ロマチェンコが苦労の末に判定勝利。ジャーメイン・オルティスは期待以上にいい選手だった。でも勝負どころを見極めたロマチェンコはさすが。衰えについては…【結果・感想】

ロマチェンコが苦労の末に判定勝利。ジャーメイン・オルティスは期待以上にいい選手だった。でも勝負どころを見極めたロマチェンコはさすが。衰えについては…【結果・感想】

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2022年10月29日(日本時間30日)に米・ニューヨーク州で行われたライト級12回戦。元3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコとWBC同級8位、WBO12位ジャーメイン・オルティスが対戦し、3-0(117-111、116-112、115-113)の判定でロマチェンコが勝利。2021年12月のリチャード・コミー戦以来、約11か月ぶりの復帰戦を飾った一戦である。
 
 
母国ウクライナがロシアの侵攻を受けたせいでジョージ・カンボソスとの4団体統一戦が中止となり、約11か月ぶりのリング復帰となったワシル・ロマチェンコ。
対戦相手のジャーメイン・オルティスは戦績17戦16勝1分8KOのホープで、前戦では元S・フェザー級王者ジャメル・ヘリングを3-0の判定で下している。
 
ただ、大方の予想はロマチェンコが絶対有利。
ロマチェンコにとってはデビン・ヘイニーとの4団体統一戦に向けたステップだと思われていたが……。
 
結果は大苦戦の末の判定勝利という。3-0のユナニマスながらも内容的にはすんなりとは言い難い。
おかげでブランクによる錆付きや階級の壁等、ロマチェンコ限界説が噴出する事態となっている。
 
 
なお試合後にデビン・ヘイニーがリングに上がって両者がインタビューを受けるなど、ロマチェンコvsヘイニー戦実現は既定路線と言えそうである。
 
ヘイニーがリマッチでもカンボソスを圧倒。ジャブとアウトボクシングだけじゃない、パンチ力とインテリジェンスも証明した試合だったな。PFP No.1がより盤石に
 

ロマチェンコの衰えに関してはよくわからない。むしろオルティスがいい選手だったと思うんだけど…

ワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティス。
 
ロマチェンコのまさかの苦戦を受けて“衰え”や“限界”といった不穏なフレーズが飛び交っているわけだが。
 
これに関しては正直よくわからない。
開始直後は「ちょっと身体が重そうかな?」と思ったものの、もともとこの選手は毎回スロースターター気味。基本的に1、2Rは様子見に使うことが多い。
ブランクもあって調子はよくなかったのかもしれないが、そこまではっきりと下降線に入った感じはしない。ライト級が適性を超えているのも今さらだし、マジで何とも言えないところである。
 
それよりも印象に残ったのはジャーメイン・オルティスのパフォーマンス。ロマチェンコの出来云々よりもオルティスががんばったという方が僕の中では正解である。
 

ロマチェンコを攻略するには? オルティスが踏襲するならルーク・キャンベルじゃない?

ジャーメイン・オルティスについては2022年5月のジャメル・ヘリング戦を観て「おお、これはいいな」と思った選手で、その流れで今回も期待していた。
 
ロマチェンコを応援する(多くの)ファンの度肝を抜いてほしい。
あわよくば勝っちゃっても全然いいよ。
 
そして、下記の通りそれができるスペックの持ち主だとも思っていた。
 
ワシル・ロマチェンコ復帰戦。ジャーメイン・オルティス意外とがんばるんじゃないの? この際だから勝っちまえよ。足を止めないことが重要になりそう
 
ロマチェンコとまともに勝負するにはとにかく正面をキープし続ける必要がある。
 
ひとたびサイドに回られれば死角から連打を浴びまくり、タジタジになったところでかさにかかって攻められる。で、蜂の巣にされた状態から徐々に効かされてジ・エンド。ライト級進出以降はリチャード・コミーや中谷正義、アンソニー・クローラがそのパターンでやられている。
 
 
それをさせないためには中間距離の差し合いで勝負するか、自らが動き続けて回り込む余裕を与えないかのどちらかが有効になる。
 
過去、中間距離である程度やれたのはホルヘ・リナレスとホセ・ペドラサ。どちらもハンドスピードに定評があるタイプで、ロマチェンコの手数を“前”で相殺することによってある程度勝負の土俵に乗れた。
 
一方、自分が動き続けることでロマチェンコの横の動きを制限したのが2018年5月のルーク・キャンベル。
足を止めずにサイドへ動きまくり、サイズ差を活かした前手のリードで侵入を防ぐ。
ロマチェンコが強引に近づいてくれば近場の連打で対抗、ボディを突き刺してさっさと射程外に追い出す。
 
結果は大差判定負けだったものの、キャンベルは一定以上のファイトを見せたと言っていい。
 
 
そして、ジャーメイン・オルティスが踏襲するならルーク・キャンベル一択(だと思う)。
身長173cm、リーチ175cmとそこそこサイズがあり、前手のリードとフットワークを両立できる。さらにスムーズなスイッチも持ち合わせる。
 
マジな話、これは結構やるんじゃないか。
ロマチェンコの多角的? なポジショニングに面食らわなければ十分可能性はありそう。
勝敗予想はロマチェンコの判定勝ち(笑)だが、オルティスのアップセットにも大いに期待する。
 
展望としてはだいたいこんな感じである。
 

ジャーメイン・オルティスめちゃくちゃよかった。前回のヘリング戦でいい選手だとは思ったけど、それ以上に

試合を観た感想だが、オルティスがめちゃくちゃよかった
 
上述の通りロマチェンコの衰えに関しては何とも言えないのだが、それよりも(思った以上に)オルティスがいい選手だったなと。
高い実力の持ち主なのはジャメル・ヘリング戦でわかったのだが、それよりもさらに。
 
アリムハヌリさんミドル級最強説。アンドラーデより強いんちゃうか? アリムハヌリvsディグナム、ヘリングvsオルティス、ロペスvsエンカーナシオン振り返り
 
まずオルティス陣営の作戦は上述のルーク・キャンベルと近かったと思う。
 
サイドへの動きでロマチェンコに的を絞らせず、真正面から入ってきたところにリードジャブをカウンター気味に合わせる。
そこを突破された際はすぐさま連打で対抗。ボディを駆使してロマチェンコを射程外に追い出し、近場で打ち合う時間を極力短くする。
 
右と左の違いこそあるが、前手のリードが伸びる、足が使える、カウンターが打てる、上背があるなどキャンベルとの共通項は多かったのではないか。
 
しかもオルティスの連打はキャンベルよりもはるかに力強い。
僕はロマチェンコに懐に入られるとオルティスはキツくなるかな? と思っていたので、あれだけパワフルな連打を兼ね備えていたのはちょっと意外だった。
 
5Rから強引にペースを奪いにきたロマチェンコを真正面から受けて立ったのはすごい。テオフィモ・ロペスやキャンベルが疲労とダメージでタジタジになったことを考えると、全力のロマチェンコにあそこまで食い下がったのは驚きである。
 
ロマチェンコの様子見タイム(序盤3R)をフルスロットルで駆け抜けてポイントを奪取、中盤からペースアップしたロマチェンコのラッシュにもどうにか食らいつく。
ラスト4Rでやや置いていかれたものの、オルティスはより高いレベルでルーク・キャンベルの作戦を踏襲した(テオフィモ・ロペス風味もあった)と言えそう。
 
スティーブ・スパークvsモンタナ・ラブ。ラブがスパークをリング外に落として反則負け。スパークはいい選手なんだよ。平岡アンディとやれればと思ったけど
 

苦労したロマチェンコ。でも、勝負どころの見極めはさすがだったね。あそこまではっきり失速したのも初めてだったけど

一方のワシル・ロマチェンコだが、こちらは本当に大変だった。
(ブランクの影響で)いまいち調子が上がらなかったのもあるとは思うが、それ以上にオルティスがいい選手だったのが……。
 
申し上げたように体格的にライト級が厳しいのは今に始まったことではないし、いろいろな選手と対戦していればそれだけ攻略法も出揃う。
特に今回の相手はデカくて動ける&前手のジャブが持ち味のジャーメイン・オルティス。
この選手がルーク・キャンベルとテオフィモ・ロペスの中間みたいな作戦で挑んでくれば多少苦労するのも仕方ない。
 
ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス感想。115-113ロペスかな。ロペスの対策が素晴らしかったしやっぱりスピード&パワー大正義
 
それでも5Rからの全力ラッシュはすごかった。
序盤4Rを終えた時点で「このままではマズい」と判断したか、後先考えずに前に出る決断をしたのはさすがである。
実際あそこで食い止めなければあのままズルズルいっていただろうし、結果的に力を使って流れを引き寄せたのは正解だった(と思う)。
 
後半4Rでの疲労感、はっきりと失速するロマチェンコなど今まで観たことがなかったが、その分オルティスの体力も削れたわけで。
 

ロマチェンコ様はやっぱりロマチェンコ様。そしてデビン・ヘイニーの服装が気になって情報がちっとも入ってこない笑

序盤4Rで先制を許す。
中盤4Rのフルスロットルで無理やり流れを引き寄せる。
終盤4Rはクタクタだったものの、序盤から飛ばしまくったオルティスの方がさらに疲労していたおかげで逆転に成功。
 
オルティスの疲労具合まで計算していたのかは不明だが、勝負どころを見極める嗅覚は相変わらず凄まじい。
ジャーメイン・オルティスは間違いなく強敵だったが、「ロマチェンコ様はやっぱりロマチェンコ様でした」というのが僕の中でのファイナルアンサーである。
 
寺地拳四朗vs京口紘人ほか振り返り。拳四朗のあまりの強さに目が覚めた。皮肉でも批判でもなく拳四朗は事件を起こしてから一気に人生が開けたよな
 
繰り返しになるが、ライト級のロマチェンコが適性を超えているのはすべての大前提。それを踏まえた上で勝負どころを見誤らずに勝ち切ったのはさすがだよねと申し上げている。
 
てか、今回はホントにしんどそうでしたねロマチェンコ。
足がついていかずに顎が上がってピコピコパンチを打つ姿など、これまで(僕は)一度も観たことがなかった。
 
 
なんつーカッコしとんねん俺たちのデビン・ヘイニー笑


ハロウィンだからか?
それとも本気で選んだ服がそれなのか?
マジで「よし! キマった」と思って家を出てんのか?
 
ライト級4団体統一戦には期待しているが、デビン・ヘイニーの服装が気になってそれどころじゃない笑
 
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