映画「コロンビアーナ」感想。ソーイ・サルダナに依存しまくりちぐはぐ作品。うっすいストーリーを疾走感だけでごまかせると思うなよw
- 2020.03.28
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映画「コロンビアーナ」を観た。
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「コロンビアーナ」(2011年)
コロンビアのボゴタで生まれた9歳のカトレアは、マフィア幹部の娘として裕福な生活を送っていた。
ところがある日、マフィアのボスであるドン・ルイスの指示を受けたマルコたちに自宅が襲われてしまう。
激しい銃撃戦の末に逃げるのは不可能だと悟った父は、カトレアにルイスの情報が入ったカードを渡してアメリカ大使館に行くように言い聞かせる。
一旦はマルコに追い詰められたカトレアだが、隙をついてマルコの掌をナイフで刺し逃亡。何とか追っ手を振り切り大使館に逃げ込む。
父から託されたカードを賄賂に、アメリカ大使館経由で渡米に成功したカトレア。その足で叔父エミリオの家に向かい、身を寄せることに。
両親の復讐に燃えるカトレアは、叔父エミリオに「殺し屋になりたい」と申し出る。
その願いを聞いたエミリオは、何をするにも教育が必要だとしてまずはカトレアに学校へ通うように諭す。
それから15年後。
大人になったカトレアは、エミリオからの依頼を受けて仕事をこなす凄腕の殺し屋として成長していた。
そして、殺しの現場にカトレアの花を残すことで、復讐相手をおびき寄せようと画策するのだが……。
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微妙だったなぁ。リュック・ベッソン製作・脚本、ゾーイ・サルダナ主演に期待したけど…
「レオン」「TAXi」などを手掛けたリュック・ベッソンが製作・脚本を務めた本作。また、主演が「アバター」のゾーイ・サルダナということで、前々から気になっていた1本でもある。
ここ最近の新型コロナウイルスの影響によって外出もままならない中、ちょうどいい機会なので観てみた次第である。
率直な感想としては、クッソ微妙だった。
鑑賞前にレビューサイトをいくつか漁ったところ、5点満点中3.5点前後と概ね高評価。感想も好意的なものが多く、それなりに期待していたのだが……。
「いや~、微妙やなぁ」と。
「ニキータ」「レオン」の伝説云々の触れ込みや、予告動画でのゾーイ・サルダナの目力など。ワクワクさせる要素は満載だったものの、実際にはそこまでではなかったというのが本音である。
作品の雰囲気、ゾーイ・サルダナの好演っぷりはよかった。男性目線もクッソ意識してたしねw
まず、作品の雰囲気自体は悪くなかったと思う。
少女時代のカトレアがマフィアの追跡を振り切るシーンや、アメリカ大使館の職員の前で飲み込んだカードを吐き出すシーンなど。冒頭から疾走感満載で物語がサクサク進む。
殺し屋になって以降も、銃の腕や体術を含めたバトルは見どころ満載。
「TAXi」や「トランスポーター」にも共通するテンポのよさはリュック・ベッソンならではと言える。全編108分と時間も短いので、最後まで間延びすることなく完走できたのは非常によかった。
「トランスポーターは本当にステイサムの映画なのか? スー・チーさんを売り出すための壮大な計画の一つだったんじゃないの?」
そして、何より素晴らしいのがゾーイ・サルダナのセクスィっぷり。
僕はもともとこの人を「アバター」のネイティリ役で初めて知ったのだが、動物的なメイクと真っ青な全身タイツに身を包み、純粋無垢な少女? を演じる姿がめちゃくちゃ印象的だった。
奇抜な衣装にもかかわらず表情は豊かで動きもしなやか。存在感は群を抜いていて、別の作品でも観たいと思っていたところである。
で、本作では「アバター」のような特殊メイクではなく素顔のゾーイ・サルダナで勝負しているのだが、これがまたカッコいい。
留置場の通気口をギリギリで抜けたり、プールの底に隠れたり。武器を失った際には歯ブラシやタオルで戦ったり。
銃を撃つだけでなく、身の回りにあるものを片っ端から利用するスタイルは「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムにも共通するのだが、ゾーイ・サルダナの妖艶さと相まってこれらのシーンがより魅力的なものとなる。
その上、スケスケのワンピースからのチラ見せやギリギリアウトなシャワーといった、男性をガッツリ意識した演出も多い。
いろいろな意味で「ゾーイ・サルダナ、身体張っとんなぁ」的な作品と言えるのではないか。
うっすいうっすいストーリー。カトレアの成長過程を省いたおかげでちっとも感情移入できない
一方、ストーリーの薄さはどうにもならないレベル。
本作に否定的な方のレビューでも目についたが、とにかく全体を通してストーリーがペランペラン過ぎる。
両親をマフィアに殺された少女が復讐を果たすために殺し屋になることを決意。殺しを家業とする叔父を頼って成長を遂げ……。
流れとしては非常にわかりやすいし、冒頭でいきなり両親が殺されるというのは主人公への感情移入を促すための手っ取り早い方法でもある。また「ニキータ」「レオン」や「フィフスエレメント」などと同様、女性を主人公に据えるやり方もリュック・ベッソンらしい。
「映画「レオン」感想。「同情も金も要らんから愛をくれ」。マチルダとかいう家なき子が世間知らずの掃除屋さんに求愛」
だが、それだけ。
大事な人を失った少女(女性)が強い男に師事し、守られながらも美しくたくましく成長する。設定は「ニキータ」や「レオン」と似通っているが、マジでそれだけ。
復習を誓ったカトレアが叔父エミリオに諭され、学校に通うことを決めたところで回想シーンは終わり。
そこからパッと15年後に切り替わり、一流の殺し屋に成長したカトレアが登場するわけだが……。
・叔父エミリオのカトレアへの愛
・亡くした息子への思い
・殺し屋になるための訓練の日々
・カトレアに唯一残された家族と呼べる存在
・目の前で両親を殺された恨み
カトレアとエミリオの過ごした15年間をバッサリ切ったおかげで、唐突感が尋常じゃない。
殺されたエミリオの前で泣き崩れたり、FBI捜査員に涙ながらに自分の過去を語ったり。
後半はゾーイ・サルダナの迫真の演技が続くのだが、叔父エミリオとの積み重ねや絆の強さを感じさせるシーンがいっさいないせいでいまいちピンとこないのである。
手当たり次第にやろうとし過ぎてすべてが中途半端に。題材はよかっただけにもったいない
マチルダがレオンに殺しの技術を習ううちに孤独な者同士のシンパシーが芽生え、親子愛とも恋人ともつかない複雑な関係を構築したのが「レオン」。
街のチンピラだったニキータが秘密警察官ボブに拾われ、訓練を受けるうちにじゃじゃ馬から“大人の女性”へと成長を遂げたのが「ニキータ」。
上記2本は主要キャラの丁寧な人物描写によって残された者の孤独や守る側の葛藤が際立ち、観る側に強烈な印象を残した。
だが本作「コロンビアーナ」はストーリーのテンポを意識し過ぎたせいか、登場人物のバックボーンにまったく深みがない。
ラストバトルも復習の鬼と化したカトレアがひたすら無双するだけで、胸を打つような衝撃はゼロ。それどころか、大型トラックで豪邸に突っ込みマシンガンを乱射しまくる正面突破のチートに豹変する。
序盤のネコ科の動物を思わせるしなやかな暗殺者はどこに行った? と問いたくなるほどの豪傑っぷりである。
主人公の撃った弾は百発百中。でも、相手の弾は絶対に当たらないどころか、勝手に主人公を避けて飛んでいく。この感じはアーノルド・シュワルツェネッガーの初期作品「コマンドー」とも少し似ていた気がする。
テンポのよさと主人公の無双を強調するなら「トランスポーター」のように縦ノリのBGMに乗せてポップな感じにすればいい。
主人公の境遇や複雑な心情を表現したいのであれば、人物描写が圧倒的に不足している。
過去作品のいいとこ取りを狙った結果、ゾーイ・サルダナのスーパーウーマンとセクスィさばかりが目立つちぐはぐな作品になってしまった印象。着地点を見失った雰囲気イケメンというか。
「映画「アバター」感想。どう見ても鳥山明に影響されとる。ジェームズ・キャメロンがやりたいことを全部やった作品」
最初に「テンポがよく中だるみせずに最後まで観られる」とは言ったものの、疾走感ばかりに注力してキモの部分がごっそり抜け落ちてしまった感が尋常じゃない。
恋人? ダニーとの関係なんて、単なる通い妻でしたからね。
ラストで取ってつけたように「愛してる」などと言わせても、説得力もクソもねえわと。
題材自体はおもしろくなる要素が満載だった分、本当にもったいない。もう少し取捨選択があってもよかったと思うのだが、どうだろうか。
ちなみにだが、僕は本家「ニキータ」よりもハリウッドのリメイク版である「アサシン」の方が好きだったりする。主演のブリジット・フォンダもサイコーだったしね。
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