「グッバイ、ドン・グリーズ!」感想。それは禁止って約束したじゃん。青春とファンタジーのいいとこ取りをしまくった末にそのオチは卑怯ですよ

「グッバイ、ドン・グリーズ!」感想。それは禁止って約束したじゃん。青春とファンタジーのいいとこ取りをしまくった末にそのオチは卑怯ですよ

映画・マンガ・ドラマ記事一覧
 
アニメ映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」を観た。
 
〜〜〜〜〜
 
「グッバイ、ドン・グリーズ!」(2022年)
 
関東の田舎町で暮らす少年ロウマは畜産農家の息子。幼い頃からなかなか周囲に馴染めず、高校に進学してもそれは変わらない。
 
同じく周囲から浮いた存在だったトトと“ドン・グリーズ”を結成するが、優等生のトトは医者を目指して東京の高校に進学してしまう。
 
 
迎えた高校1年の夏休み。
久しぶりに帰省したトトを見たロウマはその変貌ぶりに戸惑いつつも、「ドン・グリーズ再開!!」と叫んで拳を突き出す。
距離は離れても2人の関係はこれまでと何ら変わらないはずだから。
 
 
だが、今年の夏は今までとは少し違うことをロウマは知っている。
なぜなら、2人だけだったドン・グリーズにアイスランドからきた少年ドロップが加わったのである。
 
 
「世界を見下ろしてみたいと思わない?」というドロップのひと言に乗せられ、全財産をはたいて購入したドローンを飛ばす3人。
風に煽られるドローンの操縦に四苦八苦していると、はるか遠くの山から火の手が上がる。
 
そして次の日。
スマホを見て大声を上げるトト。
彼らはいつの間にか昨夜の山火事の犯人に仕立て上げられていたのだった……。
 
〜〜〜〜〜
 


 

約7ヶ月ぶりに映画館に足を運びました。「ハッピーエンドが至高」を基準にするとアニメ映画が多くなるよね

アニメ「宇宙よりも遠い場所」を手がけたいしづかあつこ氏が監督・脚本を務めた長編アニメ映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」。
たまたま動画サイト(だったかな?)で流れたCMで今作の存在を知り、公開を待って観てきた次第である。

 
ちなみに映画館に足を運ぶのは2021年9月にアニメ映画「岬のマヨイガ」以来。約7ヶ月ぶりの映画館ということでそれなりに新鮮な体験だった。
 
アニメ映画「岬のマヨイガ」感想。ひよりの保護子猫感。震災をテーマにした作品と知って凹んだけど、登場人物が前向きでよかったよ(表向きは)
 
てか、自分で言うのもアレですけどアニメ映画が多いなと。
以前から申し上げているように僕は「映画はハッピーエンドこそが至高」だと思っているので、とっつきやすそうなものを選んでいくとどうしてもアニメ映画に偏ってしまう。
 
まあ、この辺は完全に好みの問題なのであれこれ言っても仕方ないのだが。
 

「スタンド・バイ・ミー」と「風の又三郎」の合わせ技映画。いいとこ取りの相乗効果が素晴らしかった

前置きが長くなりそうなのでさっそく本題に。
 
「なかなかよかった」
「でも、ちょっと卑怯だよね」

これが「グッバイ、ドン・グリーズ!」を観た直後の率直な感想である。
 
今回は事前にストーリーやキャラクターなどの知識を入れずにサラの状態で観たのだが、ああ、なるほど。こういうヤツだったのねと。
 
 
昔から周囲に溶け込めずに浮いた存在だったロウマとトトが結成した2人だけのグループ“ドン・グリーズ”。いわゆるスクールカーストの底辺に位置する“陰キャ”の2人である。
 
将来医者を目指すトトはロウマを地元に残して東京の高校に進学し、その年の夏休みにはわかりやすく“高校デビュー”を果たして帰省する。
トトの変貌ぶりに戸惑うロウマだが、めったなことでは2人の関係は変わらないと自分に言い聞かせて「ドン・グリーズ再開!!」と拳を突き出す。
 
だが、今年の夏は今までとは少し違う。
2人だけだった“ドン・グリーズ”に帰国子女のドロップが新たに加わったから……。
 
 
鬱屈とした毎日を送る2人の少年が迎えた15歳の夏。
そこに浮世離れした新メンバーが加わり、止まっていた時間が動き出す。
 
何でもない小さな冒険だけど、この町が世界のすべてだった少年にとってはめちゃくちゃ大きなひと夏の出来事。
 
 
要するにこれはアレですよね。
「スタンド・バイ・ミー」と「風の又三郎」の合わせ技ですよね。
 
掴みどころがなく自由奔放だが、どこか達観していて大人びたドロップ。その反面、当たり前の常識に疎かったりと世間知らずな一面も併せ持つ。
 
ある日いきなり目の前に現れ、夏の終わりに風のように去っていく。
 
奇抜な服装と飄々とした態度が何とも言えない浮世離れした雰囲気を醸す。
 
「ねえ、世界を見下ろしてみたいと思わない?」
ドロップの何気なくも含みのあるひと言に感化されて“冒険”に出ることを3人は決意する。
 
 
いわゆる青春映画とファンタジーのいいとこ取り。この脚本を書いた人はいろいろなものにインスパイアされたのだと想像する。
 
映画「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」感想。ターゲットを絞った総集編。考察好き&白川さんファンには刺さる省エネ作品。予算もないっぽいね
 
ドロップが“ドン・グリーズ”に加わった経緯やアイスランドでの暮らし、親の存在その他。生活感を丸ごと省くことでドロップの存在をより神秘的なものにする手法もなるほどと思わせる。
 
“謎めいた転校生”という括りで言えば、2005年のアニメ映画「時をかける少女」の間宮千昭にも影響を受けているのかもしれない。
 
 
もちろんそれが悪いと言う気はなく。
パクリとか真似といった話ではなく、漠然と「アレとアレを足せば相乗効果が生まれるかも?」と思っていたものをうまく具現化してくれたなぁという印象である。
 

後半はちょっと卑怯。それは禁止って約束したじゃん。手早く感動を生むための安直な手法

ただ後半はちょっと安直すぎたというか、そこに手を出すのは卑怯だよねと思わされる展開だった。
 
ドローン探しの道中、自分に残された時間が少ないことを断片的に語るドロップ。
彼にとってはこの“冒険”が人生最後の旅になること、15歳の自分を見届けてもらう相手に自分たちが選ばれたことをロウマとトトは理解する。
 
そして、新生“ドン・グリーズ”にとっての最初で最後の特別な夏が終わり……。
 
いやダメだろ。
それをやっちゃダメだよ。
 
ロウマとトトからの間違い電話を受けたドロップが最後の夏を過ごす相手に彼らを選ぶ。
で、例の電話ボックスにたどり着いた2人がドロップの言葉の意味に気づいて大号泣するわけだが、それはどうなのよ? と。
 
僕自身、あのオチには感動させられたしトトとドロップの言葉がリンクした瞬間の鳥肌は凄まじいものがあった。
まさしく上述の「青春映画とファンタジーのいいとこ取り」が最高潮に達したシーンだったと思う。
 
だが、違う。
“人の死”を感動の餌にするのはやっぱり違う。
 
倫理観がどうとか、モラル云々を主張する気はさらさらない。
そんなことは道徳の時間に好きなだけやってればいい。
 
最初に申し上げたように、あのオチはあまりに安直すぎる。
 
最重要人物を中盤で退場させて、そのキャラの残り香で勝負する。
 
感動を引き出すための近道には違いないが、どうしても「それは暗黙の了解で禁止だったでしょ?」と言いたくなる。それくらいズルいやり方に思えてしまった。
 
鳥肌レベルで感動的だったのは間違いない。
BGMと映像の美しさも相待って、ドバドバ流れ落ちる涙すらも大げさには感じない。
 
でも、これを手放しで称賛するのは正解じゃない。日本のアニメが先に進めなくなるような気すらしてくる(そんな大げさな話じゃない)。
 
散々いいとこ取りをしまくった末にオチはそこかよ。
プロならもう少し工夫してほしかったよね。
 
「感動するけど、同じくらいモヤっとする」。
これが今作に対する僕のファイナルアンサーである。
 
アニメ映画「HELLO WORLD」これは酷い。ギャン泣き目指してピュアッピュアなテンションで観たのに見事にスレた自分出てきちゃった笑
 

リアリティorファンタジーの部分は特に問題なし。前半の演出によって「そうはならんやろ」なトンデモ展開も受け入れられた

ちなみにだが、リアリティorファンタジーの部分については今回はあまり気にならなかった。
 
ロウマ、トト、ドロップといった横文字の名前を聞いた際に何となく“そういう”映画なのかな? と思ったし、浮世離れしたドロップのキャラでファンタジー的な空気は十分作れていた。
 
空港までチャリで向かうような世間知らずの高校生2人がサラッとアイスランドに到達するのも、マジンガーZが飛び出しそうな滝のふもとに忽然と電話ボックスが登場するのも問題ない。電話ボックスでの少ない情報だけでロウマとトトを特定したドロップの超絶能力も含めて「この作品はそういうもん」としてすんなり受け入れている。
 
序盤にいい意味での雰囲気アニメというテイストを感じたおかげで、諸々の「絶対そうはならんやろ」なトンデモ展開を気にせずストーリーに集中できたことを報告しておく。
 
だから言ったじゃん。
ドロップは風の又三郎なんだって。
つじつまが合う合わないではなく「ファンタジーだから」でいいんだよ笑
 
 
また、登場人物を3人に絞ったことでロンブー淳や指原莉乃といった芸能人声優の違和感も最小限に抑えられた。
 
強いて言えば、ロウマ役が花江夏樹さんだったせいで鬼滅の刃がチラついたことくらいか。
俳優にしろ声優にしろ、ぶっ飛んだ代表作に引っ張られてキャリアが停滞するというのはガチであるのだと思う(花江夏樹さんが停滞するとは言ってない)。
 
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編感想。映画に向いてないでしょこのエピソード。メインの前のアクセント用のヤツじゃん。煉獄さんの退場にも驚いた
 
でもアレか。
山火事の影響? で国道が水没したのに現場が無人だったのには「おいおい」と思ったかな。
さすがにここまでの大惨事を数日放置するのはおかしいでしょと。
 
映画・マンガ・ドラマ記事一覧
 

Advertisement

 

 

 

 

【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!