低調なメイウェザーvsローガン・ポール。想定していた中で一番無難で望まない展開だった。メイウェザーにとっても痛い結果じゃない?【結果・感想】

低調なメイウェザーvsローガン・ポール。想定していた中で一番無難で望まない展開だった。メイウェザーにとっても痛い結果じゃない?【結果・感想】

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2021年6月6日(日本時間7日)、米・フロリダ州マイアミで行われたエキシビジョンマッチ8回戦。
元5階級制覇王者フロイド・メイウェザーと人気YouTuberでプロボクサーのローガン・ポールが対戦した試合(エキシビジョンのために判定はなし、KO決着以外での勝敗はなし)は、8Rにわたってお互いダウンシーンなどはなし。後半以降はメイウェザーが試合をコントロールしたものの、最後まで見せ場を作ることができず。
ブーイングまみれの中で終了のゴングが鳴らされる結果となった。
 
 
以前から話題になっていたメイウェザーvsYouTuberによるボクシング対決。
新型コロナウイルスの影響で一度延期になっていたものが今回ようやく実現した次第である。
 
と言いつつ、僕はこの試合のことをあまり詳しく知らず。
人気YouTuber兄弟がボクシングの試合に出場していることはうっすら知っていたが、今回出場するポールが弟なのか兄なのかすらよくわかっていない。
 
あれ? この前UFCファイターのベン・アスクレンをKOしてた記憶があるけど、あいつは弟の方?
じゃあKSIとかいうヤツとYouTuber対決してたのはどっち?
 
で、今回出てくるポールってのは?
 
登録者数2300万人を誇る人気YouTuberとのことだが、正直僕はまったく興味がない。チャンネルを観たこともないし、そもそも顔面があまり好みじゃないという。
 
一方のメイウェザーもフェイスオフ? でからかわれたことに激こうして「日本の皆さんをバカにした」云々喚いていたが、マジで意味がわからない。
この試合に日本は1mmも関係ないし、バカにされたのはお前だけだろ笑
みたいな。
 
 
楽しみにしていた方には申し訳ないが、だいぶ低いテンションでの視聴だったことをお伝えしておく。
 
メイウェザーvs朝倉未来戦が思いのほか楽しみなんだがw “気軽に会いに行けるスター”と化したメイウェザーさんの親しみやすさ。未来がこの試合で爪痕を残すには?
 

クッソ微妙な試合だった。インパクト的にはvs那須川天心戦の方がはるかに上

試合を観た感想だが、はっきり言ってかなり微妙だった
 
メイウェザーにはポールとの体重差を覆せるほどのパンチ力、圧力がなく、ポールはバテバテ状態のまま上から覆いかぶさるようなクリンチを繰り返すのみ。
 
せっかくのエキシビジョンならもう少し見せ場が欲しかったし、インパクトだけで言えば2018年末のメイウェザーvs那須川天心戦の方がはるかに上。
正直、これなら現役同士の試合を普通に観ていた方がずっといい。
 
 
お互いが真剣に倒しに行くのか、もしくはある程度忖度して魅せる方向に舵を切るのか。
どちらもエキシビジョン慣れしていない中途半端な8Rだったなぁと。
 

両者ともにコンディションはよかったと思う。メイウェザーに舐め腐った態度は見られず。それ以上にポールの真剣さが印象的

一応言っておくと、両者のコンディションはかなりよかったと思う。
 
メイウェザーはしっかりと身体を作ってリングに上がっていたし、実際に足も動いていた。全盛期の稲妻のような動きにはほど遠いものの、パンチに対する反応やディフェンス勘はさすがのひと言。
 
はっきりとは覚えていないが、2017年8月のコナー・マクレガー戦を上回る出来だったと言ってもいいのではないか。
 
少なくとも那須川天心戦での舐め腐ったメンタルとは明らかに違う。この試合に向けて練習を重ねてきたことがうかがえるパフォーマンスだった。
 
メイウェザークズ過ぎワロタw 那須川天心のしくじり先生がクソおもしろかった件。ジャンルを引き上げるって大変よね
 
一方のローガン・ポールだが、こちらはメイウェザー以上にこの試合に真剣に取り組んでいたように思える。
身体つきはもちろん、シャープな左リードに加えて3Rまでは本当によく動けていた。
WOWOWエキサイトマッチの解説者も言っていたが、この試合に向けてめちゃくちゃトレーニングしてきたのだろうと。
 
 
・メイウェザーvs那須川天心
那須川天心:体重が軽くボクシング技術も下
メイウェザー:→ヘラヘラ舐めまくり
→1RTKO
 
・メイウェザーvsローガン・ポール
ローガン・ポール:ボクシング技術は下だが体重ははるかに重い
メイウェザー:しっかり身体を作って真剣に対峙
→グダグダの8R
 
どちらの試合がインパクトがあったかは一目瞭然だが、「実力が下の側が重い体重+両者がそれなりに真剣な姿勢でリングに上がった」ことを考えれば、今回の方がバカにされる要素は少ない印象である。
 
 
クソ退屈だったけど
 

想定していた中でもっとも無難で一番望まない展開。エキシビジョンなら見せ場を作らないとダメだよね

表題のとおりだが、今回の試合は想定していた中でもっとも無難かつ一番望まない展開だった。
 
 
試合前に何となく考えた予想としては、
 
・本命:最初はがんばるポールだが、すぐにバテる。それ以降は抱きつきばかりのグダグダな展開
・対抗:メイウェザーがフルボッコにして7、8Rあたりでレフェリーストップ
・大穴:序盤にポールのカウンターがヒット→メイウェザーがピヨってまさかの……
 
だいたいこんな感じである。
 
 
で、一番おいしいと思っていたのはもちろん大穴。ポールのカウンターが側頭部にヒットしてメイウェザーが足をガックガクに揺らされるパティーンである。
 
あらゆる手を使って50戦全勝のレコードをキープし、階級下のキックボクサーとのエキシビジョンですら試合前にバンテージの巻き直しを要求するほど慎重なメイウェザーがYouTuberに負ける。
 
長年築き上げた栄光がぽっと出のよくわからん兄ちゃんに破られるなど、最高以外の何物でもない。
こんなおもしろいことが起きるのであれば、僕はあっという間にこのYouTuberのファンになる。
 
まあでも、たぶん難しいよな。
さすがにメイウェザーがそんな危険を冒すとは思えないし。
 
それでも何らかのインパクトは残してもらいたい。
メイウェザーの豪快KOでもいいし、ポールのギブアップでもいい。
 
どちらにしろ、クリンチまみれのグダグダだけはやめてね。
 
 
ダメでした……。
 
 
1Rの後半に猛ラッシュを浴びせるなど序盤は健闘したローガン・ポールだが、3R終了時にはバテバテ。口は半開きで顎も上がり、インターバル中にはロープに手をかけて露骨に休憩する。ファイティングポーズをとるのも億劫そうな様子である。
 
対するメイウェザーは2Rまでは距離をとって様子見に終始。3、4Rと徐々に圧力を強めてポールを追い回すが、決定的な1発は当てられず。ジャブを出した直後に身体を預けてくるポールにそのつど動きを封じられ、消化不良のまま8Rが過ぎる。
 
もっとも可能性が高いが、もっとも望まない展開。
クリンチまみれの無風状態のまま終了のゴングが鳴らされる退屈極まりないエキシビジョン。
一番やってはいけない試合が世界中にO.A.されてしまった。
 
ボクシング歴代好きなKO3選。衝撃度+爽快感で選んでみたぞ。僕の好みだから異論は認めない
 

メイウェザーは倒しに行っていた。でもローガン・ポールが…。倒されないことが目的になってたよね

いや~、どうなんですかねコレは。
 
一応申し上げておくと、メイウェザーがKOを狙いに行っていたのは僕にも理解できた。
 
ローガン・ポールのボクシングの実力はまったく問題にならないが、とにかく体重差、体格差が大きい。仮に1発まともにもらえば倒される危険性すらも伴うほどに。
 
その相手にゴリゴリプレッシャーをかける姿はそれなりに見ごたえがあったし、1発KOを狙うスタイルもラウンド数を加味すれば理にかなっている。
 
メイウェザーは今の自分にできることを精いっぱいやっていたと思う。
 
 
ただ、いかんせんローガン・ポールが……。
体格差、リーチ差を活かしたジャブに加え、バテてからはひたすらクリンチ一辺倒。
 
マジな話、これはどうなのよ? と。
倒されないことが目的になっていたというか、最後まで立っていれば正解と言わんばかりの振る舞いにはガッカリさせられた。
 
ジャーボンティ・デービスは寝起きに人を殴ったその足で朝マックするヤツ。マリオ・バリオスをパワフルに粉砕。小型のカネロじゃんコイツ
 

レジェンドvsYouTuberのトンデモなエキシビジョンなら何らかの爪痕を残さんと。メイウェザーの今後も難しくなった?

これが普通の試合ならここまでガタガタ言うこともない。
 
クリンチも足を使ったアウトボクシングも立派な戦術、技術の一つであり、“勝利”のための最適解を選択することに文句をつける気はない。
 
 
だが、この試合はあくまでエキシビジョンである。
それも50戦全勝のレジェンドにYouTuberが挑むというトンデモな組み合わせ。
マイク・タイソンvsロイ・ジョーンズJr.戦のように両者がリングに上がるだけで仕事は半分終わりの試合とはワケが違う。
 
見せ場を作って初めて価値が生まれると僕などは思うのだが。
 
パッキャオvsメイウェザーの世紀の一戦から5年だって。WOWOWがパッキャオ特集やるらしいけど、あの試合に総額300億の価値はあった?
 
そもそも論として、YouTuber的にこれはアリだったのか?
勝つにしろ負けるにしろ、視聴者はド派手な結末を求めていたのではないのか。
 
「メイウェザーには失うものが山ほどあるが、自分にはない」というポールのコメントを聞いてそれなりに期待感もあったが、ふたを開けてみればあの有様である。
 
失うものはないどころか、全身全霊をかけて守りに入ってたやんけと。
 
 
一方のメイウェザーも今回は本当に難しい試合だったと言わざるを得ない。
いくら実力差が大きくても体格差のある相手を短いラウンドでKOするのは困難を極める。とは言え、あのYouTuberにメイウェザー相手に10、12R戦う体力があるとは思えない。
 
・MMAファイターとのボクシングマッチ→大成功
・軽量級キックボクサーとのボクシングマッチ→舐め腐った態度とインパクト
・重量級YouTuberとのボクシングマッチ→クリンチまみれの退屈な試合
 
恐らくメイウェザーは今後もエキシビジョンでの金儲けを画策するのだと思うが、この試合で商品価値は確実に落ちた気がする。もともとKOを量産するタイプではない分、相手選びも難しくなったのではないか。
 
 
少なくとも僕はメイウェザーのエキシビジョンをまた観たいとは思わない。
 
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