長濱陸vs豊嶋亮太感想。近場でのパンチの種類に差があったかな。豊嶋のインファイトのうまさと研究の成果が出た気がするよ【結果・感想】

長濱陸vs豊嶋亮太感想。近場でのパンチの種類に差があったかな。豊嶋のインファイトのうまさと研究の成果が出た気がするよ【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2020年1月16日、東京・後楽園ホールで行われた「ダイナミックグローブ presented by SLUGFEST」。メインに登場したOPFB東洋太平洋ウェルター級王者長濱陸がランキング12位の挑戦者豊嶋亮太と対戦し、3-0(115-112、116-111、117-110)の判定で豊嶋が勝利。見事新王者に輝いた一戦である。


2020年2月にクドゥラ金子との王座決定戦を制してOPBF王座戴冠を果たした長濱陸。
対する豊嶋亮太は長濱と同じ12勝2敗1分の戦績を持つ挑戦者。新型コロナウイルスの影響で前戦から約1年4ヶ月ぶりのリングとなる。
 
 
試合は遠い位置から鋭いジャブで牽制する長濱に対し、豊嶋はガードを高く上げて前進。長濱の左に合わせて連打を返し、そのまま身体を寄せて近距離での打ち合いに持ち込む。
 
思ったように距離が取れない長濱は近場での差し合いに応じるが、回転数と正確性でわずかずつ豊嶋に上を行かれてしまう。
 
 
両者ほぼ互角の展開で迎えた6R。
豊嶋が左フックで長濱の動きを止めると、そのまま連打を集めて一気にペースを引き寄せる。続く7Rには鋭い右を浴びせてこの日唯一のダウンを奪うなど、試合の流れを完全に掌握。
 
その後も接近戦での打ち合いで何とか逆転を狙う長濱だが、豊嶋の動きは最後まで衰えず。
3-0の文句なしの判定で豊嶋が勝利し、王座奪取を果たした。
 

楽しみにしていた長濱vs豊嶋戦。現地観戦したかったけど、録画で我慢しました

先日行われた長濱陸と豊嶋亮太によるOPBF東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ。
 
僕は2020年2月の長濱陸vsクドゥラ金子戦を現地観戦したこともあり、1月14日に行われた栗原慶太vs井上拓真戦同様、とても楽しみにしていた試合である。
 
長濱陸がクドゥラ金子を寄せつけずにOPBF戴冠。土屋修平は山口祥吾にTKO負けで復帰戦を飾れず
 
ただ、残念ながら今回は現地観戦はかなわず。
試合が発表されてからチケットの販売情報を探し回ったのだが、まったく見つけることができずに当日を迎えることに。
 
で、諦めてテレビ中継に切り替え、録画しておいたものをようやく視聴した次第である。
 

豊嶋亮太のインファイトが素晴らしかった。王者長濱をめちゃくちゃ研究し、作戦通りに遂行した

まず今回の試合、豊嶋亮太のインファイトのうまさがめちゃくちゃ発揮された内容だった(と思う)。
 
表題の通りなのだが、豊嶋陣営は王者長濱陸の動きを山ほど研究し、万全の対策を練ってこの試合に挑んだと想像する。
コロナで試合ができない期間、同じジムのホルヘ・リナレスとスパーリングを重ねたとのことで、全体的な実力も底上げされたのだろうと。
 
もちろん長濱陣営も相手を研究してきたはずだが、今回は豊嶋が各局面で長濱を上回る動きを見せた(気がする)。
 

インファイトでのバリエーションに差があったかな。近場での差し合い、回転力など、各局面で豊嶋の対応力がずば抜けていた

具体的には、両者には中間距離よりやや近めの位置でのバリエーションに差があったと思う。
そして、その位置での差し合いに持ち込むまでの豊嶋の組み立てが本当に素晴らしかった。
 
実況によると、長濱陣営の作戦はジャブとボディを駆使して距離を取ることだったとのこと。左リードとフットワークで翻弄し、インファイトが得意な豊嶋に自分の距離を作らせない目論見だったのだろうと。
 
 
ところが開始直後から豊嶋の強いプレスを浴び、得意のジャブがなかなか機能しない長濱。
 
豊嶋は長濱の左リードに同時打ちで左を合わせ、長濱の防御姿勢が整う前に追撃の右を打ち込む。この流れでスルスルと懐に立ち入り、近場での連打につなぐ。
 
恐らく長濱が得意とする間合いは中間距離よりやや遠目。
前回のクドゥラ金子戦でもジャブと左右へのフットワークで序盤から追い足のないクドゥラ金子を置いてきぼりにしてみせた。
 
長いリーチを活かした左や外旋回のフックなど、腕が伸びる位置での差し合いでこそ長濱の実力は発揮される。
 
だが、そこから一歩間合いを詰められると、ややパンチの種類が減る印象。
中間距離での強烈なワンツーに比べて若干迫力に欠け、パンチの角度もオープン気味。自分のリーチをわずかに持て余している感が強い。
 
 
それに対し、豊嶋はその位置での差し合い、バリエーション、回転力が圧倒的にずば抜けていた。
鋭い左リードやいきなりの左フック、微妙に伸びるボディその他。
同時打ち+追撃の右によって長濱の左リードを封じ、近い距離で多彩なパンチを浴びせていく。
 
中間距離ではカウンターを被せ、インファイトでは常に先手を取る。
上体を振って頭の位置を動かしつつ、小さな出入りを繰り返しながらヒットを重ねて長濱をジリジリ後退させていく。
 
栗原慶太vs井上拓真感想。井上拓真がめちゃくちゃ上手かったな。はじめの一歩方式で言えば栗原がKOで勝つ流れだったけど
 

上手いわ豊嶋亮太。身体も強いし、「先に手を出して、自分のパンチで終わる」を徹底していた

ああ、なるほど。
これは上手いわ。
 
特別スピードがあるわけではなく、見切りがいいわけでもない。
だが、相手の得意なパンチを封じて自分のペースに持ち込むまでの流れはめちゃくちゃ秀逸。
 
近場でのバリーエションの多さはもちろん、打ち合いの最中に微妙に身体を逸らしてスペースを確保し強いパンチを打ち込むなどの緻密さもある。
 
「先に手を出して、自分のパンチで終わる」を徹底するメンタル等、長濱をたっぷりと研究してきた成果が如実に現れた試合というヤツ。
 
 
逆に長濱陣営としては、ジャブで翻弄する作戦がいきなり頓挫したことで戦術に迷いが生じたのではないか。
 
下がりながらのカウンターと左回りで中盤までは五分の展開をキープしたものの、どこかスッキリとしない。うまく言えないが、全体的に相手のペースに乗せられている印象。
 
前回のクドゥラ金子戦では「離れるときは離れる」「くっつくときは思い切りくっつく」のメリハリが利いていたが、この試合では均衡を保つのに手いっぱいだったというか。
 
田中恒成の井岡戦振り返りYouTubeがおもしろかった。本人が試合を振り返るのはいいよね。でもごちゃごちゃと言い訳する選手も嫌いじゃない
 
強いボディと鋭い左リードを持ち味とする両者。
だが、長濱は遠間での左を早々に封じられ、近場の差し合いでは豊嶋の回転力に対抗するためになかなかガードを下げられない。
 
一方の豊嶋はカウンターを浴びるシーンはあるものの、強靭なフィジカルと前に出る勢いでダメージを相殺。前進する流れで打ち込むボディには必然的に力が乗る。
 
その結果、徐々に長濱が豊嶋の馬力を抑えきれなくなり、6Rにとうとう決壊する。7Rから頭をくっつけての打ち合いに応じるものの、残り1分10秒あたりで豊嶋が放った右ストレートをモロに被弾しダウンを喫してしまった。
 
てか、あの右も相当上手かったんですよね。
その直前までは左中心で攻撃を組み立てていたのが、長濱が後退してスペースができた瞬間を見計らっていきなりロングの右。
 
長濱も決してインファイトが苦手なわけではないと思うが、この日の豊嶋はあらゆる面で長濱を一歩上回っていた気がする。
 
上記の記事でも「ここというときに右ストレートが出た」とコメントしているし、まさしく1年4ヶ月の積み重ねと研究の成果が出たのだろうと。
 
繰り返しになるが、マジでお見事な勝利だった。
 

長濱陸の再起が観たいぞ。クドゥラ金子戦のインパクトはまだ残っているし、また現地観戦もしたい

なお敗れた長濱陸についてだが、こちらもこのまま終わってほしくはない。
前回のクドゥラ金子戦のインパクトはいまだに僕の中で残っているし、勝手な希望を言うならぜひとも再起してもらいたい。
 
本人が決めることなので何とも言えないが、タイミングが合えばもう一度現地観戦もしたいとも思っている。
 
 
なので、とりあえずナイスファイト。
前向きな答えに(勝手に)期待しておきます。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 




 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!