カシメロvs小國以載負傷ドロー。小國の試合巧者っぷり。やっぱり右の剛腕系は得意だよな。今度はすぐに次戦が決まればいいね【結果・感想】

カシメロvs小國以載負傷ドロー。小國の試合巧者っぷり。やっぱり右の剛腕系は得意だよな。今度はすぐに次戦が決まればいいね【結果・感想】

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2023年10月12日に東京・有明アリーナで行われたS・バンタム級10回戦。元3階級制覇王者ジョン・リエル・カシメロと元IBF同級王者小國以載が対戦し、結果は4R27秒負傷ドロー。
小國にとっては約1年5ヶ月ぶりのリングとなったが、まさかの2戦連続で4R負傷ドローに終わっている。
 
 
最近ボクシングのネタをほとんど追えていないというのは下記で申し上げた通り。
 
井上vsタパレス締結間近? でもタパレスじゃ厳しい? シャクールの相手のサントスは結構よさげ。リナレスが英国でジャック・カテラルと12回戦。諸々レビュー
 
ここのところ妙に忙しく、ボクシングどころかスポーツ観戦そのものが滞っている。
 
僕は基本“暇こそ正義”“自宅大好き”人間なので今の状況は最悪としか言いようがない笑
そろそろ日々のイライラが限界に達しそうだったことを報告する。
 
そんな中、この日は久しぶりに普通に帰宅できたので「それじゃあ」ということで。
U-NEXTで配信を視聴した次第である。
 
と言ってもメインに間に合っただけなのだが……。
 

展望は「まったくわからん」。3年のブランク→負傷ドロー→1年半のブランクの35歳のコンディションは想像しようがない

まず試合前の展望だが、下記がすべてである笑


結論としてはまったくわからん
 
小國以載は当時全勝全KO&和氣慎吾をギッタンギッタンのグッチャグチャにしたジョナサン・グスマンにアップセットを起こした試合巧者だが、近年は試合数があまりに少ない。
 
約3年のブランク→復帰戦で4R負傷ドロー→そこからさらに1年5ヶ月のブランク、しかも現在35歳という。
ここまで不活発だとコンディションの想像などしようがない。
 
試合前にあれこれ予想している人を見かけたが、よくできるなぁと。
皮肉とかではなく普通にすげえ。
僕にはちっともわからなかったので「へえ〜」と感心しながら眺めていた。
 

コンディションさえ整えればいい勝負になるかも? 小國は恐らく右の剛腕系が得意。コンディションさえ整えれば

ただ、小國がコンディションさえ整えれば割といい勝負になりそうな気はしていた。
 
申し上げた通り小國は当時パーフェクトレコードのジョナサン・グスマンにアップセットを起こした上に前回の栗原慶太戦でも途中まで優位に試合を進めていた。
 
キャリアを振り返ると、2015年9月にワタナベジムの源大輝に判定勝ちを収めている。
 
要するにこの選手はああいう右の剛腕タイプが得意
直線的に向かってくるグスマンを左リードと左回り中心に空転させ、栗原慶太には中間距離の差し合いでうまさを見せつけた。
 
カシメロはグスマンほど脳筋ではない&栗原以上のスケールの持ち主だが、やりようはある。コンディションさえ整えればおもしろい試合になるのではないか。
コンディションさえ整えれば。
 
カシメロの露骨な失速とンギーチュバの健闘。僕はンギーチュバをまた観たい。伊藤雅雪の未知の強豪を引っ張ってくる能力と謎の喧嘩腰がクセになる笑
 
しかも小國はどことなく仙人的な雰囲気を醸す。
飄々とした態度の裏に鋭い洞察力が垣間見えるというか、空気感が落合博満と少し被る……。


今回もカシメロ対策をきっちり練り上げた上でリングに上がるのだろうと。
コンディションさえ整えれば。
 

カシメロは絶対に負けちゃダメ、井上尚弥戦を目指すなら圧勝がマスト

一方、カシメロにとって今回は絶対に負けちゃダメな試合。
目標に掲げる井上尚弥戦を実現するなら苦戦すら許されない、圧勝がマストと言っても過言ではない。
 
と同時に僕もカシメロにがんばってほしいと思っていた。
 
正直、約5年で1試合(負傷ドロー)の小國よりもカシメロが勝ち進む方がはるかにいい。
井上どうこうはもちろん個人的な興味としても。
 
・小國以載は恐らくカシメロみたいなタイプは得意
・コンディションさえ整えればいい勝負になる? かも?
・小國がどんな作戦を実行するかも楽しみ
・でも、応援するのは断然カシメロ
・今さら小國以載に出てこられても…
 
だいたいこんな感じである。


 
TJ・ドヘニーがジャフェスリー・ラミドを1RKO。最高かよドヘニー。驚きすぎてテンションがおかしいw 大橋プロモーションの思惑をぶっ壊したのも爽快だった
 

小國以載はやっぱりうまいよな。カシメロ相手に“前”で勝負したのはさすがだった

前置きが長くなったが実際の試合について。
 
率直な感想としては、小國以載はやっぱりうまいなぁと。
 
上述の通りジョナサン・グスマン戦では左リードとフットワーク、栗原慶太戦では純粋な差し合いで上回ってみせた。
 
今回のカシメロ戦はどんな作戦でくるかな? と思っていたのだが、なるほど、“前”で止めるやり方か〜と。
 
 
カシメロの持ち味は一足飛びで間合いをゼロにする踏み込み、そこから打ち込む躊躇のないフック。
特に体力のある試合前半、ラウンド前半の勢いは凄まじい。2022年12月に対戦した赤穂亮も暴風雨のような連打に飲み込まれて2RKO負けを喫した。
 
要するにこの選手を攻略にするには下がったらダメ。
 
少しでもスペースを与えると一気に飛び込んでフルスイングを浴びせてくる。
それを防ぐためには自ら距離を詰めて“前”で勝負することが重要になる。
 
カシメロvs赤穂亮が2Rノーコンテスト。内容はカシメロのワンサイドゲームだけど、それ以上に情けない試合過ぎて吐き気が…。何で格下が横綱相撲取ってんだよ
 

カシメロの勢いが収まったのを見計らって反撃開始。休む余裕を与えずどんどん前進する

開始直後のファーストアクションでカシメロがつっかけてくるのはだいたい想定内。
そこはもう、勢いが収まるまで耐えるしかない。
 
逆に言うと、そこさえ乗り切れば確実に自分のターンがくる。
 
 
しかもカシメロはフック系が得意&小國とはサイズ差があるのでまっすぐ伸びるパンチが有効になる。
 
カシメロの勢いがひと段落したのを見計らって小國の反撃開始。前傾姿勢で身体を伸ばしつつ左リードとボディを先手先手で打ち込んでいく。
 
ガードの外側から何発かフックをもらったものの、仰け反った姿勢で腕を振る分カシメロのパンチには体重が乗らない。自ら距離を詰めたおかげで威力を半減させることに成功した。
 
 
対するカシメロは手を止めた途端に小國が攻めてくるので一休みする余裕もない。
 
遠間で左右に動きながらタイミングを測る→一気に距離を詰めてフックの連打を浴びせるいつものパターンを封じられ、休む間もなく圧力をかけられる。
 
結果、2R後半には大きく失速、ロープを背負ってクリンチで耐えるシーンが目立ち始める。
 
リナレスvsジャック・カテラル、リナレスすげえな。適正階級なら倒してたかも? ルーク・キャンベル、ロマチェンコをダウンさせた右
 

相手によって作戦を変える柔軟性、洞察力、引き出しの多さ。マジで“何でもできる”ヤツだよね

いや、さすがでしたね小國以載。
 
右の剛腕系が得意、コンディションさえ整えればいい勝負ができるとは思っていたが、カシメロ相手に“前”で勝負したのは結構驚いた。
 
相手によって作戦を大きく変える柔軟性、それを見抜く洞察力や実現できる引き出しの多さ。
 
栗原慶太戦を現地観戦した際に国内の上位ランカーよりも一段上の立ち位置なのはわかったが、マジで“何でもできる”ヤツだなぁと。
 
栗原慶太vs小國以載、木村天汰郎vs高橋竜平現地観戦。MVPは文句なしに木村天汰郎。急遽のスパーリングも結構ヨカタ笑
 
もっと言うと、勝負の最中にくだらないアピールをしないのもいい。
自ら距離を詰める分、カシメロのフックがオープン気味に当たっていたが、そこを気にするそぶりはいっさいなく。相手の動きに全集中しているのが見てとれた。
 
仮にアレが赤穂亮だったら頭に手を当ててレフェリーにアピールをおっ始めていたところ。
危険地帯で相手から目を切ってボコられる最悪の結末が待っていたという噂も……?
 

負傷ドローは仕方ない。両者の動きを踏まえればどこかで頭がゴッツンしてたんじゃない?笑

負傷ドローに関してはしゃーない。
本当にしゃーない。
 
起きるべくして起きたというか、両者の立ち回りを考えればどこかでああなることは十分考えられた。
 
 
ボディを打たれまくったカシメロは徐々に身体が丸まり、なおかつ頭を下げて突進する動きが目立つ。
 
頭を下げて右のフルスイング→左斜め下に大きく身体が流れる→起き上がると同時に追撃のフック。
対する小國もその瞬間を狙って打ち下ろしの態勢に入る。
 
左下から伸び上がるカシメロと、右斜め下に打ち下ろす小國。
角度、タイミング的に両者の頭がゴッツンするのは時間の問題だったのかもしれない笑
 

あのまま続いていたらどうなっていたかは不明。小國はまたすぐリングに上がってもらいたいね

なお、あのまま試合が続いていた場合どうなっていたかはまったくわからない。
 
小國に流れがきていた、カシメロの失速を踏まえると小國が勝てたという声をいくつも見たが、そこまではっきりと有利だったかは微妙。
 
カシメロは完全な前半型(試合前半、ラウンド前半)だが、その分体力のある時間帯は凄まじい馬力を発揮する。
実際、小國も何度かグラッときていたし、どこかでダメージが噴き出していた可能性は十分あったのではないか。
 
1R終了時に「小國なかなかいいぞ」「ダメージが溜まる前にボディを効かせれば」と思ったが、ダメージ自体の判別はつかなかった。


でもアレなんですよね。
小國以載って妙な回復力があるんですよね。
 
前回の栗原慶太戦でも栗原のアッパーでガクッと腰が落ちたが、その直後にニュルニュルっと持ち直してすぐに普通に戻っていた。
 
今回も1、2Rに1度ずつ効かされたものの、次のラウンドには何ごともなかったように前に出続けた。
この辺のごまかし方、ダメージの逃し方? 吸収の仕方? にも長けているのだと想像する。
 
亀田和毅がレラト・ドラミニに判定負け。でもめちゃくちゃ見ごたえがあった。ドラミニの予想以上の強さと想像と真逆の展開
 
そんな感じで小國以載のうまさ、試合巧者っぷりが随所に見られた試合。
 
今後はできれば間を開けずにリングに上がってもらいたい。カシメロとの再戦でもいいし、国内戦戦ではなく一段上の相手と。
 
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