ケル・ブルックのキャリアを振り返ってみた。クロフォードvsスペンス戦を受けてブルックの試合を漁る。ウェルター級最強(当時)が喫した3敗はすべて強豪

ケル・ブルックのキャリアを振り返ってみた。クロフォードvsスペンス戦を受けてブルックの試合を漁る。ウェルター級最強(当時)が喫した3敗はすべて強豪

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先日米・ネバダ州で行われたウェルター級4団体統一戦、テレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.戦でクロフォードの強さがヤバすぎたというのは下記の通り。
 
クロフォードよ、お前がNo.1だ(1年8か月ぶり2回目)。スペンスを2Rでほぼ攻略、赤子扱いする。スペンスにとっては相性最悪だったかも?
 
記事内で「2020年11月のクロフォードvsケル・ブルック戦に匹敵する衝撃」と申し上げているのだが、今回はそのケル・ブルックについて。
 
僕は以前から「ケル・ブルックがウェルター級最強(当時)」と絶叫してきたわけだが、この選手がキャリアで喫した3敗は
・ゲンナジー・ゴロフキン
・エロール・スペンスJr.
・テレンス・クロフォード
とスペシャルな相手ばかり。
 
階級違いのゴロフキンはともかく、スペンスとクロフォードにはかなり健闘している。
 
クロフォードがスペンスをフルボッコにする光景を観てそれを思い出したのだが、その流れでブルックの試合を漁りまくった次第である。
 
 
で、改めてケル・ブルックはすげえなと。
 
 
というわけで今回はケル・ブルックの代表的な試合の感想を。
 
具体的には
・vsショーン・ポーター(2014年8月)
・vsエロール・スペンスJr.(2017年5月)
・vsテレンス・クロフォード(2020年11月)
の3試合である。
 
こうして見ると節目節目でビッグネームとの対戦が実現しているが、ゴロフキン戦の前にスペンス戦をやれていればと今でも思う。
 
マドリモフのアップセットに期待する。でもクロフォードを攻略できますかね? クロフォードに勝つには前半3Rまでだと思うけど
 

○ケル・ブルックvsショーン・ポーター×(判定2-0 ※116-112、117-111、114-114)

 

 
この試合は僕がケル・ブルックのウェルター級最強説を主張するきっかけとなった一戦。
ショーン・ポーターの馬力を真正面から受け止めるブルックにめちゃくちゃ驚かされたことを覚えている。
 
 
確かこのときのポーターは打倒メイウェザー筆頭? などと言われていた時期。
一足飛びで懐に侵入し、クリンチをものともせずに近場で腕をぶん回す。中間距離で勝負するデボン・アレキサンダーや遠間で足を使うポール・マリナッジを圧倒した上で勝利を挙げた。
 
だがブルックはそのポーターの馬力、突進を真正面から受け止めつつカウンターを駆使して上回ってみせた。
 
ポーターの動き出しを狙って左ジャブをヒット、懐に飛び込んでくればクリンチで動きを封じる。
マリナッジが枯れ枝のように倒されたポーターのぶん回しを上から押さえつけ、もみ合いでもまったく引く様子がない。
 
動き出しの瞬間に被弾し、接近戦でも優位に立てないポーターは徐々に持ち味の思い切りのよさを失っていく。
6、7R以降はむしろブルックの圧力に後退させられていたほど。
 
ポーターを見くびってたな。スペンスをあれだけ追い詰めるとは。ただの突貫野郎じゃないってことがわかった気が…
 
ポーターに当たり負けしないフィジカルに加えて上体反らしからカウンターを被せる柔軟性や時おり見せる野性的なアッパーはナジーム・ハメドを彷彿とさせる。
 
ハメドは相手のレベルが上がるにつれて上体反らしが間に合わなくなったが、ブルックは見切りだけに頼らずガードやジャブも併用するスタイル。
 
ハメドの長所を残しつつアクションを抑え気味にして省エネを実現する。僕はこの選手のファイトを“ナジーム・ハメドの完成形”と(勝手に)命名しているww
 
ショーン・ポーターの爽快な勝利を期待していた僕にとってケル・ブルックはただのポッと出でしかない。そういう意味でもこの試合の衝撃は凄まじいものがあった。
 

○エロール・スペンスJr.vsケル・ブルック×(11R1分47秒KO)

 

 
ゲンナジー・ゴロフキンとの階級差マッチ後に行われたIBF王座の防衛戦。前戦で右の眼窩底を骨折して約8か月のブランクを作ったブルックだったが、この試合では左の眼窩底を骨折させられている。
 
 
上述の通りこちらもブルックの代表的な試合の一つ。ウェルター級で盤石っぷりを見せていたブルックが圧倒的な強さで駆け上がってきたスペンスを地元で迎えうったビッグマッチである。
 
試合の流れとしては、序盤から中盤まではブルックのペース。ところが中盤以降にスペンスが底力を発揮してブルックを引き離す。で、10、11Rと気力を振り絞るブルックにスペンスがとどめを刺す。
 
 
ただ、左カウンターといきなりの右で主導権を握ったブルックはやはりすごかった。
 
スペンスの右リードに同時打ちのタイミングでカウンターを被せ、伸び上がるような右とともに距離を詰めて連打につなぐ。
 
長身サウスポー&顔も小さいスペンスは距離が遠く、対戦相手はこの間合いに苦労させられる。
だがブルックは身体能力の高さと持ち前のカウンターで距離の違いを克服してみせた。
 
スペンスにとってもあそこまでカウンターを合わせてくる相手は恐らく初めて。それこそ序盤は「このままブルックが押し切るか?」というくらいの流れだった。
 
ところが6Rあたりでブルックの動きがガクッと落ちる。
もともと前半型なのもあるが、ラウンド序盤に何度か目の周りを気にしていたところを見るとすでにおかしくなり始めていたっぽい。
 
カウンターといきなりの右でペースを掴んだブルックだが、実はスペンスの右も普通にもらっている。その蓄積が徐々に表面化しつつあったのではないか。
 
カネロvsチャーロ弟。久しぶりに「カネロ様」な試合だった。チャーロ弟は早々にスペースを潰されてできることがなくなった
 
あとはアレだ。
ポーター戦ほどクリンチがうまくいかなかったのも……。
 
近場でもみ合う際、スペンスは相手と正対することはまずない。極力斜に構えて左右どちらかの腕を動かせるようにしておく。
片方の腕で相手を抑え、空いた方の腕でショートフックをぶち込む。これによってブルックの顔面が腫れ上がり最終的に骨折に至ったのだろうと。
 
 
正直、同時打ちのカウンターで勝負する限り前手のジャブをもらうのは仕方ない(と思う)。
 
ゴロフキン戦もそうだが、すべてのジャブにカウンターを返すなど不可能だし、相手のレベルが上がればそれだけ難易度も増す。
キャリアで喫した3敗すべてで顔面を崩壊させられたブルックだが、これはハメドスタイルの宿命なのかもしれない。
 
ケル・ブルックvsゲンナジー・ゴロフキン再視聴。ブルックがかなりやれてた。フルボッコにされた印象だったけど。僕はいまだにブルックがウェルター級最強(当時)だったと思ってる
 

○テレンス・クロフォードvsケル・ブルック×(4R1分14秒TKO)

 

 
最後は2020年11月のvsテレンス・クロフォード戦。上述の通り僕がテレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.戦と同じくらい衝撃を受けた一戦である。
 
 
この試合はコロナ禍真っ最中ということでトップランクのバブルで行われたわけだが、無観客なのがもったいないくらいの内容。クロフォードの強さはガチで群を抜いていた。
 
そして、この試合でもやはり前半はブルックがペースを掴む。
やや前傾姿勢で構えるブルックに対し、クロフォードは(珍しく)右構えで対峙。前手の左を揺らしながらタイミングを測る。
 
いつも通り左カウンターを狙うブルックとそのカウンターをかいくぐってパンチを当てたいクロフォード。
開始1分半が過ぎてもお互いほとんど手を出さず、凄まじい緊張感の中で時計が進む。
 
すると、残り1分15秒あたりでクロフォードが出した左にブルックが左カウンターを被せる。
この左でクロフォードがわずかにのけぞり、ブルックは返しの左をバックステップで回避。最初の交錯はブルックに軍配が上がる。
 
その後も一瞬の交錯が展開されるが、いずれもブルックの左がクロフォードの顔面を(軽く)捉える。
スペンス戦同様、立ち上がりはブルックのカウンターが相手を一枚上回っていた(と思う)。
 
 
2Rも同じような展開が続くが、このラウンドはクロフォードの踏み込みがほんの少し深くなった印象。
凄まじい緊張感は相変わらずだが、両者のパンチがより危険な距離で交錯する流れに。
 
ブルックの上体反らしよりも先にクロフォードのジャブが当たり、その分ブルックのカウンターにわずかな遅れが生じる。
 
 
で、このラウンドの終盤からクロフォードがサウスポーにスイッチ→続く3Rは最初から左構えで対峙する。
 
突然距離が変わったブルックは回避が間に合わない。
左カウンターを被せることができずにクロフォードの右を被弾。やむを得ず自分から手を出していく。
その後も交錯が続くが、今度はそのつどクロフォードが打ち勝つ。1Rとはまったく逆の展開である。
 
ジャロン・エニスが観客に強さをアピールしつつロイマン・ビジャをKO。危険地帯に留まる時間が長い…。そういやクロフォードvsスペンスはいつ決裂すんだよ間に合わねえぞ笑
 
そして4R。
ブルックの右に合わせてクロフォードが右フックのカウンターをズドン。ブルックがロープにふっ飛びダウンが宣告される。実質勝負ありの1発である。
 
2014年6月のユリオルキス・ガンボア戦でもこの右フックでガンボアをピヨらせていたが、見えない位置から打ち込む右はクロフォードの得意なパンチなのだと思う。
 
黒木優子vsモンセラット・アラルコン。黒木優子は王座統一ヨカタ。結構際どかったけど。女子ボクシングは男子とは別競技だよね
 
1Rは右構えでスタート、若干の苦戦を強いられるが2Rにはきっちりと五分まで盛り返す。
3Rからサウスポーに切り替えてブルックの距離感を狂わせ、4Rに得意の右フックで勝負を決める。
 
僕は以前「クロフォードが相手の戦力を把握するまでにはだいたい4R」と申し上げたが、先日のスペンス戦やこの試合では正味2Rで戦力測定? を終えている。
 
正直、この対応力は反則レベルでとんでもない。
 
試合前に「ブルックは強いぞ?」「さすがのクロフォードも一筋縄ではいかないんじゃないの?」などとほざいた記憶があるが、実はクロフォードの方がはるかにすごかったというね笑
 
 
ゴロフキンとの無茶な試合がなければ。
先にスペンス戦をやっておけば。
全盛期にクロフォード戦を実現できていれば。
 
諸々のタラレバがかなえばケル・ブルックのウェルター級最強説が証明された(かもしれない)と思っていたが、どうやらそういうことじゃない。
「No.1はテレンス・クロフォード」の現実を山ほど見せつけられた一戦だった。
 
クロフォードよ、お前がNo.1だ…。ケル・ブルックを4RTKOで沈める。見えない右キター♪───O(≧∇≦)O────♪
 
それでもクロフォードvsブルック戦はもう少し早い時期にやるべきだったけどね。
 
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