アニメ「ジーニアス・パーティ」感想。ダメだなこれは。松本人志「ゴッホの気持ちがわかる」←うわぁ…。史上最高のパンチラインを教えてやんよ
- 2020.07.13
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アニメ映画「ジーニアス・パーティ」を観た。
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「ジーニアス・パーティ」(2007年)
先鋭的な映像作品に定評があるクリエイター集団「STUDIO 4℃」が手がけた短編オムニバス。
福島敦子、河森正治、木村真二、福山庸治、二村秀樹、湯浅政明、渡辺信一郎ら7人の気鋭アニメクリエイターが集結し、それぞれの個性を爆発させた挑戦的なアニメ作品である。
7本目の「BABY BLUE」では2004年のカンヌ映画祭で話題をさらった菊地凛子が声優を勤めたことが話題になるなど、アニメ界をリードするクリエイターたちのまったく新しいパーティ・ムービーとなっている。
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「ジーニアス・パーティ」最低だった。僕にSTUDIO 4℃作品はとことん合わない
アニメクリエイター集団「STUDIO 4℃」によるオムニバス作品「ジーニアス・パーティ」。
福島敦子、河森正治、木村真二、福山庸治、二村秀樹、湯浅政明、渡辺信一郎ら7人のクリエイターの個性が集結した短編作品集として話題になった作品である。
先日、同じ「STUDIO 4℃」が手がけたアニメ作品「ムタフカズ」を観た勢いでこちらも視聴してみたのだが……。
アニメ映画「ムタフカズ」感想。クッソ微妙だった。草彅剛の棒読みに30秒耐えられず。映像と音楽を含めた雰囲気イケメンを堪能しろ
率直な感想としては「最低だった」。
うん、これはないな。
これはない。
気鋭のクリエイター集団による制約なしの挑戦的アニメ作品集との触れ込みだったが、残念ながら僕には合わなかった。まったくもって合わなかった。
先日の「ムタフカズ」同様、どうやらこれ系の作品をおもしろいと思えるキャパシティは僕にはなさそうである。
表題の通りだが、僕にはSTUDIO 4℃作品は合わないと断言できる。
一応申し上げておくと、奇抜で先鋭的な作品がダメと言っているわけではない。
恐らく観る人が観れば「ああ、これは○○の比喩なのね」「ここは○○のオマージュか」などと気づく部分は多いのだと思う。
もしくは一見意味不明で難解な映像と音楽の羅列に隠された意味を感じ取り、作者の狙いを鋭く汲み取れる方もいらっしゃるのだろうと。
そういう感受性を兼ね備えた方にとっては、本作は「最高傑作!!」なのではないか。
たまに自分がわからないものを「駄作」と斬って捨てる方がいるが、決してそういうことではない。
僕にとっての「ジーニアス・パーティ」「ムタフカズ」は難解かつ好みではない作品だったが、これらを素晴らしいとおっしゃっている方を否定する気はいっさいない。
また、この作品を理解できる人>>理解できない人などと優劣をつける気もさらさらない。
あくまで好みの問題であって、いい悪いではないという話。
ただ単に“僕にとって”「ジーニアス・パーティは最低だった」とだけ申し上げている。
アニメ「ジーニアス・パーティ・ビヨンド」感想。おもしろくはない。でも“制約ゼロ”とかいう独りよがりルール仕様の「ルール」ができつつあった
全7作品の感想を。○作目のアレで完全に心が折れたよね…
では、ここからは全7作品に対する僕の感想を適当に述べていくことにする。
●「GENIUS PARTY」(福島敦子)
今作の名刺代わり的な作品。
生命の息吹か輪廻転生か食物連鎖か知らんが、気持ち悪い生命体が地面から生えたり食い散らかしたりする映像が延々と続くだけ。セリフも何もなく、ただただリズミカルなBGMに合わせて。
映像の意味を読み解く?
クリエイターの頭蓋骨の中を覗く?
いやいや、知らんがなww
正直、初っ端でこれが出てきたときに「ああ、ヤバいかもしれんな」と思ってしまったことを告白する。
そして、その予感は見事に的中するわけである。
●「上海大竜」(河森正治)
7作品の中では一番ストーリー性とドラマ性があり、個人的にもっとも好きだった作品。
中国の旧市街に暮らす子どもたちの描写から物語がスタートするのだが、困ったことに字幕がない。
「うわぁ……。出だしはよかったのに、やっぱりこれ系でイキるヤツか」と、わけのわからん言葉を喋るガキどもにうんざりしていると、突如空から近未来のおっさんたちが降ってくる流れ。
・普通のガキがあるきっかけで能力覚醒を起こす
・世界を守る
・必殺技で悪者を退治する
いわゆる王道の要素が全部詰まった作品で、できればもう少し長い尺で観たかった気もする。
●「Dethtic4-デスティック・フォー-」(木村真二)
この作品に関しては絵柄も音楽も好きではないが、ストーリー自体はしっかりしていてそれなりに楽しめた。
恐らくいろいろな作品にインスパイアされているのだと思うが、こういうホラーとミステリーの融合みたいな作品は元ネタが多過ぎて「ああ、これはアレだろ」みたいなことが非常に言いにくい。
まあでも、7作品の中では「上海大竜」の次に好きかもしれませんね。
●「ドアチャイム」(福山庸治)
どこかのレビューで「世にも奇妙な物語」っぽいとおっしゃっていた方がいたが、なるほど。確かにそんな感じ。
ある日自分が2人に別れ、もう1人の自分に元の自分が生活を横取りされていく。
どこに行っても“あいつ”が先に到着していて、本当の? 自分は他の人間から姿が見えなくなってしまう。
もう1人の自分から元の生活を取り戻すため、“あいつ”よりも先に目的地に着くため彼は町中を奔走する……。
これまたもう少し長い尺で観たいと思った作品。
発想や構成自体は悪くないと思うが、とにかく登場人物に魅力がなさ過ぎた。
導入部分だけを観ると、まるで線路の反対側にいる女の子の方が主役ではないか? というほど主人公のキャラが薄い。
しかも、本人が2人に分裂する状況をスッと受け入れているのもよくわからない。
どちらにしろ、これをやるなら恋人の女の子も含めてキャラクターに個性がほしかった。
●「LIMIT CYCLE」(二村秀樹)
うわぁ……。
やってもうた……。
「先鋭的、奇抜な作品集」なら、これをやってるヤツが1つくらいあるかも? と思っていたが……。
本当にやってどうするww
いや、ダメだって。
これをやるのは絶対ダメなんだって。
前衛的な映像で謎の哲学を延々と語るパティーン。これを最初に商業アニメでやったのは恐らく「新世紀エヴァンゲリオン」だと思うが、もう最悪としか言いようがない。
冒頭でも申し上げたが、意味深な映像と音楽でイキる作品がダメだと言うつもりはまったくない。
だが、それはあくまで「破綻していないストーリー」あってのもの。
今作のように、おっさんがひたすら意味不明な言葉を羅列し続けるようなヤツはアニメでやっちゃダメ。マジでダメ。
音楽のPVならギリギリ許されると思うが、ここまで視聴者をないがしろにするのはあり得ない。
せめて字幕をつけるとかね。
ある程度、観る側の立場に立たないとお話になりませんよOK?
ここまで4作品をどうにか持ちこたえてきたが、残念ながら心が折れた。
この5作品目「LIMIT CYCLE」により、「ジーニアス・パーティ」を考察する脳みそは完全に失われた次第である。
アニメ「鉄コン筋クリート」感想。声優の素人臭いザラザラ感と作風が奇跡的に嚙み合った秀作。イタチの正体? 蛇の手下? いろいろ謎も多いけど
●「夢みるキカイ」(湯浅政明)
うん、まあよかったんじゃない?
別にいいとも思わなかったけど。
いや、申し訳ないww
「LIMIT CYCLE」で集中力が根こそぎ刈り取られたせいで、この作品はほとんど真面目に観ていない。
レビューを読むとそこそこ人気の高い作品らしいが、もうどっちでもいいっす。
てか、何で母親の上半身だけ実写なの?
●「BABY BLUE」(渡辺信一郎)
7作品の中ではもっともうまくまとまっていた(と思う)作品。
ある男の子が幼馴染の女の子を誘って“駆け落ち”的な旅に出るのだが、その道中で「明日が引っ越し日(別れの日)」であることを告白する話。
青春の思い出の1ページっぽいサラッとしたストーリーで、実際悪くなかったと思う。
ただ、声優の菊地凛子がド下手過ぎてすべてを台無しにしておりましたとさ。
「ムタフカズ」の草彅剛の際にも申し上げた記憶があるが、やはり声優はめちゃくちゃ大事。ネームバリュー優先で芸能人を起用するなとは言わないが、ストーリーに没頭できないレベルの下手さはやっぱりNGである。
映画「いぬやしき」感想。哀愁ジジイの覚醒。男前陰キャラのメシウマ復讐劇。爽快感とモヤモヤの狭間で
「俺たち時代を先取りしてるぜ」なスタンスが好きじゃない。何でもない風景や言葉の中に散りばめたものにこそセンスを感じる
以上である。
繰り返しになるが、残念ながらSTUDIO 4℃作品は僕には合わない。徹底的に合わない。
特にこの「奇抜で先鋭的な作品=センスに溢れ、時代を先取りした作品」と言わんばかりのスタンスが好きじゃない。
どなたかがレビューでおっしゃっていたが、「ジーニアス・パーティ」や「ムタフカズ」のような意味深かつ斬新な映像を全面に出すより、何でもない風景や普通の言葉の中に何気なく散りばめられたものにこそセンスを感じるというのは確実にある。
たとえば「あしたのジョー」の作画を担当したちばてつや氏。
ジョーに振られ、マンモス西との結婚を決めた紀子が結婚式でジョーを見つめる表情は本当に有名である。
【 『メガロボクス』スタッフが愛する『あしたのジョー』名場面】その4
■KCコミックス19巻180ページ■
《森山監督コメント》
紀子の結婚式でジョーのスピーチを聞いた後の紀子の表情。よく挙がるシーンと思いますがやはり印象深いので。(続く)#あしたのジョー #メガロボクス pic.twitter.com/uZmCDXOfLy— メガロボクス公式&あしたのジョー50周年 (@joe50_megalobox) February 2, 2018
こういう何気ない1コマでドキッとさせられるのは圧倒的なセンスだと思うし、誰にでも真似できるものではない。
また、このちばてつや氏に匹敵する作画センスの持ち主としては、個人的に「今日から俺は」「天使な小生意気」の西森博之氏を推したい。
あの人の“上手とは言えないが、胸の内側をえぐる”描写からは、ちばてつや氏と同種のものを感じている(勝手に)。
有能ヒロインベスト6完結編。歴代ヒロイン中、No.1有能なのはもちろんアイツ。番外編も発表するからまあ聞いてよ
その他「君の名は」の声を失うような情景描写にも秀逸なセンスを感じるし、人気ゲームシリーズ「MOTHER」のゲームデザインを手がけたコピーライター糸井重里氏のセリフ回しはやっぱりすごい。
今度こそ弱虫の僕が戦う番だ。(ロイド-MOTHER)
— MOTHER名言bot (@_MOTHERbot) August 17, 2019
大人達がいなくてせいせいするぜ。グスン。(イースターの少年-MOTHER)
— MOTHER名言bot (@_MOTHERbot) August 17, 2019
シアワセなら ボクのとなりに あるから いらないや。(ポール-MOTHER3)
— MOTHER名言bot (@_MOTHERbot) August 17, 2019
会わなきゃ別れもないわけだ。(マジカントの住人-MOTHER)
— MOTHER名言bot (@_MOTHERbot) August 14, 2019
…ネス、生きて帰ったんだなぁ。さぞかしいろんな事があったんだろうよ。今度ゆっくり一杯飲みながら聞かせてくれよ。一杯飲むってのはミネラルウォーターだよ。おれもまだ未成年だしさ。(フランク-MOTHER2)
— MOTHER名言bot (@_MOTHERbot) August 13, 2019
奇抜な言い回しを使わなくても、前衛的な映像を駆使しなくても、これだけのセンスを発揮できる。
どちらがいいとか悪いとかではなく、僕はこちらの方が断然好きである。
松本人志「ゴッホの気持ちがわかる」←イタいなオイw 史上最高のパンチラインはアレで文句ないだろ?
その昔、ダウンタウンの松本人志が「ゴッホの気持ちがわかる」と言っていたらしいが、はっきり言って今聞くとかなりイタい。
松本人志が監督として手がけた映画「大日本人」「しんぼる」「さや侍」「R100」に対する評価を振り返れば、僕の言いたいことがご理解いただけるのではないか。
映画「ナイトミュージアム」感想。こんな博物館に行きたいNo.1。夜な夜な展示物が動き出す夢叶えたる。ロビン・ウィリアムズの元気な姿に感動
いや、ホンマそういうことやぞと。
別に「前衛的で奇抜なもの=時代を先取りしたクリエイティブな作品」ってわけでもないんやで。
ものごとにはバランスってヤツがあって、ダダ滑りしているものを「わからない方が悪い」と言い張るのはクッソダサいんやで。
そして、これもどなたかがおっしゃっていたのだが、有史以来もっとも秀逸かつセンスに溢れたパンチラインは坂本九の「上を向いて歩こう」だと思う。
上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
上を向いて歩こう
にじんだ星をかぞえて
マジな話、いまだかつてここまでセンスに溢れたパンチラインが存在しただろうか。
だってあなた。
「涙がこぼれないように上を向いて歩いていたら、夜空の星がにじんで見えた」んだぜ?
ごく普通の言い回しなのに、こんなに刺さる言葉がありますかって話。
見れば見るほど鳥肌が止まらないっす。
映画「殿、利息でござる!」感想。ハードルを上げ過ぎて失敗した典型例。最初に余計な知識を詰め込むのも考えものだな
もう一度言うけど、ホンマそういうことやぞ。
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