カネロvsゴロフキン3。金ヅル同士の3度目の遭遇。「割り切って儲けようぜ」的な乾いた同意があった気がした。ゴロフキンの追い上げに感動したよ【結果・感想】
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2022年9月17日(日本時間18日)、米・ネバダ州ラスベガスで行われた世界S・ミドル級4団体統一戦。同級統一王者サウル・“カネロ”・アルバレスが現IBF/WBA世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキンと対戦し、3-0(116-112、115-113、115-113)の判定でカネロが勝利。4本のベルトの防衛に成功するとともにゴロフキンとの決着戦を制した試合である。
3度目となったカネロとゴロフキンの対戦。
試合を中継したDAZNもいいかげん慣れたもので、両選手の表記も“CANELO”と“GGG”。
もともとDAZNは愛称や浸透している呼び名で表記する傾向があるが、知名度抜群な選手同士の対戦だとここまで簡素になるのかと。少し笑ってしまった次第である笑
試合は大方の予想通りカネロが40歳のゴロフキンをねじ伏せたわけだが、思ったほどのポイント差はなく。
むしろ後半から怒涛の追い上げを見せたゴロフキンの健闘が光った試合だったのではないか。
吉野修一郎vs中谷正義ホントにやるんだな…。もう一段上の舞台で観たい対戦だった(マッチアップとしてはおもしろい)。どっちもがんばれどっちも負けんな
僕の試合前の予想はカネロの判定勝利。ゴロフキンも結構がんばると思ってたけど…
まず試合前の僕の展望は下記。
カネロvsゴロフキン3展望。ゴロフキンが案外がんばると思うねんな。技巧満載の初戦、両者の意地がぶつかり合った2戦目を受けてどんな試合展開になるかが楽しみっす
・カネロは恐らく真正面からねじ伏せにかかる
・40歳のゴロフキン相手に策を弄することはしないのでは?
・ゴロフキンが結構がんばると予想
・ゴロフキンはアウトボクシングで対抗する?
・カネロのプレスは村田ほどではないので対処はしやすい
・村田戦でのゴロフキンは実は減量苦だった?
・階級アップがいい方向に作用する? かも?
・勝敗予想はカネロの判定勝利
・ゴロフキンはがんばるけど、最後に力尽きると思う
膨大な経験値とアドリブ力でカネロを手こずらせたゴロフキンだが、全体的な衰えは隠せずここぞの局面での馬力も足りない。
そして、最後の最後で力尽きて敗北を喫する。
だが、ゴロフキンが偉大な王者である事実は動かない。
カネロをここまで追い詰める選手が他にどれだけおるの?
だいたいこんな感じである。
ところが先日、久々に村田諒太vsゴロフキン戦を再視聴したところ、「あれ? ゴロフキン結構厳しいかもしれんぞ?」「思った以上に動けてねえぞ」と。
ゴロフキンvs村田諒太久しぶりに再視聴。
ゴロフキン、カネロvol.3結構キツいかもしれんな。
そこそこがんばるんじゃないの? と思ってたけど残酷な結末も何%かはありそう。さすがにKOはされないだろうけど。ちなみにAmazonで観ました。
WOWOWはジョー小泉の名前が見えた瞬間に即切りしております笑— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) August 13, 2022
カネロのワンサイドゲームもあり得ると思った次第である。
アウトボクシングでカネロの圧力をいなしたゴロフキン。でもDAZNの採点では8Rまでフルマークでカネロ
そして、結果としては当初の展望の方が近かったという。
ゴロフキンはめちゃくちゃがんばったし、フットワークとジャブを駆使してカネロの圧力をいなした中盤はお見事だった。
僕には今年4月の村田戦よりも動きがよかったように見えたのだが、階級アップによってコンディションが改善した部分もあるのではないか。
敗れはしたが、がっぷり四つの横綱相撲でねじ伏せにきたカネロを手こずらせた技巧は文句なしにすごかった。
村田諒太以外にゴロフキンをここまで追い詰められるヤツがどれだけおるの? でも引き出しの多さ、経験値の違いが顕著だった。改めてブランクが…
実はこの日は午前中に用事があり、試合を観始めたのは5Rから。
ちょうどゴロフキンがアウトボクシングでカネロの圧力をいなしている最中で、「あれ? 全然やれてるじゃんゴロフキン」「カネロがだいぶ戸惑ってねえか?」と少し驚かされたことを報告しておく。
ゴロフキン全然やれてるように見えるけどな。
村田戦から継続するアウトボクシング。カネロが攻めにくそう。ホントに何でもできるヤツなんだなゴロフキン。
そして前回リングサイドを占領してたボクシングに1ミリも興味のない爆乳軍団は今日はおれへんのか。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) September 18, 2022
ところがDAZN独自の採点? では8Rまでカネロのフルマーク。
「え? そんなに差があったの?」と思っていると、9Rからギアを入れ替えたゴロフキンがあれよあれよという間にカネロを追い詰めていく。
結局カネロが判定で逃げ切ったわけだが、案の定スコアは116-112、115-113、115-113とまあまあ接近していた。
Canelo-GGG 3 Official Scorecard https://t.co/pBEiq2imj9
— fightnews.com (@fightnews) September 18, 2022
なるほど。
さぞかし序盤はカネロが圧倒したんだろうなぁと思って見逃し配信を観てたところ……。
いや、そこまで差がねえじゃんと。
ゴロフキンは前半4Rをごっそり取られたのが痛かった。後半のペースアップでカネロを圧倒
上述の通りスコアカードを確認すると序盤4Rは1R以外すべてカネロが取っていることがわかる。
だが、内容的にはそこまで差があったようには感じない。むしろゴロフキンがジャブとフットワークでカネロに自分の距離を作らせないことに成功していた印象である。
恐らくだが、カネロ的にはもう少しゴロフキンが出てくることを想定していたのではないか。
近距離の打ち合いの中でボディを突き刺し、あわよくば下からアッパーを突き上げてダウンを奪うとか、そんな感じ。
ところがゴロフキンが思った以上に出てこないせいでなかなか突破口を見出せない。
で、苦し紛れに遠い位置からフルスイングを繰り返し、ポイントと引き換えに大幅に体力を消耗してしまった。
は? カネロvsチャーロ弟? 兄貴じゃなくて? 準備期間の足りない兄貴に代わってジャーメルが名乗りを上げたんだろうな。カネロはPBCとの3試合契約を締結
一方のゴロフキンは6Rあたりから徐々にペースを上げ、カネロが失速する(と思われる)後半に勝負をかける。
それこそ9R以降は近場の打ち合いで圧倒していたし、実際後半4Rはスコアでもゴロフキンがリードしていた。
2〜7Rのどこかで明確にポイントを取れていれば逆の結果になった可能性すらあるわけで。
今のゴロフキンにはアレが精一杯。出力の上がらなさ、持続時間の短さを補うために後半に力を温存する作戦
要するに今のゴロフキンはアレが精一杯なのだと思う。
上下の打ち分けに対する反応の遅さや正面衝突での馬力の低下、勝負どころでの強度のなさ、などなど。
さまざまな部分での衰えは先日の村田戦でも顕著だった。
中でもここぞの場面での出力の上がらなさ、持続時間の短さはどうにもならないレベル。以前のゴロフキンなら決めきっていたはずの局面で村田の反撃を食う姿はファンでもない僕が観ても「おおう……」と思わされるものだった。
つまり、この試合でゴロフキンが勝機を見出すにはフルパワーを出す場面を限定する必要がある。
序盤から中盤まではアウトボクシングでごまかしつつ、ポイントを拾いながら力を温存。そして(失速癖のある)カネロのペースが落ちてきたところでギアを入れ替え逆転を狙う。
仮に後半4Rがすべてゴロフキンのポイントになっていれば引き分けだったことを考えると、前半を捨てるという陣営の判断はマジで正しかったのかもしれない。
瞬時に作戦を切り替えられるアドリブ力、それを実現する引き出しの多さはやはりすごい。
カネロに引導を渡してもらいたいと思っていた第3戦目だが、むしろゴロフキンの実力の高さ、老獪さに感動してしまった笑
ゴロフキン全然やれてるように見えるけどな。
村田戦から継続するアウトボクシング。カネロが攻めにくそう。ホントに何でもできるヤツなんだなゴロフキン。
そして前回リングサイドを占領してたボクシングに1ミリも興味のない爆乳軍団は今日はおれへんのか。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) September 18, 2022
カネロvsゴロフキン2戦目を久しぶりに視聴。両者が憎悪とプライドをバッチバチにぶつけ合った白熱の試合。全3戦に流れがあっておもしろいよね
両者ともに達観していた印象。いろいろ因縁もあったけど、お互い金ヅルとして儲けようぜみたいな
これは僕の印象なのだが、今回は両者ともに比較的純粋な(乾いた)メンタルでリングに上がっていたように思う。
2017年9月の第1戦目はカネロ陣営が散々対戦を引き延ばした上に判定が物議を醸し、直後にカネロが禁止薬物陽性に。
そこからお互いが公の場で罵り合う泥仕合に発展→喧々がくがくの末にリマッチが決定。憎悪まみれのプライドがぶつかり合う熱戦をカネロが僅差で制する。
それ以降も相入れないまま4年の月日を重ね、決着戦となる3度目の対戦を迎えたわけだが。
何となくだが、今回は両選手ともどこか達観していたような……。
対戦の引き伸ばしや疑惑の判定、禁止薬物陽性、Aサイドのゴリ押し等、様々な因縁を重ねてきた両者。
罵り合ったり憎しみをぶつけ合ったり、お互いに言いたいことを言い合ってきたが、それはそれとして。
3度目なんだし、いいかげんもういいでしょ。
お互いいい大人として、ビジネスとして割り切ろうぜ。
すでに相手に対するリスペクトなど微塵もない。
友情やらシンパシーなどもってのほか。
簡単に水に流せるほど溝は浅くない。
正直、引退後に仲良くなれるかすらもわからない。
ただ、ビジネスパートナーとしてもっとも美味しい相手であることは動かしようのない事実。
無駄にいがみ合うより“金ヅル”として淡々と仕事に徹した方がはるかにお得。
暗黙の了解というか、お互いの乾いた同意が透けて見えた気がしたのだが、どうだろうか。
カネロvsジョン・ライダー感想。ダウンで吹っ切れたライダーの健闘。カネロが下降線に入ったという意見には同意せざるを得ないな。切ないけど
コイツら何回フェイスオフしてんだよって話で笑
Photos: Canelo Alvarez vs. Gennadiy Golovkin 3 weigh-ins and faceoff #CaneloGGG3 https://t.co/4vWVNC8cBa
— MMA Junkie (@MMAJunkie) September 16, 2022
僕なら笑っちゃいそうですけどねww
特定の人間の顔をここまで何度もどアップで見るなんて、人生でそうそうないですからね笑
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