カネロvsジョン・ライダー感想。ダウンで吹っ切れたライダーの健闘。カネロが下降線に入ったという意見には同意せざるを得ないな。切ないけど【結果・感想】

カネロvsジョン・ライダー感想。ダウンで吹っ切れたライダーの健闘。カネロが下降線に入ったという意見には同意せざるを得ないな。切ないけど【結果・感想】

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2023年5月6日(日本時間7日)にメキシコ・グアダラハラで行われた世界S・ミドル級4団体王座統一戦。WBO同級暫定王者ジョン・ライダーが4団体統一王者サウル・“カネロ”・アルバレスと対戦し、3-0(120-107、118-109、118-109)の判定でカネロが勝利した試合である。
 
 
2022年9月のゲンナジー・ゴロフキン戦から約8か月ぶりのリング復帰となったカネロ。
対戦相手のジョン・ライダーは32勝5敗の戦績ながらもダニエル・ジェイコブス、ザック・パーカーに連勝してWBOの暫定王座を戴冠、今回のビッグマッチにコマを進めた強豪である。
 
 
試合は王者カネロが序盤からグイグイ圧力をかける展開。
ライダーにロープを背負わせ鋭いジャブからのコンビネーションで早くも流れを掴む。
 
さらに5Rには右ストレートでダウンを奪うなど、カネロがそのまま倒し切るかと思われたが……。
 
ダウン以降、開き直ったライダーが自ら前に出て打ち合いを挑む。
それを真正面から受けて立ったカネロだが、ライダーの渾身の左で顔面を揺らされ徐々に失速。その後も一進一退のまま試合終了のゴングが鳴る。
 
結果は3-0の判定でカネロの勝利。
ポイントこそ大差がついたものの、ライダーの健闘とカネロの失速が際立つ一戦となった。
 
カネロvsハイメ・ムンギア。割とムンギアにもチャンスがあると思うねんな。ジャブが通用するかに注目かな。カネロはチャーロ戦を踏襲できれば
 

カネロのために用意された舞台。この人は改めて大スターだな

カネロvsジョン・ライダー。
負傷離脱していたカネロが復帰するとのことでかなり前から楽しみにしていた一戦である。
 
前日にRIZINの現地観戦に行っていた&翌日は朝から忙しかったせいでリアルタイム視聴はできなかったのだが、DAZNの見逃し配信でようやく視聴を終えたところである。
 
ベストバウトは井上直樹vsアーチュレッタ。一番刺さったのはブアカーオ。朝倉海はアーチュレッタに勝ち筋ありますかね?
 
まず今回は完全に“カネロのために開催されたイベント”だったなぁと。
 
・約12年ぶりのメキシコ凱旋
・5月6日開催
・入場から開始のゴングまで20分以上
・異様に狭いリング
・4万人超収容のスタジアムが満員
 
試合前の演出から開始までの長さ、カネロに有利な狭いリング、開催日、などなど。
 
すべてがカネロのために用意された舞台というか。
改めてこの人は大スターだなと思わされた。
 

気合い入りまくりのカネロ。開始直後から力みまくって倒しにいく。KOは時間の問題か? と思ったら…

そして、カネロ自身もめちゃくちゃ気合いが入っていた。
 
これだけお膳立てをしてもらった上に相手は格下のジョン・ライダー。しかも前回のゴロフキン戦から約8か月開いている。
 
求められるのは当然KO勝ちなわけで、実際1Rから力が入りまくっていた。
 
それこそ背中からでもわかるくらい肩回りがガッチガチ。
1発1発を力みかえって打ち込む姿からは圧勝以外あり得ないという意気込みが感じられた。
 
 
だが、あれだけ力みかえっているとパンチが伸びない上に回避も間に合わない。
序盤のライダーは露骨に打ち終わりのカウンターを狙っていたが、1発に力を込めて打つカネロは復元が追いつかずに被弾を許すシーンが目立った。
 
ジョシュ・テイラーvsテオフィモ・ロペス戦がいつの間にか近づいてきた。テイラーの動向が謎すぎて興味を失いつつあった。階級アップ後のテオフィモは確かにビミョいな
 
前に出る馬力は凄まじい。
さらに2Rまでに左を見せてから右で入るタイミングも掴んだ。
 
実際、5Rのダウンは外旋回の右でガードの外を叩いたあとにまっすぐ打ち抜いたもの。
左の連打と外旋回の右、まっすぐ打ち抜く右。
序盤でライダーにこの三択を強いたのはさすがカネロである。
 
ここまでくればあとは右の軌道を変えつつフィニッシュに持っていくだけ。
KOは時間の問題……だったはずが……。
 
カネロvsチャーロ弟。カネロが案外モタつく気がする。何の根拠もないけど。チャーロが勝つならカスターニョ戦の再現かな。フルスイングで自分の間合いを確保して
 

ジョン・ライダーが勝機を見出すには下がったらダメ。スマートに勝とうなんて虫がよすぎるんだよ笑

ダウンを喫したライダーがそこから一気に巻き返す。
 
自ら前に出て右ジャブ→左の強振。再三ガードの間からカネロの顔面を揺らす。
また、これまでとは打って変わってリング中央に留まりカネロのスイングと同時に前に出ることでパンチの威力を相殺する。
 
そうそう。
ジョン・ライダーが勝機を見出すにはこれしかない。
 
下記でも申し上げたようにライダーが勝つには下がったらダメ
 
カネロが戻ってくる。WBO暫定王者ジョン・ライダーとの復帰戦。打ち合いになりそうだけど、僕はカネロを応援する。でもジョン・ライダーもいい選手っぽい
 
はっきり言って中間距離〜近い間合いでの差し合いではカネロの方が数段上。そこで勝負してもライダーに勝ち目はない。
あの狭いリングで「一定の距離を保って〜」「打ち終わりを狙って〜」とやっていてはあっという間に飲まれる。
 
なので、ライダーが勝つにはとにかく思い切りのよさが必須になる。
 
ダニエル・ジェイコブス戦のように身体ごとぶつかってゴチャゴチャにするくらいの割り切り、開き直りがなければカネロに勝つのは難しい。
スマートに勝とうなどとは考えずに身体の強さ、大きさを活かした強引なファイトを仕掛けるような割り切りがほしい。
 

5R以降のライダーはかなりよかった。アレを序盤から発揮できていればもしかしたら…

案の定、ダウンを喫したあとのライダーはかなりいい感じだった。
 
何度かカネロの右をもらってグラつかされたが、そこから根性で盛り返す。あれだけ打ち合いを繰り返せば被弾が増えるのは仕方ない。だが、そこから何度も挽回してみせたのは文句なしに素晴らしかった。
 
9Rにも大ピンチを迎えたものの、怯まずに腕を振り続けたおかげでどうにか切り抜けることができた。それどころか終了間際の左でわずかにカネロをグラつかせるシーンすらも。
 
10R以降、カネロの動きが露骨に落ちた&下半身がカクカクしていたことを考えると、思った以上にあの9Rはダメージが深かったのだと想像する。
 
 
結果的に逆転まではいかなかったが、間違いなく大健闘の部類。4団体統一王者をモタつかせたことは大きく評価されていいのではないか(謎の上から目線)。
 
欲を言えばあの割り切りを序盤から発揮できればよかったのだが、さすがにそれは難しいか。相手の戦力やコンディションがわからない段階でフルスロットルで飛ばせというのはやや無理筋かなと。
 
デビッド・ベナビデスは“自分は絶対に正しい”と思ってる人間だよね。デメトリアス・アンドラーデを6RTKOで初防衛に成功。これはカネロも危ないかもしれん
 

カネロが下降線に入ったという意見には同意せざるを得ない。数年前に比べてスムーズさが失われた

一方、この試合ではっきりと「ピークを過ぎた」「衰えが見られる」と言われ始めたカネロだが、残念ながら僕もその意見に同意である。
 
前回のゴロフキン戦ではあまりピンとこなかったのだが、今回に関しては……。
 
明確に動きが悪かったなぁと。
 
カネロvsゴロフキン3。金ヅル同士の3度目の遭遇。「割り切って儲けようぜ」的な乾いた同意があった気がした。ゴロフキンの追い上げに感動したよ
 
中でも顕著だったのが動きにスムーズさが失われたこと。
 
パンチの伸び、打ち終わりの復元力、踏み込みスピードとバックステップのレンジ、その他。
すべての動きに滑らかさがないというか、見るからにカクカクしていた。
 
KO狙いでガッチガチに力みまくっていたのもあるとは思うが、それでも。
 
階級上のビッグマンを重厚なプレスで追い回していた数年前はもう少しヌルヌル動いていた覚えがあるのだが。
 
と思って2018年12月のロッキー・フィールディング戦を観直してみたところ……。

ああ、全然ちげえわ。
攻防の滑らかさ、コンビネーションの力みのなさは一目瞭然。
 
この頃に比べて今回は明らかに動きがカクカクしていた。
 
いや、参ったね。
カネロがついに下降線に入ったか。
 
もともと後半の失速癖がある選手ではあったが、自分の拳に振り回されて復元が間に合わないなどはまず考えられなかったわけで。
自分より大きな相手を仕留めるために1発1発を強く打つ必要があるのはわかるが、これだけバランスを崩すというのは……。
 
ブランクによる一時的な不調ならいいのだが、どうやらそうではないっぽいのが……。
 
 
まあ、2005年にデビューして何だかんだで60戦以上やってますからね。
ダメージや疲労の蓄積、体重の増減による歪みも大きいのだろうと想像する。
 

ビボルとの再戦はキツそう。ベナビデスも危ない? 実は一番安パイなのがアイツ?

正直、この感じだとディミトリー・ビボルとの再戦はめちゃくちゃキツい。
また候補として名前が挙がるデビッド・ベナビデスもだいぶ危ないのではないか。
 
諸々を加味すると実はゴロフキンとの第4戦が一番安パイで実入りもいいという噂が……。
 
もちろん本人のプライドを考えればそれはあり得ない、秋開催? と言われるvsビボルVol.2がもっとも可能性が高いのだとは思うが。
 
ベナビデスがプラントに判定勝利。ベナビデスを超人認定します。“凡人の最高峰”カレブ・プラントの技巧を攻略
 
ちなみに2018年当時のカネロと真っ向勝負して撃沈させられたロッキー・フィールディングにはいまだに納得いっていない笑
 
あの試合は僕の中で伝説となりつつあるのだが、改めてなぜ足を止めて打ち合ったのかがわからない。
 
振り返るたびに「ロッキー・フィールディングとは何だったのか」のフレーズが浮かぶww
 
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