ダニエル・バラダレスの厚かましさ、世界王者への執着を支持する。あのまま続ければ重岡銀次朗が勝ってたっぽいけど。世界王者にはそれくらいの図々しさも必要?【結果・感想】

ダニエル・バラダレスの厚かましさ、世界王者への執着を支持する。あのまま続ければ重岡銀次朗が勝ってたっぽいけど。世界王者にはそれくらいの図々しさも必要?【結果・感想】

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2023年1月6日にエディオンアリーナ大阪で行われたIBF世界ミニマム級タイトルマッチ。同級王者ダニエル・パラダレスに日本の重岡銀次朗が挑んだものの、3Rに起きたバッティングによりパラダレスが続行不能となり無判定に。
後日、日を改めての再戦がプロモーターから発表されている。
 
 
重岡銀次朗vsダニエル・バラダレス。
偶然のバッティングにより不可解な結果となった一戦だが、ようやくこの試合を観たのでその感想を。
 
なお試合直後はSNSや掲示板等が荒れに荒れ、一部からは「バラダレスは王者の資格がない」という声すら聞こえたとか。
 
また元S・フェザー級王者内山高志も「あの試合はどう考えてもおかしい」「バラダレスは勝てないと思ったから途中で止めたのでは?」とかなり憤っていたとのこと。


重岡銀次朗が直接の後輩というのもあるとは思うが、記事を読む限り今回の裁定にはまったく納得いっていないようである。
 
復帰戦のリゴンドー。地球上でもっとも不愉快なアイツが戻ってくる。3連敗阻止に向けてヘスス・マルティネスと対戦。バネの低下がオフェンスに影響してる気ががが
 

あのまま試合が続けば重岡が勝ってた? エンジンがかかってきたところで止められた感じがしたよ

まず試合の感想だが、あのまま続いていたら重岡が勝ちそうだったなと。
 
僕はどちらの選手も初見だったのだが、
 
・重岡銀次朗
圧力がすごい。パンチの威力もありそう。
その反面、上体の柔軟性が少し足りない?
 
・ダニエル・バラダレス
重岡とは逆に上半身が柔らかい。
右が伸びる&そのまま頭から突っ込むスタイル。
京口と対戦したホセ・アルグメドをややディフェンシブにした印象。
 
「あのまま試合が続いていれば重岡が勝ったのでは?」とは言ったが、バラダレスの右が当たりそうな雰囲気もあった。
言われているほど重岡が圧倒していた感じはないというのが率直なイメージである。
 
ただ、重岡が圧力を強めた3Rからバラダレスは明らかにタジタジになっていた。
警戒心からか踏み込みが鈍り右の伸びも足りない。
なので、あのままラウンドが進めばどこかで重岡がKOしていた可能性が高いのではないか。
 
バッティングによるダメージがどの程度だったのか、内山高志の言うようにバラダレスは「負けそうだからわざとあの時点でやめた」のかはよくわからない。
 
だが、重岡としてはちょうどエンジンがかかってきたところでぶつ切りにされた試合だったのだろうと。
 
佐々木尽が剛腕で豊島亮太を1RKO。あそこで勝負したら佐々木尽は強いよな。アブラハム・ノバvsアダム・ロペス戦と井上尚弥の次戦についてとか
 

ダニエル・バラダレスの振る舞いはありかなしかで言えば“あり”。世界王者にはあのくらいの厚かましさが必要

今回のダニエル・バラダレスの振る舞いについてだが、ありかなしかで言えば“あり”だと思っている。
 
あくまでバラダレスが「このままだと負ける」と感じて“わざと”やめたのだと仮定して。
 
やり口はクソだが、勝負師としては悪くない。
 
なぜならあそこで試合をやめれば負けることはないから。
 
3Rなら試合も成立していないし、普通に考えれば再試合が組まれる可能性が高い。
MAX最悪のパターンでも王座はく奪まではいかない(はず)。
 
しかも重岡がどんな選手か、どれだけの強さかといった情報収集もできた。
今回は劣勢だったが、次回は「重岡の長所、短所」を把握した状態で仕切り直しができる。
もっと言うと、再戦までの数か月間は引き続き世界王者でいられる。
 
当然周りからは激しく非難されるし“臆病者”のレッテルを貼られるかもしれない。
僕も後出しでこんなことを言っているが、リアルタイムでアレをやられたら冷静でいられる自信はない。
 
ただ、そんなことは関係ない。
世界王者にはそのくらいの厚かましさ、図々しさも必要。
身勝手なファンからは誹謗中傷を浴びるかもしれないが、それでも“世界王者”の地位にしがみつく方がはるかにメリットが大きい。
むしろ世界王者になる、世界王者でい続けるには理不尽なほどの執着心があるくらいでちょうどいい。
などなど。
 
諸々を加味すると、パラダレスがあの時点で試合を放棄した方がお得と考えても決しておかしくはない(気がする)。
 
世界戦という極限状態でそこまで頭が働くのかは知らん。
 
吉野修一郎とシャクール・スティーブンソンの挑戦者決定戦? 中谷正義の次はシャクールかよ…。吉野修一郎「僕の世界戦を見たくないですか」←見たいに決まってんだろ笑
 

カシメロ戦後の赤穂両陣営の淡白さ。せっかくの再戦のチャンスを自ら手放すのはどうなのよ?

逆に2022年12月のジョン・リエル・カシメロvs赤穂亮戦後の赤穂陣営の淡白さには改めて「ん?」と思った次第である。
 
2Rにレフェリーがカシメロのラビットパンチを注意した直後に赤穂がコーナーに座り込み、長時間の休憩を経て続行不能に。韓国の規定? に則って無効試合となったものの、後日赤穂陣営の返答によってカシメロの2RKO勝ちに変更される。
 
これについて赤穂陣営や本人が経緯を語っていたが、いや、マジかよと。
 
赤穂陣営のあの対応については賛成の声が多いようだが、ダニエル・バラダレスの厚かましさを考えると「ホントにそれでいいの?」と思わされる。
 
もともと赤穂亮は「うまくやれば世界王者にたどり着けるかも?」という立ち位置の選手。
その選手が念願のチャンスを迎え、内容は完敗ながらも一応仕切り直せる状況を得た。
 
それをみすみす捨ててしまうのはどうなのよ?
“世界王者”という目標に対してあまりにも淡白じゃないっすか?
 
少なくとも「ラビットパンチの影響」という点を考えれば重岡vsバラダレス戦よりもはるかに筋が通っていると思うのだが。
 

赤穂亮「(カシメロは)あんなものじゃないですかね。思ったより踏み込みが速いとかパンチがあるとかいう感じではなかったですね」

一応、試合直後は赤穂にも強がりを言う程度の闘志は残っていたわけで。
 
わずかに残された闘志を味方であるはずの陣営が積極的に刈り取っていくやり方には違和感しかない。
 
まあ、「記憶がない」と言っている赤穂を詰めて「戦意喪失した」と言わせたり、長年放置してきた悪癖(試合中に気を抜く、勝手に試合を止めてレフェリーにアピールする、など)を赤穂1人の責任にすり替えたり、吐き気を催す対応の数々を踏まえれば自然と納得できてしまうのだが。

赤穂亮vsカシメロ戦、試合後動画があまりに酷い件。「あそこでグローブタッチは絶対やっちゃダメ」って、それ今言う? わかりきってた弱点を放置したのはチーム全体の責任でしょ
 

寺地拳四朗陣営の執着っぷり。会長が盾になって選手を守る姿勢もよかった。いまだに再戦には納得してないけど

また上述のダニエル・バラダレスに匹敵する厚かましさ、世界王者への執着を見せたのが現WBA/WBC世界L・フライ級王者の寺地拳四朗とその陣営。
 
2021年9月に矢吹正道と対戦、10RTKOで敗れたものの、直前に起きたバッティングによる影響を主張してJBCに質問状を送る。
で、世論を巻き込みまくった末に再戦を取り付けるという。
 
しかも拳四朗本人はまったく表には出てこず、矢面に立つのは父で会長の寺地永氏のみ。
 
無理やり理由を見つけて再戦に持ち込み、初戦の経験を踏まえてリベンジを果たす。さらに選手に批判がいかないように会長自らが盾になる。
 
あの強引なやり方にはいまだに納得していないが、それはそれ。勝利への執着、厚かましさ自体はそこまで悪くない。
ダニエル・バラダレス同様、世界王者になるにはそのくらいの図々しさが必須なのかもしれない。
 
拳四朗の接近戦で矢吹正道陥落。そりゃ序盤から倒しにくるよ。ガードを上げた拳四朗を初めて観た。不必要な再戦を強いられた矢吹の不憫さ
 

倫理的に正しいかよりも重要。理屈を超えた強引さ、プラスαがあってこその世界王者。支持してくれとは言わないけど

似たようなところでは、100対0で負けていたジェスレル・コラレスとのダイレクトリマッチを強行した内山高志や、山中慎介vsルイス・ネリ戦で試合をストップした陣営を公然と批判→のちに禁止薬物陽性が出たネリとの再戦を敢行した会長などだろうか。
 
倫理的に正しいかどうか、スポーツとして正解かどうかはもちろん大事。
 
だが、ときには理屈を超えた強引さも必要になる。
綺麗ごとだけではない、プラスαがあってこその世界王者なのだろうと。


一応言っておくと、この意見を支持してくれなどと言うつもりはさらさらない。
 
というより僕自身、拳四朗vs矢吹戦のいきさつには納得していないし例の山中vsネリ戦直後はめちゃくちゃムカついたことを覚えている。
仮に赤穂亮陣営がカシメロとの再戦を模索していた場合、どんな感情が芽生えていたかもわからない。
 
そういった個人の思いとは別に、負けを認める潔さよりも無理やり理由を見つけてゴネる方が“勝負師としては正解”かもね? と申し上げている。
 
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