照ノ富士の横綱相撲に感動した。ぐちゃぐちゃの膝でもできることをやり続けて7度目の優勝。横綱とは一握りの強者だけに許された別次元の超人【2022年夏場所感想】

照ノ富士の横綱相撲に感動した。ぐちゃぐちゃの膝でもできることをやり続けて7度目の優勝。横綱とは一握りの強者だけに許された別次元の超人【2022年夏場所感想】

2022年5月22日に千秋楽を迎えた大相撲夏場所。
御嶽海を寄り切りで破った横綱照ノ富士が12勝3敗で3場所ぶり7度目の優勝を飾っている。
 
 
左膝と右かかとの負傷で先場所を途中休場した照ノ富士。
今場所も初日に大栄翔に敗れると、中日までに3敗を喫する苦しい場所が続く。
ところが後半戦からは「しっくりこなかった」という立ち合いを修正し連勝を重ね、最終的に12勝3敗で通算7度目の優勝を果たしている。


 

人生初の大相撲現地観戦で横綱照ノ富士の満身創痍っぷりにオドレエタ

先日、人生で初めて大相撲を現地観戦したのは下記の通り。
 
初めての大相撲観戦感想。入場は中入後がおススメ。フラッと入って飽きたら帰るスタンス。力士の大型化による怪我の多さと取組の単調化。土俵に上がった瞬間満身創痍の照ノ富士
 
その際に横綱照ノ富士の満身創痍っぷりに驚愕し、実際の取組での負け方に「アカン」となった次第である。
 
信じられないくらいデカいサポーターが巻かれた膝は痛々しく身体に張りも感じられない。立ち合い前のそんきょも恐る恐るという感じで、本調子にはほど遠いのは誰の目にも明らか。
時間いっぱいになっても腰を浮かした状態をキープするなど、沈み込んで力を込める時間がとにかく短い。
 
「おいおい、大丈夫か? これ」と思って観ていたら、案の定下から突き上げられて腰高になったところを押し出されての敗退。
横綱が初日を落とすというまさかの結果に場内は「え~?」という空気が流れたものの、僕としては「いや、これは仕方ないんじゃないの?」と。
 
・初日(vs大栄翔●)

 
正直、これは相撲を取っていい状態ではないとすら思えた。


翌日のニュースサイトを漁ってみたところ、照ノ富士の調子の悪さを指摘する声がわんさと出てくる。
 
ちょろっと眺めたYahoo! ニュースのコメント欄には「このまま全敗が濃厚」「今場所も早々に休場する」といった辛辣な意見も散見され、素人の僕にさえ尋常ではない事態が伝わってきた。
 
まあ、Yahoo! ニュースのコメント欄などしょせん掃き溜めでしかないのだが。
 

中日までは本当にキツかった。膝の踏ん張りがきかず、立ち合いで遅れると一気に持っていかれる

そして、既報の通り照ノ富士は中日までに3敗を喫する苦しい場所を強いられることに。
・二日目(vs高安○)

 
・三日目(vs霧馬山○)

 
・四日目(vs琴ノ若○)

 
・五日目(vs北勝富士○)

 
・六日目(vs玉鷲●)

 
・七日目(vs遠藤〇)

 
・八日目(vs隆の勝●)

六日目の玉鷲戦、八日目の隆の勝戦を観ればわかるが、今の照ノ富士が負けるパターンはだいたい同じ。
立ち合いで低い姿勢で当たられ、上体が起きたところにのど輪で崩されそのまま土俵を割る。いわゆる先手必勝というか、初日の大栄翔の相撲を踏襲されての敗退である。
 
また勝利した相撲も万全とは言い難い。
頭を下げて当たってくる相手を早めに受け止め、じっくりと胸を合わせた状態まで移行してから「よっこいせ」と。
踏ん張りがきかない今の状態で勝機を見出すには相手の出足を早めに止めて前で勝負する以外に手がない。
 
逆に言うと、相手を前で止めさえすれば持ち前の技巧を発揮できる。
この人は基本、手先が器用なタイプなのだと思うが、下半身が万全ではないなりの勝ち方を知っているのかもしれない。
 
 
膝の状態が悪くても立ち合いに成功して前で捕まえさえすれば何とかなる。
だが、スピードと突進力のある相手に立ち遅れてしまうとあっという間にお手上げに。
 
勝つときは時間をかけてじっくり勝つ。
逆に負けるときは一瞬。
 
それが中日までの照ノ富士に対する僕の印象である。
 

潮目が変わったのが十日目。立ち合いがかみ合って以降は横綱の強さを発揮する

九日目の翔猿戦は豪快な吊り出しで場内を沸かせたものの、翔猿のスピードについていくのがやっと。相撲の出来としてはそこまでよくなかったと想像する。
 
・九日目(vs翔猿〇)

 
その潮目が変わったのが恐らく十日目
 
前に出てきた豊昇龍を素早い出足で受け止め、左上手を引いた状態からゴリゴリ圧力をかけての寄り倒し。
前日あたりから立ち合いがかみ合ってきたのだと思うが、この日の相撲は最初から最後まで「こりゃ強いわ」と言えるものだった。
 
・十日目(vs豊昇龍〇)

 
続く十二日目もこれまた会心の相撲。
立ち合いで阿炎ののど輪に後退させられるものの、すぐに前手でまわしを引き寄せる→パワフルな張り手であっという間に押し出し。
一瞬「お!!」と思わせた阿炎だったが、照ノ富士の馬力をこらえきれずに電車バックで土俵を割ってしまった。
 
・十一日目(vs阿炎〇)

 
何というか、後半戦に入るにつれて立ち合いで出遅れがなくなったのが大きい(気がする)。
 
立ち合い前のそんきょもしっかりと腰が落ち、序盤に比べて下半身に力感もある。膝の調子が上がってきたのか、精神面が充実したのかは不明だが、とにかく十日目、十一日目あたりの相撲は“強い横綱”のそれだった。
 

ちょっと疲れた十二日目、十三日目。改めて横綱は別次元の超人なんだろうな

十二日目、十三日目はちょっと疲れましたよね。
相手が調子のいい若隆景と大関貴景勝だったのもあるとは思うが、前日までのキレは感じなかった。
 
中でも十二日目の若隆景戦では下に潜られもろ差しを許す局面も。
ところがそこから強引に引っこ抜いての極め出しで勝利。
「横綱を舐めんじゃねえぞ」という声が聞こえてきそうな貫禄である。
 
・十二日目(vs若隆景〇)

 
十三日目の貴景勝戦は貴景勝のフェイントに惑わされつつも、スピード負けせずに最終的には寄り倒しでの勝利。
このあたりは完全にゾーンに入っていたと思われる。
 
・十三日目(vs貴景勝〇)

 
こうして振り返ると、改めて横綱は大変だなぁと思わされる。
相手の出足が速かろうが立ち合いで変わろうが、もろ差しを食おうが関係なし。
相撲界には“すべてを受けきって勝利してこそ横綱”という矜持があるらしいが、マジでそんな感じ。
 
年6回の本場所+地方巡業をこなしながら常に優勝争いを繰り広げ、相手の技を正面から受けきった上で勝利を挙げてこその横綱。
今の時代に即しているかどうかはともかく、一握りの超人にしかたどり着けない領域なのだろうと。
 
稀勢の里引退。横綱としては実力不足だったんだろうな。横綱は勝ち続けるのが義務、怪我は土俵上で治すもの、痛みは精神力で乗り越えるもの
 

残り二日はペース配分も考えずに突っ走るだけ。千秋楽は万全の横綱相撲で優勝を決めた

十四日目になればあとは気力のみというか、ペース配分を考える必要もない。優勝目指して突っ走るだけである。
相手が絶不調の正代ということもあってか、いっさい隙を与えず寄り切ってみせた。
 
十四日目(vs正代〇)

 
そして迎えた千秋楽。
一度目の“待った”で御嶽海が立ち合いを焦っていることを把握し、それに負けない立ち合いであっさりと万全の態勢に。
腰を低く落として頭を御嶽海の首の下に押し付けズンズン前進。十日目、十一日目にも劣らないくらいの万全さで見事7度目の優勝を決めてみせた。
 
千秋楽(vs御嶽海〇)

 

照ノ富士の雄姿に感動しました。初日の出来からよくここまで盛り返したよね

まさかの初日の敗戦から立ち合いが合わずに探り探りのまま中日までに3敗を喫した前半戦。
膝の状態が上がり、立ち合いのスピードと力強さが戻った後半戦。
そして、最後は気力と体力を振り絞っての逆転優勝。
 
上述の通り初日の動きを観た際は「これは相撲など取ってる場合じゃない」とすら思ったが、あそこから盛り返した技巧と体力、気力はお見事としか言いようがない。
 
僕自身、大相撲をちゃんと観たのはかなり久しぶりだったのだが、今場所の照ノ富士には本当に感動した
日本人力士が情けない、大関陣がだらしないという声も多数聞こえてきたが、それはそれ。満身創痍の中で自分にできることをやり、後半に調子を上げて優勝にこぎつけた雄姿は文句なしに素晴らしい。
 
特に一度大関から陥落→返り咲きを果たしてからの横綱昇進という過程を踏まえると今回の優勝は一段と感慨深い(これまで全然観てなかったけど笑)。
 
優勝インタビューでの笑顔が素敵であるww
 
・照ノ富士優勝インタビュー

 
ちなみに照ノ富士を観るために千秋楽のチケットを購入しようと思ったのだが、割と早い段階で売り切れておりました。
 
日曜日にスタートして土日に中日を迎える→一番盛り上がる千秋楽が3度目の日曜日というのもスポーツイベントとしてよくできてますよね。
 

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