Dream Bowl 2023現地観戦。横の動きについていけない日本選抜。Xリーグの助っ人ゴリ押し戦術の弊害? フィジカル面よりガラパゴス化の方が…【2023.1.22感想】

Dream Bowl 2023現地観戦。横の動きについていけない日本選抜。Xリーグの助っ人ゴリ押し戦術の弊害? フィジカル面よりガラパゴス化の方が…【2023.1.22感想】

2023年1月22日に東京・国立競技場で開催されたアメリカンフットボールの「Dream Bowl 2023」、全日本選抜vs米IVYリーグ選抜の試合を現地観戦してきました。

 
結果は24-20でIVYリーグ選抜が勝利。日本選抜も第3Q終盤のTDで一時逆転するなど健闘しましたが一歩及ばず。



 
MVPにはIVYリーグ選抜のアイゼイア・マルコム(RB)が選出されています。

 
なおこの日の観客は12,083人。キャパ50,000人以上の国立競技場としてはやや寂しい客入りとなりました。
 
ノジマ相模原ライズvsアサヒ飲料クラブチャレンジャーズ現地観戦。久しぶりのアメフト観戦、楽しい週末。勝負どころでのビデオ判定が流れを変えた?
 

人生2度目の新国立競技場。セレモニーが終わるといよいよ試合開始

僕自身、新国立競技場を訪れたのは今回が2度目です。2022年末に大学ラグビーを現地観戦して以来、約1ヶ月ぶり(すげえ最近w)となっております。
 
 
試合開始が13:00で、会場に到着したのが12:30頃。

 
ピッチ上ではIVYリーグ選抜の選手がアップ中です。


 
そうこうしているうちに両チームの選手紹介が始まります。

 
IVYリーグ選抜は写真なしってそんなバカな笑

 
チアリーダーのお姉さんたちは相変わらず試合前から踊りまくりです。


 
入場後に両国の国歌が流れ、


 
よく知らないけど偉い(っぽい)人のコイントス。

 
諸々のセレモニーが終わるといよいよ試合開始です。
 

撮った写真を適当に貼っていくぞ。電光掲示板が見やすい笑

では撮った写真を適当に(下手くそなのは許してね笑)。


 
ペナルティ発生時に投げ入れられたイエローフラッグ。

 
電光掲示板に説明が映されます。

これは結構よかったですね。クソ古い&逆光の富士通スタジアムと違って電光掲示板がめちゃくちゃ見やすい笑
 
アメフト現地観戦、この安さとユルさがいいね。アサヒビールシルバースターvsAFCクレーンズを富士通スタジアムで観てきた
 
各チームのチアリーダーが勢ぞろいしたハーフタイムショーは圧巻でした。

 
表彰式の様子。


 

点差だけを見れば日本選抜が健闘したけど内容的には…。Xリーグのゴリ押し戦術をそのまま採用するも…

全体を通しての感想ですが、今回はアメフトの奥深さを知れたというか、Xリーグはかなり偏ったリーグなのかな? と思わされる試合でした。
 
上述の通り結果は24-20でIVYリーグの勝利。数字上は日本選抜の健闘が光った印象ですが、洗練度にはだいぶ差があったように感じました。
 
 
普段僕が観ている(そこまで詳しくないけど)Xリーグは基本的に「RBの縦突進でヤードを稼ぐ→WRへのパスでファーストダウンをゲットする」の繰り返し。
強フィジカルのRBがDFの真ん中を切り裂き、ゴールラインが近づいたところで外側へパスorそのままRBが突進してタッチダウンになだれ込む。
 
先日現地観戦したRICE BOWLもそう。富士通フロンティアーズのRBトラショーン・ニクソンとパナソニック・インパルスのRBミッチェル・ビクター・ジャモーが無双しまくるゴリ押しゲームが展開されています。
 
ライスボウル2023が最高だった件。富士通がパナソニックに逆転勝利。第3Qのパスに感動した。へえ〜、今はRB無双が主流なんだね
 
QB、WR、RBにNFL一歩手前の強力な助っ人を配置してひたすら彼らにボールを集める。周りの日本人選手は彼らのサポート役に徹する。いわゆる助っ人頼りのゴリ押し戦術というか、ある意味ヌルゲーな側面もあるのかもしれません。
 
 
もちろん今回のDream Bowlも同じ。日本選抜は立ち上がりからRBの突進、WRのランをどんどん仕掛けていきます。
そして、開始直後はその戦術が機能しヤードを稼ぐことに成功しました。
 
実際FGで3点先制したし、第1Q終了時点で「これは勝てるんじゃないか?」「逆転されたけどまたチャンスはくるでしょ」と思ったことを報告しておきます。
 

早々に日本の弱点に気づくIVYリーグ選抜。横の動きについていけず、ショートパスからのランで翻弄される

ところが、第2Qに入ると徐々に雲行きがおかしくなります。
 
開始直後は機能していたRBのゴリ押しを“前”で止められ、1、2回目の攻撃でうまくヤードを稼げなくなる。
 
逆にIVYリーグ選抜は短いパスからのランで日本のディフェンスを翻弄します。
パスを受けた選手がワンステップでタックルを外し、あっさりファーストダウンをゲット。
 
日本もRBを走らせてのパス攻勢で対抗しますが、全体的には押され気味。相手に攻撃権が渡るたびにビッグゲインを許す苦しい展開が続きます。
 
要するに日本は横の動きについていけない
 
一歩目のステップで正面を外され、半身ズラされたままタックルに行くため1発で止められない。
しかも基本的に“待ち”のディフェンスなので広いスペースを有効に使われてしまう。結果、ボールキャリアに引きずられたまま裏に出られる。
 
試合を通してここが一番のネックになっていた気がします。
 
IVYリーグ選抜は第1QのTDで日本が横の動きを苦手としていることに気づいたのだと思いますが、第2Q以降は徹底したショートパス作戦でディフェンスを置いてきぼりにし続けました。
 
電通キャタピラーズvs富士フイルムミネルヴァ。9か月ぶりのアメフト現地観戦でびっくり神試合に遭遇。あの牧歌的な雰囲気も久しぶりだった
 

要因はXリーグの助っ人頼りの偏った戦術? 真正面から突進を受け止める“待ち”のディフェンスが染み付いている

表題の通りですが、日本チームが横の揺さぶりについていけない要因はXリーグにおける助っ人頼りの戦術にあるのでは? と思っています。
 
申し上げたように現在のXリーグ(上位陣)で主流となっているのは強フィジカルのRBのゴリ押しとWRのラン。
特にRICE BOWLに出場した富士通フロンティアーズとパナソニック・インパルスはRBの無双っぷりが顕著過ぎるくらい顕著でした。
 
相手がRBの縦突進でくるのであれば、DF側も当然“それ用”の対応を考える必要がある。
 
つまり、フィジカルお化けの突進を受け止めるためには足を踏ん張って待ち構えるディフェンスに傾倒せざるを得ない。
 
“待ち”のディフェンスは確かに正面衝突には強いですが、代わりに広いスペースができやすくなる。このディフェンスが身体に染みついた結果、スピーディな横の動きについていけなくなったのではないかと。
 
 
多くの方が言うように体格差、フィジカル差もあったとは思いますが、それだけではない。
というよりトラショーン・ニクソンやミッチェル・ビクター・ジャモーに比べて今回の大学生チームのフィジカルがそこまでずば抜けていたとも思えない。
 
仮に今回の敗因をフィジカル差、体格差に求めているようならそれはちょっと危うい。むしろガラパゴス化したXリーグの方が要因としては大きいように思えました(クソ素人だけど)。
 
 
てか、僕は普段ラグビーをよく観るんですが、アメフト(Xリーグ)はラグビーに比べて横の動きが少ないなぁとは思ってたんですよね。
 
東芝ブレイブルーパスvsクボタスピアーズ現地観戦。ラグビーリーグワン3位決定戦おもしろかった。バーナード・フォーリーのキックパスに感動したぞ。でも、チーム名がわかりにくすぎる…
 
もともとラグビーはタックルされた直後の対応、ボディコントロールが重要な競技です。それに対してアメフトは膝がついた時点でプレーが止まるために横の動きが発達しにくい(気がする)。
 
ですが、それを踏まえた上で。
「もう少しサイドステップを使えばいいのに」と思って観ていたのですが、それはあながち間違いではなかった? のかも?(素人の分際でアレですが)。
 

緻密さの面でもIVYリーグ選抜は日本を上回っていた。これまで観たことがないプレーが目白押し

さらにIVYリーグ選抜は緻密さの面でも日本選抜を上回っていたように思います。
 
相手の弱点に気づいた直後に戦術をさっと変更する柔軟性に加え、スナップの際にQBを通さずスピーディなリスタートでヤードを稼いだり、キックオフであえてタッチバックを選択したり。
 
また、QBとRBがクロスしてボールの方向を変えるサインプレーを敢行したり。


 
僕自身、ルール上スナップの際にQBに渡さなくてもいいことを今回初めて知ったのですが、これまで観たことがないプレーが飛び出すたびにいちいち「おお!! すげえ!!」となった次第です。
 
特にキックオフのタッチバックに関しては全5回のうち4回。
自陣の深い位置からでもランで突破できる自信があったのだと思いますが、こういうのも戦術の一つなんだなぁと感心させられました。
 

レベルが上がればフォームはシンプルに、戦略はより高度かつ緻密に。最終的には“作業ゲー”まで昇華する

最初に申し上げたように今回のDream Bowl 2023ではXリーグの偏った戦術に加えてアメフトの奥深さを垣間見ることができました。
 
どんな競技でもそうですが、レベルが上がれば上がるほど(フォーム等の)動きは無駄が削ぎ落とされてシンプルなものに収束する。
逆に戦略面はより高度かつ緻密に練り上げられる。
で、最終的にはすべてがシステム化された“作業ゲー”に行きつきます。
 
近年、野球のMLBが「サイボーグが野球をしているようでつまらない」と言われていますが、洗練が行き過ぎた結果、人気が低迷するという皮肉な逆転現象は実際にあると思います。


まあ、日本のXリーグはまだまだ洗練にはほど遠い、閉じられた場所で完結するリーグの弊害に直面している段階ですが。
 
強力な助っ人の加入は競技レベルの向上に効果的ですが、逆にリーグ全体がガラパゴス化しやすいデメリットもある。
この辺のバランス感覚はマジで重要なんだろうなぁと思うわけです。
 
 
 
偉そうなことを長々と語ってきましたが、的外れだったらすみません笑
観戦素人の戯言と流していただければ幸いですw
 

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