チームの誰が欠けてもカイジュー討伐はなし得なかった
ドッカンバトル満載のおバカ映画であるとともに、特撮ヒーローものに不可欠な“友情”“団結”要素がふんだんに取り入れられた構成。
「あるべきところに収まる」爽快感に関して言えば、今作は「ゴジラvsコング」をはるかに上回る。
いっさいブレることなく王道中の王道を行く潔さはさすがとしか言いようがない。
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