栗原慶太vs井上拓真感想。井上拓真がめちゃくちゃ上手かったな。はじめの一歩方式で言えば栗原がKOで勝つ流れだったけど【結果・感想】
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2020年1月14日、東京・後楽園ホールで行われたOPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ。同級王者栗原慶太と元WBC世界同級暫定王者井上拓真が対戦し、井上が9R2分25秒負傷判定3-0(90-81、89-82、89-82)で勝利。2019年11月のノルディ・ウーバーリ戦での敗戦以来の復帰戦を飾った。
もともと僕はこの両者にあまり興味がなく、当初はどちらが勝ってもどうでもいいと思っていた。
ただ国内のバンタム級戦線を考えると、栗原慶太が勝った方がおもしろいのではないか。
しかも栗原慶太は2017年12月から6勝5KOと乗りに乗っている。あの右が当たりさえすれば、井上拓真が相手でも十分勝機はある。
そんな感じで、せっかくなので栗原慶太を応援することに。
井上拓真vs栗原慶太のOPBFタイトルマッチだって。1ミクロンも思い入れがない両選手だけど、おもしろそうな試合ではあるよね
その流れで「興味ない」と言いつつ過去の試合を漁っているうちに、いつの間にか「がんばれ栗原慶太」「負けんなオイ」的なテンションになっていった。
で、思いつきで投稿したコレ↓が本人の目に触れるというまさかの事態にw
井上尚弥は確かにすごいけど、周辺階級でギラついてる国内選手がいてもいい気はするな。
これまで井上の名前出したのって亀田和毅と比嘉大吾くらいか?
まあ来年1月に井上弟をKOした栗原慶太が試合後に「井上尚弥はまだ試されてない。なぜなら俺とやってないから」と答えてプチ炎上する予定だけど()
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) November 5, 2020
この日は約3ヶ月ぶりくらいにお酒を飲んでおり、たまたまTwitterを開いて本人からの反応を見つけてクソほど狼狽するという。
酒の力を借りてようやく返信する超絶ビビりっぷりを発揮した経緯があるww
アカン❗
まさかのご本人降臨❗何かいろいろ申し訳ないです…。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) November 6, 2020
なので、栗原慶太を応援するためにも本当は現地観戦したかったのだが、緊急事態宣言発令により残念ながらかなわず。先日の深夜放送でようやく視聴を終えた次第である。
長濱陸vs豊嶋亮太感想。近場でのパンチの種類に差があったかな。豊嶋のインファイトのうまさと研究の成果が出た気がするよ
お客さん結構おるやんけ。散々チケット情報を探し回ったのに。まあいいけどさ
まずO.A.を観て思ったのが、「あれ、お客さん結構おるやんけ」。
申し上げたように僕はこの日の試合を現地観戦しようと思い、かなり前からチケットの販売情報を漁っていた。
1mmも興味のない大橋ジムのHPを何度も見たり、プレイガイドをさまよってみたり。
ところが「チケットぴあ」などにはいっさい見当たらず、大橋ジムのHP上には「チケットの発売は7、8日前からになる」旨の記載がある。
そうこうしているうちに年明け1月7日に1都3県に緊急事態宣言が発令され、いよいよ先行きが不透明に。
そして数日後に再び大橋ジムのHPを訪れると、「チケットの一般販売、当日販売は中止となりました」とのこと。
ああ、やっぱりそうなるのね。
まあでも、今の状況ならしゃーないか。
2日後の深夜放送でO.A.されるらしいし、今回はそれでいいや。
と思って放送当日を迎えたところ……。
普通に客入っとるww
いや〜、よくわからんな。
一般販売以外に何か購入方法があるってことか?
しかも、それは普通に生活しているだけでは知り得ない裏技であると?
マジでよくわからんけど、めんどっちいから別にええわ。
どうやっても僕はそこまで熱心な人間にはなれん。
などなど。
選手の名前がコールされる数分間であれこれ思考を巡らせ、自分の中で適当に着地させたw
平岡アンディvs佐々木尽、栗原慶太vs中嶋一輝。数日遅れで視聴したので感想を。さすがの平岡アンディと栗原慶太の圧勝っぷり
井上拓真がめちゃくちゃ上手かった。調子もよかったと思うけど、“勝ち”に徹してたよな
実際の試合についてだが、井上拓真がめちゃくちゃ上手かったなと。
申し上げたように僕は「栗原が勝った方がおもしろい」という理由で栗原慶太を応援していたのだが、ちょっと今回は付け入る隙がなかった印象。
とにかく両者のスピードが違い過ぎたというか、栗原は井上の動きにことごとくついていけず。初回のバッティングによる負傷もあり、中盤以降はどうにもならない感じだった。
1Rの1発目に出した井上のジャブのあまりの速さに、テレビの前で思わず「速っ!!」「うそだろww」と叫んでしまったほど。
栗原がモーションに入る瞬間にスパッとジャブを入れ、パンチを振り下ろしたときにはスルッとサイドに回る。
恐らく調子自体もよかったのだと想像するが、この日の井上は普通に世界トップレベルの実力を発揮していたと思う。
兄の井上尚弥も試合後に「100点満点の試合」と評したとのこと。
あれだけ後ろ重心で“勝ち”に徹した試合が100点満点かどうかは何とも言えないところだが、とにかくすごかった。
今後どんな戦略で世界戦に進んでいくのかにもよるが、再び戴冠できる可能性は十分あるのではないか。
実現性を無視して言うなら、エマヌエル・ロドリゲスvs井上拓真戦などはおもしろいんじゃねえの? と思ったり。
ガバリョの勝ちもなくはない? かな? ロドリゲスはトレーナーが井上パパを恫喝してから運が一気に離れていったよな
栗原慶太もいい出来だったと思う。だが、早々に井上にタイミングを掴まれて手詰まりに…
一方の栗原慶太だが、こちらもかなり出来はよかったと思う。
立ち上がりなどは左ジャブの伸びに井上も面食らっていたし、中間距離からのボディも入っていた。スピードに違いこそあったものの「どこかで剛腕が炸裂するんじゃねえか?」的な期待感を持たせる1Rだった(気がする)。
だが、そこからの井上の対応がめちゃくちゃ早く、栗原との距離感をあっさり掴んでしまう。
スピーディな左で栗原の顔面を揺らし、左リードに右のカウンターを被せてスルッと立ち位置を変える。
この動きに栗原はなかなかついていけず。
懸命に前に出続けるものの、空転させられ正面を外されまくってまったくペースが掴めない。
解説の川島郭志が「パンチに強弱をつけた方がいい」「捨てパンチがほしい」と再三言っていたが、恐らく左を打つたびに右のカウンターが飛んでくるせいでなかなか自分から手を出せなくなっていたのだろうと。
バッティングによる出血の影響もあったと思うが、早々にあの長い左リードを封じられて攻撃パターンが限定されてしまったのは痛かった(と思う)。
6Rに一度引いたシーンなどはマジで顕著。
手詰まりになった側が流れを変えるために普段やらないことをやってみる。
これは別の競技でもたびたび目にする(自分もやったことがある)光景だが、正直うまくハマったのを見た経験は一度もない。
もともとこの選手は大きく踏み込むことでパンチの伸びと威力を両立しているイメージ。
今回のように待ち構えてカウンターを狙うやり方をすると、本来のよさが消えてしまう気もするが……。
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロはおもしろそう。デービスは中量級のカネロになれるよ。ロメロとは噛み合うんじゃないの?
勝ち筋があるとすれば3、4、6Rの右のタイミングだったかなぁ。井上があそこまで勝利のみを目指すとは思わなかったな
井上拓真は中間距離で攻防のつなぎにわずかな間があり、相手の射程内で動きが止まる瞬間がある。2016年9月のフローイラン・サルダール戦の1Rでもその一瞬を狙われて右を被弾→ダウンを喫している。
今回も3、4、6Rにそれぞれ栗原の右が井上の側頭部をかすめるシーンがあったのだが、栗原に勝ち筋があったとすればあそこかなと。
てか、この試合の井上拓真はめちゃくちゃ上手かったわ。
これに勝ったウーバーリはやっぱりすげえって言われてたけど、普通にこの日の拓真も世界レベルだったでしょ。
栗原慶太は出だしはよかったけどな。3、4、6Rに1発ずつ右がかすめたのがマジで惜しかった。 https://t.co/FObCcjZwxB
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) January 16, 2021
前回の記事で「井上拓真が勝ちに徹した場合、栗原が勝つのは相当難しくなるのではないか」「でも、さすがに年明け一発目? の好カードでそれはやらないでしょ」「そう考えると、栗原の右が当たるパティーンも十分あり得る」と申し上げたが、いや、やりやがったわww
コロナ禍における日本ボクシング界屈指の好カードを盛り上げる気持ちと、約14ヶ月ぶりの復帰戦+結婚して子どもが生まれた直後の試合にかける思いを天秤にかけた結果、勝ちに徹する方を選んだということか。
はじめの一歩方式で言えば栗原のKO勝ちの流れだったんだよなw 冴木卓麻を返り討ちにしたパティーンで
なお、前日にたまたまアニメ「はじめの一歩」第1期のRound43、44を観たこともあり、栗原のアップセットには大いに期待していたところ。
アニメではファイタータイプの一歩がスピードスター・冴木卓麻のフリッカーで開始早々に右目を腫らされ死角からの攻撃に苦しむものの、冴木の攻撃パターンを逆手にとって逆転KO勝利を挙げる話となっている。
この試合でも
・初回に栗原が左目の上を切る
・井上が足を使って翻弄する
という流れで、完全に栗原がKO勝ちする展開だったのだが……。
はじめの一歩方式で言えばブルファイターが勝つのが定石なのだが、現実にはそこまでうまくいかず。
死角から右のカウンターをもらいまくり、負傷判定負けという結果に。
いや〜、でもホントに残念だったなぁ。
今回は本人がディフェンスを重視してきたとコメントしていた通り、頭の位置を動かす意識も見えたし右が当たりそうな瞬間もあった。井上の動きについていけずに被弾も増えたが、芯でもらったパンチはそこまで多くなかった気もする。
立ち上がりに出した伸びのある左などを観ると、仮にバッティングがなければどうなっていたんだろうと思わないでもない。
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