ジャーメイン・オルティスはやれることを全部やった。テオフィモ・ロペスの追い足のなさを突いて塩試合に。これはもう仕方ないっすね【結果・感想】
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2024年2月8日(日本時間9日)に米・ネバダ州で行われるWBO世界S・ライト級タイトルマッチ。同級王者テオフィモ・ロペスとランキング10位ジャーメイン・オルティスが対戦し、3-0(115-113、115-113、117-11)でロペスが勝利。初防衛に成功した試合である。
個人的に楽しみにしていた今回の一戦。
テオフィモ・ロペスはジョシュ・テイラーに勝利して同タイトルを奪取、ジャーメイン・オルティスは階級アップ後にアントニオ・モラン戦を経てこの試合を迎えている。
金曜日開催(現地時間木曜日)という珍しい試合だったが、とにかくワクワクしながら視聴した次第である。
ロマチェンコvsカンボソスは決定でいいんすよね? ロマチェンコ有利だと思うけどカンボソス応援かな。デビン・ヘイニーと対戦した同士の王座決定戦
オルティスがめちゃくちゃがんばった。ここまでやって負けたら仕方ない
試合の感想だが、ジャーメイン・オルティスがめちゃくちゃがんばったなと。
おもしろいかおもしろくないかで言えば「おもしろくない」という意見が大半だと思う。
ただ、オルティスはやるべきこと、やれることをすべてやった。
正直ここまでやって負けたなら仕方ない。たまたまジャッジに好まれなかっただけで、すべてを出し切った試合だった。
それこそ場所を変えて再戦すれば十分チャンスはある。
たとえば中東のブルジョアの札束ビンタでサウジアラビア興行に出場するとかね。
まあ、再戦を望む人間がどれだけいるかは疑問だが笑
ユーリ阿久井政悟がダラキアンを圧倒して初戴冠。準備、勝負どころの見極めに驚いた。こういうのを“チームの勝利”って呼ぶんじゃないの?
馬力のあるカウンター使いのテオフィモをオルティスがどこまで抑えられるか。勝敗予想はテオフィモの10RKOだったけど…
下記の通りテオフィモ・ロペスは基本的にはカウンター使い。
テオフィモ・ロペスvsジャーメイン・オルティスが楽しみな件。テオフィモにとってオルティスは面倒な相手だと思う。でも、ちょっと馬力が足りないかな
ガードが低く相手の初弾にカウンターを合わせるところから攻撃を開始するスタイル。懐が深く機動力が持ち味のオルティスは十分やりようがある。
だが、一瞬で距離をゼロにするテオフィモのダッシュ力は文句なしに凄まじい。
オルティスにとってもここまでの馬力、踏み込みスピードを兼ね備えた相手は(恐らく)初めて。
またオルティスは自ら打ち合いに出るシーンも多く、その場合はテオフィモとモロにカチ合ってしまう。
要するに今回の見どころはテオフィモの突進力をオルティスがどこまで抑えられるか、いかに遠間で勝負できるか。
オルティスが勝つなら判定。
テオフィモが勝つなら後半KOか判定。
勝敗予想は一応テオフィモの10RKOにしておく。
だいたいこんな感じの展望である。
オルティスの“勝負しない”意識がよかった。Bサイドの研究、準備が見える試合は僕好み
具体的には、最後まで遠間をキープし続けたオルティスがよかった。
申し上げたように今回はオルティスがどれだけ遠間で勝負できるか、テオフィモの圧力をどう抑えるかに注目していた。
そして、結果としてオルティスの作戦がどハマりした印象である。
開始直後から左構えで対峙。
カウンター使いのテオフィモに先に手を出させ、死角に回り込んでパンチを打ち込む。
初弾を身体に触らせない、同時打ちのリスクは取らない。
テオフィモの動き出しに合わせて正面を外す、なるべくまっすぐ下がらない。
言い方はアレだが、とにかく“勝負しない”意識が伝わってきた。
また、自分から攻める際は極力単発で終わらない。
2022年10月にワシル・ロマチェンコがやったように細かい連打でテオフィモにカウンターの時間を与えない作戦である。
ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス感想。115-113ロペスかな。ロペスの対策が素晴らしかったしやっぱりスピード&パワー大正義
テオフィモ・ロペスの追い足のなさ、直線的な動き、連打への対応の遅れ、等々。
過去の試合を参考に自分用に作戦をアレンジする。
以前も申し上げたが、Bサイド側の研究、入念な準備がうかがえる試合はめちゃくちゃ好み。塩漬け上等を最後まで貫いたオルティスはナイスファイトだった。
展望記事で「機動力の高さやコーナーで身体を入れ替える体捌きは2階級制覇王者デビン・ヘイニーと被る」と申し上げたが、マジでそんな感じ。
左右のフットワーク、ヌルヌルとした足運びに関してはデビン・ヘイニー以上だと思う。
オルティスは若干物足りない気が…。オーソドックスでジャブ中心にいってもよかった?
だが、王座をもぎ取るにはオルティスは若干物足りない(気がする)。
周到な準備と気合いは十分見られたものの、もう一歩決め手が足りないというか。
特に“怖さ”がないのがキツい。
正面に立たない、同時打ちを避ける、足を止めない意識はいいのだが、あまりにリスクを避け過ぎ。おかげで各ラウンドでリードしているイメージがまったくない。
この選手はスイッチが得意なアウトボクサーだが、左構えの際はフック系中心でジャブは少なめ。逆にオーソドックスでは鋭いジャブからの右を持ち味とする。
どちらかと言えばオーソドックスの方がオフェンス寄りである。
で、今回は最後まで左構えで通したせいでジャブが少なくテオフィモの警戒心を煽ることができなかった(気がする)。
ガードが低くカウンターを得意とするテオフィモは前手のジャブへの対応がやや苦手。
2019年7月の中谷正義戦でもそれは証明されている。
もしかしたらどこかで右構えで勝負する時間を作ってもよかったかもしれない。
中谷正義惜しい! テオフィモ・ロペスに判定負け。でも間違いなく通用するとは思ったよね。5Rまで粘れば大健闘とか言われてたけど
まあ、ジャブを出せばそれだけカウンターの機会を与えることになるわけで。
極力リスクを取らない作戦を選択した時点でジャブの差し合いは捨てたと想像する。
攻略法がバレているテオフィモ。ビッグマッチで力を発揮するムラっけの多さが魅力
スコアカードを見ると、終盤3Rはすべてテオフィモが取っていることがわかる。
The official scorecard 🖊️ pic.twitter.com/GcQLcMLOXz
— Top Rank Boxing (@trboxing) February 9, 2024
要するにここをオルティスが取れていれば逆の結果が出ていたわけで。
展望記事で「オルティスは遠い距離で対峙する時間をなるべく長くしたい」「攻め込まれても最後まで立ち続けたい」と申し上げたが、本当にもう少しだったなぁと。
そして勝利したテオフィモはここまで攻略法がバレている中でどう勝っていくのかには非常に興味がある。
たとえばWBC王者のデビン・ヘイニーとの統一戦が実現した場合はかなり不利になりそうな……。
逆に前回のジョシュ・テイラー戦のように中間距離で勝負してくれる相手には無類の強さを発揮する。相手が無敗だったこともあってモチベーションも高かったと想像する。
ジョシュ・テイラーが負けただと…? 絶好調のテオフィモ・ロペスがテイラーのカウンターをボディで攻略、見事2階級制覇。際どい試合だったけどロペスががんばりましたね
こういうムラっけの多さ、不安定さがテオフィモの欠点でもあり魅力でもある。
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