言い訳の余地なしの未来vsケラモフ、大番狂わせの鈴木千裕vsパトリシオ、納得の扇久保vsアーチュレッタ。クレベル、ケラモフに対抗できるのって結局金原だけじゃ?【超RIZIN.2感想】

言い訳の余地なしの未来vsケラモフ、大番狂わせの鈴木千裕vsパトリシオ、納得の扇久保vsアーチュレッタ。クレベル、ケラモフに対抗できるのって結局金原だけじゃ?【超RIZIN.2感想】

2023年7月30日にさいたまスーパーアリーナで行われた「超RIZIN.2」
 
この日は午前中から外出+楽しみにしていたボクシングの試合、ノニト・ドネアvsアレハンドロ・サンティアゴ戦やテレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.戦もありリアルタイム視聴はしていない。
 
クロフォードよ、お前がNo.1だ(1年8か月ぶり2回目)。スペンスを2Rでほぼ攻略、赤子扱いする。スペンスにとっては相性最悪だったかも?
 
速報等で結果は確認したのだが、後日改めてPPVを購入した次第である。
 
AJ・マッキーが欠場→代役にホベルト・サトシ・ソウザ→ピットブル兄にKO負けや堀口恭司vs神龍誠戦のノーコンテスト等、「う~ん」と思うことも多かったが、概ね楽しめたことをお伝えする。
 
 
特に後半のRIZINパートはなかなかすごかった。
 
 
というわけで今回はRIZINパートの中から印象に残った試合の感想を。
 
結果を知った上での後追いなので新鮮味には欠けるが、そこは気にしないことにする笑
 
RIZIN45遅めの感想。「そりゃそうでしょ」案件続出の中、扇久保がドットソンに勝ったのはビビった。明確に落ちた堀口恭司、ペナルティで選択肢がなかったアーチュレッタ
 

○鈴木千裕vsパトリシオ・ピットブル×(1R2分32秒KO)

まずは今大会最大のサプライズ、Bellator2階級制覇王者パトリシオ・ピットブルに鈴木千裕が1RKO勝利した試合である。
 
申し上げたように僕はリアルタイムでは視聴しておらず、この試合も速報で確認しただけ。
で、結果一覧に“1RKO”の文字を見つけて「まあ鈴木千裕じゃ厳しいよな」と思いそっ閉じさせていただいた。
 
ところが数時間後に「鈴木千裕が大番狂わせを起こした!!」旨のネット記事を目にして「おいおい、逆だったんかい笑」と。
 
 
 
実際の映像を観てまず思ったのが、「鈴木千裕がデカい」
 
2階級制覇王者のピットブル弟はフェザー級としても小柄な方。昨年大晦日のクレベル・コイケ戦でも2021年7月、2022年4月のAJ・マッキー戦でも相手とは上背に差がある。
 
一方の鈴木は普段のフェザー級よりも重いライト級契約ということもあって全体的に余裕を感じた。
 
朝倉未来vs平本蓮感想。左を当てるための対策を重ねた平本蓮。トラウマ? で縮こまった朝倉未来。やっぱり斎藤裕Vol.1かな。挫折を糧に成長する機会を失ったのが…
 
そして結果は鈴木の1RKO。
 
ラウンド中盤にコーナー付近で右をヒットした鈴木が一気に追撃を浴びせてレフェリーストップを呼び込む。
結果を知った状態で観てもすごい試合だった。
 
 
ただ、これはちょっとあり得るパターンだったなぁと。
あくまで後追い視聴+後付けの感想として。
 
この選手は2021年7月のAJ・マッキーとの初戦でもマッキーのハイキックで豪快にグラつかされている。
 
スタンドもグランドもできるオールラウンダーのパトリシオだが、基本的には相手と正対して打撃でプレッシャーをかけるところからスタートする。
 
相手に先に手を出させてカウンターを狙うスタイルなので不意の1発をもらう危険は常に伴う。
 
というより、付け入る隙があるとすればそこなのだと思う。
 
しかも今回の相手はKNOCK OUTで王者になるくらいの打撃技術を持つ鈴木千裕である。
 
ショートノーティスで情報が少ない上にナチュラルなフィジカルにも差がある。
パトリシオにとっては諸々の要素が最悪な形で噛み合ってしまった。
 
 
と同時に、再戦すれば鈴木に勝ち目はほとんどなさそう。
たとえばBellatorのケージファイトで再戦!! となった場合は絶望的な気がする……。
 
 
まあでも、今回は鈴木千裕がすごかった。
 
急遽参戦が決まったパトリシオの相手に抜擢される引きの強さ、フィジカル差を活かせる契約体重、不確定要素の多い一発目に結果を出す思い切りのよさ、などなど。
 
微妙な流れが続いていた「超RIZIN.2」を見事に救ってくれた。
 
朝倉未来vsYA-MAN感想。試合後のゴタゴタがアレすぎる件。インパクトのデカさに本人のキャラが追いついてない。これなら予定調和の3Rドローでよかったろ
 

○フアン・アーチュレッタvs扇久保博正×(判定3-0)

続いてセミファイナルのバンタム級タイトルマッチ。負傷欠場の朝倉海に代わって扇久保博正がフアン・アーチュレッタと対戦したわけだが。
 
 
この試合は上記の鈴木vsプットブル戦とは真逆で個人的に予想に近い結果となっている。
 
海の代打で扇久保が出ると聞いた際に思ったのが「いや、扇久保じゃアーチュレッタには勝てんだろ」。
で、アーチュレッタが勝ったと聞いて「まあ、そうだよな」と。
 
昨年大晦日の堀口恭司戦もそうだが、扇久保はスピーディな出入りと距離の遠い相手が苦手。中間距離での打ち合い、リング中央でのグランド勝負では強さを発揮するが、射程外からすっ飛んでくるタイプには置いてきぼりを食う。
 
今回のフアン・アーチュレッタも前後左右のフットワークを駆使するスタイル。堀口ほどではないが、扇久保にとっては相性の悪い相手(だと思う)。
 
ベストバウトは井上直樹vsアーチュレッタ。一番刺さったのはブアカーオ。朝倉海はアーチュレッタに勝ち筋ありますかね?
 
ただ、実際にはそこまで翻弄されたわけではなく。
時おりカーフキックでアーチュレッタをよろけさせたり、激しい出入りにも普通についていけていた。
 
じゃあどこで差がついたの? というと、やはりフィジカルだろうか。
フェザー級でも大柄なアーチュレッタに対して扇久保は昨年末からフライ級を主戦場としている。パッと見でも二回りほどアーチュレッタが大きく、扇久保はタックルを受けると身体ごと浮かされてしまう。
 
能力自体はそこまで差はなかったと思うが、とにかく体格差がどうにもならない。
グランドではアーチュレッタの攻めをしのぐのみでまったく自分の展開を作れず。一本を取られる雰囲気こそないが、逆転できる感じもない。
アーチュレッタが勝ちに徹したのも含めて体格差の影響はかなり大きかった(気がする)。
 
 
でもアレっすね。
アーチュレッタを攻略するにはローキックやカーフキックは有効かもしれませんね。
 
扇久保のカーフを露骨に嫌そうにしていたし、もしかしたらあまり蹴られ慣れていないのかもしれない。
「足を使うタイプを止めるには下から」という基本に立ち返るのが一番いい? のかも?
 
ちなみに朝倉海がカーフキックを駆使するイメージはまったくない。
 

○ウガール・ケラモフvs朝倉未来×(1R2分41秒一本)

ラストはメインの朝倉未来vsウガール・ケラモフ戦について。
 
 
この試合はあまり展望を考えずに「いい組み合わせだね」「どっちもがんばれ~」と思っていたところ。
 
だがU-NEXTの格闘技チャンネルで現役選手たちが朝倉未来有利と言っていたり、

ほかの選手も朝倉推しが多かったことで「へえ、そうなんだ~」と。
 
特に聞こえてきたのが「ケラモフは未来にとって相性のいいタイプ」という意見。
ケラモフのテイクダウン、スタンドに未来は十分対応できる。タックルを切ってチャンスを待っているうちにどこかで未来のカウンターがさく裂するのでは? とのこと。
 
正直僕はどうなるかがわからなかったのだが、現役選手が言うならそうなのかな? と思った次第である。
 
朝倉未来がクレベル・コイケに失神KOで敗れる。リングならではの決着だったな。勝負論のある好ファイト
 
ところが結果はケラモフの一本勝ち。
それも1R序盤のタックルでテイクダウン→バックに回ってチョークでタップを奪う完璧な勝ち方。
未来からすればいいところがまったくない、完敗中の完敗である。
 
おいおい、未来有利言うとったやないけオマイラ。
 
というより朝倉未来がこんな負け方をするとは……。
 
映像を観る限り今回の試合に言い訳の余地はない。
冗談でもなく、タラレバを言う余地がまったくない試合というヤツ。
“1Rで一本負け”という字面以上のインパクトだったことをお伝えする。
 
 
でも、U-NEXT動画では斎藤裕だけが「ケラモフの仕上がり具合がヤバい」と言ってたんですよね。
本人もケラモフとの対戦経験があるが、そのときとは雲泥の差に見えたとか。
 
結果的にその見立てが当たってしまったわけだが、未来自身もショックな負け方だったと想像する。
 

RIZINフェザー級がぐちゃぐちゃになっちゃった。対抗できそうなのは金原正徳くらいじゃない?

表題の通りなのだが、朝倉未来がケラモフに負けたことでRIZINフェザー級がぐちゃぐちゃになってしまった。
 
運営としては未来がケラモフを下して王座戴冠→クレベル・コイケとの再戦に持っていくのが理想だったはず。
それが言い訳の余地のない負け方をしたためケラモフvsクレベルというクッソ微妙な試合を組まざるを得なくなった。
 
現状、ケラモフとクレベルに対抗できそうな(資格のある)日本人選手はほとんど見当たらない。
 
斎藤裕、牛久純太郎の元王者2人は未来に負けている。
萩原京平、鈴木千裕はクレベルに瞬殺され、堀江圭功はケラモフに負けた。
平本蓮は注目度は高いが萩原、鈴木になすすべなく負けた過去がある。
 
そうなると残っているのは金原正徳くらいか。
今年4月に山本空良に完勝してケラモフ戦をアピールした経緯があるが、勝ち筋(と挑戦資格)があるとすればこの選手しかいない気がする。
 
僕は以前から打倒クレベルを果たせる(日本人選手)としたら金原じゃない? と言い続けているが、打倒ケラモフも同じ。マジで金原以外に思いつかないのだが、どうだろうか。
 
金原正徳が全局面でクレベル・コイケを圧倒。アカン、感動が止まらん。でも石渡パイセンと川口春奈の彼氏の予想を聞いて「勝つかも」とオモタ笑
 
まあ、運営からすれば地獄でしかないけど。
クレベル・コイケ、ウガール・ケラモフ、金原正徳の三つ巴とかいう地味路線、どう考えてもしんどい笑


あと、金原は年齢的に連戦が利かないのがね……。
これに勝てばタイトルショット!! という試合を組んでもそこから半年、1年開くのはどうなのよ? と。
 

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