福永亮次が井岡に勝つには? 先行逃げ切りしかないんじゃないか? 今回は福永のジャイキリに期待。井岡が前回の不調を引きずっていれば…【展望・予想】

福永亮次が井岡に勝つには? 先行逃げ切りしかないんじゃないか? 今回は福永のジャイキリに期待。井岡が前回の不調を引きずっていれば…【展望・予想】

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2021年12月31日に東京・大田区総合体育館で行われるWBO世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者井岡一翔に同級6位福永亮次が挑戦する一戦である。
 
井岡一翔vs福永亮次感想。福永は中間距離で勝負しちゃったか…。その位置の井岡は達人級。でも井岡が下降線に入ってるのは間違いなさそう
 
当初IBF王者ジェルウィン・アンカハスとの統一戦が決まっていた井岡だったが、新型コロナウイルスの変異株オミクロン株が発見されたことでアンカハスの来日が困難に。2022年春以降をめどにリスケする方向で両陣営が同意、年末の統一戦はいったん中止が決定している。
 
その代役として抜擢されたのが同級6位&日本、アジア・パシフィック、OPBFの三冠を保持する福永亮次。こちらも来年1月中旬に防衛戦を予定していたものの、井岡陣営からのオファーにより前倒しで世界タイトル挑戦へ切り替えたとのこと。
 
アンカハスとの統一戦を目指す井岡にとってもサウスポーの福永は相手として最適。
また、35歳の福永にとってもまさかのタイミングで巡ってきたチャンスを逃す理由はない。
双方にとってメリットの多い対戦と言えそうである。
 
アンカハスを吹っ飛ばせ。フェルナンド・マルティネスの殺気に満ちたファイトと顔面が気に入った。この際だから井岡との統一戦を消滅させてやれや笑
 

統一戦が消滅した井岡にとって福永は考えられる最上の相手。僕はあえて福永を応援するよ

井岡一翔vs福永亮次。
 
IBF王者アンカハスとの統一戦が寸前で消滅した井岡としては、アンカハスと同じ長身サウスポーの福永は現状考えられる中での最上の相手である。
 
特に今年は井岡にとって通算10度目の大みそか決戦。2011年から2017年を除いて毎年欠かさず年末のリングに上がり続けている井岡としても統一戦は念願だったはずで、それが寸前で中止になったショックは計り知れない。
モチベーションを保つ意味でもこの試合が決まったことは文句なしに素晴らしい。
 
また挑戦者福永亮次としても、こんな機会は一生で1度あるかないかの大チャンス。
調整期間の短さを懸念する声も聞かれたが、そんなものはモチベーションの高さでどうにでもなる。
 
むしろ一度切れた気持ちをすぐに立て直さなければならない井岡の方がピークの持っていき方は難しいのではないか。


もっと言うと、井岡サイドも福永の調整の難しさを見越した上でオファーを出したに決まっている。
統一戦を見据える中、極力取りこぼしのないよう&不公平感が出ないギリギリの線を狙ってのものだったのだろうと。
 
 
そして、僕は今回あえて福永亮次を応援しようと思っている。
 
理由はBサイドだから。
 
井岡一翔のことは好きだし、井岡vsアンカハスの統一戦はぜひとも実現してほしい。
 
ただ、この試合に限って言えば福永のジャイアントキリングに期待させていただく。
 
不利予想が多いのは間違いないし、実際不利だとも思う。
その状況をひっくり返した福永が一晩でスターダムにのし上がる瞬間を目の当たりにしたい。
 
バトラー怒りの撤退w カシメロ計量に現れず。勅使河原弘晶がタパレスにあんな負け方をするとは。亀田和毅がパレホに大差判定勝利
 

福永が勝つのは相当厳しいような…。近年、井岡が苦戦した相手と比べても物足りないか?

というわけで試合の展望を考えてみるわけだが……。
 
まず最初に申し上げておくと、この試合で福永が井岡に勝つのは相当難しいと思っている。
 
福永の過去の試合をいくつか眺めたところ、正直井岡を何とかできそうな感じはしない。
 
 
ここ数年の井岡のキャリアを振り返ると、苦労したと言えるのは2019年12月のジェイビエール・シントロン戦と2021年9月のフランシスコ・ロドリゲスJr.戦の2試合。
どちらの試合も判定まで粘られた上に「これはもしかしたらヤバいかも?」というシーンも散見された。
 
特に前回は井岡の不調もあって判定が物議を醸したほど。一部のファンからは強い口調でロドリゲス勝利を主張する声が聞こえてきた。
 
井岡は実質負けかな…。ロドリゲスの踏み込みと圧力に大苦戦。勝ちはしたけど衰えも見えたような。判定に物議を醸した時点でアウト
 
改めてこの2試合を振り返ると、どちらにも共通するのが「ある一点に関しては井岡のキャパを超えていた」こと。
 
シントロンは長いリーチと広いスタンス、鋭いジャブ、左右に動く足、近場での多彩さ。
ロドリゲスは強引な突進と近場での躊躇のないフルスイング、12Rを通して動きが落ちないスタミナと打たれ強さ。
 
シントロンのアウトボクシングとロドリゲスのゴリゴリファイトは間違いなく井岡の経験したことがないもの。
得意分野に限って言えば、どちらの選手もこれまでの井岡の対戦相手を一段上回っていた(気がする)。
 

福永に井岡にキャパオーバーを起こさせる何かがあるか? と聞かれると…

そして、今回の福永亮次に井岡のキャパを超える何かがあるか? と聞かれると……。
 
井岡がキャリアで喫した2敗は2014年5月のアムナット・ルエンロエンと2018年12月のドニー・ニエテス。本人も言っていたが、どちらも「中間距離での対応がうまい」選手でぱっと見の強さよりも細かい部分での駆け引き、距離の作り方に長けているタイプである。
 
ところが福永にはアムナットやニエテスのようなうまさはない。どちらかと言えば遠間から腕をぶん回す思い切りのよさ、踏み込みの鋭さで勝負する大味なファイトが目立つ。
 
と同時に、ジェイビエール・シントロンほどのフットワークも感じられない。シントロンは前手の多彩さに加えて近場での打ち合いもできるが、福永はむしろ接近戦でタジタジにさせられる傾向が強い。
 
フランシスコ・ロドリゲスJr.のような強引さ、頭がぶつかってもお構いなしで近場で腕を振り回すファイトができるかと言えば……。
 
接近戦というより1発、2発打ってパッと離れる動きが多く、井岡の緻密さをぶっ壊すようなゴリゴリ感とはかけ離れている。
相手のローブローに過剰反応して無防備に顔面をさらけ出す姿などを見せられると、くぐった修羅場の数も足りていないのかなぁと思えてくる。
 
全体を通して殺気、凄み的なものが足りないというか。
 
先日、田中恒成vs石田匠戦の感想で「勝負どころでの爆発力、相手を圧倒する凄み、タフネスを石田から感じない」「田中の生命力の強さは目を見張るものがある」と申し上げたが、それと似た空気を福永からも感じるのが……。
 
田中恒成vs石田匠。田中の勝ちか〜。石田が逃げ切った感じもしたけどな。両者の差は勝負どころでの凄みかな
 

井岡vsシントロン戦と似た展開になりそう。福永が勝機を見出すには先行逃げ切りしかない?

恐らくだが、この試合は井岡vsジェイビエール・シントロン戦と似た展開になる(気がする)。
 
遠い位置から右リードを伸ばして左の1発を狙う福永に対し、ガードを上げてプレスをかける井岡。アウトボクシングの福永を井岡が追いかける流れである。
 
井岡vsシントロン感想。たくましさ、荒々しさの増した井岡が長身サウスポーに完勝。僕はこっちの井岡の方が好きかな
 
で、申し上げたように有利なのは断然井岡の方。
福永のビッグパンチが当たる可能性もあるが、どちらかと言えば距離を掴んだ井岡が徐々に福永を追い詰めていくのだろうと。
 
逆に福永が勝機を見出すとすれば十中八九先行逃げ切りしかない(気がする)。
この選手は基本的にはワンツーパンチャーで、目隠しするような角度で右リードを打ち込んで相手の動きを止め、そこに左を強振する流れを得意とする。
 
左をボディに伸ばしたり、まっすぐのストレートだったり。ガードの外側からぶん回したり。ときには前手の右リードを餌にいきなり左を打ち込んだり。
 
ワンツーパンチャーではあるものの、打ち出す角度やタイミングにはさまざまな工夫が見られる。
 
 
そして、井岡に勝つにはこの左を駆使して前半をリードすることが重要になる。開始直後から飛ばしまくり、できることなら1〜6Rまでを6-0or5-1で折り返したい。あわよくば井岡が慣れる前に左を当ててダウンを奪うくらいの勢いで。
 
その流れのまま、後半からは足を使いまくってひたすら耐える。7〜12Rを1-5or2-4で走り抜ければギリギリ鼻差で勝利できるのではないか。
 
 
なお理想は前半KOだが、困ったことに僕は井岡がKO負けを喫する姿がまったく想像できない。
 
明確に効かされることもなければ一方的に攻められて亀になることもない。
どんな状況でも慌てず騒がず“やるべきことをやり続ける”のがこの選手の最大の長所と言える。
 
なので、福永が狙うとすればやはり鼻差の判定勝ちしかない(と思う)。行けるところまで全力で走り抜けた上での先行逃げ切りだろうと。
 

井岡の前回の不調が衰えであればもしかしたら。でも、僕の勝敗予想は…

あとはまあ、井岡の前回の不調がどんな原因だったかにもよる。
 
僕は井岡が下降線に入った可能性が高いと思っているが、もちろんたまたま調子が悪かっただけというのも考えられる。


モチベーションの低さが原因だとおっしゃっていた方もいたが、仮にそうだとしたら今回はなお危ない。上述の通り統一戦が消えたショックは筆舌に尽くし難いものだったと想像する。
 
 
マジな話、年齢的にも井岡は“そういう時期”に差しかかっているわけで。
 
30歳を過ぎればどうしても身体能力は低下する。
ところがメンタルは20代のままというパターンが多く、これによって自分の思い描くイメージと現実のパフォーマンスに乖離が生じる。
 
この段階で年齢なりの身体の使い方、スタイルを見つけて第2の全盛期を引っ張り出せるかどうかが一流と超一流の分かれ目となるのだが、今の井岡はちょうどその過渡期にいるのかもしれない。
 
第2の全盛期を引っ張り出した代表的な人たち
・バーナード・ホプキンス
・マニー・パッキャオ
・ノニト・ドネア
 
ドネアvsガバリョ! ドネアカッコいい笑 井上に勝てる可能性があるのがドネアなんじゃなく、ドネアに勝てる可能性のあるのが井上なんだよ
 
仮に井岡が前回の不調をそのまま引きずっていた場合、一気に福永優位に傾く? かも?
 
 
ちなみに勝敗予想は井岡の10RKOです。
 
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