阪神・大山悠輔、佐藤輝明、広島・坂倉将吾、レイズ・筒香嘉智。気になる選手の開幕後の調子、成績を振り返る【2021年プロ野球】

阪神・大山悠輔、佐藤輝明、広島・坂倉将吾、レイズ・筒香嘉智。気になる選手の開幕後の調子、成績を振り返る【2021年プロ野球】

3月26日に日本プロ野球が開幕し、4月2日(現地時間)には米・メジャーリーグが開幕した2021年。新型コロナウイルスの影響で変則シーズンを強いられた2020年と違い、現時点では両国とも通常通りのレギュラーシーズン、プレーオフが行われる予定となっている。
 
僕もいち野球ファンとして時間の許す限り日米の試合を観戦しているが、今回はその中から気になる選手をピックアップして感想を述べていこうと思う。
 
具体的には阪神タイガースの大山悠輔、佐藤輝明。広島カープの坂倉将吾、タンパベイ・レイズの筒香嘉智の4人。
 
正直、僕は投手以上に打者を見る目がない人間なのだが、そこは気にせず。
何ごとも立ち止まったら成長はないということで、果敢に挑戦してみることにする()
 
松坂大輔引退表明…。多くのものを背負って腕を振り続けた旧世代の生き残り。圧倒的な躍動感、背中から漂う悲壮感と哀愁がたまらなくカッコよかった
 

大山悠輔(12試合 打率.231 打点4 本塁打0)

まずは我が阪神タイガース(僕は阪神ファンではない)の大山悠輔について。
 
2020年の大山は打率.288 HR28本と大きく飛躍を果たし、不動の4番に定着した。その流れでキャプテンマークを掲げて2021年シーズンに臨んだものの、今のところ打率.231、自己ワーストの50打席ノーアーチを継続と低迷を続けている。
 
僕は今シーズンの阪神は大山の働きが重要になると思っていて、この選手が去年並みの働きができるかどうかが勝負の分かれ目になるような気がしている。
 
特にドラフト1位ルーキーの佐藤輝明の成長を促すためにも、4番キャプテンの大山が防波堤となって雑音を抑え込む必要がある。
 
去年はジュエリー・サンズとジャスティン・ボーアが中盤までがんばってくれたおかげで大山がノビノビやれたが、今年はその役割を大山自身が果たさなければならない。
 
いろいろな意味で真価が問われるシーズンになると予想する。


で、案の定オープン戦からなかなか打球が上がらず、開幕から12試合で本塁打ゼロという不調に陥っているわけだが……。
 
要因としては、恐らく打撃フォームが微妙に崩れていることが影響しているのだと思う。
 
下記は2021年4月6日に巨人サンチェスから放ったツーベースヒット。


一方、下記は2020年10月2日の巨人戦で放ったホームラン。
ちなみに2020年9、10月は大山がもっとも好調だった時期で、月間打率.315、HR13本という記録を残している。


以下が上記2つを並べたもの。左が2020年10月2日のフォームで、右が2021年4月6日のフォームである。

要するに身体をひねり過ぎなのと、トップの位置が高すぎるのが今の不振を招いているのだと思う。
 
去年はトップの位置が耳の後ろに隠れているのに対し、今年はグリップの握りが頭の上+背番号が完全にこちらに向いていることがわかる。
 
これだとバットがスムーズに出ず速球に振り遅れやすい。なおかつ高い位置から振り下ろすせいでダウンスイング気味になり、その分こねた打球が増える。
なかなか打球が上がらないのもここが影響していると思われる。
 
もともとこの選手は楽天の浅村や巨人の中島同様、身体を大きくひねって打つタイプの打者。加えて元広島の新井貴浩のようにバットのヘッドが投手側に向く。
 
フォーム的にどうしてもスピードボールに遅れやすい上に、わずかな狂いが大きなズレにつながりスランプも長引く傾向が強い(気がする)。
 

佐藤輝明(12試合 打率.163 打点4 本塁打2)

2020年ドラフト1位の大型ルーキー佐藤輝明。オープン戦10試合で打率.361 打点9 本塁打6という成績を残し、見事開幕スタメンの座を掴んだまではよかったが……。
ここまでは出場12試合で打率.163、三振21と苦しい状態が続いている。
 
佐藤輝明に関しては、オープン戦で一目見た瞬間に「これは打つでしょ」と確信させられた選手。
同じ左打者で言えばオリックスの吉田正尚、西武の森友哉に匹敵するほどの衝撃だった。


ところが公式戦開始以降はやや停滞気味。ホームランを2本放ったものの、まだまだ力を発揮できているとは言い難い。
 
 
苦戦の要因は割と単純で、多くの方が指摘しているようにプロの球についていけていないことが大きい。特に内側のスピードボールに遅れるシーンが多く、そのせいで外の球にも手が届かなくなっている。
 
2021年3月30日の広島戦などは典型的である。
 
vs森下暢仁

vs栗林良吏

外の落ちる球でカウントを稼がれ、内側のスピードボール、カット系の球で腰を引かされる。そして最後は再び外側に落とされて空振り三振。
 
オープン戦では各チームともそこまで厳しい攻めをしてこなかったが、本番はまったくの別物。弱点がわかればそこをどんどんついてくる。
 
阪神ラウル・アルカンタラのエンジェル・サンチェスっぽさ。チェン・ウェインよりも活躍する? 満点補強の目玉投手の2021年の成績を予想してみる
 
佐藤輝明の当面の課題としては、やはり145km以上のスピードボールにどれだけ対応できるかだろうと。
スイングの軌道的にどうしても内側は窮屈になりやすいが、そこを克服すればこの選手は一段上に行けるのではないか。
 
 
まあでも、とりあえず今シーズンはノビノビやればいいとは思いますけどね。
打率は2割前半でいいので、甘く入った半速球を確実にスタンドインする感じで。最終的に打率.215 HR20くらいいけば上々なんじゃないの?
 
ヤクルトの村上宗隆が2年目の2019年に打率.231 HR36(主に6、7番)の成績を残したが、さしあたってはそこを目指すのが手っ取り早い。
 
そして、そのためには4番大山悠輔の活躍が必須になる。
2019年のヤクルトは青木宣親、山田哲人、バレンティンが2、3、4番に座っていた上にチームは5位に8ゲーム差をつけられてのダントツ最下位。
クソ狭い神宮球場で注目度も低い中、村上宗隆はベテランに守られながらホームランor三振のようなフルスイングが許された。
 
果たして1年目の佐藤輝明にそれと同じことができるか? また、その環境を大山が作ってやれるか? という話。
 
 
マジな話、都市圏の人気球団って本当にキツいですからね。
2020年のキャンプで阪神の臨時コーチを務めた山本昌が「ブルペンで軽く口にした言葉が記事になったりする」とコメントしていたが、注目度に関して言えば阪神は他球団とはケタが違う。
 
大正義巨人軍の後ろで傘をぶん回してるだけのセカンドトーキョー軍団ではスルーされていたことが、阪神では見逃してくれないというケースがザラにあると想像する。
 

坂倉将吾(8試合 打率.286 打点6 本塁打1)

お次は広島カープの坂倉将吾。2020年に負傷離脱した會澤翼に代わって81試合に出場し、打率.287の好成績を残した強打の捕手。
と同時に、僕が2020年に唯一現地観戦した試合で「何コイツ、めちゃくちゃええやん!!」と一目で気に入った選手でもある。
 
なので今シーズンは坂倉にとっての飛躍の年だと期待していたのだが、残念ながらキャンプイン早々に負傷離脱という。
 
坂倉将吾の2021年を振り返る。.315、HR12、OPS.850。こんなに期待通りの成長を遂げるとは。去年の課題を軒並み克服
 
復帰後の試合もいくつか観たが、正直まだまだMAXのパフォーマンスには至っていない印象。春先というのもあるとは思うが、ホームランを打ったDeNA戦でも絶好調時に比べて身体のキレは悪かったように思える。
 
 
というか、今シーズンは坂倉はもちろん、広島カープにも少しだけ期待している。
 
去年の中盤あたりから佐々岡監督の打線の組み方にはセンスを感じたし、今シーズンは投手起用にも慣れてきた感がある。
 
ようやく緒方孝市政権から続く脳筋ごり押し采配からの脱却を果たせるのか? みたいな。
 
坂倉がホームランを打った4月3日のDeNA戦での
3西川龍馬
4鈴木誠也
5松山竜平
6坂倉将吾
7クロン
の並びのいやらしさと言ったらww
 
どなたかがおっしゃっていたが、近い将来を見据えて會澤翼をファーストに回すというのは普通にアリだと思う。それこそ3連覇時代にエルドレッドと新井貴浩を併用したように、コンディションを見ながら助っ人外国人と會澤をうまく運用できれば。
負傷離脱したクロンがこのままダメダメだったケースを想定すればなおさらである。
 
まあ、その場合は本人のプライドに細心の注意を払う必要があるが。
 
 
と言いつつ、広島に関してはどうしてもリリーフ陣の疲弊が気になる。
長年のごり押し采配の影響で勝ちパターンの投手がどんどん潰れているし、昨年活躍したケムナ誠もこの前の登板では少し落ちていた。
 
仲尾次オスカル、アドゥワ誠に続き、海外にルーツのある選手を優先的にぶっ壊していく伝統を何とかしやがれとww
 

筒香嘉智(5試合 打率.118 打点1 本塁打0)

最後はMLBタンパベイ・レイズに所属する筒香嘉智。51試合で打率.197 打点24 本塁打8と期待外れに終わった去年の巻き返しを期して臨んだ2021年シーズンだったが……。
 
残念ながら今のところまったく結果は伴わず。日本のファンからも「全然通用しない」「日本に帰ってこい」「でも、今帰ってきてもDeNAには居場所がない」などと散々な言われようである。
 
 
とは言え、個人的には状態がだいぶ上向いてきたと思っている。
 
何というか、待ち方に余裕が出てきた印象。
開幕2試合目のマーリンズ戦あたりから感覚を掴みかけてきた感じで、これまで完全に振り遅れていた93マイル以上のスピードボールにも反応が間に合いつつある。
 
今はまだ結果が出ていないが、冗談抜きで打席の内容は悪くない。構えをオープン気味にして始動を早めたことが功を奏しているのだと思うが、ぼちぼち打ち出すのではないかと。
 
もともとこの選手は選球眼がよく低めの変化球をすくい上げるのもうまい。スイングに柔らかさもある。あとはパワフルなまっすぐ、ひざ元に食い込むカット系の球に対応できればようやくスタートラインに立てるのだが……。
 
少なくとも、いっさい上がり目を感じなかったオープン戦よりははるかに希望が持てる(と思う)。
 
田中マー君日本復帰戦、崖っぷち? の筒香嘉智、二刀流復活の大谷翔平は結局どうなのよ? 2021.4.22時点での振り返り
 
あとはアレか。
首脳陣に見切りをつけられるまでに結果を出せるかどうかか。
 
MLBに詳しい方によると、過去の例を踏まえると目安は100打席とのこと。つまりボーダーラインはだいたい20~25試合前後になる。
 
さらに負傷離脱中の崔志萬が5月上旬~中旬あたりの復帰を予定しているので、筒香はとにかく残り20試合弱で戦力になれることを証明しなくてはならない。
 
 
去年はガチで「コイツはダメだわ」状態だったことを考えると、今年は全然希望が持てるんでね。日本の主砲としても何とかがんばってもらいたいのだががが……。
 

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